58 / 190
第五十七話 思惑が違う者たちの作戦会議
しおりを挟む
「そうでしたわ、私ってばすっかり忘れていましたわ」
アルメリアは一瞬ちらりと、先ほどから目立たぬように端に静かに座っているリカオンに視線を向けた。するとリカオンは、興味なさそうにお茶を飲んでいるだけだった。あんなに孤児院で劇をすることを嫌がっていたのに、嫌な顔一つしないのを意外に思った。
スパルタカスに視線を戻すと、不思議そうにアルメリアを見つめ説明を待っている様子になっていた。なのでアルメリアは慌てて説明を始めた。
「以前スパルタカスが孤児院で、子どもたちのためにお芝居をしたと話してらしたでしょう? 次のセントローズ感謝祭のときにも、お芝居をなさる予定がありましたら、私も参加したいのです」
それに次いでリアムも言った。
「私も参加したいと思っています」
余程驚いたのか、スパルタカスは目を見開いてリアムとアルメリアを交互に見る。
「よろしいのですか?」
アルメリアは満面の笑みで頷くと、先ほど話した騎士団の編成の件を思い出す。
「でも今は、色々とお忙しいですわよね。無理なら、その次の祝祭の日でもかまいませんわ」
「いえ、セントローズ感謝祭は五ヶ月後ですから大丈夫でしょう。では打ち合わせにできる限りこちらに寄らせてもらいます」
すると、ルーファスが心配そうにアルメリアを見ながら言った。
「みなさんお忙しそうなのに、本当によろしいのですか? それにアルメリアはフィルブライト公爵令息の足の治療もサポートされているでしょう? 大丈夫なのですか?」
リアムが間髪入れずにアルメリアに訊く。
「ルーカスになにかあったのですか?」
「落馬されて足の骨を折ってしまわれたんですの。でも生命に問題はありませんから心配なさらないで」
そう聞いてリアムはほっとした顔をした。
「派閥は違いますが、彼とは懇意にしていますから驚きました。命に関わらないと言うなら安心ですね。会話は可能でしょうか? 時間のあるときに顔を見に行きたいのですが」
「今は、痛みもありますから、もう少ししてからのほうがよろしいかもしれませんわね。お見舞い申し上げたらよろしいですわ」
「そうですかわかりました……と、すみませんでした、話の途中でしたね」
そう言われ、アルメリアは首を振ると改めてルーファスに向き直り、話の続きをした。
「私は少しだけ治療についてのアドバイスをしているだけですから、そんなに時間はとりませんし問題ありませんわ」
「そう言っていただけるなら、よろしくお願い致します」
ルーファスは頭を下げた。アルメリアは次いで疑問に思ったことをリアムに質問した。
「それにしても、他の方は忙がしくしてらしたのに、フィルブライト公爵令息はなぜ城下にいらしたんですの?」
「すみません、その説明をしていませんでした。そのことなんですが、フィルブライト公爵は教会派なので今回の調査は行っていません。元々教会派の貴族は統括とは名ばかりで、ほとんど騎士団には関与していないのです。国王陛下自ら教会が騎士団に介入するのを反対していますから、そういう方針なのです。ですので、教会派の領地には騎士団から騎士を派遣しています。ですが、ルーカスも怪我をするぐらいなら、領地へ赴いていた方がよかったかもしれません」
そう言って苦笑した。それを聞いてアルメリアは、国王陛下がかなり教会に対して、慎重な姿勢を取っていることに驚かされた。
不意にリアムが眉寝に皺を寄せると、口を開いた。
「君が博識なのは知っています。ですから、怪我の治療法にも知識があるのは頷けます。それでも君が他の令息と接触するのは、気分の良いものではありませんね。そうでなくとも、君が王太子殿下の婚約者になるという話が上がっていて、随分ショックを受けたばかりなのに」
その言葉にルーファスがいち早く反応し、リアムの方へ身を乗り出して訊いた。
「ちょっとまって下さい。誰と誰が婚約されるのですか?!」
リアムは表情を曇らせたままルーファスの問いに答える。
「アルメリアと王太子殿下です」
ルーファスは青ざめた顔をして黙り込んだ。それを見て、アルメリアは慌てて否定する。
「リアム、それにルフスもそんなに驚く必要はありませんわ。まだ、具体的に決まったわけではありませんもの、他の方が婚約者になることだってこの先十分あり得ますわ。家柄からいえば公爵家である私が婚約者候補の筆頭になるかもしれませんけれど、そういうことならフィルブライト公爵令嬢も候補に上がっているはずですわ」
すると、リアムはスパルタカスと顔を見合わせてため息をついた。そしてアルメリアの方を見ると弱々しく微笑みかける。
「アルメリア、そんなに単純な話ではないのです。それこそ他の貴族の手前、正式には発表されていなかっただけで、殿下のお心は以前から決まっていたようなのです」
そんな設定はゲームの中でもなかったはずだ。アルメリアは困惑しながら、リアムを見つめその話の先を待つ。
「君も当然知らないことだったのでしょう。王太子殿下は大変頭の切れる方で、周囲がそれと悟る前に全てを周到に準備し、思う通りに事を運ぶような策士でもあられますから、殿下がなさること全てを額面通りには取らない方が良いでしょう」
現国王陛下がとても優れた賢王なので、当然その息子であるムスカリが、それを受け継いでいてもおかしくはない。
先日のお茶会でまんまとしてやられていたアルメリアは、それはもう十分理解しているつもりだった。だがそれ以前に疑問に思うことがあった。
「殿下は素晴らしい方です。それは承知していることですわ。でも、そのお心が以前から決まっていたとは、どういうことですの?」
今度はスパルタカスが答える。
「本日の会食で殿下から『クンシラン公爵令嬢とは幼少期より懇意にしている。それ相応の敬意をはらうように』とのお達しがあったのです」
そう言ったあと、一瞬躊躇したのち口を開く。
「先ほど閣下は、私の実力で王太子殿下の側付きになれたと褒めてくださいました。それに対し私が『閣下と知り合いなので抜擢されたのだと、そう思っております』と申し上げたのはこのことからなのです。実は先日、殿下に召し上げていただいたお礼を申し上げました。すると殿下は『お礼を言う相手を間違えている。君が今の地位にいられるのは、至高の花に群がる虫の一匹だったからだ』と仰ったのです。そのときは、なんのことかわからなかったのですが、本日の会食でその理由がはっきりしました」
悲しそうに微笑むスパルタカスを見つめながら、アルメリアが呆気にとられているとリアムが苦笑しながら言った。
「殿下もアルメリアと接触をし、君と親密になってから婚約の発表をするつもりだったのだと思います。ですがあまりにも君の周囲に人が集まり過ぎてしまったので、今回のお達しがでたのでしょう。私もこれで参謀の言っていた『お前はまるで見る目がない。殿下は彼女の聡明さにいち早く気づいていたというのに……』と言っていた意味がわかりました」
その説明で納得がいった。殿下は、こうやって他の令息を近づけないようにしたいだけなのだ。それもそうだろう、婚約者ともあろう人物が複数の令息と懇意にしているとの噂があっては、対面的にもよろしくない。そういうことならと、アルメリアは頷きみんなの顔を見回してから言った。
「わかりましたわ。そういうことならなおのことみなさんと仲良くして、私が王太子殿下の婚約者としては不適格だということを証明して差し上げればよろしいのですわ」
アルメリアは一瞬ちらりと、先ほどから目立たぬように端に静かに座っているリカオンに視線を向けた。するとリカオンは、興味なさそうにお茶を飲んでいるだけだった。あんなに孤児院で劇をすることを嫌がっていたのに、嫌な顔一つしないのを意外に思った。
スパルタカスに視線を戻すと、不思議そうにアルメリアを見つめ説明を待っている様子になっていた。なのでアルメリアは慌てて説明を始めた。
「以前スパルタカスが孤児院で、子どもたちのためにお芝居をしたと話してらしたでしょう? 次のセントローズ感謝祭のときにも、お芝居をなさる予定がありましたら、私も参加したいのです」
それに次いでリアムも言った。
「私も参加したいと思っています」
余程驚いたのか、スパルタカスは目を見開いてリアムとアルメリアを交互に見る。
「よろしいのですか?」
アルメリアは満面の笑みで頷くと、先ほど話した騎士団の編成の件を思い出す。
「でも今は、色々とお忙しいですわよね。無理なら、その次の祝祭の日でもかまいませんわ」
「いえ、セントローズ感謝祭は五ヶ月後ですから大丈夫でしょう。では打ち合わせにできる限りこちらに寄らせてもらいます」
すると、ルーファスが心配そうにアルメリアを見ながら言った。
「みなさんお忙しそうなのに、本当によろしいのですか? それにアルメリアはフィルブライト公爵令息の足の治療もサポートされているでしょう? 大丈夫なのですか?」
リアムが間髪入れずにアルメリアに訊く。
「ルーカスになにかあったのですか?」
「落馬されて足の骨を折ってしまわれたんですの。でも生命に問題はありませんから心配なさらないで」
そう聞いてリアムはほっとした顔をした。
「派閥は違いますが、彼とは懇意にしていますから驚きました。命に関わらないと言うなら安心ですね。会話は可能でしょうか? 時間のあるときに顔を見に行きたいのですが」
「今は、痛みもありますから、もう少ししてからのほうがよろしいかもしれませんわね。お見舞い申し上げたらよろしいですわ」
「そうですかわかりました……と、すみませんでした、話の途中でしたね」
そう言われ、アルメリアは首を振ると改めてルーファスに向き直り、話の続きをした。
「私は少しだけ治療についてのアドバイスをしているだけですから、そんなに時間はとりませんし問題ありませんわ」
「そう言っていただけるなら、よろしくお願い致します」
ルーファスは頭を下げた。アルメリアは次いで疑問に思ったことをリアムに質問した。
「それにしても、他の方は忙がしくしてらしたのに、フィルブライト公爵令息はなぜ城下にいらしたんですの?」
「すみません、その説明をしていませんでした。そのことなんですが、フィルブライト公爵は教会派なので今回の調査は行っていません。元々教会派の貴族は統括とは名ばかりで、ほとんど騎士団には関与していないのです。国王陛下自ら教会が騎士団に介入するのを反対していますから、そういう方針なのです。ですので、教会派の領地には騎士団から騎士を派遣しています。ですが、ルーカスも怪我をするぐらいなら、領地へ赴いていた方がよかったかもしれません」
そう言って苦笑した。それを聞いてアルメリアは、国王陛下がかなり教会に対して、慎重な姿勢を取っていることに驚かされた。
不意にリアムが眉寝に皺を寄せると、口を開いた。
「君が博識なのは知っています。ですから、怪我の治療法にも知識があるのは頷けます。それでも君が他の令息と接触するのは、気分の良いものではありませんね。そうでなくとも、君が王太子殿下の婚約者になるという話が上がっていて、随分ショックを受けたばかりなのに」
その言葉にルーファスがいち早く反応し、リアムの方へ身を乗り出して訊いた。
「ちょっとまって下さい。誰と誰が婚約されるのですか?!」
リアムは表情を曇らせたままルーファスの問いに答える。
「アルメリアと王太子殿下です」
ルーファスは青ざめた顔をして黙り込んだ。それを見て、アルメリアは慌てて否定する。
「リアム、それにルフスもそんなに驚く必要はありませんわ。まだ、具体的に決まったわけではありませんもの、他の方が婚約者になることだってこの先十分あり得ますわ。家柄からいえば公爵家である私が婚約者候補の筆頭になるかもしれませんけれど、そういうことならフィルブライト公爵令嬢も候補に上がっているはずですわ」
すると、リアムはスパルタカスと顔を見合わせてため息をついた。そしてアルメリアの方を見ると弱々しく微笑みかける。
「アルメリア、そんなに単純な話ではないのです。それこそ他の貴族の手前、正式には発表されていなかっただけで、殿下のお心は以前から決まっていたようなのです」
そんな設定はゲームの中でもなかったはずだ。アルメリアは困惑しながら、リアムを見つめその話の先を待つ。
「君も当然知らないことだったのでしょう。王太子殿下は大変頭の切れる方で、周囲がそれと悟る前に全てを周到に準備し、思う通りに事を運ぶような策士でもあられますから、殿下がなさること全てを額面通りには取らない方が良いでしょう」
現国王陛下がとても優れた賢王なので、当然その息子であるムスカリが、それを受け継いでいてもおかしくはない。
先日のお茶会でまんまとしてやられていたアルメリアは、それはもう十分理解しているつもりだった。だがそれ以前に疑問に思うことがあった。
「殿下は素晴らしい方です。それは承知していることですわ。でも、そのお心が以前から決まっていたとは、どういうことですの?」
今度はスパルタカスが答える。
「本日の会食で殿下から『クンシラン公爵令嬢とは幼少期より懇意にしている。それ相応の敬意をはらうように』とのお達しがあったのです」
そう言ったあと、一瞬躊躇したのち口を開く。
「先ほど閣下は、私の実力で王太子殿下の側付きになれたと褒めてくださいました。それに対し私が『閣下と知り合いなので抜擢されたのだと、そう思っております』と申し上げたのはこのことからなのです。実は先日、殿下に召し上げていただいたお礼を申し上げました。すると殿下は『お礼を言う相手を間違えている。君が今の地位にいられるのは、至高の花に群がる虫の一匹だったからだ』と仰ったのです。そのときは、なんのことかわからなかったのですが、本日の会食でその理由がはっきりしました」
悲しそうに微笑むスパルタカスを見つめながら、アルメリアが呆気にとられているとリアムが苦笑しながら言った。
「殿下もアルメリアと接触をし、君と親密になってから婚約の発表をするつもりだったのだと思います。ですがあまりにも君の周囲に人が集まり過ぎてしまったので、今回のお達しがでたのでしょう。私もこれで参謀の言っていた『お前はまるで見る目がない。殿下は彼女の聡明さにいち早く気づいていたというのに……』と言っていた意味がわかりました」
その説明で納得がいった。殿下は、こうやって他の令息を近づけないようにしたいだけなのだ。それもそうだろう、婚約者ともあろう人物が複数の令息と懇意にしているとの噂があっては、対面的にもよろしくない。そういうことならと、アルメリアは頷きみんなの顔を見回してから言った。
「わかりましたわ。そういうことならなおのことみなさんと仲良くして、私が王太子殿下の婚約者としては不適格だということを証明して差し上げればよろしいのですわ」
13
お気に入りに追加
715
あなたにおすすめの小説
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。
あなたの嫉妬なんて知らない
abang
恋愛
「あなたが尻軽だとは知らなかったな」
「あ、そう。誰を信じるかは自由よ。じゃあ、終わりって事でいいのね」
「は……終わりだなんて、」
「こんな所にいらしたのね!お二人とも……皆探していましたよ……
"今日の主役が二人も抜けては"」
婚約パーティーの夜だった。
愛おしい恋人に「尻軽」だと身に覚えのない事で罵られたのは。
長年の恋人の言葉よりもあざとい秘書官の言葉を信頼する近頃の彼にどれほど傷ついただろう。
「はー、もういいわ」
皇帝という立場の恋人は、仕事仲間である優秀な秘書官を信頼していた。
彼女の言葉を信じて私に婚約パーティーの日に「尻軽」だと言った彼。
「公女様は、退屈な方ですね」そういって耳元で嘲笑った秘書官。
だから私は悪女になった。
「しつこいわね、見て分かんないの?貴方とは終わったの」
洗練された公女の所作に、恵まれた女性の魅力に、高貴な家門の名に、男女問わず皆が魅了される。
「貴女は、俺の婚約者だろう!」
「これを見ても?貴方の言ったとおり"尻軽"に振る舞ったのだけど、思いの他皆にモテているの。感謝するわ」
「ダリア!いい加減に……」
嫉妬に燃える皇帝はダリアの新しい恋を次々と邪魔して……?
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ヴェルセット公爵家令嬢クラリッサはどこへ消えた?
ルーシャオ
恋愛
完璧な令嬢であれとヴェルセット公爵家令嬢クラリッサは期待を一身に受けて育ったが、婚約相手のイアムス王国デルバート王子はそんなクラリッサを嫌っていた。挙げ句の果てに、隣国の皇女を巻き込んで婚約破棄事件まで起こしてしまう。長年の王子からの嫌がらせに、ついにクラリッサは心が折れて行方不明に——そして約十二年後、王城の古井戸でその白骨遺体が発見されたのだった。
一方、隣国の法医学者エルネスト・クロードはロロベスキ侯爵夫人ことマダム・マーガリーの要請でイアムス王国にやってきて、白骨死体のスケッチを見てクラリッサではないと看破する。クラリッサは行方不明になって、どこへ消えた? 今はどこにいる? 本当に死んだのか? イアムス王国の人々が彼女を惜しみ、探そうとしている中、クロードは情報収集を進めていくうちに重要参考人たちと話をして——?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる