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第四十八話 ルーカスとの邂逅
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グラスに口をつけたところで、アルメリアの視界にペルシックが入る。なにごとかと思い、そちらに視線を向け首をかしげる。
「お嬢様、お楽しみのところ大変申し訳ありません。今フィルブライト公爵がお見えになって……」
言いかけているその後ろから、一人の男性が慌てた様子でペルシックを押し退けてテラスに入ってきた。
「クンシラン公爵令嬢! 申し訳ない、回りくどいことをしている場合ではなくてね」
ライル・フォン・フィルブライト公爵は大量の汗を拭うこともせず、取り乱したようにアルメリアの前に来ると跪いて言った。
「無礼をお許しください。兵士たちから貴女が傷や病の治療法に長けているとの噂を耳にしました。助けてほしいのです、息子が、息子のルーカスが落馬しまして足を負傷したようなのです」
アルメリアは慌てて立ち上がる。
「どこですの?」
フィルブライト公爵は不思議そうな顔で戸惑いながら答える。
「は? いや、足を怪我したようで……」
アルメリアは首を振る。
「そうではありませんわ! 令息は今どちらに?」
フィルブライト公爵は頷く。
「ついて着て下さい」
そう言って立ちあがると、踵を返した。アルメリアはルーファスに向き直る。
「ごめんなさい、今日は私ゆっくりしていられないみたいですわ。でもルフスはゆっくりこちらで休んでいらして」
ルーファスも椅子から立ち上がり驚いた表情で答えた。
「私のことは気にせず、早く行ってあげて下さい」
アルメリアは慌ててフィルブライト公爵の背中を追うと、リカオンもそれに続いた。なんとか追いつくと、それに気づいたフィルブライト公爵は小走りのまま振り向くと言った。
「馬車を用意させています。申し訳ないが屋敷まて来ていただけないだろうか?」
「もちろんですわ」
城のエントランスを駆け抜けたところに、公爵の言った通り馬車が用意されていたので、アルメリアはそれに乗り込む。リカオンも同じ馬車に乗り込んだが、それを気にしている暇はなかった。そうしてフィルブライト家に向かいながら、ルーカスが致命的な傷をを追っていた場合は治療が難しいし、そうでなくても自分の知識でカバーできるものなのだろうかと不安に思った。だが、この世界では知り得ない治療法を自分は知っている可能性があるので、できうる限りは力になろうと思った。
フィルブライト公爵邸に着くと、フィルブライト公爵が先に着いてアルメリアを待っていた。差し出された手を取ると、連れられ長い廊下を小走りで進む。するとある部屋からうめき声と、それを心配する使用人たちの声が聞こえた。その部屋にフィルブライト公爵と共に飛び込むと、そこには痛みに耐えるルーカスと数人の使用人、手をあぐねている医師がいた。アルメリアは素早くルーカスに近づくと傷の状態を確認し、医師に訪ねた。
「頭部は打っていませんのね? 負傷したのは右足だけですの?」
突然やってきた令嬢に戸惑いながらも、医師は答える。
「はい、左様でございます。右足を負傷したようで痛みが強いため、アルコールを飲ませ痛みを和らげようとしたのですが飲むこともままならず、御覧のように治療もできない状況でして……」
そう聞いて、アルメリアは少し悩んだのち意を決したように言った。
「フィルブライト公爵、失礼を承知でお尋ねします。パッションフラワーをお持ちになってらっしゃる?」
パッションフラワーとは使用すると強い眠気を誘う薬草で、高価で貴族たちの間で一昔前に流行した薬草だった。ところが安全性に懐疑的な者たちがあらわれ、現在では国王陛下より全国民に向け一時的に使用を控えるように言い渡されていた。
アルメリアはパッションフラワーが前世の世界の物とまったく同じ薬草ならば、問題がないハーブだと知っていた。当然その効果も良くわかっていたので、それを煎じて飲ませることにした。
フィルブライト公爵がしばらく考えていると、そばにいた執事がその質問に答える。
「旦那様が以前付き合いで購入されたものが、まだ残っていたかもしれません」
「あれか! ゲルグ、今すぐにそれをここへ」
ゲルグと呼ばれた執事は頷き、部屋を飛び出すとしばらくして息を切らしながら、パッションフラワーを手に戻ってきた。アルメリアはそれを受け取る。
「ルーカス、聞いてください。これには眠気を誘い、痛みを和らげる効果があります。辛いと思いますが、飲むことはできますか?」
すると背後で医師が驚いてアルメリアを止める。
「お嬢様、私はパッションフラワーにそのような効果があると聞いたことは一度もありません。逆にその薬草は、使い続ければ健康にも影響が出ると聞いています。そんなものを飲ませるとは、何を考えておいでですか!」
フィルブライト公爵がそんな医師を止める。
「ではそなたは、この状況を、ルーカスの苦痛を今すぐにでも取り除くことができると言うのか?」
そう言われ、一瞬医師は怯むがすぐに言い返す。
「確かに、私には今すぐにルーカス様の苦痛を取り除くことはできません。ですが、このように患者の容態をを悪くするようなことは容認できかねます!」
アルメリアはルーカスから視線を外さずに答える。
「先生、貴男の意志と心意気は尊重しますけれど、今はとにかく私を信じてもらうほかありませんわ。ルーカス、貴男はどうしたいんですの?」
アルメリアがそう言ってルーカスに訪ねると、ルーカスは頷く。アルメリアはすぐにメイドにその薬草を煎じるように言い、それを持ってこさせるとゆっくり飲ませた。しばらくすると、ルーカスの表情が徐々に穏やかになっていった。
「ありがとう、凄いな……痛みが多少和らいだようだ」
「まだ安心するのは早いですわ、これからの治療には苦痛が伴います。その苦痛に耐えなければなりませんわよ?」
辛いだろうが、耐えてもらわねばならないため嘘はつかずに本当のことだけ伝えるように努めた。ルーカスは微笑む。
「今痛みを取ってくれただけでも、君が天使にみえるよ。君の言うことならなんでも従おう」
そう言って力なく微笑んだ。アルメリアは頷くと、城内の執務室にアイスティーのために用意された氷の残りがあるのを思い出す。そして、すぐにメイドに取りに行かせるよう指示すると、濡れタオルでルーカスの汗を拭いた。まだ辛そうにしているルーカスを見て、パッションフラワーを煎じた飲みものを追加で用意させ、それを飲ませた。
そうして、ルーカスが眠りに落ちたのを見届けると負傷した足を医師と一緒に確認した。
足以外にも外傷はなく、アルメリアはほっとする。流石に外科的な処置はできそうにない。足は触った感じ骨が折れ、少しズレている様子だった。レントゲンを撮る技術はこの世界にないので、とにかく手探りでズレた骨を整復し牽引するしかない。
「固定して重しで引っ張る必要がありますわね。それからとにかく安静にしなければ。しばらく炎症で熱も痛みも続くでしょうから、動きたくとも動けないとは思いますけれど」
「お嬢様、お楽しみのところ大変申し訳ありません。今フィルブライト公爵がお見えになって……」
言いかけているその後ろから、一人の男性が慌てた様子でペルシックを押し退けてテラスに入ってきた。
「クンシラン公爵令嬢! 申し訳ない、回りくどいことをしている場合ではなくてね」
ライル・フォン・フィルブライト公爵は大量の汗を拭うこともせず、取り乱したようにアルメリアの前に来ると跪いて言った。
「無礼をお許しください。兵士たちから貴女が傷や病の治療法に長けているとの噂を耳にしました。助けてほしいのです、息子が、息子のルーカスが落馬しまして足を負傷したようなのです」
アルメリアは慌てて立ち上がる。
「どこですの?」
フィルブライト公爵は不思議そうな顔で戸惑いながら答える。
「は? いや、足を怪我したようで……」
アルメリアは首を振る。
「そうではありませんわ! 令息は今どちらに?」
フィルブライト公爵は頷く。
「ついて着て下さい」
そう言って立ちあがると、踵を返した。アルメリアはルーファスに向き直る。
「ごめんなさい、今日は私ゆっくりしていられないみたいですわ。でもルフスはゆっくりこちらで休んでいらして」
ルーファスも椅子から立ち上がり驚いた表情で答えた。
「私のことは気にせず、早く行ってあげて下さい」
アルメリアは慌ててフィルブライト公爵の背中を追うと、リカオンもそれに続いた。なんとか追いつくと、それに気づいたフィルブライト公爵は小走りのまま振り向くと言った。
「馬車を用意させています。申し訳ないが屋敷まて来ていただけないだろうか?」
「もちろんですわ」
城のエントランスを駆け抜けたところに、公爵の言った通り馬車が用意されていたので、アルメリアはそれに乗り込む。リカオンも同じ馬車に乗り込んだが、それを気にしている暇はなかった。そうしてフィルブライト家に向かいながら、ルーカスが致命的な傷をを追っていた場合は治療が難しいし、そうでなくても自分の知識でカバーできるものなのだろうかと不安に思った。だが、この世界では知り得ない治療法を自分は知っている可能性があるので、できうる限りは力になろうと思った。
フィルブライト公爵邸に着くと、フィルブライト公爵が先に着いてアルメリアを待っていた。差し出された手を取ると、連れられ長い廊下を小走りで進む。するとある部屋からうめき声と、それを心配する使用人たちの声が聞こえた。その部屋にフィルブライト公爵と共に飛び込むと、そこには痛みに耐えるルーカスと数人の使用人、手をあぐねている医師がいた。アルメリアは素早くルーカスに近づくと傷の状態を確認し、医師に訪ねた。
「頭部は打っていませんのね? 負傷したのは右足だけですの?」
突然やってきた令嬢に戸惑いながらも、医師は答える。
「はい、左様でございます。右足を負傷したようで痛みが強いため、アルコールを飲ませ痛みを和らげようとしたのですが飲むこともままならず、御覧のように治療もできない状況でして……」
そう聞いて、アルメリアは少し悩んだのち意を決したように言った。
「フィルブライト公爵、失礼を承知でお尋ねします。パッションフラワーをお持ちになってらっしゃる?」
パッションフラワーとは使用すると強い眠気を誘う薬草で、高価で貴族たちの間で一昔前に流行した薬草だった。ところが安全性に懐疑的な者たちがあらわれ、現在では国王陛下より全国民に向け一時的に使用を控えるように言い渡されていた。
アルメリアはパッションフラワーが前世の世界の物とまったく同じ薬草ならば、問題がないハーブだと知っていた。当然その効果も良くわかっていたので、それを煎じて飲ませることにした。
フィルブライト公爵がしばらく考えていると、そばにいた執事がその質問に答える。
「旦那様が以前付き合いで購入されたものが、まだ残っていたかもしれません」
「あれか! ゲルグ、今すぐにそれをここへ」
ゲルグと呼ばれた執事は頷き、部屋を飛び出すとしばらくして息を切らしながら、パッションフラワーを手に戻ってきた。アルメリアはそれを受け取る。
「ルーカス、聞いてください。これには眠気を誘い、痛みを和らげる効果があります。辛いと思いますが、飲むことはできますか?」
すると背後で医師が驚いてアルメリアを止める。
「お嬢様、私はパッションフラワーにそのような効果があると聞いたことは一度もありません。逆にその薬草は、使い続ければ健康にも影響が出ると聞いています。そんなものを飲ませるとは、何を考えておいでですか!」
フィルブライト公爵がそんな医師を止める。
「ではそなたは、この状況を、ルーカスの苦痛を今すぐにでも取り除くことができると言うのか?」
そう言われ、一瞬医師は怯むがすぐに言い返す。
「確かに、私には今すぐにルーカス様の苦痛を取り除くことはできません。ですが、このように患者の容態をを悪くするようなことは容認できかねます!」
アルメリアはルーカスから視線を外さずに答える。
「先生、貴男の意志と心意気は尊重しますけれど、今はとにかく私を信じてもらうほかありませんわ。ルーカス、貴男はどうしたいんですの?」
アルメリアがそう言ってルーカスに訪ねると、ルーカスは頷く。アルメリアはすぐにメイドにその薬草を煎じるように言い、それを持ってこさせるとゆっくり飲ませた。しばらくすると、ルーカスの表情が徐々に穏やかになっていった。
「ありがとう、凄いな……痛みが多少和らいだようだ」
「まだ安心するのは早いですわ、これからの治療には苦痛が伴います。その苦痛に耐えなければなりませんわよ?」
辛いだろうが、耐えてもらわねばならないため嘘はつかずに本当のことだけ伝えるように努めた。ルーカスは微笑む。
「今痛みを取ってくれただけでも、君が天使にみえるよ。君の言うことならなんでも従おう」
そう言って力なく微笑んだ。アルメリアは頷くと、城内の執務室にアイスティーのために用意された氷の残りがあるのを思い出す。そして、すぐにメイドに取りに行かせるよう指示すると、濡れタオルでルーカスの汗を拭いた。まだ辛そうにしているルーカスを見て、パッションフラワーを煎じた飲みものを追加で用意させ、それを飲ませた。
そうして、ルーカスが眠りに落ちたのを見届けると負傷した足を医師と一緒に確認した。
足以外にも外傷はなく、アルメリアはほっとする。流石に外科的な処置はできそうにない。足は触った感じ骨が折れ、少しズレている様子だった。レントゲンを撮る技術はこの世界にないので、とにかく手探りでズレた骨を整復し牽引するしかない。
「固定して重しで引っ張る必要がありますわね。それからとにかく安静にしなければ。しばらく炎症で熱も痛みも続くでしょうから、動きたくとも動けないとは思いますけれど」
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