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始まり
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1.長月将太【??】
「しょう…しょうた…長月将太!!!!」
「は、は、はい!えーと、答えはウ!!」
教室中に響く笑い声とその中に1つ異様な雰囲気を持つ担任の顔。鬼の形相とはこれか…またひとつ勉強になったな…。さてと…とにかくその顔、まぁ鬼ヅラでゆっくり近づいてくる担任をどうにかしなければ…回し蹴りか?いや、かえって怒られる…この部活で鍛えた拳を1発お見舞い…できない。もう目の前にいる。ほんとに目の前にいる。いや…この言葉は正しくない。もっと正しくいうには
「眼球の前ですね。先生。」
「誰のおかげで、お前の眼球の前に先生を立たせたんだ?お前が立ってろ!」
何の授業だったか…あ、数学…答えがウはないな。ん?袖が重いな…
「しょーた…」
小声と小さな手を使い一生懸命、俺の袖を引いているこの小動物はピンクの付箋を俺に見せてくる…なるほど…先程の問題の答え方か…ありがたい…
「おお…サンキューな。弥生!!」
「じゃ、長月!!お前この問題答えなんだ?」
「ハイ…ばー…か?…」
持っていた付箋を読み上げる。あれ目が霞む。たしかに答えを読んだはずだ。な、なんで?もう頼むから近づいてこないでくれ。鬼…の顔をした担任…再び教室にドッと笑いが起こる。と、同時に授業の終了を告げるチャイム。
「先生…俺の瞳の奥に映る自分に見とれてないでください…そこまで近いと流石に…あの…」
「お前は放課後職員室に来い!!!!」
・
・
・
「ごめん、ごめん!!笑笑、まさかほんとに読むなんて思わなーハハハ!ほんとにお腹痛い!!もう…将太サイコー!!笑笑」
「お前、誰のせいで放課後みっちり指導からの説教されたと思ってんだよ…笑い事じゃねーよ。ったく…」
ふと空を見上げる。アカい。夕日の中…空に薄く雲がかかり、とても幻想的になっている。広がる目の前のアカに心のどこかがコロコロと音を出す。
「綺麗…」
「そうだな…」
弥生優もそう感じたのか。少しうつむき加減に答える。いや、笑いをこらえているだけなのだろうか。再び空を見上げる。むしろ、怖い…気を抜くとアカに呑まれそうになる。そう感じているのは俺だけなのだろうか?隣の優は綺麗とだけ思ってい…
「しょーたー、優ー!」
向こうから、3人の影が近づいてくる。俺の思考を遮って入ってくるのはこいつらしかいないだろう。
「樹!!、遊馬!!、崇!!」
俺の斜め前を勢いよく優が駆けていく。アカの中走る優を見てるとこのままアカに呑み込まれ、消えていくのではないか…そんなことを思った。
「おいおい…お前ら、何俺らおいて帰ってくれちゃってんだよ。さみしいだろ!笑」
耳にピアスを空け、大胆に髪を染めているこいつは如月樹。普段からの素行は悪いが、いざとなると頼りになる正義感溢れる人物だとでも言っておくと本人は喜ぶに違いないので、そう言っておく。
「はぁ?どうせ、あんたあれでしょ。また課題やってなくて、居残りさせられてたんでしょ?笑これだから樹は…」
樹の隣で皐月遊馬が呆れたように笑う。遊馬という名前だけあって、男っぽい性格とは裏腹に長いロングの髪の女の子である。俺の最も古い幼馴染みでもある。
「ところで、崇は何でこいつらと一緒に帰ってんの?いつも、早く帰って私たちとは時間があわないのに…」
優がニコニコしながら聞く。
「いや、僕もたまにはいいかなと…君たち見てると元気出るし!!笑」
「ちょ、お前それどーゆー意味だよ?笑」
「え笑そのままの意味!!特に樹なんか見てーー」
いつもと変わらない他愛のない会話。俺達5人は小、中、高校と共にしてきたいわば、幼馴染みというやつである。たくさんの困難をこの5人で乗り越えてきた。といっても、そんなに印象に残る事はないのだが…そして俺の秘密を知っている唯一の親友達でもある。空のイロは先ほどとは打って変わって、山の方から暗闇が始まり、それに合わせてクロさがいっそう強くなっている。どこか遠くでカラスの鳴く声がきこえる。さて、みんなも揃った。あのことについて…話をしよう。
もう嫌なんだ…
「しょう…しょうた…長月将太!!!!」
「は、は、はい!えーと、答えはウ!!」
教室中に響く笑い声とその中に1つ異様な雰囲気を持つ担任の顔。鬼の形相とはこれか…またひとつ勉強になったな…。さてと…とにかくその顔、まぁ鬼ヅラでゆっくり近づいてくる担任をどうにかしなければ…回し蹴りか?いや、かえって怒られる…この部活で鍛えた拳を1発お見舞い…できない。もう目の前にいる。ほんとに目の前にいる。いや…この言葉は正しくない。もっと正しくいうには
「眼球の前ですね。先生。」
「誰のおかげで、お前の眼球の前に先生を立たせたんだ?お前が立ってろ!」
何の授業だったか…あ、数学…答えがウはないな。ん?袖が重いな…
「しょーた…」
小声と小さな手を使い一生懸命、俺の袖を引いているこの小動物はピンクの付箋を俺に見せてくる…なるほど…先程の問題の答え方か…ありがたい…
「おお…サンキューな。弥生!!」
「じゃ、長月!!お前この問題答えなんだ?」
「ハイ…ばー…か?…」
持っていた付箋を読み上げる。あれ目が霞む。たしかに答えを読んだはずだ。な、なんで?もう頼むから近づいてこないでくれ。鬼…の顔をした担任…再び教室にドッと笑いが起こる。と、同時に授業の終了を告げるチャイム。
「先生…俺の瞳の奥に映る自分に見とれてないでください…そこまで近いと流石に…あの…」
「お前は放課後職員室に来い!!!!」
・
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「ごめん、ごめん!!笑笑、まさかほんとに読むなんて思わなーハハハ!ほんとにお腹痛い!!もう…将太サイコー!!笑笑」
「お前、誰のせいで放課後みっちり指導からの説教されたと思ってんだよ…笑い事じゃねーよ。ったく…」
ふと空を見上げる。アカい。夕日の中…空に薄く雲がかかり、とても幻想的になっている。広がる目の前のアカに心のどこかがコロコロと音を出す。
「綺麗…」
「そうだな…」
弥生優もそう感じたのか。少しうつむき加減に答える。いや、笑いをこらえているだけなのだろうか。再び空を見上げる。むしろ、怖い…気を抜くとアカに呑まれそうになる。そう感じているのは俺だけなのだろうか?隣の優は綺麗とだけ思ってい…
「しょーたー、優ー!」
向こうから、3人の影が近づいてくる。俺の思考を遮って入ってくるのはこいつらしかいないだろう。
「樹!!、遊馬!!、崇!!」
俺の斜め前を勢いよく優が駆けていく。アカの中走る優を見てるとこのままアカに呑み込まれ、消えていくのではないか…そんなことを思った。
「おいおい…お前ら、何俺らおいて帰ってくれちゃってんだよ。さみしいだろ!笑」
耳にピアスを空け、大胆に髪を染めているこいつは如月樹。普段からの素行は悪いが、いざとなると頼りになる正義感溢れる人物だとでも言っておくと本人は喜ぶに違いないので、そう言っておく。
「はぁ?どうせ、あんたあれでしょ。また課題やってなくて、居残りさせられてたんでしょ?笑これだから樹は…」
樹の隣で皐月遊馬が呆れたように笑う。遊馬という名前だけあって、男っぽい性格とは裏腹に長いロングの髪の女の子である。俺の最も古い幼馴染みでもある。
「ところで、崇は何でこいつらと一緒に帰ってんの?いつも、早く帰って私たちとは時間があわないのに…」
優がニコニコしながら聞く。
「いや、僕もたまにはいいかなと…君たち見てると元気出るし!!笑」
「ちょ、お前それどーゆー意味だよ?笑」
「え笑そのままの意味!!特に樹なんか見てーー」
いつもと変わらない他愛のない会話。俺達5人は小、中、高校と共にしてきたいわば、幼馴染みというやつである。たくさんの困難をこの5人で乗り越えてきた。といっても、そんなに印象に残る事はないのだが…そして俺の秘密を知っている唯一の親友達でもある。空のイロは先ほどとは打って変わって、山の方から暗闇が始まり、それに合わせてクロさがいっそう強くなっている。どこか遠くでカラスの鳴く声がきこえる。さて、みんなも揃った。あのことについて…話をしよう。
もう嫌なんだ…
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