アルカディア

長ネギトロ

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第六話

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「私が相手よ!!」


 本当に大丈夫か…


『なんだ、この女は!!!銃で撃ち殺してしまえ!!』


 紫苑も、日本刀ぽいものと銃を持っているが、敵が持っている銃に敵うものには到底見えない。



「まさか、私に武器で対抗しようと思ってるの?」


 紫苑は強気だ。


『は…?なんだ、負け惜しみか?』



 そして、敵は銃を構え始めた…無理だろこれ…
 



『ん?…なんだ…お前ら銃を早く打て!!!』


『銃が打てません!!!』


『なんだ!!俺に貸せ!!』


『あれ…?何でだ!?どうなっている!?』


 敵が銃を打てなくなっているだと…?



「ほら、言ったでしょ?私に武器で対抗するのは不可能だって」



 いや、言ってなかったよな…?



『クソ女がぁ!!!』



「早く降参しなさい、そうすれば、今日は見逃すわ」


 紫苑は、敵の主将と思われる人物の首元に、日本刀の刃を突き付けた。




『チッ…これで撤退はするが、後で絶対に復讐する。覚えてろ』


 敵の集団は、そのような言葉を残し、近くの車を使って一斉に撤収した…多分、この後に警察に追われて捕まると思うが。


 

「あぁ…覚えてるわ。多分、5時間後には綺麗さっぱり忘れてると思うけど」


 紫苑は無関心そうな顔をしながら、敵に手を小さくふった。




「これがお前の異能なのか…?」


 それはそうと、[ 敵の武器を使わせないようにする]か…よくわからない異能だな…2020年くらいに流行っていた異能系小説にもそんなのなかったぞ?



「そう。これは私の異能の一つ、『刀狩令』…」

 刀狩令?なんか聞いたことあるぞ?歴史の授業で…

 というか、一つって…まだあるのか?



「そういえば、貴方は誰の異能なの…?」


「誰…?誰ってなんだ…?」

 私は紫苑の言っていることが一切わからぬ。



「本当に、何にも知らないのね…」

 また侮辱されたな…これぞ、タイムハラスメントだ…



「貴方、豊臣秀吉って知っている?」


 マジで馬鹿にしてるだろ…流石に知っている…


「三英傑の一人で、天下人の武将だろ?刀狩令や太閤検地などを行っていた…」



「そう、それで、私はその豊臣秀吉の能力者オペレーターなの」


「は、はい…」


 本当に豊臣秀吉さんには申し訳ないが、私はそれを聞いて、「マジでダサい」と思った。なんちゃらクリスタルという名前もダサかったが、これは別の意味でダサい。

 というか、私が使う異能も歴史の人達に準したモノなのか…誰かと思って、私が持っているクリスタルを見たが、ただただ白濁で少し透けてるのが分かるだけで、何も映ってない…

「どうやって確認するんだ…」



「あ、そうか、異能を使わないと誰の異能か分からないんだった。」


 
「ほぼ、無理ゲー…なのでは???」



「大丈夫、大丈夫。なんか突然発動したというパターンで分かるから。私もそうだったし。」



 そんな都合よくあるのか?



「あ、それはそれとして、あの時、あの集団鎮められたら、一緒に行動するって約束したよね。」


 紫苑は急に私の目をじっくり見て、狂気にも見える笑みを見せ、その様な事を言った。



「や、約束した覚えはないが…」




「わかりました!!一緒に行動しましょう!!」


「ちょっと…キリア…」


「…朱雀さん、紫苑さんは寂しがり屋さんなんです…なので一緒に行動することを容認しましょう。」

 キリアは紫苑にギリギリ聞こえないような声でこう私の耳元に囁いた。


「よし、そうと決まれば、早速、松本へ移動しましょう。」


「なんで、松本にいくという事を知って…」


「だから、貴方の事はグナイゼナウから聞いたって言ったじゃないですか」


 そういえばそうだっt…ん?松本に行くってキリアが言った時ってグナイゼナウいたっけな…?まぁいいか





「まぁそれはいいとして、ここから松本に行くってどうするんだ?私がいた時代は、電車で3回ぐらいの乗り換えで5時間かかってたのだが…」


「昔ってそんなに面倒くさい移動方法だったのね、今なら特急電車で一本で行けるのに…」


 「まぁ、私がいた時代の春日部と松本なんて全く発展してなくて、市街地外れればすぐ田園が広がってたしな。てか、今、一本で行けるのか!?」


「当然でしょ、大都市間だもの」


 紫苑はそんなこといちいち聞かないでよという感じの顔をしていた。


「あ、10分後に特急が出ますよ!!早く予約しないと、席が取れませんよ!?」


 キリアは駅の方向に駆けこんでいった。


「そんなに急ぐ必要はないわよ、まだ、帰宅ピークじゃないから…」


 私と紫苑はキリアを追って同じように駅に駆け込んだ。





『1番線に停車中の電車は、特急 安曇日光 45号 有明行きです。全車禁煙席です。乗車券の他に特急券が必要です。』



「個室が空いていたのはラッキーだな」


「あともう一室だったから危なかったわ…」


「だから言ったじゃないですか!!」

 私達が乗っている特急は、おそらく2023年くらいにデビューした特急だ。私はその前にグモって、2080年に転生(?)したから、デビュー当初の姿は直接見てないが。個室は、あと残り一室でキリアが券売機に駆け込んで即購入した。


『武蔵鉄道をご利用いただきありがとうございます。この電車は特急 安曇日光 45号 有明行きです。停車駅は、せんげん台、新越谷、北千住、日暮里、池袋、高田馬場、新宿、吉祥寺、国分寺、立川、八王子、高尾、上野原、大月、塩山、甲府、竜王、韮崎、小淵沢、上諏訪、塩尻、松本、一日市場、豊科、穂高、終点 有明です。つぎはせんげん台に止まります。』

 にしても、安曇日光って、カオスな電車だな…。安曇野に行くのか日光に行くのかはっきりしろよ。しかも停車駅が無駄に多い…



「さて、松本に向かいましょう!!」


 松本かぁ…私のイメージでは「松本城と上高地以外何もない、2020年当時の春日部と瓜二つみたいな片田舎」なんだが…さて、2080年では3番目の都市、いわゆる当時の名古屋と同じレベルになっているらしいが…
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