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1章
17話
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ここで暮らす前は確かに人間が嫌いだった。森は荒らすし、家族は襲う。でもそれは他の魔物も一緒だなと思うし。
お嬢様やラクエルなんかと暮らしてからは何となく牙が抜けてしまったのか、嫌いと思うこともない。もちろん嫌いな人間もいるけど、前みたいな漠然とした感じではなくなった気がする。
護衛のあの人間みたいに、睨んで、悪意をぶつけてくるから嫌いなのであって、人間だから嫌いということはなくなったきがする。
「僕は嫌いな人間もいるけど、嫌いじゃない人間もいるよ」
「へんなの。人間なんて敵なのに?」
と明らかに不貞腐れてしまった。
「うん。悪い人間ばっかりじゃないからね。僕達の味方になるような人間も中にはいるんだよ」
「ふーん」
ねずみは半信半疑の様子でこちらを見る。そして。
「そんなのがいたって関係ないよ!ボクは大きくなってここをボクのものにするんだ!一人だって関係ない!お兄さんが手伝ってくれなくたってね」
と僕の助言なんて関係なしに人間に攻撃するぞと意気込む。
ねずみだと思って、退治してやるぞと来たが、こうやって話せる魔物だと退治も何となく嫌だし、放っておいて人間に捕まってしまうのも可哀想に思ってしまう。
どうにかここから逃げるか、僕と同じようにペットになってくれると僕の心が安らぐのだけど。
とりあえずは説得してみないことには何も変わらないので、説得を試みてみる。
「ここをどうにかするのは僕もいいとは思うけど、今のままのやり方だと捕まってしまうよ?」
「そんなこと、ないよ」
少し響いたようなのでそこをもう一度突く
「僕がここに来たのも痕跡があったからだよ。人間も馬鹿じゃないからすぐに痕跡を追って君を捕まえてしまうさ。そうしたら君の夢もここまでで終わってしまう」
「じゃあどうしたらいいのさ」
と少し悲し気に言う。あと一歩だ。
「とりあえず、ここから出て、人間のいないところで力を蓄える方がいいよ」
「無理だよ。ボク、気付いたらここにいたんだ。外なんて怖いよ。そうだ!お兄さんの所で暮らさせてよ。この辺りで住んでるんでしょ?」
「それはそうだけど」
「いやなの?」
僕は嫌じゃないが、人間と暮らすのをこの子は許してくれるだろうか。変なことを言って癇癪を起されると大変だ。だが、嘘を言っても仕方ないので、僕は少し悩んで真実を告げることにした。
「別に嫌じゃないけど、実は僕はここの人間と暮らしているんだ。君はそういうの嫌だろ?」
「いやだけど......。でももう一人もいやだ!人間は我慢するよ」
きっと僕と同じような気持ちなんだろう。話ができる相手がいるのといないのとでは全然違う。僕は人間に構ってもらっているのに、話し相手がいないと何となく寂しいのだ。この子は一人で構い手もいないんだ。もっと寂しいだろう。
「じゃあ、僕の所へ来るかい?」
「うん!」
こうして、僕はペット仲間兼話し相手を手に入れたのだった。
お嬢様やラクエルなんかと暮らしてからは何となく牙が抜けてしまったのか、嫌いと思うこともない。もちろん嫌いな人間もいるけど、前みたいな漠然とした感じではなくなった気がする。
護衛のあの人間みたいに、睨んで、悪意をぶつけてくるから嫌いなのであって、人間だから嫌いということはなくなったきがする。
「僕は嫌いな人間もいるけど、嫌いじゃない人間もいるよ」
「へんなの。人間なんて敵なのに?」
と明らかに不貞腐れてしまった。
「うん。悪い人間ばっかりじゃないからね。僕達の味方になるような人間も中にはいるんだよ」
「ふーん」
ねずみは半信半疑の様子でこちらを見る。そして。
「そんなのがいたって関係ないよ!ボクは大きくなってここをボクのものにするんだ!一人だって関係ない!お兄さんが手伝ってくれなくたってね」
と僕の助言なんて関係なしに人間に攻撃するぞと意気込む。
ねずみだと思って、退治してやるぞと来たが、こうやって話せる魔物だと退治も何となく嫌だし、放っておいて人間に捕まってしまうのも可哀想に思ってしまう。
どうにかここから逃げるか、僕と同じようにペットになってくれると僕の心が安らぐのだけど。
とりあえずは説得してみないことには何も変わらないので、説得を試みてみる。
「ここをどうにかするのは僕もいいとは思うけど、今のままのやり方だと捕まってしまうよ?」
「そんなこと、ないよ」
少し響いたようなのでそこをもう一度突く
「僕がここに来たのも痕跡があったからだよ。人間も馬鹿じゃないからすぐに痕跡を追って君を捕まえてしまうさ。そうしたら君の夢もここまでで終わってしまう」
「じゃあどうしたらいいのさ」
と少し悲し気に言う。あと一歩だ。
「とりあえず、ここから出て、人間のいないところで力を蓄える方がいいよ」
「無理だよ。ボク、気付いたらここにいたんだ。外なんて怖いよ。そうだ!お兄さんの所で暮らさせてよ。この辺りで住んでるんでしょ?」
「それはそうだけど」
「いやなの?」
僕は嫌じゃないが、人間と暮らすのをこの子は許してくれるだろうか。変なことを言って癇癪を起されると大変だ。だが、嘘を言っても仕方ないので、僕は少し悩んで真実を告げることにした。
「別に嫌じゃないけど、実は僕はここの人間と暮らしているんだ。君はそういうの嫌だろ?」
「いやだけど......。でももう一人もいやだ!人間は我慢するよ」
きっと僕と同じような気持ちなんだろう。話ができる相手がいるのといないのとでは全然違う。僕は人間に構ってもらっているのに、話し相手がいないと何となく寂しいのだ。この子は一人で構い手もいないんだ。もっと寂しいだろう。
「じゃあ、僕の所へ来るかい?」
「うん!」
こうして、僕はペット仲間兼話し相手を手に入れたのだった。
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