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1章
14話
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そうしてやってきた今日の宿舎は少し様子が違った。騎士たちは普通なのだが、コックたち、つまり僕のご飯を作ってくれる人たちが少しピリピリしているのだ。耳を傾けてみると。
「やっぱりあれかな」
「しかないとは思うけど」
なんて言っている。ラクエルもそれに混ざって。
「このままだと本格的にまずい。お嬢様に俺から少し頼みに行ってくる」
とまで言っている。これほど慌ててる姿を見るのは初めてだ。僕はにゃぁと声をかけてみる。
「お!いい時に来たな。今日はちょっとここで待っておいてくれな。俺はちょっと行ってくるから」
そう言ってラクエルは走っていった。
せわしない人間だ。まあ待っててくれと言われたので、周りのコックに食べ物をせっついてラクエルの帰りをまつことにした。
ちょっとというには少し長いくらい経って、やっとラクエルは帰ってきた。
「みんな。ちょっと騙すようなことになっちまったが、借りれることになったぞ!」
「おお。これでなんとかなりますね」
「よかったです」
とコックたちは大喜びだ。僕もどうにかなったようでよかったとみんなに混ざってにゃぁとなく。
「よーし。じゃああとは俺とシロに任せてくれ。きっちりやってやる」
とラクエルは張り切る。ここで僕の名前が出るのは少し変だぞと思ったが。
「じゃあ作戦会議だ」
と有無を言わさず僕を抱いてラクエルの部屋まで連れてこられて、説明が始まった。
「実は、多分だけどよ。この宿舎にねずみが現れたんだ」
深刻そうに僕に告げる。
「普通なら魔道具で魔物やねずみなんかは入れねえはずなんだが、どうやってか入ってきたらしい。後はわかるな?」
とこっちにゆだねてくる。どうやら僕にねずみを狩ってほしいらしい。
僕はねずみなんか相手にしたことはない。森にはいただろうけど、僕たちの群れは狩りが得意だったので、もっと大きな獲物を狙っていたし、分け合えない獲物を狙うと後が大変だからだ。
「夕食後にみんなが寝静まったら俺が食糧庫への扉をあけてやるから、そこでどうにかして捕まえるんだ。誰にもバレるんじゃないぞ。普通のとこなら日常だろうが、ここは貴族様の屋敷だ。極力誰にも知られたくない。できるか?」
どうだろうか。やったことがないからわからないけど、みんなのためにひと肌脱いでがんばろうかとにゃぁとなく。
「それでこそお嬢様の猫だ!それじゃあみんなが寝るまで少し休んでてくれ」
そう言ってラクエルはベッドを僕が寝やすいようにセットして、また仕事に戻っていった。
ここに来て初めての仕事だ。僕は今日までいろいろ助けてもらったし、がんばるぞと意気込むのだった。
「やっぱりあれかな」
「しかないとは思うけど」
なんて言っている。ラクエルもそれに混ざって。
「このままだと本格的にまずい。お嬢様に俺から少し頼みに行ってくる」
とまで言っている。これほど慌ててる姿を見るのは初めてだ。僕はにゃぁと声をかけてみる。
「お!いい時に来たな。今日はちょっとここで待っておいてくれな。俺はちょっと行ってくるから」
そう言ってラクエルは走っていった。
せわしない人間だ。まあ待っててくれと言われたので、周りのコックに食べ物をせっついてラクエルの帰りをまつことにした。
ちょっとというには少し長いくらい経って、やっとラクエルは帰ってきた。
「みんな。ちょっと騙すようなことになっちまったが、借りれることになったぞ!」
「おお。これでなんとかなりますね」
「よかったです」
とコックたちは大喜びだ。僕もどうにかなったようでよかったとみんなに混ざってにゃぁとなく。
「よーし。じゃああとは俺とシロに任せてくれ。きっちりやってやる」
とラクエルは張り切る。ここで僕の名前が出るのは少し変だぞと思ったが。
「じゃあ作戦会議だ」
と有無を言わさず僕を抱いてラクエルの部屋まで連れてこられて、説明が始まった。
「実は、多分だけどよ。この宿舎にねずみが現れたんだ」
深刻そうに僕に告げる。
「普通なら魔道具で魔物やねずみなんかは入れねえはずなんだが、どうやってか入ってきたらしい。後はわかるな?」
とこっちにゆだねてくる。どうやら僕にねずみを狩ってほしいらしい。
僕はねずみなんか相手にしたことはない。森にはいただろうけど、僕たちの群れは狩りが得意だったので、もっと大きな獲物を狙っていたし、分け合えない獲物を狙うと後が大変だからだ。
「夕食後にみんなが寝静まったら俺が食糧庫への扉をあけてやるから、そこでどうにかして捕まえるんだ。誰にもバレるんじゃないぞ。普通のとこなら日常だろうが、ここは貴族様の屋敷だ。極力誰にも知られたくない。できるか?」
どうだろうか。やったことがないからわからないけど、みんなのためにひと肌脱いでがんばろうかとにゃぁとなく。
「それでこそお嬢様の猫だ!それじゃあみんなが寝るまで少し休んでてくれ」
そう言ってラクエルはベッドを僕が寝やすいようにセットして、また仕事に戻っていった。
ここに来て初めての仕事だ。僕は今日までいろいろ助けてもらったし、がんばるぞと意気込むのだった。
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