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料理準備
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茹で上がった野菜を細かく切って、丸ごと茹でられていた鳥をスライスしていく。
そこで何人分準備すればいいかを聞くのを忘れていたことに気づいた。
「フィナ様? 何人分作ればいいのでしょうか?」
フィナは私が尋ねるとお皿を落としてしまったようであちらはてんやわんやになっていた。
「二人分ですわ。お妃様とクラリス様の分だけでいいです」
「そうなのですね。ありがとうございます」
正直安心した。これらの食材だけで4名分とか作れとか言われたらどうしようか思ったからだ。
「アリー様これらをどうするのですか。あーあーこんなに野菜を小さく切ってどうするんですか?」
「あっ、これですか? この鶏肉のソースに使うんですよ。お野菜のカラフルも綺麗ですしこの切った鶏肉に上に乗せます。トマトがあればいいんですけどね」
私がそう言うとテルは慌てて言った。
「トマトはダメです。お妃様がお嫌いですから」
「えっ、そうなんですか。ならどうしようかな」
どうしよう。詰んだかもしれない。
「アリー様なら鶏肉に味をつけてはどうでしょうか?」
テルの提案を聞いていくつかアイデアが浮かんだがすぐに消し去る。
「鶏肉に味をつけるとコッテリしちゃうと思うの。さっぱりと召し上がっていただきたいからこの野菜に塩と胡椒を絡めることにするわ。で召し上がる直前にレモンをかけましょう」
「わかりました。ですがこれがメインですよね? 前菜はどうなさるのですか?」
「チキンしかないからね。手で割いてチキンサラダにしましょう」
「鶏肉ばかりじゃないですか」
テルは呆れたように言った。
「鶏肉は美容にいいんですよ。だから大丈夫です」
私はチキンの足の部分をダイナミックに切り落とし、チキンサラダを作っていくことにした。
一人の侍女が慌てたようにやってきた。
「本日の料理対決は禁止です」
フィナが驚いたようにその侍女に確認する。
「何かあったの?」
「あっ、はい。クラリス様がお倒れになられました……」
「「えっ?!」」
私とフィナの声が重なるとフィナが私を見つめて言った。
「早く行ってあげて」
「あっはい」
私はその場を後に走ってクラリス様の部屋へと向かった。
「クラリス様、クラリス様!!」
ノックすることも忘れドアノブをカチャカチャと回してしまっていた。
扉を開くとともにクラリス様の腕の中に収まっていることに気づく。
「アリー会いたかった」
「えっ?」
「すまない。仮病だ。母上があまりにも無茶なことばかり言うから腹が立って。このまま僕と駆け落ちしよう」
クラリス様の魅力的な提案に心が揺らいでしまいそうになったけど、私は心を鬼にしてクラリス様の腕をほどいた。
「クラリス様お気持ちは嬉しいです。ですがこのままでは私は一生お妃様にも他の貴族様にも認めていただけません。なのでちゃんとこの戦いでフィナに勝ちたいです」
「なんて……アリーは強くてカッコいんだ。ますます惚れてしまいそうだ」
「そんな……私ができることは今の自分の精一杯、いや、120パーセント以上の力を出してクラリス様の横に並ぶことができるように頑張るまでです」
「あぁどうしよう。部屋に二人きりだというのにこんなこと言われてしまえば僕だって理性とかそんなものどこかへ消え去ってしまいそうだよ」
私の目の前にはキラキラに光る瞳が目の前に迫っていた。自然と目を閉じる。
「ゴホンっ。やっぱりね、だと思ったわ。伝えに来たのがお妃様付きの侍女じゃないから怪しいと思ったのよ。とはいえちょっとクラリスも見境なくするのやめなさいよ」
「わかっていたなら、なおさら来るんじゃない。邪魔だろうが!!」
現れたのはフィナだった。
「もうこんな戦い無意味よ。そもそも私クラリスと結婚する気ないもの。それに騎士団長のアレクがそろそろキレそうよ」
「アレク?」
「アリーは知らなかったな。フィナはアレクと付き合っているんだ。てかアレクがキレるとまずいだろう?」
「そうよ。あの人本当に私のことになると滅茶苦茶なんだから」
「そうだ!! それを利用しよう」
クラリス様は何やら不気味な笑みを浮かべて私たちは作戦会議を始めたのだった。
そこで何人分準備すればいいかを聞くのを忘れていたことに気づいた。
「フィナ様? 何人分作ればいいのでしょうか?」
フィナは私が尋ねるとお皿を落としてしまったようであちらはてんやわんやになっていた。
「二人分ですわ。お妃様とクラリス様の分だけでいいです」
「そうなのですね。ありがとうございます」
正直安心した。これらの食材だけで4名分とか作れとか言われたらどうしようか思ったからだ。
「アリー様これらをどうするのですか。あーあーこんなに野菜を小さく切ってどうするんですか?」
「あっ、これですか? この鶏肉のソースに使うんですよ。お野菜のカラフルも綺麗ですしこの切った鶏肉に上に乗せます。トマトがあればいいんですけどね」
私がそう言うとテルは慌てて言った。
「トマトはダメです。お妃様がお嫌いですから」
「えっ、そうなんですか。ならどうしようかな」
どうしよう。詰んだかもしれない。
「アリー様なら鶏肉に味をつけてはどうでしょうか?」
テルの提案を聞いていくつかアイデアが浮かんだがすぐに消し去る。
「鶏肉に味をつけるとコッテリしちゃうと思うの。さっぱりと召し上がっていただきたいからこの野菜に塩と胡椒を絡めることにするわ。で召し上がる直前にレモンをかけましょう」
「わかりました。ですがこれがメインですよね? 前菜はどうなさるのですか?」
「チキンしかないからね。手で割いてチキンサラダにしましょう」
「鶏肉ばかりじゃないですか」
テルは呆れたように言った。
「鶏肉は美容にいいんですよ。だから大丈夫です」
私はチキンの足の部分をダイナミックに切り落とし、チキンサラダを作っていくことにした。
一人の侍女が慌てたようにやってきた。
「本日の料理対決は禁止です」
フィナが驚いたようにその侍女に確認する。
「何かあったの?」
「あっ、はい。クラリス様がお倒れになられました……」
「「えっ?!」」
私とフィナの声が重なるとフィナが私を見つめて言った。
「早く行ってあげて」
「あっはい」
私はその場を後に走ってクラリス様の部屋へと向かった。
「クラリス様、クラリス様!!」
ノックすることも忘れドアノブをカチャカチャと回してしまっていた。
扉を開くとともにクラリス様の腕の中に収まっていることに気づく。
「アリー会いたかった」
「えっ?」
「すまない。仮病だ。母上があまりにも無茶なことばかり言うから腹が立って。このまま僕と駆け落ちしよう」
クラリス様の魅力的な提案に心が揺らいでしまいそうになったけど、私は心を鬼にしてクラリス様の腕をほどいた。
「クラリス様お気持ちは嬉しいです。ですがこのままでは私は一生お妃様にも他の貴族様にも認めていただけません。なのでちゃんとこの戦いでフィナに勝ちたいです」
「なんて……アリーは強くてカッコいんだ。ますます惚れてしまいそうだ」
「そんな……私ができることは今の自分の精一杯、いや、120パーセント以上の力を出してクラリス様の横に並ぶことができるように頑張るまでです」
「あぁどうしよう。部屋に二人きりだというのにこんなこと言われてしまえば僕だって理性とかそんなものどこかへ消え去ってしまいそうだよ」
私の目の前にはキラキラに光る瞳が目の前に迫っていた。自然と目を閉じる。
「ゴホンっ。やっぱりね、だと思ったわ。伝えに来たのがお妃様付きの侍女じゃないから怪しいと思ったのよ。とはいえちょっとクラリスも見境なくするのやめなさいよ」
「わかっていたなら、なおさら来るんじゃない。邪魔だろうが!!」
現れたのはフィナだった。
「もうこんな戦い無意味よ。そもそも私クラリスと結婚する気ないもの。それに騎士団長のアレクがそろそろキレそうよ」
「アレク?」
「アリーは知らなかったな。フィナはアレクと付き合っているんだ。てかアレクがキレるとまずいだろう?」
「そうよ。あの人本当に私のことになると滅茶苦茶なんだから」
「そうだ!! それを利用しよう」
クラリス様は何やら不気味な笑みを浮かべて私たちは作戦会議を始めたのだった。
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