箱入り娘は結婚式ドタキャンされるも今度は王太子に求婚されてどうしていいかわかりません

SORA

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アリーの決意

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 それを見ていたクラリス様がフィナの肩に手を置き微笑みかける。

「負けたな」

「そんなことないですわ。私は今まで本気を出していなかっただけで……」

 フィナはもにょもにょと恥ずかしそうにはにかんでいる。その姿を見ているだけでなぜか胸がズキリと痛みだす。

「そうね。フィナの料理の腕前は国一番くらい下手くそだものね」

「母上そこまではひどくありませんよ。以前もらった菓子はまだ食べられるものでしたから」

「あらあなたたち、やはり仲がいいのではなくて? なら今すぐこんな茶番のような戦いはやめて結婚なさい」

 お妃様はピシャリと言い放つと部屋中が冷気で包まれる。

 嫌だ。
 クラリス様のそばにいたい。

 いつの間にこんなにもクラリス様への想いが溢れかえっていたのだろうか。
 自分でも驚いてしまう。

「あのっ!!」

 気づけばその場で立ち上がり大声を上げてしまっていた。

「なに? 本当にあなたって子は礼儀知らずだわね」

 お妃様にそう言われてもこのまま引き下がるわけにはいかない。

「料理はどんなものがお好みでしょうか?」

「はっ? 何よ、いきなり。料理はそんな好みを聞かなくてもあなたの勝ちは決定事項よ」

「それはわかりません。やってみるまで勝負なんかわからないのですから。何が起こるかわからないのでやるからには完璧を目指します」

「あら何よ。本気になっちゃって。でもそのやる気だけは認めてあげるわ。そうね、美容に良いヘルシー料理がいいわ」

「僕はアリーの手料理が食べられるのなら何でもいいよ。アリーかっこいいよ。愛しているからね」

 突然のクラリス様の愛の告白に頬が熱を持つのを感じ下を向いてしまった。

「はぁ、クラリスはのぼせ上っているわね」

 お妃様の言葉にハッとするもいつの間にか私の背後に来ていたクラリス様に包み込まれる。

「あーもう我慢できない。母上こんな茶番な戦いやめて僕たちの結婚を認めてください」

「クラリス!! いつからあなたはそんな女にだらしくなくなったのですか!!」

「アリーは特別なんです。彼女からは安心感を得られるんだ。何よりも素直でピュアな心を持ち合わせているこんな女性他にはいない」

「クラリス様……」

 思わずクラリス様の方を向いてしまうと目が合ってしまった。

 しまった。

チュッ

「今のはアリーがせがんだんだからね? かわいいなぁ」

「クラリス!! 気分が悪いわ。料理対決は今夜にしましょう。フィナ!!」

「あっ、はい」

 呼ばれたフィナは立ち上がるとお妃様が手招きして何かを耳打ちしたのだった。

「……はい。わかりました」

 一瞬驚いた顔をしたフィナだったがそのまま会釈して部屋から出ていたのだった。

「あの……まだお料理が残っております」

「野蛮ね。全部食べてもいいわよ? そんな貧しい思いをしていたのかしら。かわいそうな子ね」

「母上!!」

「そうですね。それではお言葉に甘えてお料理食べさせていただきます。食材にもですし何よりも作ってくださった料理人たちに申し訳ないですから」

 私はそのまま席に着くと料理を食べ始めると今度はとっても美味しい味がしたのだった。

「はぁ、この子本当にどこまで肝が据わっているのかしら」

 お妃様がそう言ってその場から立ち去ったのだった。
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