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私は演劇を見て決意した。
「よし、帰って真実の愛を探すために急いで街に出ないといけないわね」
何よりも私だってあんな演劇のような深い愛情で愛されてみたい。
それには、やはり真実の愛を見つける必要があるのだと早く婚約破棄して真実の愛を見つけたいという気持ちが大きくなっていた。
私がその場を去ろうとしたその時だった。
閉じたはずの幕が再び上がると、マイク殿下ことジョージ様が再び現れた。
会場内は黄色い声援と悲鳴で活気づく。
「ハハハ。チュッチュッ」
ジョージ様は投げキッスをすると、会場たちの女性たちはどんどんと倒れていく。
その姿を目の当たりにした私は、本当に彼は魔術師で魅了の魔法を使用しているのではないかと疑ってしまいそうになる。
だって、私まで胸がドキドキして動悸がするのだ。
満面の笑みでキラキラ王子スマイルのジョージ様から目が離せない。
「愛するハニーたちよ。それではお待ちかねのファンサービスを始めよう」
そう言って、黒子の人が何やら箱を持ってきて、その箱の中に手を入れると何か紙きれを引いた。
いったい、何が始まるというのだろうか。
私は童心に帰りワクワクしてきた。
こんなワクワクするのは久しぶりだ。
いつも殿下のため息ばかり聞くのは正直疲れていたのだ。
「本日の真実の愛のお相手役は、チケットナンバー000」
会場は落胆の声が広がる。
私はチケット持っていないのだから関係ないと帰ろうとしていたけど、ジョージ様はなぜかこっちを見て胸元を指さしている。
何かゴミでもついているのかしら。
それとも……もしかしたら、昔殿下に怒られた時のことを思い出す。興奮すると知らぬ間に飛び跳ねてしまう私は、大きな胸のあまりポロリしてしまうことがたまにあるのだ。
まさか?!
焦って胸元を確認すると、ポロリはしていなかったけど胸の谷間に小さな紙が入っていた。
「えっ? なにこれ? いつの間に?」
谷間からその紙を抜き取るとそこには観劇用のチケット「ナンバー000」が入っていたのだった。
思わず驚いて2度、3度見てると、前の茶髪の女性が猫なで声で話しかけてきた。
「ねぇ、あなたそのチケット高額で買い取るから譲ってくれないかしら?」
「いや、あのこれはですね……何かの間違いかと……」
「間違いじゃないわ。こんなの……不正に決まっているわ。親し気にしていて何かおかしいと思ったのよ。早く貸しなさい」
その女性は私の手から無理やり紙を奪い取ろうとしたが、その瞬間私の手から離れ、ひらひらと空に浮かび上がる。
それを見たジョージ様は空を眺めながら言った。
「あー今日の真実の愛は本物のようだ。まだ私にはその愛を見つけるのが早いと神様がお相手を教えてくれないようだ。それではまた明日お待ちしております。チュッ」
まるで演劇の一部分でもあったかのようなセリフ回しに、会場内は何もなかったかのように、再び拍手喝采になった。
「すごいですね。終わったと思ってましたけど最後まで演出しっかりされているんですね」
私は興奮して手を叩いていると、前の女性は言った。
「えっ? 今日はどうしてよ。今までこんなことなかったじゃない。絶対ファンの一人と絡んでおわりなのに……」
「えっ……そうなんですか? いつもはちが……」
詳しく教えてもらおうと尋ねている最中に、何者かに背中を引っ張られてそのままどこかへ連れて行かれてしまったのだった。
「よし、帰って真実の愛を探すために急いで街に出ないといけないわね」
何よりも私だってあんな演劇のような深い愛情で愛されてみたい。
それには、やはり真実の愛を見つける必要があるのだと早く婚約破棄して真実の愛を見つけたいという気持ちが大きくなっていた。
私がその場を去ろうとしたその時だった。
閉じたはずの幕が再び上がると、マイク殿下ことジョージ様が再び現れた。
会場内は黄色い声援と悲鳴で活気づく。
「ハハハ。チュッチュッ」
ジョージ様は投げキッスをすると、会場たちの女性たちはどんどんと倒れていく。
その姿を目の当たりにした私は、本当に彼は魔術師で魅了の魔法を使用しているのではないかと疑ってしまいそうになる。
だって、私まで胸がドキドキして動悸がするのだ。
満面の笑みでキラキラ王子スマイルのジョージ様から目が離せない。
「愛するハニーたちよ。それではお待ちかねのファンサービスを始めよう」
そう言って、黒子の人が何やら箱を持ってきて、その箱の中に手を入れると何か紙きれを引いた。
いったい、何が始まるというのだろうか。
私は童心に帰りワクワクしてきた。
こんなワクワクするのは久しぶりだ。
いつも殿下のため息ばかり聞くのは正直疲れていたのだ。
「本日の真実の愛のお相手役は、チケットナンバー000」
会場は落胆の声が広がる。
私はチケット持っていないのだから関係ないと帰ろうとしていたけど、ジョージ様はなぜかこっちを見て胸元を指さしている。
何かゴミでもついているのかしら。
それとも……もしかしたら、昔殿下に怒られた時のことを思い出す。興奮すると知らぬ間に飛び跳ねてしまう私は、大きな胸のあまりポロリしてしまうことがたまにあるのだ。
まさか?!
焦って胸元を確認すると、ポロリはしていなかったけど胸の谷間に小さな紙が入っていた。
「えっ? なにこれ? いつの間に?」
谷間からその紙を抜き取るとそこには観劇用のチケット「ナンバー000」が入っていたのだった。
思わず驚いて2度、3度見てると、前の茶髪の女性が猫なで声で話しかけてきた。
「ねぇ、あなたそのチケット高額で買い取るから譲ってくれないかしら?」
「いや、あのこれはですね……何かの間違いかと……」
「間違いじゃないわ。こんなの……不正に決まっているわ。親し気にしていて何かおかしいと思ったのよ。早く貸しなさい」
その女性は私の手から無理やり紙を奪い取ろうとしたが、その瞬間私の手から離れ、ひらひらと空に浮かび上がる。
それを見たジョージ様は空を眺めながら言った。
「あー今日の真実の愛は本物のようだ。まだ私にはその愛を見つけるのが早いと神様がお相手を教えてくれないようだ。それではまた明日お待ちしております。チュッ」
まるで演劇の一部分でもあったかのようなセリフ回しに、会場内は何もなかったかのように、再び拍手喝采になった。
「すごいですね。終わったと思ってましたけど最後まで演出しっかりされているんですね」
私は興奮して手を叩いていると、前の女性は言った。
「えっ? 今日はどうしてよ。今までこんなことなかったじゃない。絶対ファンの一人と絡んでおわりなのに……」
「えっ……そうなんですか? いつもはちが……」
詳しく教えてもらおうと尋ねている最中に、何者かに背中を引っ張られてそのままどこかへ連れて行かれてしまったのだった。
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