独身女と酒彼氏の同棲日記

水城真以

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旅行篇

甲府のラーメン屋にて、友人に恋人を紹介する酒飲みの独身介護士系女子。

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 おつかれーしゅ


 前回に引き続き、甲州征伐篇です。たぶん、あと2回か3回は続きます。


 実は友人と合流後、とんでもない被害に遭っていましたので、ぶちまけさせてくださいね。


 私も友人も、別に武田信玄のファンかというとそうではありません。どっちかというと息子世代、というか松姫、というか信忠様と松姫様のカップリングが死ぬほど好きなんですよ。



 萌えません? あの時代、恋愛結婚よりも「結婚はお家同士のためのもの!」「個人の感情は二の次三の次」として扱われていた時代です。でも信忠さまは公的な正室はおらず、松姫さまも他に嫁ぐことはありませんでした。しかも、伝承では、信忠さまは松姫に対して正室として迎えたいという使者を送っていて、松姫さまもまた了承しようとしたとか。いやもうまじで萌え萌えですわ。本当、なんで逃げなかった信忠さま……! と、恨まずにはいられません。信忠さまがいれば織田家は……歴史は大きく変わっていたはず。


 そんな複雑な慕情と推し事への情熱を込めながら武田神社を眺めていました。もう一度言います。私たちは信玄が特別推しかというとそうではありません。むしろ、子世代推しです。なので、武田神社滞在は、予定では30分以内だったんです。そのあとは印伝博物館や甲州夢小路で遊ぼうね~なんて話してました。

 なのに気づいたら時刻は13時過ぎ。あれれー? おかしいぞー--? と、某見た目は子ども、頭脳は大人な探偵が首を傾げる。きっと武田信玄に時間を盗まれたんですね。なんて日だ。


 大慌てで甲州夢小路に行くも、土曜日の午後となれば飲食店はどこも混みあっている系。とにかくお腹が空いていたので、目についたラーメン屋の香りにいざなわれてふらふらと入りゆく……


 ラーメンって中華料理のイメージが強いけれど、実は日本料理だったーっていう代表的キャラクターです。

 店内いっぱいを包み込むスープのぬくもりと匂いは、まるで実家に帰ったような安心感さえある。
 全国どこにでもラーメンはあるけれど、土地の顔のような側面もある。ラーメンってご当地キャラクターだったのかもしれない……と思っていると、遅ればせて餃子と彼氏が登場。



 このお店の餃子はニンニク不使用らしい。一口噛むと肉汁がじゅわっと染み出て、火傷しそうなくらい熱々でした。外はカリっ、中はしっとりしていて、とってもジューシー。理想の餃子です。本当にニンニクいないの? って不思議になるほどビールが止まりませんでした。彼も大満足のご様子♡です。

 到着したラーメンは、スープにも麺にもこだわっているというだけあって絶品でした。
 よく、こだわりが強すぎるラーメン屋って、麺とスープが独立しているせいで合わさると宇宙猫ちゃんみたいになりがちだけど、このお店はそんなことなかった。確かに麺もスープもこだわりがあって、独立はしているんだけど、合わさってもお互いの個性をつぶし合うことはなかった。どちらかが欠けたら絶対に成しえない。

 そしてなんといっても、餃子もラーメンもとにかくビールが進む進む。ラーメンは魚介だしだからか、はっきりとした味なので、スープは最後の1滴までビールと仲良く愛し合っていました。


 甲州征伐旅行、まだ前半の昼過ぎだというのに、これからだというのに、既に美味しいラーメンと餃子とビールで幸せに浸っていました。







 甲府っていいところだね、親父どの。


                /帰って\
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