独身女と酒彼氏の同棲日記

水城真以

文字の大きさ
上 下
8 / 40

とうとう仕事にまで酒彼氏を同行させはじめた夜勤中の日の独身女

しおりを挟む
  おつかれーしゅ


   夜勤2連目、とうとうやりました。


   夜勤一夜目は明けて早々遊んだせいで、家に帰りついたのが夕方5時。泥のように、というか泥になってベッドにたどり着く前に眠ってました。

   その後、目覚めたのは22時半。お腹はペコペコだけど、水道代の支払いを忘れていたためまずはのそのそコンビニへ。さすがに水道閉じられるのは真っ平御免。水道が使えなくなったら、ご飯が作れなくなるから。
   帰宅して2時間の虚無タイムを満喫する。夜勤明けの日って、みんな虚無りませんか?   教えて夜勤アリの同胞たちよ。

   充分な虚無を終えた時には日付変わってました。もはや夕食というよりは深夜の罪・夜食の時間。
   当初は19時頃に起きてご飯にしようと思ってたのに、残念でした。仕込んでいたゆで卵をひとつかじかじしながら、お湯を沸かし、ラーメン用のカット野菜をレンジにぶち込ませていただく。

   イオンのカット野菜、とうとうそのままレンチンできるようになったみたい(え、結構前から?知らなかった…)。洗い物を増やさないでいいなんて、最高ですよね。
   じいちゃんの仕送りに紛れていた焼豚を切って、お湯を沸かしたところにスープを割入れたり綿を茹でたり、もうひとつのゆで卵の皮を剥き剥きしてできあがったのはこちら。

二郎系を目指したけれど、思ったよりしっかり野菜かしんなりしてました。なんかただの野菜たっぷり豚骨醤油ラーメン。


こってり系ラーメンのいいところは、酒雄さんとも仲がいいところ。頭を撫でてくれる酒雄さんにしつこくキスをぶちかましながら、気づいたらまたベッド・インしてました。隙あらば酒雄さんとイチャイチャしたいお年頃です。


   ただ、夜勤の疲労が溜まってたせいか、気づいたら夢の世界へ。ちなみに夢の中では、ビール飲み干してたんです。なのに、現実はどうか。酒雄さんのこってたんです。
   後悔してもしきれない悲しみ。恋人に対してなんていう酷いことをしてしまったのかと、いっぱい泣きました。


    でも、酒雄さんは過ぎたことをウダウダ言うことをやめるように、と言うんです。



「俺は、飲むだけが全てじゃないぜ?」


    その日、みずきちは思い出した。


(ビールには、お肉を柔らかくする効果があることを)



   居ても立ってもいられず、冷蔵庫の中からしょうがチューブ、お肉、玉ねぎを召喚。ジップロックに入れ、それらを放り込んだら昨日のビール・醤油・みりんとともにせっせと揉み込む。輝け、私のテクニック…!!

   仕事が嫌すぎると、叫びたくもならぁってもんで。

   母上の大きなお腹の中に、盛り付けセンスは返却済。学生時代、「水城さんの文章は、フレンチビュッフェとかをぐちゃぐちゃにもりつけたかんじ。素材はいいのにもりつけセンスがない」と先生に言われたのはよき思い出です。たぶん、その頃から私は飲まずに酔っ払っていたのだと思います。


   味の方は、美味。

   お肉がほろほろで、ビール独特の苦味が出てくることはないの。まるで、生まれる前から出会うことが決まっていた恋人同士かのような相性のよさ。
   アルコール分はお肉とともにフライパンの中で駆け落ち成功してるので、安心してお弁当に詰め込みました。

   お弁当の中身はビール生姜焼き丼、トマト卵焼き、ブロッコリー。
   酒雄さんの残り香は、いつもと違って私を酔いしれさせてはくれないけれど、ビールのベールをまとった生姜焼きは、どこかほろ苦くて淡い初恋のような味がした。
しおりを挟む

処理中です...