独身女と酒彼氏の同棲日記

水城真以

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歴史オタクな彼女と、それを生暖かく見守る酒彼氏

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 おつかれーしゅ



 私が歴史好きだということは、SNSや創作を見ればばれると思う。ミーハー的で、ガバガバで偏った知識しか持ち合わせていないけれど。

 歴史が好きで、酒が好き。そんな私にとって”聖地”とも呼べる場所が浅草には存在する。


 浅草、神谷バー。

 酒が好きな人なら、一度は耳にしたことがある場所ではないだろうか。


 日本最初のバーともいわれていて、店内はレトロな雰囲気がいつも流れている。歌舞伎を見に来た日は、いつもここで彼氏の秋田あきた 酒雄さけおさんとデートすると決めてる。

「いつものでしょ?」

 と、今では脳内で以心伝心できるようになった酒雄さんとの会話をしながら、カウンターに注文に。最初の注文はカウンターでチケットを買うというのがまた、神谷バーならではの楽しさである。なんて通ぶっているけれど、私もまだ神谷バーにきたのは2回目だ。初回よりは成長したつもりだけれど、まだまだどこかぎこちなくメニューをたどる。前に並んでいた上品なご夫婦がゆったりとメニューを選んでいらっしゃるのとは雲泥の差だ。


 とりあえず生ビール(大)と、電気ブランを注文。



 この組み合わせって、神谷バーでは普通だったりします。ていうか公式なんです。私と酒雄さんが愛し合っているのと同じように、生ビール×電気ブランは公式カプで、お店側も認めている関係性。

 おひるごはんもかねて入っているので、サンドイッチも注文。パンがふわふわでボリュームもあって、大食い酒飲みの私には最高です。

 神谷バーって色んな人がいらっしゃるんですよ。女の子同士だったり、初老のご夫婦だったり、おひとりさまもいる。なかには私のような、彼氏という概念と一緒に楽しく飲んでいる人もいるのではないでしょうか。



 神谷バーの店内は広々としていて、とってもおしゃれ。どこか大正や明治の頃のような香りもしていて、着物で来たらまるでタイムスリップしたような気がします。お酒だけではなくお料理もおいしいから、お酒をたしなまないひとでも楽しく過ごせる場所です。

 ビールと電気ブランだけだとなんというか糟糠の夫婦って感じで若干映えとは違うかもしれないけれど、おしゃれなお酒もこの世界には存在してます。

 神谷バーにきたら、お漬物食べてみ? まじ、飛ぶよ。

 ビール&電気ブランのほかにも、色々カクテルなんかも頼んでます。蜂葡萄酒もおいしいですし、健康にいいなーって味がする。アルコールを体全体にいきわたらせながら体にいいものを呑むことができる。さすが老舗です。

 度数はそこそこ容赦がないあたり、さすが私の彼氏です。酒雄さんはきほんいくら飲んでも、飲みたい限りは飲ませてくれるので、本当にありがたい限りです。

 この日は夕方から歌舞伎があったので、歌舞伎座に向かいます。仕事が忙しくてメンタル止みそうだけど、給料低いので金がない。どうするか……と悩んだ私を救ってくれたのは、

「美少年からしか接種できない心の栄養ってあるんじゃない?」

 という酒雄さんの言葉でした。市川染五郎という美少年を知ってから、はじめて彼が幸せな役を演じているのを見ました。本当に美しくて、もう一生かけて推していこう……✨とあらためて思った、八月の思い出。

ちなみに歌舞伎座というか、銀座方面に来たら必ず木村屋に寄ると決めています。木村屋のあんぱんは、私の中で一番おいしいあんぱんなので、食べずに帰宅はできません。ふっくらとしたあんこがコーヒーとベストカップル。


あと、道中に一蘭があったら寄ります。飲んだあとのラーメンはうまい。
 私の好きな武将は森乱丸。有名な「蘭丸」という名と同じ「蘭」の字が使われているから、推し事もしっかりできているということ。

 美味しいものをたらふく食べて、飲んで、イケメンに癒されて、楽しい推し事を終えられました。
 ちなみに浅草にいく度に、かならずTシャツを1枚購入すると決めています。

 今回は「酒しか信じない」と書かれたTシャツを買いました。できるだけ酒関係のTシャツがいいね、って酒雄さんと話してます。やっぱり酒雄さんは私の最高の彼氏さんなので、ペアリングみたいなものです。

ちなみに裏面はこう。
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