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最終章「プロポーズは指輪と共に!」
エピローグ「零と理」
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――――そして、俺はレノとの月日を幾度となく積み重ね。季節を何度も巡り。
張りのあった肌がしわしわになる頃。
老人になった俺は、ある日、寿命を迎えてレノに看取られながら死んだ。
だが、俺はあの場所へと帰ってきた―――――――!
◇◇◇◇
「んあ?」
目を開けると、そこには遠い昔によく見ていた天井が見えた。LEDの明かりがなかなかに眩しい。
……あれ、ここって。俺、死んだような気がしたけどぉ。
そう思いながら手で目を擦り、そしてむくりと体を起こす。すると、そこには俺が一人暮らしをしていた部屋があった。
「ここって……!」
俺は目覚めたばかりの脳が覚めてくる。そして俺は今どこにいるのか理解し、慌ててベッドから下りて洗面所へと駆け走り、鏡の前に立った。そこには、忘れかけていた懐かしい俺がいた。
「お、俺だぁ~っ!」
俺は自分の顔に手を当てて呟く。
黒髪に黒い瞳、三十二歳の日本人顔の俺がいた。
「うわぁー、俺ってば本当に帰ってきたんだ! すげーっ!」
俺はぺたぺたと自分の顔を触りながら思う。だが、不意に自分が仕事着のシャツのまんまだと気がつく。
……仕事終わりに、そのまんま寝たのか? てか、今何時だろ?
俺は洗面所から戻って、狭い部屋を見渡す。
男らしい簡素な部屋だが、懐かしい俺だけの城だ。そして棚にはBL本がみっちり並んでいる。
……後で読み返そう。絶対!
俺はそう心に決め、窓辺に近寄って遮光カーテンを開けてみる。すると、朝日が眩しく差し込んだ。
……眩し! 今は、朝の八時か。俺ってば電気も消さずに寝たのか?
俺はカーテンを開けた後、壁掛け時計で時刻を確認しながら思う。もう随分前の事なので、何をして寝たのか覚えていない。
しかし、バルコニーの窓を開けて外に出てみれば、外は春で。少し肌寒い空気の中、太陽の光は温かく、電線に留まっているスズメがちゅんちゅんと鳴いていた。
そして下の道路を覗けば、車や自転車、登校中の学生が歩いているのが見える。
「はー、俺ってば本当に戻ってきたんだなぁ」
俺はしみじみと呟く。
……でも、こっちでの時間は変わらない訳だから、俺が別世界に行ってたなんて誰も信じないだろうな。実際、なんだか長い夢を見ていたような感じだし。……なにより、あっちに行っていた証拠なんてないわけだし。
俺はそう思いながらガシガシと頭を掻く。そして、なんだか突然とてつもない喪失感に襲われる。
なぜなら、一番大事なものがこの世界にないことに気がついてしまったから。
「そうだよな。こっちに、レノはいないんだよな」
俺はバルコニーから自分の小さな部屋を見つめ、呟いた。つい数秒前までは俺だけの居心地のいい部屋だったはずなのに、レノがいないという事に気がついたら急にどこか寒々しく見えて物足りない。
……仕方ないよな。これからは一人で生きていかなきゃな。
俺は寂しさを感じつつ、心の中で呟く。でもどんどん寂しさは募っていく。だから俺はため息を吐いて、頭を抱えた。
……レノ、もう会いたいよ。
心の声が寂し気に呟いた。しかし、そんな時。
――――ピンポーン。
突然家のチャイムが鳴った。けれど、とても出る気分ではない。……なのに。
――――ピンポーン……ピンポーンピンポーン、ピンポピンポンッ!!
うるさいぐらいに鳴らしてくる。最後なんて連打だ。おかげで出かけた涙が引っ込んでしまう。
「だー! 朝っぱらから誰だ?!」
俺は思わずぼやき、相手が誰なのかも確認もせずに玄関に向かって勢いよくドアを開けた。
「はいはい、朝っぱらからどちら様!?」
そうしてドアを開けた先。春の陽光の中に立っていたのは一人の男子大学生だった。
整った顔立ちに、モデルのような体躯の良さ、ただの服もまるでブランド物に見えてくる美形の男の子。
そして彼は俺を見て言った。
「やっとでましたか。遅いですよ」
その口ぶりに俺は目を見開く。一瞬、レノかと思って。
だが、俺はこの大学生を昔から知っていた。それこそあっちの世界に行く前から。
だから俺はなんとか記憶の引き出しを開けて、名前を告げる。
「おま、零(れい)!?」
「お久しぶりですね。とはいっても、昨日ぶりですけど」
零はそう言い、俺はまだ大学生のくせに大人びている零を見ながら思い出す。
……そうだそうだ、こいつは零だ。近所に住んでて、十歳も年が離れてるけど子供の頃から妙に気が合って。確か、零とは俺が大人になっても遊ぶ仲だったっけ?
俺は思い出しながらも、零に聞き返す。
「昨日ぶり?」
……昨日って何したんだ、俺。うーん、昔ぶりすぎて思い出せないっ。
俺は頭を捻るが、零は俺を真っ直ぐ見てこう言った。
「まあ、昨日の事は覚えていなくても、別の世界の事は思い出したんじゃないですか?」
「……え?」
零に言われて俺は目をぱちくりと瞬かせる。すると零は笑いながら俺に告げた。
「ずっと、貴方が思い出してくれるのを待っていたんですよ。坊ちゃん」
零はどっかの誰かを彷彿とさせる口ぶりで言った。……というか、これ本人だ!!
「お、おま、レノぉ!?」
「そうですよ。いやー、今日まで随分と待ちました。忍耐力には自信がありましたが、なかなかきつかったですよ」
レノこと零はしみじみと言った様子で呟く。しかしだ。
「お前、どうやってこっちの世界に!?」
俺が尋ねれば零はニコッと笑った。
「お忘れですか? あちらの私は半分神の血が入っていたんですよ? これぐらいのことできます」
……そういや、レノってば人間っぽすぎて忘れてたけど半神(ハーフゴット)だった!! でも、だからってこっちの世界に転生してくるとは……恐るべし俺大好きストーカー! もう怖いどころか、ある意味すごいわ。お前の執念。
「それより坊ちゃん、喜んではくれないのですか? 私の事を」
レノに上目遣いで聞かれ、俺は恥ずかしさを感じつつも正直に答える。だって答えはひとつだから。
「そんなの、嬉しいに決まってんだろ!」
「そうですか」
俺が答えるとレノは嬉しそうに笑った。その笑みに、不覚にもドキッとしてしまう。相手は年下の大学生だと言うのに。
しかし、ときめいた途端。
「じゃあ、こちらでも坊ちゃんの初めては私がおいしく頂きますね?」
……おい、今、感動の再会だっただろ! 俺のときめき返せッ!!(怒)
「こんな朝っぱらから、お前は何を言ってんだ! 大体お前は今、学生だろーが! 俺を犯罪者にするつもりかっ!?」
「学生と言えども二十歳は超えてますから大丈夫です。それに愛があればいいじゃないですか」
「バカ、愛があるからこそ考えなきゃだろ!」
俺が告げると、零はフッと微笑んだ。
「本当、貴方のそういう所が好きです。……でも、やっぱり初めては譲れません」
零は真面目な顔をして言い、俺は頭を抱える。
……全く、こいつは生まれ変わっても変わらないな。まあ、そう言いつつもこういうやり取りが嫌じゃない俺も俺だが。……しかし三十過ぎのおっさんの初めてって、そんなに欲しいもんか? わからん。
「初めてでも何でもくれてやるから、朝から勘弁してくれ」
零は俺の言葉を聞くと、瞳を輝かせて俺の手を握った。
「ありがとうございます。絶対気持ちよくさせますから」
「いや、気持ちよくとかよりもそっとしておいてほしいんだが」
俺は零に頼む様に言うが、全く以って人の話を聞いている様子はなかった。
……お前はなぜにこういう時に限って毎回人の話を聞かないんだ? おおん??
「はぁー、とりあえず、お前、大学に行く時間じゃないのか?」
「ええ、これから行きます」
「なら、さっさと行きなさい。学生の本分は勉強です」
俺は大人っぽく腕を組んで言う。というか、ちょっと色々と一人になって整理させろ。十歳年下の大学生が元夫の生まれ変わりなんて、心の整理が必要だ。
「ええ。でも終わったら、また会いに来ますね」
「あー、はいはい。わかったから。早く行きなさい」
俺は感動の再会もつかの間、零を追い出すように送り出す。でも零は何とも思っていない様子だった。
「はい。でも、その前に」
零はごそごそとポケットから何かを取り出すと俺の左手を取って、薬指に何かをむぎゅっと嵌め込んだ。なんだ? と思えば、そこには銀の指輪が! ……デジャブ。
「お、おい、これ!」
「私のものだって証です。外しちゃダメですよ? じゃあ、いってきます」
「おい、零!?」
にこやかに言う零に俺は声を上げるが、そんな俺に零は顔を寄せて、頬にいってきますのキスをした。
「こっちの世界でも、一緒に幸せになりましょうね、理(おさむ)さん」
零はこちらの俺の名前を呼んで言うと、大学生らしからぬ男の顔でニッと笑って見せた。その笑みに俺はまた不覚にもドキドキさせられる。
「じゃあ、また夕方に!」
零は手を軽く上げて言い、俺はフルフルと震えた。
……だから、お前はいつも不意打ちすぎるんじゃーッ!
そう叫びたかったが、ぐっと我慢して俺は手を振り返した。
「ああ、待ってるよ!」
そう言えば、零は嬉しそうに大学生らしく笑って去って行った。
そして俺と言えば玄関ドアに寄りかかり、零を見送りながらこう思った。
これからの人生も楽しく過ごせそうだ―――――と。
おわり
張りのあった肌がしわしわになる頃。
老人になった俺は、ある日、寿命を迎えてレノに看取られながら死んだ。
だが、俺はあの場所へと帰ってきた―――――――!
◇◇◇◇
「んあ?」
目を開けると、そこには遠い昔によく見ていた天井が見えた。LEDの明かりがなかなかに眩しい。
……あれ、ここって。俺、死んだような気がしたけどぉ。
そう思いながら手で目を擦り、そしてむくりと体を起こす。すると、そこには俺が一人暮らしをしていた部屋があった。
「ここって……!」
俺は目覚めたばかりの脳が覚めてくる。そして俺は今どこにいるのか理解し、慌ててベッドから下りて洗面所へと駆け走り、鏡の前に立った。そこには、忘れかけていた懐かしい俺がいた。
「お、俺だぁ~っ!」
俺は自分の顔に手を当てて呟く。
黒髪に黒い瞳、三十二歳の日本人顔の俺がいた。
「うわぁー、俺ってば本当に帰ってきたんだ! すげーっ!」
俺はぺたぺたと自分の顔を触りながら思う。だが、不意に自分が仕事着のシャツのまんまだと気がつく。
……仕事終わりに、そのまんま寝たのか? てか、今何時だろ?
俺は洗面所から戻って、狭い部屋を見渡す。
男らしい簡素な部屋だが、懐かしい俺だけの城だ。そして棚にはBL本がみっちり並んでいる。
……後で読み返そう。絶対!
俺はそう心に決め、窓辺に近寄って遮光カーテンを開けてみる。すると、朝日が眩しく差し込んだ。
……眩し! 今は、朝の八時か。俺ってば電気も消さずに寝たのか?
俺はカーテンを開けた後、壁掛け時計で時刻を確認しながら思う。もう随分前の事なので、何をして寝たのか覚えていない。
しかし、バルコニーの窓を開けて外に出てみれば、外は春で。少し肌寒い空気の中、太陽の光は温かく、電線に留まっているスズメがちゅんちゅんと鳴いていた。
そして下の道路を覗けば、車や自転車、登校中の学生が歩いているのが見える。
「はー、俺ってば本当に戻ってきたんだなぁ」
俺はしみじみと呟く。
……でも、こっちでの時間は変わらない訳だから、俺が別世界に行ってたなんて誰も信じないだろうな。実際、なんだか長い夢を見ていたような感じだし。……なにより、あっちに行っていた証拠なんてないわけだし。
俺はそう思いながらガシガシと頭を掻く。そして、なんだか突然とてつもない喪失感に襲われる。
なぜなら、一番大事なものがこの世界にないことに気がついてしまったから。
「そうだよな。こっちに、レノはいないんだよな」
俺はバルコニーから自分の小さな部屋を見つめ、呟いた。つい数秒前までは俺だけの居心地のいい部屋だったはずなのに、レノがいないという事に気がついたら急にどこか寒々しく見えて物足りない。
……仕方ないよな。これからは一人で生きていかなきゃな。
俺は寂しさを感じつつ、心の中で呟く。でもどんどん寂しさは募っていく。だから俺はため息を吐いて、頭を抱えた。
……レノ、もう会いたいよ。
心の声が寂し気に呟いた。しかし、そんな時。
――――ピンポーン。
突然家のチャイムが鳴った。けれど、とても出る気分ではない。……なのに。
――――ピンポーン……ピンポーンピンポーン、ピンポピンポンッ!!
うるさいぐらいに鳴らしてくる。最後なんて連打だ。おかげで出かけた涙が引っ込んでしまう。
「だー! 朝っぱらから誰だ?!」
俺は思わずぼやき、相手が誰なのかも確認もせずに玄関に向かって勢いよくドアを開けた。
「はいはい、朝っぱらからどちら様!?」
そうしてドアを開けた先。春の陽光の中に立っていたのは一人の男子大学生だった。
整った顔立ちに、モデルのような体躯の良さ、ただの服もまるでブランド物に見えてくる美形の男の子。
そして彼は俺を見て言った。
「やっとでましたか。遅いですよ」
その口ぶりに俺は目を見開く。一瞬、レノかと思って。
だが、俺はこの大学生を昔から知っていた。それこそあっちの世界に行く前から。
だから俺はなんとか記憶の引き出しを開けて、名前を告げる。
「おま、零(れい)!?」
「お久しぶりですね。とはいっても、昨日ぶりですけど」
零はそう言い、俺はまだ大学生のくせに大人びている零を見ながら思い出す。
……そうだそうだ、こいつは零だ。近所に住んでて、十歳も年が離れてるけど子供の頃から妙に気が合って。確か、零とは俺が大人になっても遊ぶ仲だったっけ?
俺は思い出しながらも、零に聞き返す。
「昨日ぶり?」
……昨日って何したんだ、俺。うーん、昔ぶりすぎて思い出せないっ。
俺は頭を捻るが、零は俺を真っ直ぐ見てこう言った。
「まあ、昨日の事は覚えていなくても、別の世界の事は思い出したんじゃないですか?」
「……え?」
零に言われて俺は目をぱちくりと瞬かせる。すると零は笑いながら俺に告げた。
「ずっと、貴方が思い出してくれるのを待っていたんですよ。坊ちゃん」
零はどっかの誰かを彷彿とさせる口ぶりで言った。……というか、これ本人だ!!
「お、おま、レノぉ!?」
「そうですよ。いやー、今日まで随分と待ちました。忍耐力には自信がありましたが、なかなかきつかったですよ」
レノこと零はしみじみと言った様子で呟く。しかしだ。
「お前、どうやってこっちの世界に!?」
俺が尋ねれば零はニコッと笑った。
「お忘れですか? あちらの私は半分神の血が入っていたんですよ? これぐらいのことできます」
……そういや、レノってば人間っぽすぎて忘れてたけど半神(ハーフゴット)だった!! でも、だからってこっちの世界に転生してくるとは……恐るべし俺大好きストーカー! もう怖いどころか、ある意味すごいわ。お前の執念。
「それより坊ちゃん、喜んではくれないのですか? 私の事を」
レノに上目遣いで聞かれ、俺は恥ずかしさを感じつつも正直に答える。だって答えはひとつだから。
「そんなの、嬉しいに決まってんだろ!」
「そうですか」
俺が答えるとレノは嬉しそうに笑った。その笑みに、不覚にもドキッとしてしまう。相手は年下の大学生だと言うのに。
しかし、ときめいた途端。
「じゃあ、こちらでも坊ちゃんの初めては私がおいしく頂きますね?」
……おい、今、感動の再会だっただろ! 俺のときめき返せッ!!(怒)
「こんな朝っぱらから、お前は何を言ってんだ! 大体お前は今、学生だろーが! 俺を犯罪者にするつもりかっ!?」
「学生と言えども二十歳は超えてますから大丈夫です。それに愛があればいいじゃないですか」
「バカ、愛があるからこそ考えなきゃだろ!」
俺が告げると、零はフッと微笑んだ。
「本当、貴方のそういう所が好きです。……でも、やっぱり初めては譲れません」
零は真面目な顔をして言い、俺は頭を抱える。
……全く、こいつは生まれ変わっても変わらないな。まあ、そう言いつつもこういうやり取りが嫌じゃない俺も俺だが。……しかし三十過ぎのおっさんの初めてって、そんなに欲しいもんか? わからん。
「初めてでも何でもくれてやるから、朝から勘弁してくれ」
零は俺の言葉を聞くと、瞳を輝かせて俺の手を握った。
「ありがとうございます。絶対気持ちよくさせますから」
「いや、気持ちよくとかよりもそっとしておいてほしいんだが」
俺は零に頼む様に言うが、全く以って人の話を聞いている様子はなかった。
……お前はなぜにこういう時に限って毎回人の話を聞かないんだ? おおん??
「はぁー、とりあえず、お前、大学に行く時間じゃないのか?」
「ええ、これから行きます」
「なら、さっさと行きなさい。学生の本分は勉強です」
俺は大人っぽく腕を組んで言う。というか、ちょっと色々と一人になって整理させろ。十歳年下の大学生が元夫の生まれ変わりなんて、心の整理が必要だ。
「ええ。でも終わったら、また会いに来ますね」
「あー、はいはい。わかったから。早く行きなさい」
俺は感動の再会もつかの間、零を追い出すように送り出す。でも零は何とも思っていない様子だった。
「はい。でも、その前に」
零はごそごそとポケットから何かを取り出すと俺の左手を取って、薬指に何かをむぎゅっと嵌め込んだ。なんだ? と思えば、そこには銀の指輪が! ……デジャブ。
「お、おい、これ!」
「私のものだって証です。外しちゃダメですよ? じゃあ、いってきます」
「おい、零!?」
にこやかに言う零に俺は声を上げるが、そんな俺に零は顔を寄せて、頬にいってきますのキスをした。
「こっちの世界でも、一緒に幸せになりましょうね、理(おさむ)さん」
零はこちらの俺の名前を呼んで言うと、大学生らしからぬ男の顔でニッと笑って見せた。その笑みに俺はまた不覚にもドキドキさせられる。
「じゃあ、また夕方に!」
零は手を軽く上げて言い、俺はフルフルと震えた。
……だから、お前はいつも不意打ちすぎるんじゃーッ!
そう叫びたかったが、ぐっと我慢して俺は手を振り返した。
「ああ、待ってるよ!」
そう言えば、零は嬉しそうに大学生らしく笑って去って行った。
そして俺と言えば玄関ドアに寄りかかり、零を見送りながらこう思った。
これからの人生も楽しく過ごせそうだ―――――と。
おわり
応援ありがとうございます!
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