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最終章「プロポーズは指輪と共に!」
34 来客
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「やあ、久しぶりだね。キトリー君。相変わらず元気そうで何よりだ」
「いや、この前会った時よりもまた身長が伸びたんじゃないか?」
細身ながらも品がある金髪紳士と、犬獣人の大柄紳士が俺を見て言った。そして俺と言えば、応接間のソファに並んで座る二人を俺は眩しく見つめる。
……あ~っ、やっぱりこの二人は何度見てもいいわ~ッ!! さすが『愛ゆえに』のモデルになったお二人!!
俺は二人を眺めながら、頭の隅で俺の愛読書『愛ゆえに』を思い出す。
話の内容は、先代王弟であるジュリオットが犬獣人であり迫害されていたロメオと手を取り合って悪人と戦い、恋に落ちるまでの物語。
そしてこのお二人が、そのジュリオット様とロメオさん、ご本人なのだ!
……は~、やっぱりこのイケオジカップルも最高ですな~。でもザックってば、年々ロメオさんに似てくるな~。けど、目元はジュリオット様かな?
俺は二人を見ながら思う。なぜならザックは、実はこのお二方の息子だからだ。
つまり先代王弟のジュリオット様を父に持つザックは王族。しかも、ジェレミーの次の王位継承権第二位の地位を有している。
なんでも現国王の叔父にあたるジェリオット様はすでに王位継承権を放棄しているが、その息子であるザックは王家の人間が少ない、という理由から王位継承権を放棄できないらしい。本人は早々に手放したいそうだが。
というわけで。その昔、ザックは王家を出たジュリオット様とロメオさんにこの村でごくごく一般的に育てられ、普通の騎士を目指していたわけだが、王位継承者第二位という肩書からどこに行っても雇ってもらえず、ザックは困っていた。
だが、そこで『ザック、うちで働いちゃいなよ!』と勧誘したのが俺で。雇用したのは公爵家当主(父様)という訳だ。まあ、今は公爵家の騎士も辞めて、可愛い恋人と暮らしてるけど。
……まあ、ジェレミーとディエリゴが結婚して数年経てば、ザックも継承権を放棄できるだろう。兎獣人は安産で多産傾向だって話だからな。ま、産むのはジェレミーだろうが。
俺はいつだってラブラブな幼馴染と友達を思い浮かべる。
……しかし、よくよく考えたら神聖国の元皇女の娘とバルト帝国の王族って、この組み合わせも、なかなかにやんごとない二人だな~。
俺はザックとノエルの生まれを思い返して思う。だが、今はその事は置いといて二人に声をかける。
「お二人ともお元気そうで何よりです。ところで今日はどうされたんですか? 今はリトロール王国に滞在してるってザックから聞きましたけど」
……ザックがうちで働くようになってから、愛の世界旅行に行ってるって話だけど。んで、今は母様の母国のリトロールに滞在中だったはず。
「ああ、少し前からリトロールにいるんだが、ザックに会いに来てね。神聖国での事を小耳に挟んだから」
俺が問いかければジェリオット様はそう答えた。きっとノエルの事だろう。
……二人はザックとノエルがいい仲だって知ってたんだろうな~。んで、ノエルの事も知ってて、神聖国の事を聞いて帰ってきたのかー。
「じゃあ、しばらくはこちらに滞在するおつもりで?」
「ああ、そのつもりだよ」
ロメオさんはにこっと笑って答えた。しかし、そんなロメオさんは俺に思わぬ事を告げる。
「ところでキトリー君。リトロールで聞いたが、ロディオン君が結婚するんだって?」
寝耳に水な事に俺は「へ?!」と驚く。
……ロディオンが結婚!? 誰とッ!?
俺は頭を巡らせるが、ロディオンと親しい人が思い浮かばない。意外にロディオンは仕事人間だし、それ以外は俺大好きなブラコンだし。
……ロディオンが結婚? 一体、相手はどんな人なんだ??
俺は頭を捻るが、不意にレノが視線に入る。
「レノ、何か知ってるか?」
「あー、まー、そうですねぇ」
レノは目を逸らしながら曖昧に答えた。これは絶対何か知ってる!!
「一体、誰なんだよ。兄様のお相手!」
俺が問い詰めるとレノは小さく息を吐いた。
「まあ、いずれ知ることになると思いますから、言いますけど。坊ちゃんもよくご存じの方ですよ」
「俺もよく知ってる人?」
……俺の良く知っている人で、ロディオンと接点があってフリーなのは……おっちゃん(王様)?! まさか王城でラブロマンスがッ!?
そう思うが俺の心の中のおっちゃんが『俺はミカリー一筋だッ!』と突っ込む。そして、俺の勘違いは早々に解かれることとなった。
「失礼いたします、坊ちゃん」
コンコンッとドアをノックして、お爺が入ってきた。
「お爺、どうしたの?」
「ロディオン様がお見えになられましたので、お連れ致しました」
「兄様がッ!?」
俺が驚く間もなく、お爺の後ろから笑顔のロディオンが現れた。まさに噂をすれば影!
「いや、この前会った時よりもまた身長が伸びたんじゃないか?」
細身ながらも品がある金髪紳士と、犬獣人の大柄紳士が俺を見て言った。そして俺と言えば、応接間のソファに並んで座る二人を俺は眩しく見つめる。
……あ~っ、やっぱりこの二人は何度見てもいいわ~ッ!! さすが『愛ゆえに』のモデルになったお二人!!
俺は二人を眺めながら、頭の隅で俺の愛読書『愛ゆえに』を思い出す。
話の内容は、先代王弟であるジュリオットが犬獣人であり迫害されていたロメオと手を取り合って悪人と戦い、恋に落ちるまでの物語。
そしてこのお二人が、そのジュリオット様とロメオさん、ご本人なのだ!
……は~、やっぱりこのイケオジカップルも最高ですな~。でもザックってば、年々ロメオさんに似てくるな~。けど、目元はジュリオット様かな?
俺は二人を見ながら思う。なぜならザックは、実はこのお二方の息子だからだ。
つまり先代王弟のジュリオット様を父に持つザックは王族。しかも、ジェレミーの次の王位継承権第二位の地位を有している。
なんでも現国王の叔父にあたるジェリオット様はすでに王位継承権を放棄しているが、その息子であるザックは王家の人間が少ない、という理由から王位継承権を放棄できないらしい。本人は早々に手放したいそうだが。
というわけで。その昔、ザックは王家を出たジュリオット様とロメオさんにこの村でごくごく一般的に育てられ、普通の騎士を目指していたわけだが、王位継承者第二位という肩書からどこに行っても雇ってもらえず、ザックは困っていた。
だが、そこで『ザック、うちで働いちゃいなよ!』と勧誘したのが俺で。雇用したのは公爵家当主(父様)という訳だ。まあ、今は公爵家の騎士も辞めて、可愛い恋人と暮らしてるけど。
……まあ、ジェレミーとディエリゴが結婚して数年経てば、ザックも継承権を放棄できるだろう。兎獣人は安産で多産傾向だって話だからな。ま、産むのはジェレミーだろうが。
俺はいつだってラブラブな幼馴染と友達を思い浮かべる。
……しかし、よくよく考えたら神聖国の元皇女の娘とバルト帝国の王族って、この組み合わせも、なかなかにやんごとない二人だな~。
俺はザックとノエルの生まれを思い返して思う。だが、今はその事は置いといて二人に声をかける。
「お二人ともお元気そうで何よりです。ところで今日はどうされたんですか? 今はリトロール王国に滞在してるってザックから聞きましたけど」
……ザックがうちで働くようになってから、愛の世界旅行に行ってるって話だけど。んで、今は母様の母国のリトロールに滞在中だったはず。
「ああ、少し前からリトロールにいるんだが、ザックに会いに来てね。神聖国での事を小耳に挟んだから」
俺が問いかければジェリオット様はそう答えた。きっとノエルの事だろう。
……二人はザックとノエルがいい仲だって知ってたんだろうな~。んで、ノエルの事も知ってて、神聖国の事を聞いて帰ってきたのかー。
「じゃあ、しばらくはこちらに滞在するおつもりで?」
「ああ、そのつもりだよ」
ロメオさんはにこっと笑って答えた。しかし、そんなロメオさんは俺に思わぬ事を告げる。
「ところでキトリー君。リトロールで聞いたが、ロディオン君が結婚するんだって?」
寝耳に水な事に俺は「へ?!」と驚く。
……ロディオンが結婚!? 誰とッ!?
俺は頭を巡らせるが、ロディオンと親しい人が思い浮かばない。意外にロディオンは仕事人間だし、それ以外は俺大好きなブラコンだし。
……ロディオンが結婚? 一体、相手はどんな人なんだ??
俺は頭を捻るが、不意にレノが視線に入る。
「レノ、何か知ってるか?」
「あー、まー、そうですねぇ」
レノは目を逸らしながら曖昧に答えた。これは絶対何か知ってる!!
「一体、誰なんだよ。兄様のお相手!」
俺が問い詰めるとレノは小さく息を吐いた。
「まあ、いずれ知ることになると思いますから、言いますけど。坊ちゃんもよくご存じの方ですよ」
「俺もよく知ってる人?」
……俺の良く知っている人で、ロディオンと接点があってフリーなのは……おっちゃん(王様)?! まさか王城でラブロマンスがッ!?
そう思うが俺の心の中のおっちゃんが『俺はミカリー一筋だッ!』と突っ込む。そして、俺の勘違いは早々に解かれることとなった。
「失礼いたします、坊ちゃん」
コンコンッとドアをノックして、お爺が入ってきた。
「お爺、どうしたの?」
「ロディオン様がお見えになられましたので、お連れ致しました」
「兄様がッ!?」
俺が驚く間もなく、お爺の後ろから笑顔のロディオンが現れた。まさに噂をすれば影!
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