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最終章「プロポーズは指輪と共に!」
26 目が覚めて
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「―――んぁ?」
目が覚めると、ふかふかのベッドの上だった。けど辺りは良く見たことのある景色。
……俺の部屋だぁ。ちゃんと帰ってきたんだな~。今は日中か?
俺は目をパチパチとさせながら、窓にかけられているカーテンの隙間から陽の光が入っているのを見る。
……ちょっと窓の外を見に行くか。
俺はそう思って横になっていた体を起こそうとするが、体が動かない。というか、動こうした俺の体を何かが後ろから羽交い絞めにする。
「ぬお!? って、レノ?!」
「坊ちゃん……良かった」
レノは俺を後ろからぎゅっと抱き締めて、心底安堵したような声を出した。だから俺は思わず問いかけてしまう。
「レノ、どした?」
「どうした? じゃ、ありませんよ。神様に攫われるなんて」
レノはむっとした声で俺に言う。さっきまでの殊勝な声はどうした? それに、攫われたのは不可抗力だしぃー。
「そんなこと言ったって、急に腕を掴まれて連れ去られたんだから仕方ないだろ?」
「その上、神様相手に平気な顔して、全然気後れもなくて。こっちは見ているだけでハラハラしましたよ」
「そうか?」
「古い話には、クト様の怒りを買って獣に変えられた人の話だってあるんですから」
……そーいえば、そういう話があったな。やっぱお兄ちゃんを怒らせると怖いんだな、気を付けよう。
俺は密かに心に刻む。
「でも、あなたの豪胆さには、改めて驚かされましたよ」
……ごーたん?
「そんなもんないけど。俺はただ神様を信じただけだけよ」
俺が答えるとレノは少し呆れたため息を吐いた。
「はぁ。そういう所が、豪胆だと言うんです。普通は狼狽えるところですよ。……まあ、鈍いと言った方が正解かもしれませんが」
……またもニブちん!? 俺、別に鈍くないし! ちょっとは動揺したゾ!?
俺は心の中で反論する。だが、言ったところでレノはきっと聞き流すだけなので、口にはしないでおく。
「まー、それより起きようぜ。今、何時なのかわからないし」
……天界にいたのは半日ぐらいか? 俺が誘拐されたのは夜だったから、今は昼前ぐらいかな?
俺はそう思いつつ、ベッドから下りようとする。けれど、そんな俺をレノは放してくれない。
「あの、レノきゅん? 人の話聞いてるかな?」
俺は後ろを振り返って言う。するとレノは俺を抱き締めていた腕をようやく外してくれた。なので俺はホッとするが、レノは体位を変えて俺の上に覆いかぶさってきた。
「あの、ちょっと??」
「坊ちゃん、まだ話は終わってません。天界で聞きそびれた事があります」
「天界で?」
俺はもうすっかりうっかり何の事か忘れていた。レノに話し忘れていたことを。
「この世界に連れてこられた、というのは、どういう意味ですか? それに坊ちゃんにお姉様はいらっしゃいませんが?」
レノはじっと赤い瞳を俺に向けて尋ねる。
……あー。そう言えば、話してなかったネー。
俺は話を後回しにしていたことを思い出す。そしてそんな俺にレノは詰め寄った。
「さあ、どういう事なんです? 言ってくれるまで、ベッドから出しませんよ」
レノはじとっと俺を見つめて言う。これは話すまで絶対俺を離さないやつだ。
……レノに前世の事か。今まで話すタイミングがなかったから言わなかったけど、もう今がその時なのかもな。
俺はそう腹を括り、レノを見つめ返す。
「わかった。話すよ、俺の事。でも、この体勢じゃ話しにくいから座って話そう。あと、俺が話すことはちょっと信じられない事かもしんないけど、全部事実だからな? 嘘じゃないからな??」
俺が前置きをすると、レノはしっかりと「わかりました」と返事をした。
そうして俺達はベッドの上に座り、俺は「はーふーっ」と深呼吸をしてからレノに告げる。
「レノ……実は俺な、前世の事を覚えてるんだ」
目が覚めると、ふかふかのベッドの上だった。けど辺りは良く見たことのある景色。
……俺の部屋だぁ。ちゃんと帰ってきたんだな~。今は日中か?
俺は目をパチパチとさせながら、窓にかけられているカーテンの隙間から陽の光が入っているのを見る。
……ちょっと窓の外を見に行くか。
俺はそう思って横になっていた体を起こそうとするが、体が動かない。というか、動こうした俺の体を何かが後ろから羽交い絞めにする。
「ぬお!? って、レノ?!」
「坊ちゃん……良かった」
レノは俺を後ろからぎゅっと抱き締めて、心底安堵したような声を出した。だから俺は思わず問いかけてしまう。
「レノ、どした?」
「どうした? じゃ、ありませんよ。神様に攫われるなんて」
レノはむっとした声で俺に言う。さっきまでの殊勝な声はどうした? それに、攫われたのは不可抗力だしぃー。
「そんなこと言ったって、急に腕を掴まれて連れ去られたんだから仕方ないだろ?」
「その上、神様相手に平気な顔して、全然気後れもなくて。こっちは見ているだけでハラハラしましたよ」
「そうか?」
「古い話には、クト様の怒りを買って獣に変えられた人の話だってあるんですから」
……そーいえば、そういう話があったな。やっぱお兄ちゃんを怒らせると怖いんだな、気を付けよう。
俺は密かに心に刻む。
「でも、あなたの豪胆さには、改めて驚かされましたよ」
……ごーたん?
「そんなもんないけど。俺はただ神様を信じただけだけよ」
俺が答えるとレノは少し呆れたため息を吐いた。
「はぁ。そういう所が、豪胆だと言うんです。普通は狼狽えるところですよ。……まあ、鈍いと言った方が正解かもしれませんが」
……またもニブちん!? 俺、別に鈍くないし! ちょっとは動揺したゾ!?
俺は心の中で反論する。だが、言ったところでレノはきっと聞き流すだけなので、口にはしないでおく。
「まー、それより起きようぜ。今、何時なのかわからないし」
……天界にいたのは半日ぐらいか? 俺が誘拐されたのは夜だったから、今は昼前ぐらいかな?
俺はそう思いつつ、ベッドから下りようとする。けれど、そんな俺をレノは放してくれない。
「あの、レノきゅん? 人の話聞いてるかな?」
俺は後ろを振り返って言う。するとレノは俺を抱き締めていた腕をようやく外してくれた。なので俺はホッとするが、レノは体位を変えて俺の上に覆いかぶさってきた。
「あの、ちょっと??」
「坊ちゃん、まだ話は終わってません。天界で聞きそびれた事があります」
「天界で?」
俺はもうすっかりうっかり何の事か忘れていた。レノに話し忘れていたことを。
「この世界に連れてこられた、というのは、どういう意味ですか? それに坊ちゃんにお姉様はいらっしゃいませんが?」
レノはじっと赤い瞳を俺に向けて尋ねる。
……あー。そう言えば、話してなかったネー。
俺は話を後回しにしていたことを思い出す。そしてそんな俺にレノは詰め寄った。
「さあ、どういう事なんです? 言ってくれるまで、ベッドから出しませんよ」
レノはじとっと俺を見つめて言う。これは話すまで絶対俺を離さないやつだ。
……レノに前世の事か。今まで話すタイミングがなかったから言わなかったけど、もう今がその時なのかもな。
俺はそう腹を括り、レノを見つめ返す。
「わかった。話すよ、俺の事。でも、この体勢じゃ話しにくいから座って話そう。あと、俺が話すことはちょっと信じられない事かもしんないけど、全部事実だからな? 嘘じゃないからな??」
俺が前置きをすると、レノはしっかりと「わかりました」と返事をした。
そうして俺達はベッドの上に座り、俺は「はーふーっ」と深呼吸をしてからレノに告げる。
「レノ……実は俺な、前世の事を覚えてるんだ」
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