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第五章「告白は二人っきりで!」
25 エクスカリバー?
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「ん~っ」
朝日の眩しさを瞼の裏に感じ、俺は目が覚めた。だが、目を見開けば間近にレノの顔があるではないか。
「ぎゃ!? レノ!?」
「おはようございます、坊ちゃん」
「お、おはよう……つか、何?」
「昨日の事、覚えてらっしゃいますか?」
レノが真面目な顔をして尋ねてくるから、俺ははて? と考える。だがすぐに昨日のレノとのやり取りを思い出し、俺はボッと顔を赤く染めた。
……そういや昨日はチューする前にクト様が現れて眠っちゃったんだ!
「朝っぱらからチューはしないぞ!」
俺はすぐに宣言する。けどレノはじぃっと俺を見た後、小さく安堵した息を吐いた。
「はぁ、良かった。昨日の事は夢じゃないんですね」
「は? 夢じゃないって何を」
……あ、もしかして俺が目覚めるまで昨日の事は夢だと思って不安に思ってたのか? まあクト様が眠らせたって言ってたもんなぁ。
「あー、まあ、昨日は色々あってお前も疲れてたんだろ。急に眠ったんだぞ、お前」
クト様のことは言えないので俺は誤魔化しながら告げる。だが、レノは何かを感じ取ったのか俺を少し疑いの目で見る。しかし何も問いかけずに「そうですか」とだけ答えた。
……レノって妙に勘がいいからな。問いかけられなくて良かった。ホッ。
「まー、そういう訳だから。俺はちょっと顔を洗って」
俺は何か喋って墓穴を掘らないよう、ベッドから下りてレノから逃げようとした。けれどそんな俺をレノは掴んでベッドに引き戻し、押し倒す。
「ちょ、何すんだ!」
「坊ちゃん、昨日の続きをしましょうか」
レノは色っぽい笑みを浮かべて俺に言う。
「はぁ!? 何を」
「キス、させてくれるって言ったでしょ?」
レノに改めて言われ、俺は頬が熱くなる。昨日のやり取りまで思い出してくるじゃないか。
「そ、それは昨日まで! 今日はもうダメだ!」
「約束は約束でしょ? ちょっとだけ、ね?」
色っぽい声で囁かれて、俺はゾクッと身が震える。もー、朝から止めてくんないかなッ!?
「だ、ダメだ! 朝になったばっかなんだぞ!」
……今、チューしたらお前の顔を見る度、今日一日中その事を思い出しちゃうだろ!
「じゃあ、夜ならいいんですか?」
「うっ、それは……っ」
「坊ちゃん、夜も駄目なら今しますよ?」
レノに宣告され、俺は「うぅぅぅっ」と唸る。でもレノは許してくれなかった。
「どうします? 今しますか?」
レノに詰め寄られ、俺は仕方なく小さな声で答えた。
「よ、夜、なら」
俺が返事をすれば、レノはニッコリと笑って俺の上から退いた。
「では、夜を楽しみにしてますね?」
……くそっ、なんで昨日の事はしっかり覚えてんだよッ!! それこそ忘れとけよ!!
俺はそう思いながらレノを睨む、しかし。
……昨日の事は覚えてても、昨日の魔獣の事は覚えてんのかな?
「どうかしましたか?」
俺がじっと見つめるものだから、レノは不思議そうな顔をして俺に問いかけた。
「あのさレノ、昨日の事なんだけどお前、魔獣のこと」
そう言いかけた時だった。
外が騒がしくなってきた。まだ早朝だっていうのに。
……どうしたんだろ? 何かあったのか?
俺はドアの外を見つめて、首を傾げる。しかしすぐに俺はクト様が言った事を思い出した。
『ちょっとした置き土産をしておいたから、継承権問題も何とかなるだろう』
……もしかして例の置き土産か?
気になった俺はベッドを下りて、すぐさまドアへと向かう。
「坊ちゃん?」
「ちょっと何があったのか聞いてくる!」
俺は振り返って言い、そしてドアを開けて近くにいた神官に何があったのか尋ねた。
そうすれば―――――!!
◇◇
「まっさか、エクスカリバーがこの世に誕生するとはなぁ」
俺は廊下を歩きながら呟いた。すると隣を歩くレノが尋ねてくる。
「なんです? そのエクス、なんとやらというのは。例の剣と関係が?」
「うーん、関係はないが似たような剣ってとこだ」
俺は答えて、アーサー王伝説を思い出す。
岩に刺さった聖剣エクスカリバーは本物の王にしか抜けず、誰も抜くことができなかった。しかし少年アーサーが抜き、本当に王様へとなる物語。
……確か中世の物語だったっけ?
そして今朝、この神聖国でも同じような剣があの広場の中央で見つかったのだ。
広場の中央には昨晩までなかった一本の剣が突き刺さり、その剣にはこう彫られていた。
『王になる資格を持つ者にしか、この剣を抜くことはできないだろう』
その一文と共に、柄頭にはクト神を表す紋章が入れ込まれていた。
なので町は朝から大騒ぎ。おかげで話は大神殿にまで届き、エンキ様とナギさんが広場へと向かって剣を抜くことになったらしい。
そしてみんなが見守る中、二人はそれぞれ剣に触れて、二人ともするりと抜いたそうだ。つまり神様が選んだ王様は二人という事。
となると民衆は『一体、どっちが王様なんだ?』と困惑した。
けれどそこにランネット様が颯爽と現れ、こう告げたとか。
『皆さん。昨夜、私はクト神様からお告げを頂きました。次代の王はこの剣によって選ばれると。王の資格がなくなれば、剣は抜けなくなるだろうとの事です。そして抜いた者が二人いた場合、一人は現王、剣を抜き、更に輝きを放った者は次代の王を示すと、クト神様はおっしゃられておりました』
ランネット様が高らかにクト神様からのお告げを民衆に伝え、誰もがエンキ様とナギさんを見つめた。エンキ様は剣を抜き、ナギさんは剣を抜いて更にその剣は輝きを放っていたから。
つまり、ここに神に選ばれた現皇王と次代の皇王が誕生したのだ。
――――という訳で、朝からその事で大神殿は大忙し!
「まさか、生きている内に伝説を見ることになるとはなぁ」
……ま、俺はその現場にいたわけじゃないから見てはいないけど。
俺は廊下を歩きながら呟く。
もう時刻は昼過ぎだが、それでも大神殿内の神官達は忙しくしている。急遽決まった事により、色々と手続きやなんやらがあるのだろう。
……これで俺が聖人の一人だってなってたら、更に騒がしい事になってたかもな。
俺は神官達を見て思う。
だが、クト様は約束通り、みんなの記憶を改竄……ゲフンゲフン。えっと修正してくれたらしく、俺が聖人だという事は綺麗さっぱり忘れていた。
なんでもみんなの記憶の中では雷が落ちて魔獣が消えた、という事になっているらしい。そして俺はエンキ様とランネット様に駆け寄った青年Aと言う感じになっているのだとか。
……まあ、レノは俺が聖人だって元々知ってるからか、昨日の事は全部覚えてたけど。『なんか神様が修正してくれたらしい』って告げたら驚いてたな。
俺は昨晩クト様に会った事をレノに教えていた。だって、みんな忘れてるのにレノだけ覚えてるってなったら話が合わないし。なによりレノは俺と共にここに残る気でいたんだから。
……しかし、丸く収まって良かったよ。俺もレノと一緒に帰れるし。
俺は隣を歩くレノを見る。
*******************
今日は皆既月食がありましたね。みんなは見ましたかー?(*'ω'*)
朝日の眩しさを瞼の裏に感じ、俺は目が覚めた。だが、目を見開けば間近にレノの顔があるではないか。
「ぎゃ!? レノ!?」
「おはようございます、坊ちゃん」
「お、おはよう……つか、何?」
「昨日の事、覚えてらっしゃいますか?」
レノが真面目な顔をして尋ねてくるから、俺ははて? と考える。だがすぐに昨日のレノとのやり取りを思い出し、俺はボッと顔を赤く染めた。
……そういや昨日はチューする前にクト様が現れて眠っちゃったんだ!
「朝っぱらからチューはしないぞ!」
俺はすぐに宣言する。けどレノはじぃっと俺を見た後、小さく安堵した息を吐いた。
「はぁ、良かった。昨日の事は夢じゃないんですね」
「は? 夢じゃないって何を」
……あ、もしかして俺が目覚めるまで昨日の事は夢だと思って不安に思ってたのか? まあクト様が眠らせたって言ってたもんなぁ。
「あー、まあ、昨日は色々あってお前も疲れてたんだろ。急に眠ったんだぞ、お前」
クト様のことは言えないので俺は誤魔化しながら告げる。だが、レノは何かを感じ取ったのか俺を少し疑いの目で見る。しかし何も問いかけずに「そうですか」とだけ答えた。
……レノって妙に勘がいいからな。問いかけられなくて良かった。ホッ。
「まー、そういう訳だから。俺はちょっと顔を洗って」
俺は何か喋って墓穴を掘らないよう、ベッドから下りてレノから逃げようとした。けれどそんな俺をレノは掴んでベッドに引き戻し、押し倒す。
「ちょ、何すんだ!」
「坊ちゃん、昨日の続きをしましょうか」
レノは色っぽい笑みを浮かべて俺に言う。
「はぁ!? 何を」
「キス、させてくれるって言ったでしょ?」
レノに改めて言われ、俺は頬が熱くなる。昨日のやり取りまで思い出してくるじゃないか。
「そ、それは昨日まで! 今日はもうダメだ!」
「約束は約束でしょ? ちょっとだけ、ね?」
色っぽい声で囁かれて、俺はゾクッと身が震える。もー、朝から止めてくんないかなッ!?
「だ、ダメだ! 朝になったばっかなんだぞ!」
……今、チューしたらお前の顔を見る度、今日一日中その事を思い出しちゃうだろ!
「じゃあ、夜ならいいんですか?」
「うっ、それは……っ」
「坊ちゃん、夜も駄目なら今しますよ?」
レノに宣告され、俺は「うぅぅぅっ」と唸る。でもレノは許してくれなかった。
「どうします? 今しますか?」
レノに詰め寄られ、俺は仕方なく小さな声で答えた。
「よ、夜、なら」
俺が返事をすれば、レノはニッコリと笑って俺の上から退いた。
「では、夜を楽しみにしてますね?」
……くそっ、なんで昨日の事はしっかり覚えてんだよッ!! それこそ忘れとけよ!!
俺はそう思いながらレノを睨む、しかし。
……昨日の事は覚えてても、昨日の魔獣の事は覚えてんのかな?
「どうかしましたか?」
俺がじっと見つめるものだから、レノは不思議そうな顔をして俺に問いかけた。
「あのさレノ、昨日の事なんだけどお前、魔獣のこと」
そう言いかけた時だった。
外が騒がしくなってきた。まだ早朝だっていうのに。
……どうしたんだろ? 何かあったのか?
俺はドアの外を見つめて、首を傾げる。しかしすぐに俺はクト様が言った事を思い出した。
『ちょっとした置き土産をしておいたから、継承権問題も何とかなるだろう』
……もしかして例の置き土産か?
気になった俺はベッドを下りて、すぐさまドアへと向かう。
「坊ちゃん?」
「ちょっと何があったのか聞いてくる!」
俺は振り返って言い、そしてドアを開けて近くにいた神官に何があったのか尋ねた。
そうすれば―――――!!
◇◇
「まっさか、エクスカリバーがこの世に誕生するとはなぁ」
俺は廊下を歩きながら呟いた。すると隣を歩くレノが尋ねてくる。
「なんです? そのエクス、なんとやらというのは。例の剣と関係が?」
「うーん、関係はないが似たような剣ってとこだ」
俺は答えて、アーサー王伝説を思い出す。
岩に刺さった聖剣エクスカリバーは本物の王にしか抜けず、誰も抜くことができなかった。しかし少年アーサーが抜き、本当に王様へとなる物語。
……確か中世の物語だったっけ?
そして今朝、この神聖国でも同じような剣があの広場の中央で見つかったのだ。
広場の中央には昨晩までなかった一本の剣が突き刺さり、その剣にはこう彫られていた。
『王になる資格を持つ者にしか、この剣を抜くことはできないだろう』
その一文と共に、柄頭にはクト神を表す紋章が入れ込まれていた。
なので町は朝から大騒ぎ。おかげで話は大神殿にまで届き、エンキ様とナギさんが広場へと向かって剣を抜くことになったらしい。
そしてみんなが見守る中、二人はそれぞれ剣に触れて、二人ともするりと抜いたそうだ。つまり神様が選んだ王様は二人という事。
となると民衆は『一体、どっちが王様なんだ?』と困惑した。
けれどそこにランネット様が颯爽と現れ、こう告げたとか。
『皆さん。昨夜、私はクト神様からお告げを頂きました。次代の王はこの剣によって選ばれると。王の資格がなくなれば、剣は抜けなくなるだろうとの事です。そして抜いた者が二人いた場合、一人は現王、剣を抜き、更に輝きを放った者は次代の王を示すと、クト神様はおっしゃられておりました』
ランネット様が高らかにクト神様からのお告げを民衆に伝え、誰もがエンキ様とナギさんを見つめた。エンキ様は剣を抜き、ナギさんは剣を抜いて更にその剣は輝きを放っていたから。
つまり、ここに神に選ばれた現皇王と次代の皇王が誕生したのだ。
――――という訳で、朝からその事で大神殿は大忙し!
「まさか、生きている内に伝説を見ることになるとはなぁ」
……ま、俺はその現場にいたわけじゃないから見てはいないけど。
俺は廊下を歩きながら呟く。
もう時刻は昼過ぎだが、それでも大神殿内の神官達は忙しくしている。急遽決まった事により、色々と手続きやなんやらがあるのだろう。
……これで俺が聖人の一人だってなってたら、更に騒がしい事になってたかもな。
俺は神官達を見て思う。
だが、クト様は約束通り、みんなの記憶を改竄……ゲフンゲフン。えっと修正してくれたらしく、俺が聖人だという事は綺麗さっぱり忘れていた。
なんでもみんなの記憶の中では雷が落ちて魔獣が消えた、という事になっているらしい。そして俺はエンキ様とランネット様に駆け寄った青年Aと言う感じになっているのだとか。
……まあ、レノは俺が聖人だって元々知ってるからか、昨日の事は全部覚えてたけど。『なんか神様が修正してくれたらしい』って告げたら驚いてたな。
俺は昨晩クト様に会った事をレノに教えていた。だって、みんな忘れてるのにレノだけ覚えてるってなったら話が合わないし。なによりレノは俺と共にここに残る気でいたんだから。
……しかし、丸く収まって良かったよ。俺もレノと一緒に帰れるし。
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