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第五章「告白は二人っきりで!」
2 ランネット様
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……噂では黒髪に青い瞳の美女って話だけど、どんな感じかなー? クール系美女? それとも可愛い系美女なのかなー? もしくは噂に尾ひれ背びれがついて、本当はあんまり美人じゃなかったり。まあ、美女と言っても人それぞれ好みがあるしなぁー。……でも、美人っていえばレノも美人だよなぁ。顔、整ってるし。レノが女の子だったら、目も合わせられないぐらいの美女だったかも。
俺は大神殿の中を歩きながら、今から会うランネット様に想いを馳せつつ隣を歩くレノを見る。
「どうかしましたか?」
「うんにゃ、なんでもない」
レノに尋ねられ、俺は適当に返事を返す。
……レノが女の子だったら、俺、すぐに付き合ってたのかな?
俺はぽややんっと女の子になったレノを思い浮かべるが、『坊ちゃん』となにやら妖艶な女の子バージョン・レノが出来上がったのですぐに頭を左右に振る。
……女の子のレノは色々とヤバい。ふぅっ。
でもそうこうしている内に着き、神官は大神殿の奥にあるドアを叩くと声をかけた。
「ランネット様、キトリー・ベル・ポブラット様をお連れ致しました」
「お通しして」
神官の声に、中からすぐ反応が返ってきた。その声はいかにもお姉さんって感じの声で、俺はちょっとドキドキする。
……遂に噂のランネット様とご対面だ~! 緊張する~!
「失礼いたします」
神官はもう一度声をかけるとドアを開けた。そして開けられたドアの向こうには出窓に腰掛けた、神官服とはまた違う白い衣装に身を包んでいる一人の女性が佇んでいた。
腰まで伸びた流れるような黒い髪、海を思い出させる青い瞳。ほっそりしつつ、出るとこはボインと出ている、まさにボッキュンボンなグラマラス系美女がそこにいた。
……クール系でも可愛い系でもなく、グラマラス系、キタァァァーーッ! しかもドアを開けた途端、いい匂いするぅ~ッ!
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、お入りになって?」
美女はにこっと微笑んで俺達に声をかけ、俺は「し、失礼します!」と少しばかり緊張しながら中に入る。
……うおぉーっ、この人が噂のランネット様かぁ。確かにこれは美女だわー。ドキドキしちゃう。……でも、なんだろう? なーんか、ちょっと違和感が??
俺は目の前にいる美女にドキドキとは別に、妙な違和感を覚えながら見つめる。
「ランネット様、こちらキトリー・ベル・ポブラット様とお付きの方です。キトリー様、こちら聖人のランネット様でございます」
神官は俺達両者を紹介してくれた。なので俺は改めて自己紹介する。
「初めまして、ランネット様。私はバルト帝国公爵家次男、キトリー・ベル・ポブラットと申します。隣にいるのは侍従レノです」
俺が挨拶をするとレノもぺこりと頭を下げた。
「キトリー様ですね。私はランネットと申します。よろしくお願いいたしますわ」
美女ことランネット様は微笑みながら言った。
だから俺はなんだか不思議に思ってしまう。この人がなぜ、神聖国の神官にわざわざ俺を"アシュカを誘拐した下手人"だと伝えたのか。
……なんか、そういうところも行き違いがあったのかなー?
俺はランネット様を見ながら思う。だが、ランネット様は俺を見てにこっと笑うと、神官に視線を向けた。
「案内をありがとう。お二人と話をしたいので、さがってくれるかしら?」
ランネット様がそう言うと神官は「畏まりました」と言って、素直に部屋を出て行った。
……え?! 部屋を出て行っちゃっていいの?! 俺とレノとランネット様だけになるけど!?
俺は少し驚くが、ランネット様はおもむろに立ち上がった。座っていたからわからなかったが、立つと意外に高身長。ますますモデルさんのようだ。
……175㎝ぐらい? 俺と変わんないぐらいかな。いや、やっぱ俺よりちょっと高いかも?
そう思っていると、ランネット様は俺の目の前に立つ。近くで見るとますます迫力のある美人だ。そしていい匂いがする。なんというか大人っぽい女性の香り。
……うーん、美女は香りからしていいものなのか。俺も年取ったら気を付けないとな、加齢臭。
俺は未来の事を考えて今から気を付けておく事を心に留める。
けれど近くに来れば来るほど、俺はランネット様に妙な違和感をハッキリと自覚する。
……なんだろうなぁ、この感じ。ランネット様、何か違うっていうか、変っていうか。初めて会うのに、どうしてこんな感覚になるんだろう。
俺は不思議な違和感に心の中で一人困惑する。けれど、そんな俺の手をランネット様はおもむろにぎゅっと握った。
「キトリー様、今回は勘違いでこちらに連れてきてしまって申し訳ございませんでした」
ランネット様は申し訳なさそうに言い、俺は美女に謝られてちょっと困惑する。だって、美女に謝り慣れてないんだもん。というか美男子は周りに一杯いるけど、美女とはあんまり接点ないし。いうて、美女と言えばセリーナぐらいだし。
まあ、セリーナは美女というよりも朗らか美人って感じだけど。
「あ、いや、誤解が解けてよかったです」
「いいえ、これは何かお詫びしなければ」
ランネット様は首を横に振って言い、それから部屋にあるドアに視線を向けた。
「ですので、キトリー様にはぜひ見て欲しいものがございますの。隣の部屋に来ていただけないかしら?」
「え!?」
……み、見て欲しいもの? お詫びで見て欲しいモノって……何ッ!?
「い、いやお詫びなんていいです! 誤解も解けたし、ここに来るまで手酷い扱いを受けたわけでもないので!」
「いいえ。ぜひ、お詫びさせてください」
ランネット様は俺の手を両手でぎゅっと握り、少し上目遣いで俺に頼む。
美女にそんなことされたら、断れないじゃない!
「あ、うっ……はい」
俺は断り切れずに小さく返事をする。でもランネット様にはしっかり聞こえていたようだ。
「よかったわ。ではこちらに」
ランネット様はそのまま俺の手を引いて扉へと向かう。なので当然、レノも俺の後ろに付いてくるのだが、ランネット様はレノを引き留めた。
「レノさん、だったかしら? 申し訳ないけれど、こちらの部屋で待っていて下さるかしら?」
ランネット様は朗らかな声でレノに言った。でもレノはすぐに拒否する。
「それはできません。私はキトリー様の侍従であると共に護衛ですので」
「心配しなくても、危ないことはなにもございませんわ。隣の部屋に行くだけですから。ただ……キトリー様だけにお見せしたいものですの。お願いしますわ」
ランネット様は小首を傾げて言い、さすがのレノもぐっと口を閉じた。聖人相手に、これ以上は食い下がることは不敬に値するとレノも感じ取ったからだろう。しかし、まだ諦めていない目をしているので俺はレノに指示した。
「レノ、ここで待ってて」
「っ……わかりました」
レノは不服そうにしながらも俺の命令を聞き入れた。よしよし、いい子だ。
「ありがとう。どうぞ、そこの椅子に座ってお待ちになっていて」
ランネット様は近くにある椅子を指差して言い、レノは渋々と言った様子で座る。
……普段は落ち着いてるのに、なんだか神聖国に来てから一層ピリピリしてるなぁ。やっぱり早く帰りたいからかな?
俺はいつもとちょっぴり態度の違うレノを見て思う。
けれど、そんな事を考えている俺にランネット様は声をかけた。
「ではキトリー様、こちらへどうぞ」
ランネット様はそう言って続き部屋のドアノブに手をかける。
……俺に見せたいものって一体なんだろう? お詫びに見せたいものって? うーん。
結局、俺は何も思いつかないまま、ランネット様に連れられて隣の部屋へと入った。そして隣の部屋に何があったかと言うと、そこはこれまたいい匂いのする部屋で。大きなベッドと衣装棚が置いてある普通の寝室だった。
……これって寝室、だよな? え、見て欲しいものって寝室? ……なんで、寝室?? ここに見て欲しいものがあるとか? でも寝室に??
俺は疑問に思いつつ、ハッとする。
……まさか、まさか! 『お詫びは私のカラダで』みたいなお色気展開じゃないよなッ!?
俺は困惑しながらランネット様を見た。するとランネット様はにこっと笑いながらドアを閉め、カチャリと鍵をかける。
「ら、ランネット様??」
……なぜに鍵をかけられたのでッ!?
俺は大神殿の中を歩きながら、今から会うランネット様に想いを馳せつつ隣を歩くレノを見る。
「どうかしましたか?」
「うんにゃ、なんでもない」
レノに尋ねられ、俺は適当に返事を返す。
……レノが女の子だったら、俺、すぐに付き合ってたのかな?
俺はぽややんっと女の子になったレノを思い浮かべるが、『坊ちゃん』となにやら妖艶な女の子バージョン・レノが出来上がったのですぐに頭を左右に振る。
……女の子のレノは色々とヤバい。ふぅっ。
でもそうこうしている内に着き、神官は大神殿の奥にあるドアを叩くと声をかけた。
「ランネット様、キトリー・ベル・ポブラット様をお連れ致しました」
「お通しして」
神官の声に、中からすぐ反応が返ってきた。その声はいかにもお姉さんって感じの声で、俺はちょっとドキドキする。
……遂に噂のランネット様とご対面だ~! 緊張する~!
「失礼いたします」
神官はもう一度声をかけるとドアを開けた。そして開けられたドアの向こうには出窓に腰掛けた、神官服とはまた違う白い衣装に身を包んでいる一人の女性が佇んでいた。
腰まで伸びた流れるような黒い髪、海を思い出させる青い瞳。ほっそりしつつ、出るとこはボインと出ている、まさにボッキュンボンなグラマラス系美女がそこにいた。
……クール系でも可愛い系でもなく、グラマラス系、キタァァァーーッ! しかもドアを開けた途端、いい匂いするぅ~ッ!
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、お入りになって?」
美女はにこっと微笑んで俺達に声をかけ、俺は「し、失礼します!」と少しばかり緊張しながら中に入る。
……うおぉーっ、この人が噂のランネット様かぁ。確かにこれは美女だわー。ドキドキしちゃう。……でも、なんだろう? なーんか、ちょっと違和感が??
俺は目の前にいる美女にドキドキとは別に、妙な違和感を覚えながら見つめる。
「ランネット様、こちらキトリー・ベル・ポブラット様とお付きの方です。キトリー様、こちら聖人のランネット様でございます」
神官は俺達両者を紹介してくれた。なので俺は改めて自己紹介する。
「初めまして、ランネット様。私はバルト帝国公爵家次男、キトリー・ベル・ポブラットと申します。隣にいるのは侍従レノです」
俺が挨拶をするとレノもぺこりと頭を下げた。
「キトリー様ですね。私はランネットと申します。よろしくお願いいたしますわ」
美女ことランネット様は微笑みながら言った。
だから俺はなんだか不思議に思ってしまう。この人がなぜ、神聖国の神官にわざわざ俺を"アシュカを誘拐した下手人"だと伝えたのか。
……なんか、そういうところも行き違いがあったのかなー?
俺はランネット様を見ながら思う。だが、ランネット様は俺を見てにこっと笑うと、神官に視線を向けた。
「案内をありがとう。お二人と話をしたいので、さがってくれるかしら?」
ランネット様がそう言うと神官は「畏まりました」と言って、素直に部屋を出て行った。
……え?! 部屋を出て行っちゃっていいの?! 俺とレノとランネット様だけになるけど!?
俺は少し驚くが、ランネット様はおもむろに立ち上がった。座っていたからわからなかったが、立つと意外に高身長。ますますモデルさんのようだ。
……175㎝ぐらい? 俺と変わんないぐらいかな。いや、やっぱ俺よりちょっと高いかも?
そう思っていると、ランネット様は俺の目の前に立つ。近くで見るとますます迫力のある美人だ。そしていい匂いがする。なんというか大人っぽい女性の香り。
……うーん、美女は香りからしていいものなのか。俺も年取ったら気を付けないとな、加齢臭。
俺は未来の事を考えて今から気を付けておく事を心に留める。
けれど近くに来れば来るほど、俺はランネット様に妙な違和感をハッキリと自覚する。
……なんだろうなぁ、この感じ。ランネット様、何か違うっていうか、変っていうか。初めて会うのに、どうしてこんな感覚になるんだろう。
俺は不思議な違和感に心の中で一人困惑する。けれど、そんな俺の手をランネット様はおもむろにぎゅっと握った。
「キトリー様、今回は勘違いでこちらに連れてきてしまって申し訳ございませんでした」
ランネット様は申し訳なさそうに言い、俺は美女に謝られてちょっと困惑する。だって、美女に謝り慣れてないんだもん。というか美男子は周りに一杯いるけど、美女とはあんまり接点ないし。いうて、美女と言えばセリーナぐらいだし。
まあ、セリーナは美女というよりも朗らか美人って感じだけど。
「あ、いや、誤解が解けてよかったです」
「いいえ、これは何かお詫びしなければ」
ランネット様は首を横に振って言い、それから部屋にあるドアに視線を向けた。
「ですので、キトリー様にはぜひ見て欲しいものがございますの。隣の部屋に来ていただけないかしら?」
「え!?」
……み、見て欲しいもの? お詫びで見て欲しいモノって……何ッ!?
「い、いやお詫びなんていいです! 誤解も解けたし、ここに来るまで手酷い扱いを受けたわけでもないので!」
「いいえ。ぜひ、お詫びさせてください」
ランネット様は俺の手を両手でぎゅっと握り、少し上目遣いで俺に頼む。
美女にそんなことされたら、断れないじゃない!
「あ、うっ……はい」
俺は断り切れずに小さく返事をする。でもランネット様にはしっかり聞こえていたようだ。
「よかったわ。ではこちらに」
ランネット様はそのまま俺の手を引いて扉へと向かう。なので当然、レノも俺の後ろに付いてくるのだが、ランネット様はレノを引き留めた。
「レノさん、だったかしら? 申し訳ないけれど、こちらの部屋で待っていて下さるかしら?」
ランネット様は朗らかな声でレノに言った。でもレノはすぐに拒否する。
「それはできません。私はキトリー様の侍従であると共に護衛ですので」
「心配しなくても、危ないことはなにもございませんわ。隣の部屋に行くだけですから。ただ……キトリー様だけにお見せしたいものですの。お願いしますわ」
ランネット様は小首を傾げて言い、さすがのレノもぐっと口を閉じた。聖人相手に、これ以上は食い下がることは不敬に値するとレノも感じ取ったからだろう。しかし、まだ諦めていない目をしているので俺はレノに指示した。
「レノ、ここで待ってて」
「っ……わかりました」
レノは不服そうにしながらも俺の命令を聞き入れた。よしよし、いい子だ。
「ありがとう。どうぞ、そこの椅子に座ってお待ちになっていて」
ランネット様は近くにある椅子を指差して言い、レノは渋々と言った様子で座る。
……普段は落ち着いてるのに、なんだか神聖国に来てから一層ピリピリしてるなぁ。やっぱり早く帰りたいからかな?
俺はいつもとちょっぴり態度の違うレノを見て思う。
けれど、そんな事を考えている俺にランネット様は声をかけた。
「ではキトリー様、こちらへどうぞ」
ランネット様はそう言って続き部屋のドアノブに手をかける。
……俺に見せたいものって一体なんだろう? お詫びに見せたいものって? うーん。
結局、俺は何も思いつかないまま、ランネット様に連れられて隣の部屋へと入った。そして隣の部屋に何があったかと言うと、そこはこれまたいい匂いのする部屋で。大きなベッドと衣装棚が置いてある普通の寝室だった。
……これって寝室、だよな? え、見て欲しいものって寝室? ……なんで、寝室?? ここに見て欲しいものがあるとか? でも寝室に??
俺は疑問に思いつつ、ハッとする。
……まさか、まさか! 『お詫びは私のカラダで』みたいなお色気展開じゃないよなッ!?
俺は困惑しながらランネット様を見た。するとランネット様はにこっと笑いながらドアを閉め、カチャリと鍵をかける。
「ら、ランネット様??」
……なぜに鍵をかけられたのでッ!?
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