殿下、俺でいいんですか!?

神谷レイン

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殿下、結婚式ですよ!

7 お風呂で ※

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 ――それから。
 ダンスの一幕を終え、早々に部屋に戻った俺達は一緒に、お風呂に入っていた。

「ふぅ」

 俺は小さく息を吐いて、温かいお湯の中、後ろにいるレオナルド殿下に背中を預ける。広くて逞しい胸板は俺の体を簡単に包み込んでしまうから、すごく安心。
 そして「セス」と低い声で俺の名前を呼びながら、俺の耳やこめかみに唇を落としていくレオナルド殿下の甘い雰囲気に俺は身を縮める。

 ……レオナルド殿下の甘々な態度には慣れてきたとはいえ、やっぱり恥ずかしぃ。というか、いつも以上に甘いような??

「セス、今日はもう疲れた?」

 レオナルド殿下に尋ねられて俺は「え?」と聞き返す。

「なんだか無口だから。疲れたのかな? と思ってね」
「ああ。違います、ちょっと考え事」

 俺が答えるとレオナルド殿下はぎゅうっと抱き締めてきた。

「何を考えてたの?」

 耳元で囁かれたら、俺の心臓がドキドキする。心のうさぎちゃんだってぷりりっと尻尾を振る。

『むっきゅうっ!!』

「その、レオのことを」
「私の何のこと?」

 尋ねられて、俺はうっと声を詰まらせる。態度が甘いなんて、どうやって伝えられるだろう。

「何を考えてたの?」
「えっと、その……なんだかいつもよりも俺に甘いというか、なんというか」

 言葉が思いつかず、俺がもごもごと答えるとレオナルド殿下は「ああ」と小さく答えた。

「今日の結婚式に当てられたのかも。セスとの結婚式の時のことを思い出してね。私にとってはセスの内側に初めて触れられた日でもあるから」

 レオナルド殿下に言われて、俺は思い出す。結婚式の後、夜会を抜け出してレオナルド殿下をお風呂場に連れられてこうして一緒に入り、その後ベッドで体を重ねた事を。
 だから、ぶわわわっと体の芯から火照ってくるのに、レオナルド殿下が俺のお腹を擦るから余計感じちゃって。

「思い出した?」

 レオナルド殿下は右手を下へと伸ばすと、お湯の中でひょこっと勃った俺の性器をムニムニと触る。

「んっ、レオ」
「セス」

 レオナルド殿下は俺の耳朶を食み、熱い舌にくちゅくちゅと奥まで舐められて体がぞくぞくする。その上、左手で乳首を捻られれば、俺は反射的に体をのけ反らせてしまう。

「ん、はっ。れ、レオ……もうダメッ」

 俺は振り返って、レオナルド殿下の手を取って止めさせた。
 だって明日は帰国しなくちゃいけない、抱きつぶされては困るのだ。でも、止めた俺をレオナルド殿下はしゅんとしょげた瞳で見つめてくる。まるで、おあずけをされた大きなネコみたいに。

「どうしてもダメ?」
「うっ……それは」
「ね、セス。一回だけ……お願い?」

 甘えるように言われ、俺のお尻にツイツイッと硬い剛直を当てられる。そんなことされたら、この硬いので体の奥まで愛されたいと心が叫び始める。
 だって俺は知ってるから、レオナルド殿下と体を交えるのがどんなに気持ちいい事なのか。

「セス、本当にダメ?」
「うぅぅぅっ」
「セス……ダメなの?」
「ほ、本当に、一回……だけ?」
「ああ、一回だけ」
「うー。……いっかい、だけなら」

 根負けして言うとレオナルド殿下は嬉しそうに笑った。

「ありがとう。……セス、好きだよ」

 レオナルド殿下はそう言うと俺の頬にキスをした。だから俺はちょっとムッとしてしまう。欲しいところにキスが貰えなかったから。

「セス、嫌だった?」

 レオナルド殿下は俺の顔を見て少し不安そうな表情を見せた。でも、俺はそんなレオナルド殿下に顔を寄せて、唇にちゅっとキスをする。

「キス、するならこっちがいいです」

 俺が正直に答えるとレオナルド殿下は少し驚いた顔をした後、柔らかく目を細めて俺を見つめた。

「セスには敵わないな」

 そう言うと俺をギューッと隙間なく抱き締めた。すると触れ合う肌が気持ちよくて。でも恥ずかしくて、俺の鼓動はトクトクッと早く鳴る。

「レオ……ベッド、行こ?」
「そうだね、セス。続きはベッドで」

 レオナルド殿下は体を離して言った。サファイアの瞳がいつもより濃く色づき、俺を見つめるその目に心から愛しさを感じる。

 ……俺、本当にレオナルド殿下と結婚してよかったな。この優しい人と。

 俺は心からそう思う。


 そして俺達は一緒にお風呂から出て、その後は――――俺達だけの秘密。


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