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殿下、俺じゃダメですか?
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カーテンを閉め忘れた窓を見れば、白いもっこりした何かが窓辺にいる。
……なんだ? アレ。
そう思ったけれど、またコンコンコンッ! と音が鳴った。
「アレから音が鳴ってるんでしょうか?」
「ああ、恐らくは」
俺達は窓辺の白いもっこりした何かを見つめながら言い、俺はその存在を確かめようと体を起こした。しかし……。
「ぐぅっ!」
昨日の激しい運動で全身がバキバキに痛い。特に腰がっ!
「セス! ……昨日は久しぶりだったし、激しくしてしまったからね。ちょっと待って」
レオナルド殿下はそう言うと、俺の腰に手を当てて治癒魔法を使ってくれた。全身の筋肉痛はあるものの、腰の痛みがなくなったのはありがたい。
「ありがとうございます」
「いいんだよ。ほとんど私のせいだし」
「でも……俺も、その、いっぱい求めたし」
俺はそう言いつつ、昨日の自分の痴態を思い出してしまう。昨日はすっごくムラムラして、レオナルド殿下にすごい事を言った気がする。
……それに俺。レオナルド殿下のアレ、舐めたし、咥えたし。発情期かって言うぐらい盛った気がする。思い出せば思い出すほど恥ずかしい。
俺はポポポポッと自分の頬が赤くなっていくのがわかる。
「そうだね、昨日のセスはいつにも増して可愛かったね」
「……言わないでください」
俺は恥ずかしくてレオナルド殿下にそう言ったのだけれど、レオナルド殿下は楽しそうに俺を見て微笑んだ。
……うう、恥ずかしい。
そう恥ずかしさに俺は悶えたが、そんな間にもココココンッ! と白いもっこりした何かが窓を鳴らした。
「一緒に見に行ってみよう」
レオナルド殿下はそう言うと裸のまま先にベッドから下り、俺の背中と膝下に腕を回すとひょいっとお姫様抱っこをした。
そしてスタスタッと窓辺に歩いていく。まるで俺の重さを感じてないみたいだ。
……すごいな。俺もそれなりに体重があるのに。
俺は改めてレオナルド殿下の逞しさに感心しつつ、視線を白いもっこりした何かに向けた。
「近くで見てもわからないな」
レオナルド殿下は眉間に皺を寄せて言った。俺もよく見てみるけど、何なのかよくわからない。
……何なんだろう? この白いもっこりしたの。
そう思って眺めていると小さな声が聞こえた。
「ぴぴぃっ!」
その可愛らしい鳴き声は聞き覚えのあるもので、俺とレオナルド殿下は顔を見合わす。
「この声!」
「まさか!」
俺は急いで手を伸ばして窓を開ける。すると、ひんやりとした冷気と共にその白いもっこりした何かはぴょーんっと俺達の元に飛んできた。
それは被っていた白い雪を落とし、赤い羽根を広げたが、すぐにその姿は人間の小さな子供に変化した。
「たあいまぁぁぁあ!」
そう可愛い声で俺達の元に飛び込んできたのは言うまでもない。
「「フェニッ!」」
俺達は同時に声を上げた。
フェニはすっぽんぽんで俺の懐に飛び込んでくるなり、ぎゅっと抱き着いた。相変わらず赤い髪に金色の瞳。そして俺そっくりの顔がそこにある。三歳児の姿はフェニが巣立った時とあまり変わっていない。
この頃の子供は成長著しいが、フェニは不死鳥で長命だから成長もゆっくりなのかもしれない。
「えちゅ! れお!」
フェニは元気に俺達の名前を呼んだ。
「フェニ!」
俺は久しぶりの再会にフェニをぎゅっと抱きしめた。するとフェニの嬉しそうな声が耳元で聞こえた。
「ふふふっ、えちゅ、あったかーい」
可愛い声が元気いっぱいで、俺は何だか涙ぐんでしまう。フェニが元気にしてることが嬉しくて。
「フェニ、おかえりっ」
「うん、たらいま!」
フェニの舌ったらずは相変わらずのようだ。でもそんなところも可愛い。俺はぎゅむぎゅむっとフェニを抱き締めてしまう。
「ふふっ、えちゅぅ、くるしぃー」
フェニは嬉しそうにしながら俺に言い、「ごめん!」と俺は慌てて離れた。でもフェニはにこにこしている。そんなフェニにレオナルド殿下も声をかけた。
「フェニ、元気にしていたみたいだな」
レオナルド殿下は俺達を抱えたまま、優しい瞳をフェニに向けて言った。
「うん! ふぇに、元気!」
最初はあんなにレオナルド殿下を嫌っていたのに、フェニは素直に返事をした。その二人のやり取りに俺は胸がくすぐられるような思いがする。
……すっかり二人とも仲良くなったよなぁ。ふふっ。……でも。
俺の中にふと疑問が浮かぶ。
「フェニ、あの不死鳥さんは?」
「ん? ジークのことぉ? ジークはね、今町でお仕事してるの! だからその間、じゆーにしていいって言われたから、えちゅとれおのとこに来たの!」
「そっか、でもよく俺達がここにいるってわかったね?」
フェニがいた頃、俺はまだ城にいてフェニにこの家の事は教えていなかった。なのに、どうやってここに来れたのか……。でもその疑問はすぐに晴れた。
「ふぇにね、最初はお城にいったの! けど二人がいなくて……にょーべんみちゅけて、ドコにいるの? ってきいたらココを教えてくれたのぉ!」
「あ、なるほど」
フェニは隠すことなく言い、俺はすぐに納得した。
……ノーベンさんに聞いてきたのか。なるほどなぁ。……けどあの不死鳥さんの名前、ジークさんって言うんだ。でも、不死鳥が町でお仕事?? 一体、何してるんだろう?
俺は首を傾げて、不思議に思う。でもその疑問はフェニの問いかけによって、すぐに吹き飛んだ。
「ねえねえ、えちゅ」
「ん? なに?」
呼ばれて返事をすると、フェニはキラキラと曇りのない瞳で俺に尋ねた。
「二人はなんでハダカでいるの? それにえちゅかられおの匂い、すっごくする! なんでぇ??」
フェニの何気ない質問に、俺は自分の状況を思い返す。
今は裸で、昨晩はレオナルド殿下と抱き合ったばかりだ。俺からレオナルド殿下の匂いがするという事は、つまりそう言う事をしたからで……。
「あ、うっ、そ、それはっ!」
俺は顔を真っ赤にして、言葉に詰まる。
……な、なんて答えたらいいんだッ!?!?
幼いフェニに、昨日から抱き合っていたからなんだよ、とはさすがに言えない。
「えちゅ? お顔、あかいよ??」
フェニはこてっと首を傾げて俺に言う。だから俺はますます恥ずかしくなってしまう。
……ふぇ、フェニにレオナルド殿下とそう言う事をしたなんて言えないし。どうしたらっ!?
俺は答えに困ったが、そんな俺の代わりにレオナルド殿下が答えてくれた。
「昨日は一段と寒かったから、お互いを温めあう為に裸で寝ていただけだよ。ほら、人肌は温かいだろう? それにセスから私の匂いがするのは一緒のベッドに寝たからだよ。昨日は寒くて抱き合っていたからね、匂いが強く残ってしまったんだろう」
レオナルド殿下は何気ない顔で、さらっと半分嘘の半分本当をフェニに言った。
「そっかぁ! だからえちゅかられおの匂いするんだぁ!」
フェニは疑いもせずにレオナルド殿下の言葉を素直に受け入れ、そんなフェニに俺はホッとする反面、嘘に少し罪悪感を覚えてしまう。フェニがあんまり素直に嘘を受け入れてしまうから。
……まぁ、本当の事は言えないんだけどさ。
でも、そう思った時「くちゅん!」とフェニは小さくくしゃみをした。思えばフェニはこの寒い外にいたのだ。体は冷えてはないが、髪が少し冷たい。
このままだと風邪を引いてしまうかもしれない。
「フェニ、お風呂に入って、ちょっと温まろうか。あ、お腹は空いてない?」
「ふぇに、えちゅとおふろはいる! おなかは……ちょっとすいてる??」
「なら、お風呂に入って、その後軽く食事を取ろう。ノーベンに迎えも頼まなければならないから、何か軽食を買ってきてもらえるように連絡をしておくよ。私の服は昨日の着回しでもいいが、フェニの服も必要になるだろうし」
俺の問いかけにフェニが答え、レオナルド殿下がうまくまとめてくれた。
うーん、さすがだ。手際がいい。
「わーい! えちゅとおふろっ!!」
フェニは嬉しいのか、にこにこ笑顔だ。
……フェニの巣立ちから数カ月。たった数カ月だけど、この笑顔に会えなくて寂しかった。また会えるとわかっていても、それは何年か後、もしかしたら一生会えることもないかと思っていたのに、こんなに早く再会できるなんて。
俺も嬉しくなって、自然と笑顔になってしまう。
「ふふっ、フェニは本当にお風呂が好きだね」
「うんっ、ふぇに、二人といっしょに入るの好き! こーいうの、かじょく水いらずっていうんでしょ?」
フェニの言った言葉に俺は胸打たれてしまう。“家族”という言葉に。
「……うんっ、そうだね」
俺は自然と微笑んでフェニに答えた。そしてレオナルド殿下を見ると、俺と同じように笑っていた。
……俺達は確かに自分達の子供を持てない。でも俺達にはもう大事な子がいる。そうだよね、レオ。
俺はその思いを込めてレオナルド殿下を見つめると、俺の気持ちを汲んだかのようにレオナルド殿下は優しい目で俺を見た。
「ああ、一緒に入ろうか」
「はいろーっ!」
二人の声に俺は胸がぽかぽかした。
その後、俺達は一緒にお風呂に入り、ちょうどお風呂上がりの頃にノーベンさんが軽食と服を持ってやってきた。それから俺達は三人揃って、城に戻った。
そして俺達は二人揃ってノーベンさんや父さん達にこってり絞られたのだった。
……なんだ? アレ。
そう思ったけれど、またコンコンコンッ! と音が鳴った。
「アレから音が鳴ってるんでしょうか?」
「ああ、恐らくは」
俺達は窓辺の白いもっこりした何かを見つめながら言い、俺はその存在を確かめようと体を起こした。しかし……。
「ぐぅっ!」
昨日の激しい運動で全身がバキバキに痛い。特に腰がっ!
「セス! ……昨日は久しぶりだったし、激しくしてしまったからね。ちょっと待って」
レオナルド殿下はそう言うと、俺の腰に手を当てて治癒魔法を使ってくれた。全身の筋肉痛はあるものの、腰の痛みがなくなったのはありがたい。
「ありがとうございます」
「いいんだよ。ほとんど私のせいだし」
「でも……俺も、その、いっぱい求めたし」
俺はそう言いつつ、昨日の自分の痴態を思い出してしまう。昨日はすっごくムラムラして、レオナルド殿下にすごい事を言った気がする。
……それに俺。レオナルド殿下のアレ、舐めたし、咥えたし。発情期かって言うぐらい盛った気がする。思い出せば思い出すほど恥ずかしい。
俺はポポポポッと自分の頬が赤くなっていくのがわかる。
「そうだね、昨日のセスはいつにも増して可愛かったね」
「……言わないでください」
俺は恥ずかしくてレオナルド殿下にそう言ったのだけれど、レオナルド殿下は楽しそうに俺を見て微笑んだ。
……うう、恥ずかしい。
そう恥ずかしさに俺は悶えたが、そんな間にもココココンッ! と白いもっこりした何かが窓を鳴らした。
「一緒に見に行ってみよう」
レオナルド殿下はそう言うと裸のまま先にベッドから下り、俺の背中と膝下に腕を回すとひょいっとお姫様抱っこをした。
そしてスタスタッと窓辺に歩いていく。まるで俺の重さを感じてないみたいだ。
……すごいな。俺もそれなりに体重があるのに。
俺は改めてレオナルド殿下の逞しさに感心しつつ、視線を白いもっこりした何かに向けた。
「近くで見てもわからないな」
レオナルド殿下は眉間に皺を寄せて言った。俺もよく見てみるけど、何なのかよくわからない。
……何なんだろう? この白いもっこりしたの。
そう思って眺めていると小さな声が聞こえた。
「ぴぴぃっ!」
その可愛らしい鳴き声は聞き覚えのあるもので、俺とレオナルド殿下は顔を見合わす。
「この声!」
「まさか!」
俺は急いで手を伸ばして窓を開ける。すると、ひんやりとした冷気と共にその白いもっこりした何かはぴょーんっと俺達の元に飛んできた。
それは被っていた白い雪を落とし、赤い羽根を広げたが、すぐにその姿は人間の小さな子供に変化した。
「たあいまぁぁぁあ!」
そう可愛い声で俺達の元に飛び込んできたのは言うまでもない。
「「フェニッ!」」
俺達は同時に声を上げた。
フェニはすっぽんぽんで俺の懐に飛び込んでくるなり、ぎゅっと抱き着いた。相変わらず赤い髪に金色の瞳。そして俺そっくりの顔がそこにある。三歳児の姿はフェニが巣立った時とあまり変わっていない。
この頃の子供は成長著しいが、フェニは不死鳥で長命だから成長もゆっくりなのかもしれない。
「えちゅ! れお!」
フェニは元気に俺達の名前を呼んだ。
「フェニ!」
俺は久しぶりの再会にフェニをぎゅっと抱きしめた。するとフェニの嬉しそうな声が耳元で聞こえた。
「ふふふっ、えちゅ、あったかーい」
可愛い声が元気いっぱいで、俺は何だか涙ぐんでしまう。フェニが元気にしてることが嬉しくて。
「フェニ、おかえりっ」
「うん、たらいま!」
フェニの舌ったらずは相変わらずのようだ。でもそんなところも可愛い。俺はぎゅむぎゅむっとフェニを抱き締めてしまう。
「ふふっ、えちゅぅ、くるしぃー」
フェニは嬉しそうにしながら俺に言い、「ごめん!」と俺は慌てて離れた。でもフェニはにこにこしている。そんなフェニにレオナルド殿下も声をかけた。
「フェニ、元気にしていたみたいだな」
レオナルド殿下は俺達を抱えたまま、優しい瞳をフェニに向けて言った。
「うん! ふぇに、元気!」
最初はあんなにレオナルド殿下を嫌っていたのに、フェニは素直に返事をした。その二人のやり取りに俺は胸がくすぐられるような思いがする。
……すっかり二人とも仲良くなったよなぁ。ふふっ。……でも。
俺の中にふと疑問が浮かぶ。
「フェニ、あの不死鳥さんは?」
「ん? ジークのことぉ? ジークはね、今町でお仕事してるの! だからその間、じゆーにしていいって言われたから、えちゅとれおのとこに来たの!」
「そっか、でもよく俺達がここにいるってわかったね?」
フェニがいた頃、俺はまだ城にいてフェニにこの家の事は教えていなかった。なのに、どうやってここに来れたのか……。でもその疑問はすぐに晴れた。
「ふぇにね、最初はお城にいったの! けど二人がいなくて……にょーべんみちゅけて、ドコにいるの? ってきいたらココを教えてくれたのぉ!」
「あ、なるほど」
フェニは隠すことなく言い、俺はすぐに納得した。
……ノーベンさんに聞いてきたのか。なるほどなぁ。……けどあの不死鳥さんの名前、ジークさんって言うんだ。でも、不死鳥が町でお仕事?? 一体、何してるんだろう?
俺は首を傾げて、不思議に思う。でもその疑問はフェニの問いかけによって、すぐに吹き飛んだ。
「ねえねえ、えちゅ」
「ん? なに?」
呼ばれて返事をすると、フェニはキラキラと曇りのない瞳で俺に尋ねた。
「二人はなんでハダカでいるの? それにえちゅかられおの匂い、すっごくする! なんでぇ??」
フェニの何気ない質問に、俺は自分の状況を思い返す。
今は裸で、昨晩はレオナルド殿下と抱き合ったばかりだ。俺からレオナルド殿下の匂いがするという事は、つまりそう言う事をしたからで……。
「あ、うっ、そ、それはっ!」
俺は顔を真っ赤にして、言葉に詰まる。
……な、なんて答えたらいいんだッ!?!?
幼いフェニに、昨日から抱き合っていたからなんだよ、とはさすがに言えない。
「えちゅ? お顔、あかいよ??」
フェニはこてっと首を傾げて俺に言う。だから俺はますます恥ずかしくなってしまう。
……ふぇ、フェニにレオナルド殿下とそう言う事をしたなんて言えないし。どうしたらっ!?
俺は答えに困ったが、そんな俺の代わりにレオナルド殿下が答えてくれた。
「昨日は一段と寒かったから、お互いを温めあう為に裸で寝ていただけだよ。ほら、人肌は温かいだろう? それにセスから私の匂いがするのは一緒のベッドに寝たからだよ。昨日は寒くて抱き合っていたからね、匂いが強く残ってしまったんだろう」
レオナルド殿下は何気ない顔で、さらっと半分嘘の半分本当をフェニに言った。
「そっかぁ! だからえちゅかられおの匂いするんだぁ!」
フェニは疑いもせずにレオナルド殿下の言葉を素直に受け入れ、そんなフェニに俺はホッとする反面、嘘に少し罪悪感を覚えてしまう。フェニがあんまり素直に嘘を受け入れてしまうから。
……まぁ、本当の事は言えないんだけどさ。
でも、そう思った時「くちゅん!」とフェニは小さくくしゃみをした。思えばフェニはこの寒い外にいたのだ。体は冷えてはないが、髪が少し冷たい。
このままだと風邪を引いてしまうかもしれない。
「フェニ、お風呂に入って、ちょっと温まろうか。あ、お腹は空いてない?」
「ふぇに、えちゅとおふろはいる! おなかは……ちょっとすいてる??」
「なら、お風呂に入って、その後軽く食事を取ろう。ノーベンに迎えも頼まなければならないから、何か軽食を買ってきてもらえるように連絡をしておくよ。私の服は昨日の着回しでもいいが、フェニの服も必要になるだろうし」
俺の問いかけにフェニが答え、レオナルド殿下がうまくまとめてくれた。
うーん、さすがだ。手際がいい。
「わーい! えちゅとおふろっ!!」
フェニは嬉しいのか、にこにこ笑顔だ。
……フェニの巣立ちから数カ月。たった数カ月だけど、この笑顔に会えなくて寂しかった。また会えるとわかっていても、それは何年か後、もしかしたら一生会えることもないかと思っていたのに、こんなに早く再会できるなんて。
俺も嬉しくなって、自然と笑顔になってしまう。
「ふふっ、フェニは本当にお風呂が好きだね」
「うんっ、ふぇに、二人といっしょに入るの好き! こーいうの、かじょく水いらずっていうんでしょ?」
フェニの言った言葉に俺は胸打たれてしまう。“家族”という言葉に。
「……うんっ、そうだね」
俺は自然と微笑んでフェニに答えた。そしてレオナルド殿下を見ると、俺と同じように笑っていた。
……俺達は確かに自分達の子供を持てない。でも俺達にはもう大事な子がいる。そうだよね、レオ。
俺はその思いを込めてレオナルド殿下を見つめると、俺の気持ちを汲んだかのようにレオナルド殿下は優しい目で俺を見た。
「ああ、一緒に入ろうか」
「はいろーっ!」
二人の声に俺は胸がぽかぽかした。
その後、俺達は一緒にお風呂に入り、ちょうどお風呂上がりの頃にノーベンさんが軽食と服を持ってやってきた。それから俺達は三人揃って、城に戻った。
そして俺達は二人揃ってノーベンさんや父さん達にこってり絞られたのだった。
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