殿下、俺でいいんですか!?

神谷レイン

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殿下、ちょっと待って!!

19 冬の夜

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 曇り空が覆うある日の冬の夜。

 一人でお風呂に入った後、私室に戻ってきた俺は椅子に座っているレオナルド殿下の姿を見つけた。レオナルド殿下は長い足を組んで、何やら思案顔だ。

「レオナルド殿下、おかえりなさい」
「ああ、ただいま。セス」

 レオナルド殿下は覇気のない声で俺に言った。

 ……どうしたんだろう? 最近仕事ばっかりで疲れているのかな?

 そう思ったがレオナルド殿下に手招きされた。

「セス、こっちに来て座って」
「はい?」

 俺は返事をして、レオナルド殿下の向かいのテーブル席に座った。

「どうしたんですか?」

 俺はなんだろう? と思って尋ねた。
 でもレオナルド殿下は言いにくそうな顔で答えない。こんなレオナルド殿下は珍しい。いや、初めてと言ってもいいかもしれないぐらいだ。

 ……どうしたんだろう? 何かあったのかな?

「レオナルド殿下?」

 問いかけても何も答えてくれない。目さえも俺に合わそうとしなかった。

 ……深刻な悩みでもあるのかな。

 俺は心配になり、何かできないかと考える。

「あ、とりあえずお茶でも飲みませんか? 俺が淹れますね」

 俺はそう言ってお茶を淹れに行こうとした。でもそんな俺をレオナルド殿下は引き止めた。

「いや、お茶はいい」
「え、でも……」

 俺が呟くと、レオナルド殿下は大きな息を吐き、そして俺をようやく真っすぐと見た。

 ……なんだろう? 何か、嫌な予感がする。

 俺は胸の奥がちりっと焦げ付く様な感じがした。そして俺の嫌な予感は当たってしまった。








「セス、私と別れて欲しい」
「……え?」









おわり


*************

次回予告
ついに「殿下、俺でいいんですか!?」最終章突入。

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