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殿下、何してるんですか!?
1 新婚生活
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一度は完結いたしましたが、多くのお気に入り、そして感想を頂きまして、続編を書いてしまいました。
しかも本編より長く……(汗)
今回も楽しく読んでいただけると、幸いです。
↓↓お話はこちらから↓↓
*******
レオナルド殿下と結婚してから、早一ヶ月。まだ夏真っ盛りの時期。
……おかしい。
俺はそう思いながら鏡の前で腕を組んだ。そこには平凡な青年がいる。
茶色の髪に緑の瞳、身長はそこそこで筋肉のないひょろっとした体格。顔の角度をくいっくいっと変えてみるが、一カ月前と何も変わっていない。
変わった所と言えば、長かった髪を結婚式の前にちょこっと切られたぐらいだ。
……やっぱり、何度見ても普通だよなぁ?
俺はそんな事を思いながら、うーん? と眉間に皺を寄せて唸る。
実は最近、俺はある悩みを抱えていた。
その悩みというのは、俺がレオナルド殿下と結婚したと言うのに誰からも悪口を言われないと言う事だ。
普通だったら悪口のひとつやふたつ、言われてもおかしくないのに。もしも俺が女であっても、きっと言われただろう。
……なのに、だーれも俺の悪口を言わないんだよなぁ? あんなイケメンで優しいレオナルド殿下と結婚した相手が俺だっていうのに。普通だったら何かしら言われてるよなぁ? でも何一つ聞かないし。……俺ってイケメンになったかな? って思って確認したけど、全然顔は一緒だし。
俺はもう一度鏡を見て、自分の顔を確認する。やっぱり、そこには平凡な青年の顔しかない。両頬に手を当てて、むにっと抑えてみる。
「うーん、変な顔?」
俺は首を傾げて唸った。
俺の知らないところで悪口を言われてるんだろうか? まあ、悪口って本人の前であんまり言うもんじゃないしな~。きっと影で『どうしてレオナルド殿下はあんなブサイクと結婚したのかしら? 信じられない!』とでも言われているんだろう。
俺はうんうんっと一人納得して頷く。だが、『ブサイク』と言う言葉に少しへこむ、自分で考えたのに。
俺って平凡顔だけど、ブサイクじゃないよな~? 一応。
不安になった俺は鏡に近寄って自分の顔をじっと見つめる。
だがそこへ、この部屋の主が帰ってきた。
「おや? 今日は早かったんだね、セス」
部屋のドアを開けて、爽やかに入ってきたのは俺の旦那様であるレオナルド殿下だ。
「レオナルド殿下」
「鏡を見て、何をしていたんだい?」
レオナルド殿下は軽やかな足取りで俺に近づき、隣に立って言った。鏡に映るのは美丈夫と平凡な男。
……むむっ、隣に立たれると俺の平凡具合がより際立つっ。
ちらりと隣に立つ本物のレオナルド殿下を見れば、そこには目鼻立ちのしっかりした男らしい顔立ちと豪奢な金髪、青い瞳、そして190㎝ある逞しい体躯。誰もが見惚れる美丈夫がいた。まるで絵画に出てくる軍神のよう。
……俺、本当になんでこの人と結婚できたんだろう?
レオナルド殿下は俺の事を好きだと言ってくれたけれど、俺はまだ不思議だった。俺の取り柄と言えば、雑草と薬草を見分けられるぐらいだし、治癒魔法を使えるぐらいだ。
治癒魔法を使える者はそう多くはないが、俺だけが特別なわけではない。それに驚くことなかれ……レオナルド殿下も治癒魔法を使えるのだ。というかレオナルド殿下は攻撃、防御、治癒魔法、何でも使える。俺は治癒魔法しか使えない。
その上、剣士としても一流なので騎士団の団員よりも強いらしく、公務もそつなくこなしている。きっと俺だったら書類の山を作っているはずだ。
……うむむっ、レオナルド殿下、おそるべし。
俺は口をむぐっと閉じて、レオナルド殿下を見つめた。すると、そんな俺にレオナルド殿下は身を屈めると、予告もなしにちゅっとキスをしてきた。
ぎゃわ!
「な、何するんですか!」
俺はレオナルド殿下から後退って距離を取る。けれど、レオナルド殿下はニコニコ笑顔だ。
「何って、セスが私を見るからキスして欲しいのかな? って」
レオナルド殿下は全然悪びれる素振りもなく俺に言った。
「ち、違いますよ」
俺は口元を片手で抑えて答えたが、レオナルド殿下は「そう?」と楽し気だ。
夫夫なのだから当たり前と言ったら当たり前なのだが、レオナルド殿下は俺に一日一回は必ずキスをしてくる。隙あらば、一回と言わず二回、三回と。
それを拒否するのも変なので何も言わないけれど、やっぱり恥ずかしい。
……今日は朝に二回、廊下で会った時に影で一回、計三回もされたからもうないと思ったのに。……やっぱりここへ引っ越しするの早まったかな?
俺はひとり、そんな事を思う。
実はつい先週、俺はレオナルド殿下の私室に引っ越してきていた。
なぜなら結婚式の翌日にレオナルド殿下に『いつ引っ越してくるの?』と尋ねられたからだ。俺は全然引っ越す予定はなかったんだけど『結婚したのだから一緒に暮らさなければ変だろう?』と言われてしまって、俺に拒否権はなかった。
まあ、レオナルド殿下は『ゆっくりでいいよ』と言ってくれたけれど。
でも、その後すぐに大家のおじいちゃんに『申し訳ないんじゃが、急な改築工事が入ってのぉ。期日中に出て行ってもらえんかの?』と頼まれてしまって……。気に入って住んでいたけれど、そう言われたら出て行くしかない。大家のおじいちゃんには今までよくして貰ったから、困らせたくなかった。
という訳で、俺は考えていた予定よりずっと早くレオナルド殿下の部屋に転がり込むことになった。
一瞬、他の部屋を借りるか? と考えたけれど、新しい部屋を探す時間もないし、レオナルド殿下に言えば『ここにおいでよ!』と強く言われたので、今はありがたく一緒に住まわせてもらっている。
今では広かった部屋が俺の持ってきたたくさんの植木鉢で少し狭くなったが、レオナルド殿下は嫌な顔をせず自ら花に水やりをしてくれている。
その上、この部屋に来てから俺は服の洗濯も掃除も食事さえ作る必要がなくなった。全て城仕えの使用人や料理人がしてくれるからだ。おかげで、申し訳ないぐらい楽をさせてもらっている。しかも城は王族の持ち物なので、家賃ナシ。
あまりの好待遇に一般庶民出の俺は困惑したが、レオナルド殿下が『セスも王族になったんだ。つまりこれから式典や何かしらの行事があれば、我々は駆り出される身だから、その対価として受け取っていると思ったらいいんだよ』と言われ、俺は納得した。
でも、まだ自分の下着を誰かに洗ってもらうのは忍びないので手洗いして部屋で干してるが。
本当に良くしてもらっていて、申し訳なく思う。……ただ一つ問題を除いて。
ナデッ、ナデナデッ。
レオナルド殿下の手が俺のお尻を触ってくる。
「れ、レオナルド殿下」
「ん? なに?」
何って俺のお尻、触ってますけど……。俺のお尻、触るの楽しいのか??
それは、この部屋に住んでからキスや軽いお触り、レオナルド殿の愛の囁きに晒される毎日だという事だ。
こうやってお尻を触られるぐらいはいいけど、キスはまだ慣れない。おかげで胸がいつも忙しなくなる。
もっとすごい事も毎日してるのに……俺はどうやったら慣れるんだろう?
俺はレオナルド殿下との情交を思い出して、ひとりで顔を赤くする。結婚した初夜、そして次の日も俺はレオナルド殿下にぱくりと食われ、一緒に住むようになった今は毎日おいしく頂かれている。
だが別々に住んでいた時は、キスは一回あるかないかで、それに抱かれることもなかった。
なーんだ、初夜だからレオナルド殿下も張り切ったんだなぁー。そっかそっかぁ~。と能天気に思っていたら、この有様だ。こんなに毎日食われるなら引っ越しも考えたのに、と思うほど毎日ぐずぐずになるまで愛されている。
……俺みたいなの、すぐに飽きるだろうと思ったのに、この一週間全然ペースが落ちない。摩訶不思議過ぎる。俺、レオナルド殿下にだけ効くフェロモンでもでてるのかな?
うーん? とそんな事を考え、くんかくんか自分の匂いを確認している最中。今度は俺のお尻をもにっと触って、いや揉んできた。
ぴゃあ!
「セス、お風呂はまだみたいだね。一緒に入ろうか。明日は休みだろう?」
レオナルド殿下は色っぽい目で俺を見て、誘ってきた。
この瞬間、いつも恥ずかしい。この後何が待っているのか、俺はもう知っているから。
でも、いつもレオナルド殿下は俺を気持ち良くしてくれるから断る理由はない。俺だって立派な二十歳の若者なのだ。性欲はそれなりにある。
ただし、初夜みたいに抱き潰されたら次の日動けないので、一日一回だけと俺達の間で決めた……俺が休みの日以外の日は。
「セス、いいかな?」
レオナルド殿下は甘えるように俺に尋ねてきた。
……今日は何回するんだろう。あんまりされちゃうと俺、ヘロヘロになっちゃうからな。あまり多くない方がいいんだけど。
そう思いつつもドキドキと期待しながら、俺はこくこくっと頷いて答えた。するとレオナルド殿下は満足そうに微笑んだ。
昔は可愛い女の子と、と思っていたけど今はもう女の子を抱ける気がしない。だってレオナルド殿下が俺をこんなにも愛してくれてるから。
「じゃあ、行こうか」
レオナルド殿下は俺の腰に手を回して、逃がさないぞって言う風に俺を風呂場にまで連行、いや連れてってくれた。
その後、風呂場で愛され、ベッドの上でも愛され、俺は結局ヘロヘロになったけど、幸せな新婚生活に俺は満たされていた。
だが、これは嵐が来る前の静けさだったーーーーー。
***あとがき***
今日から終わりまで、毎日23時投稿です。
明日もお楽しみに!
しかも本編より長く……(汗)
今回も楽しく読んでいただけると、幸いです。
↓↓お話はこちらから↓↓
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レオナルド殿下と結婚してから、早一ヶ月。まだ夏真っ盛りの時期。
……おかしい。
俺はそう思いながら鏡の前で腕を組んだ。そこには平凡な青年がいる。
茶色の髪に緑の瞳、身長はそこそこで筋肉のないひょろっとした体格。顔の角度をくいっくいっと変えてみるが、一カ月前と何も変わっていない。
変わった所と言えば、長かった髪を結婚式の前にちょこっと切られたぐらいだ。
……やっぱり、何度見ても普通だよなぁ?
俺はそんな事を思いながら、うーん? と眉間に皺を寄せて唸る。
実は最近、俺はある悩みを抱えていた。
その悩みというのは、俺がレオナルド殿下と結婚したと言うのに誰からも悪口を言われないと言う事だ。
普通だったら悪口のひとつやふたつ、言われてもおかしくないのに。もしも俺が女であっても、きっと言われただろう。
……なのに、だーれも俺の悪口を言わないんだよなぁ? あんなイケメンで優しいレオナルド殿下と結婚した相手が俺だっていうのに。普通だったら何かしら言われてるよなぁ? でも何一つ聞かないし。……俺ってイケメンになったかな? って思って確認したけど、全然顔は一緒だし。
俺はもう一度鏡を見て、自分の顔を確認する。やっぱり、そこには平凡な青年の顔しかない。両頬に手を当てて、むにっと抑えてみる。
「うーん、変な顔?」
俺は首を傾げて唸った。
俺の知らないところで悪口を言われてるんだろうか? まあ、悪口って本人の前であんまり言うもんじゃないしな~。きっと影で『どうしてレオナルド殿下はあんなブサイクと結婚したのかしら? 信じられない!』とでも言われているんだろう。
俺はうんうんっと一人納得して頷く。だが、『ブサイク』と言う言葉に少しへこむ、自分で考えたのに。
俺って平凡顔だけど、ブサイクじゃないよな~? 一応。
不安になった俺は鏡に近寄って自分の顔をじっと見つめる。
だがそこへ、この部屋の主が帰ってきた。
「おや? 今日は早かったんだね、セス」
部屋のドアを開けて、爽やかに入ってきたのは俺の旦那様であるレオナルド殿下だ。
「レオナルド殿下」
「鏡を見て、何をしていたんだい?」
レオナルド殿下は軽やかな足取りで俺に近づき、隣に立って言った。鏡に映るのは美丈夫と平凡な男。
……むむっ、隣に立たれると俺の平凡具合がより際立つっ。
ちらりと隣に立つ本物のレオナルド殿下を見れば、そこには目鼻立ちのしっかりした男らしい顔立ちと豪奢な金髪、青い瞳、そして190㎝ある逞しい体躯。誰もが見惚れる美丈夫がいた。まるで絵画に出てくる軍神のよう。
……俺、本当になんでこの人と結婚できたんだろう?
レオナルド殿下は俺の事を好きだと言ってくれたけれど、俺はまだ不思議だった。俺の取り柄と言えば、雑草と薬草を見分けられるぐらいだし、治癒魔法を使えるぐらいだ。
治癒魔法を使える者はそう多くはないが、俺だけが特別なわけではない。それに驚くことなかれ……レオナルド殿下も治癒魔法を使えるのだ。というかレオナルド殿下は攻撃、防御、治癒魔法、何でも使える。俺は治癒魔法しか使えない。
その上、剣士としても一流なので騎士団の団員よりも強いらしく、公務もそつなくこなしている。きっと俺だったら書類の山を作っているはずだ。
……うむむっ、レオナルド殿下、おそるべし。
俺は口をむぐっと閉じて、レオナルド殿下を見つめた。すると、そんな俺にレオナルド殿下は身を屈めると、予告もなしにちゅっとキスをしてきた。
ぎゃわ!
「な、何するんですか!」
俺はレオナルド殿下から後退って距離を取る。けれど、レオナルド殿下はニコニコ笑顔だ。
「何って、セスが私を見るからキスして欲しいのかな? って」
レオナルド殿下は全然悪びれる素振りもなく俺に言った。
「ち、違いますよ」
俺は口元を片手で抑えて答えたが、レオナルド殿下は「そう?」と楽し気だ。
夫夫なのだから当たり前と言ったら当たり前なのだが、レオナルド殿下は俺に一日一回は必ずキスをしてくる。隙あらば、一回と言わず二回、三回と。
それを拒否するのも変なので何も言わないけれど、やっぱり恥ずかしい。
……今日は朝に二回、廊下で会った時に影で一回、計三回もされたからもうないと思ったのに。……やっぱりここへ引っ越しするの早まったかな?
俺はひとり、そんな事を思う。
実はつい先週、俺はレオナルド殿下の私室に引っ越してきていた。
なぜなら結婚式の翌日にレオナルド殿下に『いつ引っ越してくるの?』と尋ねられたからだ。俺は全然引っ越す予定はなかったんだけど『結婚したのだから一緒に暮らさなければ変だろう?』と言われてしまって、俺に拒否権はなかった。
まあ、レオナルド殿下は『ゆっくりでいいよ』と言ってくれたけれど。
でも、その後すぐに大家のおじいちゃんに『申し訳ないんじゃが、急な改築工事が入ってのぉ。期日中に出て行ってもらえんかの?』と頼まれてしまって……。気に入って住んでいたけれど、そう言われたら出て行くしかない。大家のおじいちゃんには今までよくして貰ったから、困らせたくなかった。
という訳で、俺は考えていた予定よりずっと早くレオナルド殿下の部屋に転がり込むことになった。
一瞬、他の部屋を借りるか? と考えたけれど、新しい部屋を探す時間もないし、レオナルド殿下に言えば『ここにおいでよ!』と強く言われたので、今はありがたく一緒に住まわせてもらっている。
今では広かった部屋が俺の持ってきたたくさんの植木鉢で少し狭くなったが、レオナルド殿下は嫌な顔をせず自ら花に水やりをしてくれている。
その上、この部屋に来てから俺は服の洗濯も掃除も食事さえ作る必要がなくなった。全て城仕えの使用人や料理人がしてくれるからだ。おかげで、申し訳ないぐらい楽をさせてもらっている。しかも城は王族の持ち物なので、家賃ナシ。
あまりの好待遇に一般庶民出の俺は困惑したが、レオナルド殿下が『セスも王族になったんだ。つまりこれから式典や何かしらの行事があれば、我々は駆り出される身だから、その対価として受け取っていると思ったらいいんだよ』と言われ、俺は納得した。
でも、まだ自分の下着を誰かに洗ってもらうのは忍びないので手洗いして部屋で干してるが。
本当に良くしてもらっていて、申し訳なく思う。……ただ一つ問題を除いて。
ナデッ、ナデナデッ。
レオナルド殿下の手が俺のお尻を触ってくる。
「れ、レオナルド殿下」
「ん? なに?」
何って俺のお尻、触ってますけど……。俺のお尻、触るの楽しいのか??
それは、この部屋に住んでからキスや軽いお触り、レオナルド殿の愛の囁きに晒される毎日だという事だ。
こうやってお尻を触られるぐらいはいいけど、キスはまだ慣れない。おかげで胸がいつも忙しなくなる。
もっとすごい事も毎日してるのに……俺はどうやったら慣れるんだろう?
俺はレオナルド殿下との情交を思い出して、ひとりで顔を赤くする。結婚した初夜、そして次の日も俺はレオナルド殿下にぱくりと食われ、一緒に住むようになった今は毎日おいしく頂かれている。
だが別々に住んでいた時は、キスは一回あるかないかで、それに抱かれることもなかった。
なーんだ、初夜だからレオナルド殿下も張り切ったんだなぁー。そっかそっかぁ~。と能天気に思っていたら、この有様だ。こんなに毎日食われるなら引っ越しも考えたのに、と思うほど毎日ぐずぐずになるまで愛されている。
……俺みたいなの、すぐに飽きるだろうと思ったのに、この一週間全然ペースが落ちない。摩訶不思議過ぎる。俺、レオナルド殿下にだけ効くフェロモンでもでてるのかな?
うーん? とそんな事を考え、くんかくんか自分の匂いを確認している最中。今度は俺のお尻をもにっと触って、いや揉んできた。
ぴゃあ!
「セス、お風呂はまだみたいだね。一緒に入ろうか。明日は休みだろう?」
レオナルド殿下は色っぽい目で俺を見て、誘ってきた。
この瞬間、いつも恥ずかしい。この後何が待っているのか、俺はもう知っているから。
でも、いつもレオナルド殿下は俺を気持ち良くしてくれるから断る理由はない。俺だって立派な二十歳の若者なのだ。性欲はそれなりにある。
ただし、初夜みたいに抱き潰されたら次の日動けないので、一日一回だけと俺達の間で決めた……俺が休みの日以外の日は。
「セス、いいかな?」
レオナルド殿下は甘えるように俺に尋ねてきた。
……今日は何回するんだろう。あんまりされちゃうと俺、ヘロヘロになっちゃうからな。あまり多くない方がいいんだけど。
そう思いつつもドキドキと期待しながら、俺はこくこくっと頷いて答えた。するとレオナルド殿下は満足そうに微笑んだ。
昔は可愛い女の子と、と思っていたけど今はもう女の子を抱ける気がしない。だってレオナルド殿下が俺をこんなにも愛してくれてるから。
「じゃあ、行こうか」
レオナルド殿下は俺の腰に手を回して、逃がさないぞって言う風に俺を風呂場にまで連行、いや連れてってくれた。
その後、風呂場で愛され、ベッドの上でも愛され、俺は結局ヘロヘロになったけど、幸せな新婚生活に俺は満たされていた。
だが、これは嵐が来る前の静けさだったーーーーー。
***あとがき***
今日から終わりまで、毎日23時投稿です。
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