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本編
1 形式上の結婚!?
しおりを挟む「セス、新しい薬草が入ったから、ここに入れておくぞ」
「ありがとうございます、薬長」
俺は薬草を鍋で煮詰めながら、声をかけてくれた上司に返事をした。
俺の名前はセス・ダンウィッカー。
治癒魔法も使いつつ、薬草などで患者を治す薬剤魔術師という仕事をしている。そして王宮内にあるこの薬科室(やっかしつ)が俺の仕事場だ。俺はここで主に薬を作りを任されている。治癒魔法も使えるが薬作りの方が得意だからだ。
「じゃあ、私は先に帰るぞ。戸締りはしっかりな」
ナイスミドルな俺の上司、ウィギー薬長は鞄を手に言った。
いつの間にやら帰り支度を終えていたらしい。
「はい、今日もお疲れ様でした」
俺は労いの言葉を告げる。だが、まだまだ帰る様子のない俺を見て薬長は小さく息を吐いた。
「セスも仕事をそこそこにして早く帰るんだぞ?」
薬長は釘を刺すように言った。俺がいつも遅くまで薬科室にいて、家に帰らないからだ。
……だって、薬を作るのが楽しくて。でも、正直に答えたら怒られるよなぁ。
なので俺は素直に「はぁーい」と返事をした。でも薬長の片眉がくいっと上がる。
「セス、返事だけじゃだめだぞ? 先週もここに泊まっていたの、知っているんだからな。薬剤魔術師が不養生なんて笑えないぞ」
考えを見透かされて俺は顔を引きつらせる。
「うっ。わ、わかってはいるんですけど。薬を作り始めると、どうも熱中しちゃって。えへへ」
俺は笑って誤魔化したが、薬長は呆れ顔だ。
「真面目な部下を持てて嬉しいがほどほどにな。……セスも家族を作ったら、早く帰るようになるぞ。じゃあ、私は帰るからな」
薬長はそう言うと、足早に帰って行った。
四十五歳の薬長は五年前に結婚して、今は二人の子持ちだ。上の子は三歳、下の子は一歳になったばかりで、早く帰って可愛い子供達と奥さんの顔を見たいのだろう。
結婚するまでは俺と変わらないぐらい薬作りに没頭していたと言うが、信じられない話だ。
……家族ねぇ。
俺は鍋の中身を掻きまわしながら、一人残った薬科室で思う。そして壁にかかっている鏡が目に入る。
そこに映るのは二十歳になったばかりの茶髪の青年。身長は175㎝とそこそこあるが、ひょろっとしているので、子供の頃からつくしみたいだと言われてきた。
顔の造りは……まあ普通、かな? よくも悪くもない、と思う。垂れ目で、緑の瞳。最近散髪に行っていないから、髪が伸びっ放しだ。前髪も切りに行かなくちゃな。……しかし結婚かぁ。してみたいけど、今は仕事の方が楽しいしなぁ。
考えないわけではないが、まだ早いと思ってしまう。うちの国では二十歳から結婚できる、だから俺もできるんだけど、まず肝心の相手がいない。
というか、今まで薬草オタクだったせいで女の人と付き合ったことがないのだ。なのでまだ清い体のまま。
いつかは恋をして、結婚したいとは思うけれど、それはまだ先の話だよなー。
そんな事を思いながら俺は鍋を掻きまわした。だが、そうこうしている内に薬草が煮詰まり色を変えた。出来上がりの印だ。
「今日は早く帰って、俺もゆっくりするかー」
明日は休みだ。久しぶりにゆっくりしよう、家の掃除とか買い物もあるし。
俺はそう思って、薬草を煮詰めていた鍋を火からおろして蓋をした。あとは冷やして瓶に移すだけで回復薬が完成だ。でも、それは明日出勤する同僚に任せていいだろう。
俺はメモを残し、帰り支度をして薬科室の明かりを消して王宮を出ることにした。
……今日の夕飯は何にしようかなぁ。久しぶりに外に食べに行こうかな?
俺は親元を離れているので、今は王宮の近くに部屋を借りて自由気ままな一人暮らしをしている。
俺が借りている部屋は王宮にも近いが、商店街にも歩いて行ける距離で、尚且つ綺麗でおじいちゃん大家さんもいい人だ。なのにすっごい破格の値段で借りられているので、俺は運がいい。
そしてその近くに安くておいしいご飯屋さんもあって、さすがに毎日はいけないけど時々食べに行っている。
俺はそこのメニューを思い出しながら、今日は何を頼もうかな? と歩きながら考える。
……お店のご飯、全部おいしいんだよなぁ。今日のおすすめメニューは何だろ?
そんな事を考えて渡り廊下を歩いていると、突然後ろから声をかけられた。
「セスッ!」
呼ばれて振り向けば、そこには目も眩むような美丈夫が立っていた。
掻き上げられた豪奢な金髪にサファイアのような瞳、少し焼けた肌に肉厚の唇。190㎝はある、がっしりとした体躯。胸板は厚く二の腕は太い。
腰に剣を携えて、物語に出てきそうな勇ましい騎士がそこにいた。
だが、彼は騎士ではない。この美丈夫は今年三十一歳になるバーセル王国の第三王子、レオナルド殿下だ。
「レオナルド殿下」
俺が名を呼ぶとレオナルド殿下は俺の前まで来て、男らしく口角を上げて微笑んだ。
「やあ、セス。今から帰るのかい?」
「ええ、仕事も終わりましたので」
俺はにこやかに返した。しかし前に立たれると圧がすごい。うむむっ。
「そうか、お仕事お疲れ様。セスが帰る前に一目会いたいと思っていたから良かった」
レオナルド殿下は爽やかに笑って言った。まるで春風のような笑みだ。
……うう、天然人たらしだなぁ。こんな笑顔を見せられたら、女の子、卒倒しちゃうよ。
俺はレオナルド殿下を見ながら思う。
……しかしレオナルド殿下は律儀だなぁ。こんな俺にも声をかけてくれて。
レオナルド殿下は王宮内で俺を見かけると必ず声をかけてくれるのだ、今回みたいに。
だが、俺はわかっている。別に俺だけが特別じゃないって事。レオナルド殿下は優しいから、俺みたいなのにも気をかけてくれているのだ。
あと、レオナルド殿下の乳母が俺の母親だったので、小さい頃から俺達は何度も顔を合わせている仲なのだ。今では俺自身も王宮勤めになったので、レオナルド殿下は親しくして下さっている。
けど特別じゃないとわかっていても、声をかけられるのは素直に嬉しい。
「俺もレオナルド殿下に会えて嬉しいですよ」
俺が言うと、レオナルド殿下は目を細めて嬉しそうに笑った。春風だけじゃなく、花吹雪まで起こりそうな笑みだ。
……俺、男で良かったな。女の子だったら、絶対ドキドキして話してらんないよ。
しかしそんなことを思っていると、レオナルド殿下は何かを思い出したようだ。
「あ、セス! セスに貰った花がもうすぐ咲きそうなんだ、今度私の部屋に見に来てくれないか?」
言われて俺は二ヵ月前にレオナルド殿下にあげた鉢植えを思い出した。植物を育ててみたいと言ったレオナルド殿下に、俺が趣味で育てている花の鉢植えを一つ差し上げたのだ。
それをきちんと部屋で育てたのだろう。
「ええ、いいですよ」
俺が頷いて言うと、レオナルド殿下は「絶対だよ?」とにっこりと笑った。
そんな笑顔で誘われたら、誰も断れないのでは?
俺は心の中でそう思ったけれど、口には出さなかった。その内、そレオナルド殿下に後ろについていた従者が小さく声をかけた。
「レオナルド様、セス様はお帰りの際だったのですから、そろそろ」
従者が声をかけるとレオナルド殿下はハッとし、申し訳なさそうな顔をした。でもそんな顔もカッコいい。イケメンってどんな角度もカッコいいもんだなぁ、と俺はまじまじとレオナルド殿下を眺めてしまう。イケメンは男でも見飽きないものだ。
「帰る前に呼び止めてごめんね」
「いえ、いつでもお声かけ下さい」
俺が言うとレオナルド殿下はほっとした顔を見せた。
「ああ。じゃあ、気を付けて帰るんだよ、セス」
「はい。ではまた」
俺はそう答えてレオナルド殿下に別れを言い、ぺこりと会釈をして、その場を立ち去った。
……本当にレオナルド殿下はいい方だな。俺にもあんなに目をかけてくれるんだから。……でもレオナルド殿下ってあんなにいい人なのに、まだ結婚してないんだよな。レオナルド殿下ほどの人なら、選び放題だろうに。理想が高いのかな? それとも誰か好きな人でもいるのかな? うーん。
俺はそんな事を思いながら夕暮れる帰り道を歩いた。
だが、その後ろ姿を獲物を見るような目でレオナルド殿下に見られていたとは知る由もなかった。
それから休日明けの出勤日。
出勤したと同時に、俺は王に呼び出しを食らった。
何かしたかな? と不安に思いながら王の執務室に訪れたら、思いもよらない言葉を告げられた。
だから俺は、向かいのソファに座る国王陛下に向かって、間抜け面のまま問い返してしまった。
「はぃ?」
「だから、うちの三男坊と結婚して欲しい」
さっきと同じ言葉が聞こえて俺はいよいよ耳がおかしくなったのかと、自分の耳を疑う。しかし、陛下は俺の気持ちを見透かしたように「お前の耳は正常だぞ」と言ってくる。
「いやいや、どういうことでしょうか?! レオナルド殿下と自分が?! 一体どうしたら、そんな事に!」
俺は驚きのあまり声を上げて言った。陛下もレオナルド殿下と同じで体躯が良く、六十過ぎだというのにまだまだ王の威厳がある。
俺はその威圧感に負けじと、じっと陛下を見た。
「一年前に同性婚が法律で認められたのは知っているよな?」
「え? ああ、はい、知っていますが」
思わぬ言葉に俺は一瞬驚いたが、去年同性婚がこの国で認められたことを思い出した。
うちの国には昔から一定数の同性カップルがいたが、法律で認められてはいなかった。なので、そろそろ国でしっかり認めようと陛下が去年、同性婚を許可したのだ。
だが、それがどうしたと言うんだろう?
「同性婚を認めたが、この一年、申請した者は数少ない。認知されていないのもあるのだろうが、世間的にまだ認められていないのだろう」
「いや、それは違うと思いますが……」
申請者が少ないのは、別に結婚しなくても構わないと思っている同性カップルもいるからだ。それに世間的に認められてない事はない。昔、俺の近所には数組の同性カップルがいたが、普通に近所づきあいしていたし。
でも王宮からあまり出ない陛下にはわからないのかもしれない。そう思って口を開こうとしたがその前に陛下から言われた。
「そこでセスにお願いだ。俺の息子、レオナルドと結婚して欲しい」
「だから、どうしてそうなるんですかっ!」
話の脈絡が全く分からない!
でも陛下は話を続けた。
「王族であるレオナルドがお前と結婚すれば、周知にもなるし同性婚に懐疑的な者達も認めざるをえないだろう」
陛下は冗談抜きの、真面目な顔で俺に言った。
どうなったらそうなるんだ!? 確かに王族が同性婚をすれば、広まるとは思うが……。
「いや、待ってください。レオナルド殿下になら自分ではなく、もっと別の子が良いと思います。自分とレオナルド殿下では見劣りしかしないと思いますし……それにレオナルド殿下は納得しているんですか?!」
俺はついつい声を張り上げて言ってしまった。
陛下に失礼だったかな? と言った後に思ったが、陛下は怒ったりしなかった。むしろ至極冷静で。
「レオナルドは承認済みだ。それにリーナの息子であるお前なら、うちのレオナルドを任せられる」
「うえぇえ?」
リーナとは俺の母親の名前だ。実は俺の母さんと陛下の奥さん、つまり王妃様は学友で、庶民ながら母さんが王子の乳母を任されたのは、そういった理由があったからだ。そして陛下も俺の母さんを信頼していて、息子の俺の事も信頼してくれている。
しかし、そんなところで頼られても! そもそもレオナルド殿下が承認済みって?!
「これは王としての命令だ。まあ、お前に結婚したい相手がいるなら別だが」
「いや……それは」
残念ながら、今の俺に恋人はいない。というか、今までいた事がない。
「でも、自分の恋愛対象は女性ですしッ!」
「まあ、とりあえず形式上結婚してくれたらいいから。セス、うちの息子をよろしく頼むな?」
陛下は俺の話を聞かずに、にっこりと笑って言った。
いやいや、よろしく頼まれてもッ!!
そう思ったが、陛下は俺を容赦なく執務室から追い出したのだった。
……レオナルド殿下と結婚。王の命令なら絶対……はぁ、どうしてこんなことに。
薬科室に戻る道を歩きながら俺はため息を吐いた。
陛下はこうと決めたら変えない頑固なところがある。今回もそうなりそうだ。
形式上の結婚って言っていたが……俺はまあ結婚する予定もないからいいけど、レオナルド殿下がなぁ。結婚相手が俺じゃあ、さすがに嫌だろう。175㎝もあるひょろ男なんて……せめて可愛い男の子の方がいいだろう、俺なんかじゃなくて。
「うーん、どうしたものか」
本人は承認済みだと言っていたが、レオナルド殿下も陛下に押し切られたんじゃなかろうか。いやきっとそうだろう。可哀想に……。
「俺となんて嫌だろうになぁ」
しかし、しがない王宮勤めの俺からは断れない、王の命令は絶対だ。なら残された道はただ一つ。
「やっぱり、レオナルド殿下にせめて俺じゃない誰かがいいと進言してもらおう!」
それしかないっ!
俺は薬科室に戻る前に、そう一人意気込んだ。
自分がレオナルド殿下と結婚することに一つも嫌悪を抱いていない事に気が付かないまま。
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