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続編
72 僕達の関係
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――――それからあっという間に夕方になり。
ドレイクは約束した通り、僕を迎えに来た。
「……迎えに来なくていいのに」
僕はむすくれた顔で魔塔の出入り口で待っていたドレイクに呟いた。
「なにむくれてんだ?」
「別にむくれてないしっ。もぉ、帰るよっ」
僕はむすっとしまま答え、先を歩く。するとドレイクは隣を歩いてきた。
でも最初のような違和感はもうない。むしろドレイクが隣を歩くのも慣れてきた。
……最初は噂になるから隣を歩くのも嫌だったのに。
そんな事を思っているとドレイクが不意に名前を呼んだ。
「コーディー」
「なに?」
「手でも繋ぐか?」
ドレイクに聞かれて僕は当然断る。朝の事をまだからかわれてると思って。
「い、や、です!」
「そうか? まあ、今は嫌でも先はわからないからな。お前から握るようになるまで待つか」
「待たなくていいよっ。握んないし!」
「どうかな?」
ドレイクは余裕の顔をして僕に言った。まるで僕が自ら握るようになるのを予知しているみたいに。
「ぜぇったい、握んない」
「お前の絶対は信じられないからな。まあ、今はそういう事にしといてやる。それより今日はローレンツのところに行くぞ。ローレンツに最近お前の顔を見てないから連れて来いって言われてるんだ」
ドレイクはそう言い、僕は確かに最近フォレッタ亭に顔を出してないことを思い出した。
……いや、そもそもフォレッタ亭に行ったのって……ドレイクが僕に公衆の面前でキスした以来ぃー!?
僕は思い出して恥ずかしくなる。
「何、顔を抱えてんだ?」
僕が恥ずかしさから頬に手を当ててるとドレイクは不思議な顔を見せた。なので僕は小さな声でドレイクを罵る。
「どれいくのばか」
「は? 急になんなんだ?」
「自分の心に聞いてみればっ」
僕はそう答えて、のっしのっしと怒りながら歩く。だが、ドレイクは僕の怒っている理由がわからないのか「変な奴」と呟いた。
……変な奴~!? ドレイクのせいでしょ! あー、もうどんな顔して会いに行けばいいんだろう。でもフォレッタ亭のご飯は美味しいから、今後も食べに行かずにはいられないもんなぁ。うぅーっ、やっぱりドレイクのせいだ!!
「どれいくのばか」
僕はもう一度ドレイクを罵り、ドレイクは「一体何なんだ?」と頭を抱えた。
でも僕は怒った理由を教えたりはしなかった。
けれど、そうこうしている内にフォレッタ亭へと着き、僕は久しぶりにローレンツさんと会った。
◇◇
――――開店前のフォレッタ亭にて。
「いらっしゃ、おおおっ!」
「うるさいぞ、ローレンツ」
驚くローレンツさんにドレイクはうざったそうな顔で言った。
「おまっ、大声も出るってもんだろ! 久しぶりだね、コーディー君。元気にしてた?」
「あ、はい」
「こいつがウチの店で不埒な真似をしたから、もう二度と来てくれないかと心配してたんだよ。あの後は大丈夫だった? こいつが送り狼になったんじゃないかと心配してたんだ」
ローレンツさんは僕に心配そうに尋ねた。
確かにあの日の後は大丈夫だった。でも最近の方が全然大丈夫じゃない。だから僕は「あ、え、っと」と馬鹿正直に言葉に詰まってしまう。
そんな僕を見て、ローレンツさんはドレイクに声をかけた。
「おい、ドレイク。お前、無理やりコーディー君に何かしたわけじゃないだろうな?」
「人聞きの悪い事を言うな。そんな事するわけないだろ」
……してるでしょーがっ! ムーッ!!
と言いたいが、さすがにそれは言えず。ローレンツさんはドレイクに疑いの目を向ける。
「どうだか。この前、俺に香油を譲ってくれって言ったの。まさか……」
問いかけるローレンツにドレイクは明後日の方向を見て無視する。そんなドレイクにローレンツは呆れた視線を向け、そして僕には心配そうな顔を見せた。
「コーディー君、ドレイクに嫌な事されたら俺に言うんだよ? 俺が叱っとくから。ドレイクはどうも子供の頃から少し強引なところがあるからね」
「あー、えっと。……はい?」
僕は何と言っていいか困って曖昧に答えた。
「別に強引な事なんかしてない。もしそんな事をしてたら、魔女様達が黙ってない。それはお前もわかるだろ」
「まあ、それもそうか」
ドレイクが言うと、ローレンツさんは簡単に納得した。
……いや、強引な事、結構されてますけどっ!?
そう言いたいけど、面倒なので僕は黙って「ふぅ」と小さく息を吐く。しかし不意にお店の中を見渡せば、ローレンツさんしかいなくて僕は何気なく尋ねた。
「ローレンツさん、ターニャさんは?」
「ターニャ? ああ、今日は実家に帰っててな。もうすぐ戻ってくるはずだよ」
そんな話をしていたら、ちょうどよくターニャさんがお店に入ってきた。まさに噂をすれば影、だ。
「ただいまー。途中で買い物してたら遅くなっちゃった。……あ、ドレイクさんにコーディー君、いらっしゃい」
ターニャさんは僕とドレイクを見て笑顔で迎えてくれた。でも僕はターニャさんの姿を見て、ちょっと驚く。だってそこにいたのは、男の服を着た爽やかなお兄さんだったから。でも声はどこからどう聞いてもターニャさんだ。
「え、ターニャ、さん?」
僕は驚いて思わず目をぱちりと瞬かせる。
「あー、コーディー君はターニャのこの姿を見るのは初めてか」
ローレンツさんは呟き、ターニャさんは「そういえばそうかも」と言った。
そしてドレイクが僕に教えてくれた。
「なんだ、お前知らなかったのか? ターニャは男だぞ」
さらっと告げるドレイクに僕は驚く。
「えええっ!? ターニャさんが男の子!」
僕は言いながらターニャさんをもう一度見る。そこにいるのはやっぱりお兄さんだ。
「うん。私ね、可愛い格好をするのが昔から好きなの。でも、騙すような格好しててごめんね」
ターニャさんは申し訳なさそうに謝った。だから僕は慌てて否定する。
「あ、違うんです! 騙されたなんて思ってなくて、ただ驚いただけです! ターニャさんはいつも可愛いから、こんな爽やかなお兄さんになるなんて思ってなくて」
僕が正直に答えるとターニャさんは嬉しそうにふふっと笑った。
「ありがとう、コーディー君」
「コーディー君、ターニャが可愛いのはわかるが、恋しちゃだめだぞ。俺の嫁だからね!」
ローレンツさんはターニャさんの肩をぐっと引き寄せて真面目に言った。でも、そんなローレンツさんにターニャさんは呆れた顔を見せる。
「もう何言ってるの。コーディー君が私に恋するわけないでしょ。それにそんな事、ドレイクさんが許すわけないわよ」
「まあ、それもそうか。……ところで、二人の関係はどうなってんだ?」
ローレンツさんは何気なく僕達に尋ねてきた。
……僕達の、関係。
聞かれて僕はフムッと考える。でも考える僕にドレイクが聞いてきた。
「コーディー。そろそろ俺の事が好きになったんじゃないか?」
余裕そうな顔で聞かれ、僕はイラっとする。
……確かにドレイクの事は嫌いじゃない、他の人よりは好きだと思う。そもそも好きじゃなかったら一緒に住んでないし。まあ、強引に住み着いたっていう方が正解かもしれないけど? でも本当に嫌だったら追い出してるし。……ただ、これが恋かと言われたらよくわかんないし、ドレイクのこの余裕そうな顔……なんかムカつくぅー。
と言う訳で、僕はぷいっとそっぽ向いて答えた。
「別に好きじゃない。ドレイク、意地悪だし、人の話聞かないし、僕をすぐにからかってくるしっ」
「なっ」
「それに人前で勝手にチューしてくる人なんて知らない」
「お前だって人の頬に勝手にキスしただろ。始まりはお前だぞっ」
「そんなの僕、覚えてないもん」
「あの日以降だって」
「ドレイクが勝手にしただけで、僕知らないもんね」
僕はそっぽ向いたまま答えた。すると「ほぉ?」と少し苛立った声を聞こえてくる。でも知るもんか。
……僕の事、好きならもうちょっと優しくしてくれたっていいはずだもん。ドレイクってばいつも意地悪ばっかりなんだから。まぁ、心根が優しいのはわかってるけど。
なんて悠長に思っていたら、ドレイクにぎゅっと手を握られた。
「へ? ちょ、離してよ」
僕はそう言うけどドレイクは僕を見てない。
「ローレンツ、急用ができたから俺達は帰る」
「え!? 僕は食べる気で来たんだけど!?」
僕はドレイクの手を離そうとするけど、大きな手はがっちりと僕の手を掴んで離さない。なんて馬鹿力なんだ。
「ドレイク!」
「さ、帰るぞ、コーディー。どうやらお前は色々と忘れているようだから、しっかりと体で思い出させてやる」
ドレイクは怖いぐらいにっこりと笑って言った。
その笑みに僕は恐怖を感じ、やってしまった、と今更ながらに気が付いた。
「い、いい! 結構です! 大丈夫です! 本当は覚えてますッ!!」
そう言うけれどドレイクは手を離してくれず、僕を連行した。
「邪魔したな」
「あ、ちょっとぉーっ!」
僕は引っ張られながら叫ぶけれどドレイクはずんずんと歩いて店を出る。そして僕達を見送ったローレンツ、ターニャ夫夫と言えば。
「コーディー君、大丈夫かしら」
「ま、まあ一緒に来たぐらいなんだから大丈夫だろう。それにドレイクだってコーディー君が本気で嫌がることはしない筈だ……たぶん」
「……たぶん」
二人はそんな会話をし、家に連れ去られるように帰った僕と言えば――――。
ドレイクは約束した通り、僕を迎えに来た。
「……迎えに来なくていいのに」
僕はむすくれた顔で魔塔の出入り口で待っていたドレイクに呟いた。
「なにむくれてんだ?」
「別にむくれてないしっ。もぉ、帰るよっ」
僕はむすっとしまま答え、先を歩く。するとドレイクは隣を歩いてきた。
でも最初のような違和感はもうない。むしろドレイクが隣を歩くのも慣れてきた。
……最初は噂になるから隣を歩くのも嫌だったのに。
そんな事を思っているとドレイクが不意に名前を呼んだ。
「コーディー」
「なに?」
「手でも繋ぐか?」
ドレイクに聞かれて僕は当然断る。朝の事をまだからかわれてると思って。
「い、や、です!」
「そうか? まあ、今は嫌でも先はわからないからな。お前から握るようになるまで待つか」
「待たなくていいよっ。握んないし!」
「どうかな?」
ドレイクは余裕の顔をして僕に言った。まるで僕が自ら握るようになるのを予知しているみたいに。
「ぜぇったい、握んない」
「お前の絶対は信じられないからな。まあ、今はそういう事にしといてやる。それより今日はローレンツのところに行くぞ。ローレンツに最近お前の顔を見てないから連れて来いって言われてるんだ」
ドレイクはそう言い、僕は確かに最近フォレッタ亭に顔を出してないことを思い出した。
……いや、そもそもフォレッタ亭に行ったのって……ドレイクが僕に公衆の面前でキスした以来ぃー!?
僕は思い出して恥ずかしくなる。
「何、顔を抱えてんだ?」
僕が恥ずかしさから頬に手を当ててるとドレイクは不思議な顔を見せた。なので僕は小さな声でドレイクを罵る。
「どれいくのばか」
「は? 急になんなんだ?」
「自分の心に聞いてみればっ」
僕はそう答えて、のっしのっしと怒りながら歩く。だが、ドレイクは僕の怒っている理由がわからないのか「変な奴」と呟いた。
……変な奴~!? ドレイクのせいでしょ! あー、もうどんな顔して会いに行けばいいんだろう。でもフォレッタ亭のご飯は美味しいから、今後も食べに行かずにはいられないもんなぁ。うぅーっ、やっぱりドレイクのせいだ!!
「どれいくのばか」
僕はもう一度ドレイクを罵り、ドレイクは「一体何なんだ?」と頭を抱えた。
でも僕は怒った理由を教えたりはしなかった。
けれど、そうこうしている内にフォレッタ亭へと着き、僕は久しぶりにローレンツさんと会った。
◇◇
――――開店前のフォレッタ亭にて。
「いらっしゃ、おおおっ!」
「うるさいぞ、ローレンツ」
驚くローレンツさんにドレイクはうざったそうな顔で言った。
「おまっ、大声も出るってもんだろ! 久しぶりだね、コーディー君。元気にしてた?」
「あ、はい」
「こいつがウチの店で不埒な真似をしたから、もう二度と来てくれないかと心配してたんだよ。あの後は大丈夫だった? こいつが送り狼になったんじゃないかと心配してたんだ」
ローレンツさんは僕に心配そうに尋ねた。
確かにあの日の後は大丈夫だった。でも最近の方が全然大丈夫じゃない。だから僕は「あ、え、っと」と馬鹿正直に言葉に詰まってしまう。
そんな僕を見て、ローレンツさんはドレイクに声をかけた。
「おい、ドレイク。お前、無理やりコーディー君に何かしたわけじゃないだろうな?」
「人聞きの悪い事を言うな。そんな事するわけないだろ」
……してるでしょーがっ! ムーッ!!
と言いたいが、さすがにそれは言えず。ローレンツさんはドレイクに疑いの目を向ける。
「どうだか。この前、俺に香油を譲ってくれって言ったの。まさか……」
問いかけるローレンツにドレイクは明後日の方向を見て無視する。そんなドレイクにローレンツは呆れた視線を向け、そして僕には心配そうな顔を見せた。
「コーディー君、ドレイクに嫌な事されたら俺に言うんだよ? 俺が叱っとくから。ドレイクはどうも子供の頃から少し強引なところがあるからね」
「あー、えっと。……はい?」
僕は何と言っていいか困って曖昧に答えた。
「別に強引な事なんかしてない。もしそんな事をしてたら、魔女様達が黙ってない。それはお前もわかるだろ」
「まあ、それもそうか」
ドレイクが言うと、ローレンツさんは簡単に納得した。
……いや、強引な事、結構されてますけどっ!?
そう言いたいけど、面倒なので僕は黙って「ふぅ」と小さく息を吐く。しかし不意にお店の中を見渡せば、ローレンツさんしかいなくて僕は何気なく尋ねた。
「ローレンツさん、ターニャさんは?」
「ターニャ? ああ、今日は実家に帰っててな。もうすぐ戻ってくるはずだよ」
そんな話をしていたら、ちょうどよくターニャさんがお店に入ってきた。まさに噂をすれば影、だ。
「ただいまー。途中で買い物してたら遅くなっちゃった。……あ、ドレイクさんにコーディー君、いらっしゃい」
ターニャさんは僕とドレイクを見て笑顔で迎えてくれた。でも僕はターニャさんの姿を見て、ちょっと驚く。だってそこにいたのは、男の服を着た爽やかなお兄さんだったから。でも声はどこからどう聞いてもターニャさんだ。
「え、ターニャ、さん?」
僕は驚いて思わず目をぱちりと瞬かせる。
「あー、コーディー君はターニャのこの姿を見るのは初めてか」
ローレンツさんは呟き、ターニャさんは「そういえばそうかも」と言った。
そしてドレイクが僕に教えてくれた。
「なんだ、お前知らなかったのか? ターニャは男だぞ」
さらっと告げるドレイクに僕は驚く。
「えええっ!? ターニャさんが男の子!」
僕は言いながらターニャさんをもう一度見る。そこにいるのはやっぱりお兄さんだ。
「うん。私ね、可愛い格好をするのが昔から好きなの。でも、騙すような格好しててごめんね」
ターニャさんは申し訳なさそうに謝った。だから僕は慌てて否定する。
「あ、違うんです! 騙されたなんて思ってなくて、ただ驚いただけです! ターニャさんはいつも可愛いから、こんな爽やかなお兄さんになるなんて思ってなくて」
僕が正直に答えるとターニャさんは嬉しそうにふふっと笑った。
「ありがとう、コーディー君」
「コーディー君、ターニャが可愛いのはわかるが、恋しちゃだめだぞ。俺の嫁だからね!」
ローレンツさんはターニャさんの肩をぐっと引き寄せて真面目に言った。でも、そんなローレンツさんにターニャさんは呆れた顔を見せる。
「もう何言ってるの。コーディー君が私に恋するわけないでしょ。それにそんな事、ドレイクさんが許すわけないわよ」
「まあ、それもそうか。……ところで、二人の関係はどうなってんだ?」
ローレンツさんは何気なく僕達に尋ねてきた。
……僕達の、関係。
聞かれて僕はフムッと考える。でも考える僕にドレイクが聞いてきた。
「コーディー。そろそろ俺の事が好きになったんじゃないか?」
余裕そうな顔で聞かれ、僕はイラっとする。
……確かにドレイクの事は嫌いじゃない、他の人よりは好きだと思う。そもそも好きじゃなかったら一緒に住んでないし。まあ、強引に住み着いたっていう方が正解かもしれないけど? でも本当に嫌だったら追い出してるし。……ただ、これが恋かと言われたらよくわかんないし、ドレイクのこの余裕そうな顔……なんかムカつくぅー。
と言う訳で、僕はぷいっとそっぽ向いて答えた。
「別に好きじゃない。ドレイク、意地悪だし、人の話聞かないし、僕をすぐにからかってくるしっ」
「なっ」
「それに人前で勝手にチューしてくる人なんて知らない」
「お前だって人の頬に勝手にキスしただろ。始まりはお前だぞっ」
「そんなの僕、覚えてないもん」
「あの日以降だって」
「ドレイクが勝手にしただけで、僕知らないもんね」
僕はそっぽ向いたまま答えた。すると「ほぉ?」と少し苛立った声を聞こえてくる。でも知るもんか。
……僕の事、好きならもうちょっと優しくしてくれたっていいはずだもん。ドレイクってばいつも意地悪ばっかりなんだから。まぁ、心根が優しいのはわかってるけど。
なんて悠長に思っていたら、ドレイクにぎゅっと手を握られた。
「へ? ちょ、離してよ」
僕はそう言うけどドレイクは僕を見てない。
「ローレンツ、急用ができたから俺達は帰る」
「え!? 僕は食べる気で来たんだけど!?」
僕はドレイクの手を離そうとするけど、大きな手はがっちりと僕の手を掴んで離さない。なんて馬鹿力なんだ。
「ドレイク!」
「さ、帰るぞ、コーディー。どうやらお前は色々と忘れているようだから、しっかりと体で思い出させてやる」
ドレイクは怖いぐらいにっこりと笑って言った。
その笑みに僕は恐怖を感じ、やってしまった、と今更ながらに気が付いた。
「い、いい! 結構です! 大丈夫です! 本当は覚えてますッ!!」
そう言うけれどドレイクは手を離してくれず、僕を連行した。
「邪魔したな」
「あ、ちょっとぉーっ!」
僕は引っ張られながら叫ぶけれどドレイクはずんずんと歩いて店を出る。そして僕達を見送ったローレンツ、ターニャ夫夫と言えば。
「コーディー君、大丈夫かしら」
「ま、まあ一緒に来たぐらいなんだから大丈夫だろう。それにドレイクだってコーディー君が本気で嫌がることはしない筈だ……たぶん」
「……たぶん」
二人はそんな会話をし、家に連れ去られるように帰った僕と言えば――――。
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