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「レニーナ、お前とはやっていけそうにない。この婚約はなかったことにしてくれ」
 
 婚約者だったルドルフの誕生パーティーにて突然私は婚約破棄を告げられた。
 
 知ってた。この展開は。
 
 だって私は、前世プレイしていたゲームそっくりの世界に住んでいるのだもの。
 
 まるで予知夢のように小さい頃から見ていた夢は、前世のゲームのプレイ記憶であり、私の現世だった。
 
 だから私、レニーナが二十歳のとき、婚約者のルドルフの誕生日パーティーに呼ばれることも、そこで婚約破棄されることも知っていた。
 
 レニーナは、前世のゲームの世界では悪役令嬢だったのだ。
 
 ほら、記憶にある通り、ルドルフの後ろからドレスアップした綺麗な女の人が出てきた。
 
 
「紹介する。彼女が新しい婚約者のシーナだ」
 
 ルドルフの本命であり、幼馴染みのシーナ。
 
 確かゲームはシーナ視点で広げられ、私(悪役令嬢)の目を盗んでルドルフに猛アプローチを仕掛けていた。
 
 そして、シーナにルドルフを取られたレニーナは失恋に悲しみながら消えて行った。
 
 わかってた。
 
 けど、わかってたからこそ、このままバッドエンドに突き進むと思う?
 
 バッドエンドなんてごめんよ。
 
 
「ふざけないで!」
 
 
 私が声を張り上げると、ルドルフもシーナも驚いたようにこちらを見た。
 
 完全にシナリオを逸脱した内容をここから進める。
 
 この先どうなるかわからないけれど、レニーナとして生まれ変わった以上、二人が結ばれてハッピーエンドになんてならない!!
 
 むしろムカつく以外のなにものでもないのだから!!
 
 
「ルドルフ! 私に恥をかかせるなんていい度胸ね。それにシーナも! 婚約者がいることを知りながらルドルフを誘惑するなんて、本当に最低なのはあなたたち二人じゃない!!」
 
「レニーナ! 僕はお前のそういう性格が合わないと思ったんだ。そんなだから、僕の大切な人たちを傷つけるしかできなかったんじゃないか?」
 
 ルドルフはシーナを守るように肩に抱くと、あたかも私を悪役に仕立て上げようとする。
 
 そんなの、ルドルフの言いがかりでしかない。
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