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11.王子を追い詰めろ(後編)
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ルキは一つの小さな機械を取り出した。
海外からのアイディアを経て開発されたばかりの、録音機というものだ。
「こちらは家の外交関係から特別に取り寄せてもらった外国の製品です。録音機といいます。ここにあなたの声であなた自身がご自身の悪事を語っているところがございます」
ルキがスイッチを押すと、あからさまにマーティン王子の声で一つ一つの悪事が語られていく。そしてそれは先ほどルキが言ったリリィという女性を一方的に責めるような言葉と一緒に録音されていた。
「こんなのでたらめだ!」
「こちらの製品についてはまだ民間には知れ渡っていないところがありますが、一定の爵位以上の貴族は最先端の技術として周知しております。さすがにこの会話から、いくら王子とはいえ、誰も王子を庇うことは難しいでしょう」
その時、どこからともなく学園の卒業生や学園の学生がそうだそうだと集まってくる。
これも、ルキがそばに置いていたのだろう。
「分かった。もう全て認める。僕が悪かった」
さすがにたくさんの人たちに責められて、マーティン王子は自らの悪事を認めるしかなかった。
そもそも私を襲わせることでさえ多くの人を巻き込んでいたのだから、いずれ悪事は暴かれることになったのかもしれないが。
隣で様子を見ていたお父様は、まるで信じられないようなものを見ているようだったが、やがて小さく息を吐き出した。
「王家とは私が話をつける。安心しなさい」
そうして私は、晴れてマーティン王子との婚約を完全に解消する事に成功したのだった。
そしてマーティン王子は、国王に下された罰により、王子並びに後継者としての座を弟に奪われることになり、僻地へ送られることが決まった。
どんなに絶対的な地位を持った人でさえ、悪いことをしてしまったらその罪を償わないといけないのだと思った。
海外からのアイディアを経て開発されたばかりの、録音機というものだ。
「こちらは家の外交関係から特別に取り寄せてもらった外国の製品です。録音機といいます。ここにあなたの声であなた自身がご自身の悪事を語っているところがございます」
ルキがスイッチを押すと、あからさまにマーティン王子の声で一つ一つの悪事が語られていく。そしてそれは先ほどルキが言ったリリィという女性を一方的に責めるような言葉と一緒に録音されていた。
「こんなのでたらめだ!」
「こちらの製品についてはまだ民間には知れ渡っていないところがありますが、一定の爵位以上の貴族は最先端の技術として周知しております。さすがにこの会話から、いくら王子とはいえ、誰も王子を庇うことは難しいでしょう」
その時、どこからともなく学園の卒業生や学園の学生がそうだそうだと集まってくる。
これも、ルキがそばに置いていたのだろう。
「分かった。もう全て認める。僕が悪かった」
さすがにたくさんの人たちに責められて、マーティン王子は自らの悪事を認めるしかなかった。
そもそも私を襲わせることでさえ多くの人を巻き込んでいたのだから、いずれ悪事は暴かれることになったのかもしれないが。
隣で様子を見ていたお父様は、まるで信じられないようなものを見ているようだったが、やがて小さく息を吐き出した。
「王家とは私が話をつける。安心しなさい」
そうして私は、晴れてマーティン王子との婚約を完全に解消する事に成功したのだった。
そしてマーティン王子は、国王に下された罰により、王子並びに後継者としての座を弟に奪われることになり、僻地へ送られることが決まった。
どんなに絶対的な地位を持った人でさえ、悪いことをしてしまったらその罪を償わないといけないのだと思った。
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