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こんな風に、私とロバートの間は日に日に近づいていったし、私もロバートに確実に惹かれていた。
そんなある日のこと、人の足音が聞こえたのでロバートが来たのだと思い振り向くと、思わぬ人物がそこに立っていた。
「……デニス?」
「久しぶり」
「久しぶりじゃないでしょう? どうしてあなたがここに居るのよ!」
デニスは、私にありもしない罪により婚約破棄を言い渡してきた男だ。婚約者だった私を信じず、リリアを信じたような人だ。
「やっぱり、婚約破棄はなかったことにしてほしいんだ。サリーが浮気してたって話は、リリアのでっち上げた嘘で、僕はリリアに騙されてたんだ」
「今更? あのときひとっつも私のことを信じてくれなかったくせに、今更それはないんじゃないかしら?」
「しかもあいつ、僕の家の財産狙いだったんだ。あんなやつだと思わなかった。あいつと婚約してから、急に高いものばかりねだられるようになって、わがまま放題だし、もう最悪だよ」
「知らないわよそんなこと。だいたいリリアとは婚約どころか、結婚もしたのでしょう?」
「う……っ」
都合の悪いところは隠すところは、デニスもリリアも同じだ。
似た者同士仲良くすればいいのに……。
「けど、お前は僕のことが好きだっただろう? また僕と一緒になりたいとは思わないのか?」
「別に……」
「そんなことないだろう?」
「いや……っ」
無理にでも私の口から肯定の返事をもらおうとデニスは私につかみかかってくる。
思わず身を縮こませたとき。
「やめなよ」
別の男性の声が後ろから聞こえた。
ロバートだ。
「彼女、嫌がってるじゃないか」
「はあ? お前誰だよ。僕はこいつの婚約者だ」
「違うでしょう? 婚約は破棄したじゃない」
この場に及んでもロバートに嘘をかますデニスに思わず声をあげる。
「事情は知っていますよ。サリーだけでなく、アリーナ侯爵からもうかがっているので」
すると、ロバートは意味深な目をデニスに向ける。
「だからお前誰だよ。なんなんだよ一体」
「僕ですか? 隣国の皇太子、ロバートだけど? ちなみに今のサリーの婚約者は、君じゃなくて僕だよ。アリーナ侯爵と話をつけたところだったんだ」
「えええ!?」
隣国の皇太子!? ロバートが!?
確かに身なりや護衛の数から高貴な身分の方なのだとは思っていたけれど……。
それに、婚約って!?
私のいないところで、なんと言うことだ。
確かに私はロバートが好きになっていたけれど、まさかいつの間にかロバートが私との婚約を父親に持ちかけていたなんて、誰が想像つくだろう。
そんなある日のこと、人の足音が聞こえたのでロバートが来たのだと思い振り向くと、思わぬ人物がそこに立っていた。
「……デニス?」
「久しぶり」
「久しぶりじゃないでしょう? どうしてあなたがここに居るのよ!」
デニスは、私にありもしない罪により婚約破棄を言い渡してきた男だ。婚約者だった私を信じず、リリアを信じたような人だ。
「やっぱり、婚約破棄はなかったことにしてほしいんだ。サリーが浮気してたって話は、リリアのでっち上げた嘘で、僕はリリアに騙されてたんだ」
「今更? あのときひとっつも私のことを信じてくれなかったくせに、今更それはないんじゃないかしら?」
「しかもあいつ、僕の家の財産狙いだったんだ。あんなやつだと思わなかった。あいつと婚約してから、急に高いものばかりねだられるようになって、わがまま放題だし、もう最悪だよ」
「知らないわよそんなこと。だいたいリリアとは婚約どころか、結婚もしたのでしょう?」
「う……っ」
都合の悪いところは隠すところは、デニスもリリアも同じだ。
似た者同士仲良くすればいいのに……。
「けど、お前は僕のことが好きだっただろう? また僕と一緒になりたいとは思わないのか?」
「別に……」
「そんなことないだろう?」
「いや……っ」
無理にでも私の口から肯定の返事をもらおうとデニスは私につかみかかってくる。
思わず身を縮こませたとき。
「やめなよ」
別の男性の声が後ろから聞こえた。
ロバートだ。
「彼女、嫌がってるじゃないか」
「はあ? お前誰だよ。僕はこいつの婚約者だ」
「違うでしょう? 婚約は破棄したじゃない」
この場に及んでもロバートに嘘をかますデニスに思わず声をあげる。
「事情は知っていますよ。サリーだけでなく、アリーナ侯爵からもうかがっているので」
すると、ロバートは意味深な目をデニスに向ける。
「だからお前誰だよ。なんなんだよ一体」
「僕ですか? 隣国の皇太子、ロバートだけど? ちなみに今のサリーの婚約者は、君じゃなくて僕だよ。アリーナ侯爵と話をつけたところだったんだ」
「えええ!?」
隣国の皇太子!? ロバートが!?
確かに身なりや護衛の数から高貴な身分の方なのだとは思っていたけれど……。
それに、婚約って!?
私のいないところで、なんと言うことだ。
確かに私はロバートが好きになっていたけれど、まさかいつの間にかロバートが私との婚約を父親に持ちかけていたなんて、誰が想像つくだろう。
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