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以前、もしも私に良い貰い手がいなければ田舎でのんびり暮らしたいと以前親に告げたところ、好きにしなさいと言われたくらいだ。
まぁ、当の両親たちはそんなの私の冗談だと思っている可能性は多いにあり得るが。
けれど、私のなかではすでに理想のスローライフへと心は向かっていた。
「お父様! お母様! ありもしない嘘を告げられて、婚約は破棄になってしまいました。けど私は大丈夫です。かねてよりの夢を叶えるため、スローライフに旅立ちます!」
「えええ!?」
「どういうことだ!?」
「前話したことがあったと思いますが。心配しなくても、護衛の者も一緒ですので大丈夫ですわ」
両親は私の行く末を心配していたが、私の意向を聞くと、受け入れてくれた。
「気が済んだら帰ってくるんだぞ」
そう一言最後に父親がくれた。
そうと決まれば、私は元婚約者のデニスとリリアの結婚式を待たずにお屋敷を出た。
移住先は、国境付近の自然の多い、私たちの持つ領地にある別荘だ。
ここで私は、都会の喧騒から離れてのんびり気の向くままに暮らすのだ。
田舎に着くと、今は使われていない畑を耕す。
野菜やお花を植えようと思っている。
スローライフと言いながら、結構畑仕事は力がいるし、体力も必要だった。
けれど自然に触れながら暮らす毎日はなかなか良いものだ。
田舎に移住して2ヶ月が過ぎた頃には、早くもミニトマトなどの野菜類が収穫できた。
「わぁ! こうして自分の手で収穫すると達成感もあるし嬉しいものね」
私は早速収穫したミニトマトを一つ口に含む。
「ん~~! 美味しい!!」
自分で育てたというのもあり、今までで一番美味しく感じる。
そのとき、少しはなれたところから、男性の笑い声が聞こえた。
「……え?」
領地の端にあった畑だったことから、領地外からこちらを見ていた男性がいたようだ。
「まぁ、そう警戒しないでよ。君に危害は加えるようなことはしない。国に帰ろうとしたところで、こんなに素敵な笑顔の女性に会えると思わなかった」
金髪の青年は、絵に描いたような美青年だ。
国に帰ろうとしていたということから、国境付近であることからも、隣の国の人だろうか。
身なりの服装や少し離れたところに立つ護衛の人数から、ある程度以上の身分の人だということがうかがえる。
「いえ、こちらこそ。すみません、こんな姿をお見せして」
「いいよいいよ。楽にして。あんまり畏まらなくていいから。僕は隣国のロバート。そっちに行ってもいい?」
「え? はい、どうぞ。私はサリーです」
畏まらなくていいと言われても、すごくイケメンのロバートにドキマギしてしまう。
まぁ、当の両親たちはそんなの私の冗談だと思っている可能性は多いにあり得るが。
けれど、私のなかではすでに理想のスローライフへと心は向かっていた。
「お父様! お母様! ありもしない嘘を告げられて、婚約は破棄になってしまいました。けど私は大丈夫です。かねてよりの夢を叶えるため、スローライフに旅立ちます!」
「えええ!?」
「どういうことだ!?」
「前話したことがあったと思いますが。心配しなくても、護衛の者も一緒ですので大丈夫ですわ」
両親は私の行く末を心配していたが、私の意向を聞くと、受け入れてくれた。
「気が済んだら帰ってくるんだぞ」
そう一言最後に父親がくれた。
そうと決まれば、私は元婚約者のデニスとリリアの結婚式を待たずにお屋敷を出た。
移住先は、国境付近の自然の多い、私たちの持つ領地にある別荘だ。
ここで私は、都会の喧騒から離れてのんびり気の向くままに暮らすのだ。
田舎に着くと、今は使われていない畑を耕す。
野菜やお花を植えようと思っている。
スローライフと言いながら、結構畑仕事は力がいるし、体力も必要だった。
けれど自然に触れながら暮らす毎日はなかなか良いものだ。
田舎に移住して2ヶ月が過ぎた頃には、早くもミニトマトなどの野菜類が収穫できた。
「わぁ! こうして自分の手で収穫すると達成感もあるし嬉しいものね」
私は早速収穫したミニトマトを一つ口に含む。
「ん~~! 美味しい!!」
自分で育てたというのもあり、今までで一番美味しく感じる。
そのとき、少しはなれたところから、男性の笑い声が聞こえた。
「……え?」
領地の端にあった畑だったことから、領地外からこちらを見ていた男性がいたようだ。
「まぁ、そう警戒しないでよ。君に危害は加えるようなことはしない。国に帰ろうとしたところで、こんなに素敵な笑顔の女性に会えると思わなかった」
金髪の青年は、絵に描いたような美青年だ。
国に帰ろうとしていたということから、国境付近であることからも、隣の国の人だろうか。
身なりの服装や少し離れたところに立つ護衛の人数から、ある程度以上の身分の人だということがうかがえる。
「いえ、こちらこそ。すみません、こんな姿をお見せして」
「いいよいいよ。楽にして。あんまり畏まらなくていいから。僕は隣国のロバート。そっちに行ってもいい?」
「え? はい、どうぞ。私はサリーです」
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