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「いやああああ!」
ある朝、リーナは自分の姿を鏡で見て悲鳴を上げた。
どうして!?
どうして私の姿が蛇になっているの!?
鏡を見ると、私は深緑色の細長い蛇になっている。
朝起きたときから視界が異様に低くて、体も思うように動かなくておかしいと思った。
どうしよう……。
ただでさえ私は周りから嫌われて悪役令嬢だなんてあだ名をつけられている。
こんな姿の私を見たところでもっと嫌がられるだろうし、そもそも私だと気づいてもらえないだろう。
「うう……っ」
どういう仕組みになっているのか、声だけは今まで通り出せるみたいで、私は嗚咽をこぼして泣いた。
いつもの時間になり、侍女が私を起こしに来た。
けれど、鏡の前で嗚咽をこぼす深緑色の蛇を見て悲鳴を上げて飛び出していった。
これならまだ嫌みとか言われる方がまだマシだった。
私は開け放されたドアからにょろにょろと出ると、王宮の外に飛び出した。
地面に張って移動していると、敵国の王子がなぜか王宮の外にいた。
なぜ敵国の王子がこんなところに!
警備の者はどうなっているのだと思って見回せば、近くで何人もの兵士が伸びていた。
このまま、私達の王宮は襲われてしまうのだろうか?
けれど、なぜ城じゃなくて私達の王宮?
いろいろ疑問に思ったが、自分には何もできない。
このまま王宮が襲われてしまうのを見ていることしかできないのは悔やまれたが、ここに私を愛してくれる人がいないことも知っていた。
私は父親と愛人の間にできた子どもだ。
当然ながら母親は二人の血を引く姉の味方だし、父親は見て見ぬふり、姉妹仲がいいわけなく、本当に私はこの王宮で嫌われ者だったのだから。
けれど、王子は王宮の方に向かうのかと思いきや、突如蛇の姿の私の方に視線を落とした。
「ここだったのか……」
王子がこちらに近づいて来る足音を聞くなり、私の体は宙を浮いた。
「見つけた。一緒においで?」
王子は私を自らの首に巻くと、颯爽にお城に向かった。
どういうことなのだろう……?
わけがわからないまま、王子の部屋らしきところに通される。
「きみは、リーナなんだろう? 私はクラウド」
「どうして……!」
「見たらわかるよ。何も悪いことはしない。これからここで暮らすといい」
「……」
うなずいていいのかわからない。何てったて、相手は敵国の王子なのだ。
とても自分が人質にされるような人間だとも思えないが、リーナは警戒心でいっぱいだった。
そんなリーナを見てなのだろう。
「まあ、そのうち慣れていってくれるといい」
王子は甘く微笑んだ。
ある朝、リーナは自分の姿を鏡で見て悲鳴を上げた。
どうして!?
どうして私の姿が蛇になっているの!?
鏡を見ると、私は深緑色の細長い蛇になっている。
朝起きたときから視界が異様に低くて、体も思うように動かなくておかしいと思った。
どうしよう……。
ただでさえ私は周りから嫌われて悪役令嬢だなんてあだ名をつけられている。
こんな姿の私を見たところでもっと嫌がられるだろうし、そもそも私だと気づいてもらえないだろう。
「うう……っ」
どういう仕組みになっているのか、声だけは今まで通り出せるみたいで、私は嗚咽をこぼして泣いた。
いつもの時間になり、侍女が私を起こしに来た。
けれど、鏡の前で嗚咽をこぼす深緑色の蛇を見て悲鳴を上げて飛び出していった。
これならまだ嫌みとか言われる方がまだマシだった。
私は開け放されたドアからにょろにょろと出ると、王宮の外に飛び出した。
地面に張って移動していると、敵国の王子がなぜか王宮の外にいた。
なぜ敵国の王子がこんなところに!
警備の者はどうなっているのだと思って見回せば、近くで何人もの兵士が伸びていた。
このまま、私達の王宮は襲われてしまうのだろうか?
けれど、なぜ城じゃなくて私達の王宮?
いろいろ疑問に思ったが、自分には何もできない。
このまま王宮が襲われてしまうのを見ていることしかできないのは悔やまれたが、ここに私を愛してくれる人がいないことも知っていた。
私は父親と愛人の間にできた子どもだ。
当然ながら母親は二人の血を引く姉の味方だし、父親は見て見ぬふり、姉妹仲がいいわけなく、本当に私はこの王宮で嫌われ者だったのだから。
けれど、王子は王宮の方に向かうのかと思いきや、突如蛇の姿の私の方に視線を落とした。
「ここだったのか……」
王子がこちらに近づいて来る足音を聞くなり、私の体は宙を浮いた。
「見つけた。一緒においで?」
王子は私を自らの首に巻くと、颯爽にお城に向かった。
どういうことなのだろう……?
わけがわからないまま、王子の部屋らしきところに通される。
「きみは、リーナなんだろう? 私はクラウド」
「どうして……!」
「見たらわかるよ。何も悪いことはしない。これからここで暮らすといい」
「……」
うなずいていいのかわからない。何てったて、相手は敵国の王子なのだ。
とても自分が人質にされるような人間だとも思えないが、リーナは警戒心でいっぱいだった。
そんなリーナを見てなのだろう。
「まあ、そのうち慣れていってくれるといい」
王子は甘く微笑んだ。
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