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3.いきなり同居!?
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ウインド公爵家を父親とともに訪れた私はとても豪勢な客間に通されていた。
ライアンは私を見て軽く頭を下げると席に着席しただけだ。私も軽く頭を下げ返すとライアンにならって席に着席した。
もちろん私とライアンの間に会話はない。
ライアンの瞳は深いブルーでとても綺麗だが、まっすぐにこちらを見つめる瞳は何を考えているのか全くもって読めない。
さらには綺麗すぎるくらいに整った顔は無表情で、失礼ながら彼に感情というものは存在するのだろうかと思わず考えてしまった。
顔合わせは主に私の父親とウインド公爵の雑談のようなものだった。私が知らなかっただけで二人は学園時代の旧友で、かつてとても親しかったそうだ。
親同士が実は仲がいいから気心の知れた親の娘を、自分の子どもの嫁にもらおうと思ったのだろうか。
そうしているうちに顔合わせはお開きの方向へ向かった。
「せっかくなのだから、二人で話をしてきなさい。結婚前ではあるが、今日から毎日顔を合わせることになるのだから、少しでも打ち解けてる方がお互いのためだろう」
ウインド公爵の言葉に、私はその場の流れに従うようにライアンとともに客間を出た。
最初こそ顔合わせのみで終わると思っていたら、どうもウインド公爵と父親の話が弾んだ結果、二人が仲良くなるのは早いほうがいいとのことで、即日で私はこのお屋敷でライアンとともに暮らすことになってしまったのだ。
そんなことってあるの……!?
普通では異例なのだろうけれど、私の身には起こってしまったのだから、ここは普通がどうとか考えてはいけない。
子爵家でも借金を抱えることになってしまったうちには、今は侍女すら私にはついていないのだから。
お屋敷内を歩いてたどり着いたのは、一つの大きな白い扉の前だった。
なんの部屋だろう?
と思ったのも一瞬。すぐにそれは、ライアンの自室であることがわかった。
無言のままのライアンは、部屋に入る前に一度私の方を向くと、身振りで中に入るように促す。
私が中に入ると、ドアは静かに閉められた。
静寂な空間の中どうしようかと思っていたら、ようやくライアンが口を開いてくれた。
「あんたは嫌じゃないのか? 俺とこうなったこと」
深いブルーの瞳はこちらを見つめているが、彼の考えていることはよくわからない。
冷酷だと噂のあるライアンだから、思わず私のことが気に入らなくて何か言われるのだろうかと深読みしてしまう。
「ウインド公爵家には借金の肩代わりをしてもらってお世話になったので……」
これは借金を肩代わりしてもらった、契約結婚でもある。
だからといって面と向かって私は望んでないだなんて言えなくて、何とか笑顔を張り付けて答える。
「ふうん。ま、よろしく。じゃあ俺、疲れたし一旦寝る。ベッドはそこだから、適当に休むといい。おやすみ」
ライアンは淡々とそう告げると、私に指し示したベッドに潜り込み眠ってしまった。
まさかとは思うけど、同じベッド……?
いや、結婚前提なのだからわからなくはないけれど、ハードル高いって……!
その夜は、さすがにライアンの隣で眠ることに抵抗があった私は、寝落ちたフリをして、部屋のソファーの上で眠ることにしたのだった。
ライアンは私を見て軽く頭を下げると席に着席しただけだ。私も軽く頭を下げ返すとライアンにならって席に着席した。
もちろん私とライアンの間に会話はない。
ライアンの瞳は深いブルーでとても綺麗だが、まっすぐにこちらを見つめる瞳は何を考えているのか全くもって読めない。
さらには綺麗すぎるくらいに整った顔は無表情で、失礼ながら彼に感情というものは存在するのだろうかと思わず考えてしまった。
顔合わせは主に私の父親とウインド公爵の雑談のようなものだった。私が知らなかっただけで二人は学園時代の旧友で、かつてとても親しかったそうだ。
親同士が実は仲がいいから気心の知れた親の娘を、自分の子どもの嫁にもらおうと思ったのだろうか。
そうしているうちに顔合わせはお開きの方向へ向かった。
「せっかくなのだから、二人で話をしてきなさい。結婚前ではあるが、今日から毎日顔を合わせることになるのだから、少しでも打ち解けてる方がお互いのためだろう」
ウインド公爵の言葉に、私はその場の流れに従うようにライアンとともに客間を出た。
最初こそ顔合わせのみで終わると思っていたら、どうもウインド公爵と父親の話が弾んだ結果、二人が仲良くなるのは早いほうがいいとのことで、即日で私はこのお屋敷でライアンとともに暮らすことになってしまったのだ。
そんなことってあるの……!?
普通では異例なのだろうけれど、私の身には起こってしまったのだから、ここは普通がどうとか考えてはいけない。
子爵家でも借金を抱えることになってしまったうちには、今は侍女すら私にはついていないのだから。
お屋敷内を歩いてたどり着いたのは、一つの大きな白い扉の前だった。
なんの部屋だろう?
と思ったのも一瞬。すぐにそれは、ライアンの自室であることがわかった。
無言のままのライアンは、部屋に入る前に一度私の方を向くと、身振りで中に入るように促す。
私が中に入ると、ドアは静かに閉められた。
静寂な空間の中どうしようかと思っていたら、ようやくライアンが口を開いてくれた。
「あんたは嫌じゃないのか? 俺とこうなったこと」
深いブルーの瞳はこちらを見つめているが、彼の考えていることはよくわからない。
冷酷だと噂のあるライアンだから、思わず私のことが気に入らなくて何か言われるのだろうかと深読みしてしまう。
「ウインド公爵家には借金の肩代わりをしてもらってお世話になったので……」
これは借金を肩代わりしてもらった、契約結婚でもある。
だからといって面と向かって私は望んでないだなんて言えなくて、何とか笑顔を張り付けて答える。
「ふうん。ま、よろしく。じゃあ俺、疲れたし一旦寝る。ベッドはそこだから、適当に休むといい。おやすみ」
ライアンは淡々とそう告げると、私に指し示したベッドに潜り込み眠ってしまった。
まさかとは思うけど、同じベッド……?
いや、結婚前提なのだからわからなくはないけれど、ハードル高いって……!
その夜は、さすがにライアンの隣で眠ることに抵抗があった私は、寝落ちたフリをして、部屋のソファーの上で眠ることにしたのだった。
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