【R18】氷雪のフリージア

日蔭 スミレ

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第六章 旅の終わり

6-2.二人きりの監禁※

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 せいひつの中で響くのは、掠れ始めた甘ったるい嬌声と、卑しい水音だけだった。
 既に纏う衣類はアンダードレス一枚のみ。僅かな膨らみの頂が布を押し上げピンと立ち、薄紅の輪郭を透かせている。

 かれこれ、どれだけの時間が経ったかは分からない。未だに彼は自分の脚の間に顔を埋めたままだった。潤った瞳で壁にかけられた時計を見ると、二時間も経過していた事に気付き、レイヤがゾッとするも束の間──何度も達した芽を食まれ、鮮烈な快楽がピリピリと走り、レイヤは脚を投げ出したまま、悲鳴じみた甲高い嬌声を張り上げる。

「ひゃ──んぁああああ!」

 同時にピシャピシャと蜜液が噴き出し、彼の前髪を僅かに濡らす。
 またも達してしまった。涙と涎でどろどろになった顔で、未だ脚の間に顔を埋める彼を力なく睨んで間もなく、エリアスは僅かに顔を上げてレイヤに視線をやった。

「今ので何回目かな。舐めるだけで、お漏らしするみたいに潮まで噴けるようにようになってレイヤの身体、すごく厭らしくなっちゃったね」

 誰の所為だと思っている。そうは思うものの、既に声は掠れてしまい頭も呆然として、反論が出来なかった。「殴られる方がマシだった」と未だ余力があった時に言ったが「君を傷付けるのが嫌なのに。そんな事するわけ無いでしょう」ときっぱり言われるだけだった。

 しかし本当にしつこい。いつまで舐れば気が晴れるのだろうか。またも彼は、脚の間に顔を埋めるものだからレイヤは嫌嫌と首を横に振るう。

「あぅ、や……えり、あす。も、これ以上、したら!」

「したらどうなるの?」

 ニタリと口角を引き上げて、彼が悪戯気にく。

「おかしく、なる。ばか、になっちゃ……や……」

 もはや呂律が回っていなかった。そんなレイヤを愛おしげに見つめて、彼は身を起こし上げて口付けを落とす。

「僕の事嫌いになっちゃう?」

 かれて、レイヤは首を横に振るう。確かにもう止めて欲しいが、別に嫌いにはなりやしない。寧ろ、愛おしい気持ちはそのままで、早く中に彼のものを嵌められたくて仕方ないと思える程だった。

「も、ほしい……はやく、ほしい」

 胸を上下させてレイヤは言うが、彼は優しく笑むだけだった。

「可愛いねレイヤ。ごめんね……あともう少しだけちょっとここ、舐めたいな」

 そう言って、彼が手を伸ばしてぷっくりと膨れた淫芽を丸く転がすものだから、直ぐにレイヤはビクビクと痙攣した。

「ひゃぅ──んぁああああ!」

 触れられただけで絶頂に達してしまい、またも蜜液がピシャピシャと噴き出した。いよいよ自分の身体がおかしくなった気がしてしまう。しかし、途端に蜜洞の中に圧迫感を覚えてレイヤは涙で揺れた瞳を丸くみはる。

「僕の指きゅうきゅう締め付けて可愛いね。もうそんなに欲しい?」

 ゆるゆると蜜洞をかき混ぜてエリアスはく。レイヤは何度も頷くが、彼は身を剥がしてレイヤの膝を高く持ち上げた。

「ちが……それもう嫌ぁ」

 許して。と、言うのも束の間──彼は、蜜洞に入れた指を浅く抽送し、ふっくらと膨れた淫芽の包皮を剥いて口に含む。そうしてねっとりと舌で転がされると、脳裏に幾度も星がチカチカちとまたたき、次々に新たな官能がひらめいた。

「……っあ、あぁああ!」

 何度も絶頂の波が寄せては返す。ビクビクとレイヤは痙攣してようやく、彼は唇を離す。しかし、蜜洞に入れた指はそのままで、襞の感触を確かめるように、優しく擦った。

「はぅ……ん、ぁん、ああ……」

 嬌声は止め処なく溢れて止まらない。中を擦られるのが気持ち良くて、レイヤは快楽でぐしゃぐしゃに蕩けた顔でエリアスを見つめる。しかし、未だに腕が拘束されたままだ。自分だって彼を抱き締めたいのに触れたいのにそれも叶わない。それが酷くもどかしく思えて、ひくひくと嗚咽を溢して泣き出してしまうと、エリアスは慌てて指を引き抜きレイヤの脚を丁寧に下ろした。

「……ご、ごめん中はさほど解してなかったから痛かった? 嫌だった?」

 ぐずぐずとべそをかくレイヤの頬に瞼に口付けを落として、エリアスはレイヤを抱き締め髪を撫でる。

「ちが……もう手の取って。私も……」

 エリアスに触りたい。と、呂律も回らぬ言葉で言うや否や、彼はスルリと手首の拘束を解いてくれた。その途端、レイヤはエリアスにぎゅっとしがみつく。

「可愛い事言ってくれるなぁ……僕の負けだよ」

 消え入りそうな声で言った彼の顔は首まで真っ赤に染まっていた。しかし、腹に当たる彼の身体がはち切れんばかりに硬く膨れている事に気付き、レイヤはそっとそれに触れると彼は唇を引き結んで更に顔を赤くした。

「えりあす、ずるい……」

 彼は顔を赤く染めたまま、首を傾げるが途端にレイヤは跳ね起きて、彼の股に顔を寄せる。

「え、ちょ、ちょっと……レイヤ?!」

 エリアスは慌てて起き上がり、レイヤの肩を掴んだ。しかしこうも取り乱した彼が珍しいもので、レイヤが顔を上げると彼は顔を真っ赤にして唇をモゴモゴと動かしていた。

「ずるいもん……私も、ここ舐める」

 そう言ってベルトを外そうとするが、どうにも上手く行かない。グイグイと引っ張ると彼は観念したようで、レイヤの手に手を添えて、バックルを外した。

「無理しないでいいよ。君に僕が思う気持ち分かって欲しくて、お仕置きとしてそうしてただけで。僕はその……君のそこ舐めるの好きなだけだし」

 おどおどと言うエリアスに対し、レイヤはおぼつかない手つきで下衣のボタンを外して、下着を捲り上げる。蜜を滲ませた屹立がぶるんと、飛び出して目をみはるが──こうも間近でまじまじと見るのは初めてだ。どことなく恥ずかしく思えてレイヤが顔を赤らめてエリアスを見上げると、彼もいたたまれない程に顔を赤くしていた。恐る恐るレイヤが口に含んでみると、彼は更に顔を赤くしてブルブルと身悶えた。

 こそばゆいのか気持ちが良いのか不明だが……彼は荒い息を吐いて、唇を歪めている。
 先端をちろりと舌を這わせてみると、少しばかり塩辛い味がした。舐めれば舐めるだけ後から後へと蜜は垂れ落ち、やがて頭いっぱいが彼の匂いに満たされる。彼を口に含んだままおずおずと顔を上げてみれば、直ぐに視線が合わさったが、非常に余裕の無さそうな顔をしていた。
 端正な顔を歪めて、薄い唇を歪めているものの、瞳は恍惚をたたえている。それがあまりに艶めかしく思えて、レイヤも赤くなってしまうと、彼はクスクスと笑みを溢した。

「レイヤが僕のしゃぶってるなんて、すごい眺めだけど……やっぱり僕も舐めたいな……」

 懇願するように言われて、唇を離したしゆ──起き上がった彼は、レイヤの腰を撫でた。

「おしりを僕の方に向けて、上に跨がれる? 舐めっこにしない?」

 確かにそれなら平等だが……彼の顔の上に跨がるなど、正気の沙汰と思えない。レイヤが目を丸くするが、彼はレイヤに腰を上げるように促した。そうして彼がレイヤの脚をくぐって顔を埋めると、必然的に彼の屹立が目の前になる。しかし、何をどうすればこんなに淫靡な事が思いつくのか分からない。戸惑いつつも彼の屹立に手を伸ばそうとした矢先、太股の付け根を舐られて、レイヤはビクリと震えた。

「我慢出来ないや。先に舐めちゃうよ?」

 クレバスを擽る息に再び烈しい官能が燻ってきた。ビクビクと震えたしゆ、ねっとりと彼の舌が沿い、レイヤは「ひっ」と小さな悲鳴を漏らす。

「ほら、舐めっこなのにお口が留守だよ……舐めないとまた僕がしつこくしちゃうよ」

 僅かに唇を離されて言われるものだから、慌ててレイヤは彼のものを口に含む。すると、ピクリと彼は震えて、優しく輪郭をなぞるように蜜口の周りを舐り始めた。しかし、蜜洞に舌が捻じ込まれると、烈しい快楽が突き抜けレイヤは思わず唇を離してしまう。

「はぅ……ん、ぁん……ぁあ……」

 すると、より烈しく蜜洞の中でグニグニと舌を動かされるので堪らなくなり、レイヤは彼の屹立に舌を這わせた。鈴のように割れた部分が弱いのだろうか。舌を這わせると蜜洞の中の舌を引き抜き、荒い息を吐きながら同じようにクレバスをねぶる。
 ピチャピチャと卑しい水音が双方から響き、耳の中まで犯されたような気持ちになる。それでも必死に彼のものをねぶると、彼は「ん……」と小さな声を漏らした。

「レイヤ、一生懸命に舐めて可愛いね」

「きもち、いいの?」

 僅かに口を離してけば彼は「うん」と優しく言う。

「ちょっと擽ったいけどね。でも、レイヤが僕の舐めてるって思うだけで、興奮しちゃって……こんなのずっと
されたら僕、君の口の中に果てそうで、少し怖いや」

 苦笑交じりに言って直ぐ──彼は、ねっとりとレイヤの蜜口を舐り始めた。しかし、滲み出る蜜液を啜られると浅ましい音が鳴り、羞恥と込み上げ快楽が爆ぜそうになる。

「はぅ……」

 彼のものを手で握ったまま、レイヤが甘い嬌声を漏らすと、それを合図と言わんばかりに蜜洞の中に圧迫感を覚えた。

「ひゃっ……んぁあああ!」

 舐め合いといったのに、こんなのは聞いていない。ぐちゅぐちゅと蜜口の中をかき混ぜられレイヤの脳裏はチカチカとした。その隙に、包皮ごと芽をジュッとしゃぶられてしまうと一気に快楽の波が爆ぜる。

「あんっ──んぁああああ!」

 絶頂に腰をガクガクと戦慄いた。またも彼の舌で達してしまった。しかし、烈しく達してしまうと膝をついているのも辛くなり、レイヤがエリアスの腹に頬を寄せて倒れ込むと、彼はレイヤの脚をずらして、身体を起こし上げた。

「卑怯な事してごめんね。もう我慢出来そうにないや……」

 そう言って彼はレイヤの脚を抱えると、蜜口に屹立を宛がった。

「……レイヤ、船旅の数日間は僕の精液をここで何度も受け止めてくれる?」

 そう言って、エリアスはレイヤの下腹部を撫でた。精液を腹の中で受け止める……。つまり子を成す為だと理解出来る。
 今の今までの交接で彼は、旅に支障が出ないようにと、妊娠させぬようレイヤの胎内では精を放たなかった。いつも寸前で引き抜いて、自分の手の内に放つか、レイヤの腹にかけるばかりだったが……。本気だろうか。揺れた瞳でエリアスを見上げたしゆ──ミシミシと媚肉を掻き分け彼の雄芯が侵入してきた事を悟る。

「はぅ……んぁ、あああ!」

「前の月の障りが集落を発った日だったよね……。丁度一週間くらいか。こうも上手い事、妊娠しやすい周期の船出になるとは思わなかったね。ちょっとレイヤとの夜の事情をエドガーに吐かされたもんでね、それで、そそのかされたのもあるけど……」

 レイヤの顔を覗き込み、エリアスはどこか縋るような視線を向けた。
 だから〝頑張れ〟と、部屋の前で別れた時にエドガーに言われたのだと今更のように理解した。だが、エドガーまで知られているとは、恥ずかしくて堪らない。いたたまれない程に顔を赤く染めたレイヤは濡れた瞳で彼を見上げた。

「本当に僕の子を宿す覚悟はある? 君が僕から絶対に離れないように縛り付けちゃうけど、君はそれを認めてくれる? 今は覚悟が無いなら……」

 ……無理強いはしない。と、言われるがレイヤは直ぐに頷いた。

「……えりあすの、赤ちゃんなら、いいよ。私、エリアスの中にほしい……出されたい」

 そう告げたと同時……胎内でビクリと彼の雄芯が脈打った。しかしドクドクと注がれてはおらず、彼をまじまじと見つめてしまうと、エリアスは恥ずかしそうに口元を手首で隠し視線を逸らす。

「危なかった……そう言われただけで、嬉しくて、出そうになっちゃった……」

 非常にばつが悪そうに言って、彼は背を折り曲げてレイヤの頬や額に口付けを落とす。

「ありがとう……でも、その……僕も余裕無いから直ぐ達しちゃいそうかも」

 そう告げて、間もなく──抽送が始まった。
 膝を高く抱え上げられ、のしかかる彼は蜜洞の奥深くで小刻みな抽送をする。攪拌された体液が後から後へ伝う感触がしてするが、腹の奥がどうにもゾワゾワと甘ったるくて仕方ない。

「はぅ……ん、ぁあんっ……」

 嬌声を漏らしてしまうが、舌を絡めた甘いキスに塞がれてしまうと更に身体の中まで蕩けそうな程の甘みに満たされる。しかし、ヌチヌチとした粘着質な水音と皮膚と皮膚がぶつかる事で生まれる吸い付くような音に羞恥が煽られ、より腹の奥をジュンと熱くさせた。

「んぁ、ぁう……ぁあ……」

「はっ……レイヤとろとろで可愛い顔してるね……」

 恍惚とした顔で言われて再び唇を奪われた。甘やかな感触が背筋をのたうち回る。幸せで堪らない。嬉しくて仕方ない。どう形容して良いかも分からない喜びに胸がいっぱいになり、レイヤの瞳からはツゥと一筋の水流が生まれる。

「ごめ……苦しい?」

 慌ててエリアスが気遣うが、レイヤは首をふるふると横に振るう。

「違う、私こんなに幸せで本当に良いのかなって……思ってうれしくて幸せで……」

 嬌声交じりに言うと、彼は優しく笑んでレイヤの頬にちゅっと口付けを落とした。

「ん。僕も同じくらい幸せだよ。もっと、もっと君の事幸せにするって約束するから……」

 そう言って、少しばかり抽送を早めた後、彼はレイヤの胎内で一際大きく震え上がった。やがて、ドクドクと何かを注がれたのを感じたと同時──穏やかにレイヤの意識は途絶えた。


 ──船に乗ってどれ程の時間が過ぎただろうか。彼に風呂に入れられて、食って寝て交わって繰り返し。時間の感覚もすっかり消え失せてしまっている。

 薄く瞼を持ち上げると、室内は薄明るかった。窓が開いているのだろう。ほんのり潮の香りがして、レイヤが気怠い身体を起こし上げるが、隣にエリアスの姿が無い。慌ててレイヤは立ち上がるが、同時にヌルリとしたものが胎内から溢れ落ち、大腿に伝うのを感じてドッと顔を赤くした。

 ……寝付く前も彼と交わった。それもまたしつこく舐られた後に、続けて三度もしただろう。全てを腹の中で受け止めたが、それが出てきてしまったと理解して、羞恥にレイヤは身悶える。

 まるで栓をするように胎内に彼のものを嵌められたまま眠る事が多い。しかし、そうされていると余韻の快楽が火をつけて、続け様に行為に更けてしまうのだ。しかし、思う……。彼の欲は底なしなのだろうかと。飽きもせず何度も何度も……。寝付く前もそうだった。と回想して、レイヤはその場に蹲った。

「……エリアスどこ行っちゃったの」

 離れている事が妙に寂しく思えてしまい、レイヤが今一度彼の名を呟いたと同時、こうも無くドアが開く。

「あ、起きたんだ。おはようレイヤ」

 エリアスは木製のワゴンを引いて溢れんばかりの食事を運んで来た。

「お昼も回ってるし、おなかも減っただろう? お昼ご飯にしよう」

 ……お昼。と聞いて、慌てて壁掛け時計に視線を向けると、短い針は午後一時前を示している。それを見てレイヤは唖然としてしまった。

 船に乗ってからというものの、自堕落した生活を送っていた所為か、時間の感覚が全く無い。
 ラウラに知られたら間違い無く怒られそうだ。そう思ったレイヤは直ぐに首を横に振って、ソファに座して姿勢を正す。その様が少し滑稽に映ったのだろうか。エリアスはクスクスと笑みつつ、テーブルに料理を並べた。

 ──肉団子にベリーのジャムを絡めたもの。黒いパンにごまをまぶしたパン。分厚いハムとチーズ。それから、たっぷりと野菜の入った茶色のシチュー。今日も今日とて豪華極まりない食事だった。
 どうにもこの船内の生活になってからというものの、食事が妙に豪奢である。しかもとても食べられない程の量が並べられる為、レイヤが目を細めるものの「沢山食べてね?」なんて彼は言う。

「どうして、こんなに沢山……」

 目を細めてエリアスを見ると、彼はレイヤの腹を愛おしげに擦り始めた。

「どうしてって……だってレイヤのおなかの中に僕の子供がいたっておかしくないかもしれないからだよ?」

 しれっとした口調で言われるが、レイヤはドッと顔を赤くした。
 確かにそれはそうだ。そう言われると滋養を付けろと言われるのも納得してしまう。
 唖然としたまま彼を見ると、エリアスは腹が立つ程に綺麗に笑んで、肉団子をフォークで突き刺して、レイヤの口元に運ぶ。
 自然と口を開けて頬張るが、ベリーのソースが絡んで絶妙な酸味で美味しかった。モゴモゴと咀嚼しつつ彼を見ると、エリアスは満足そうに微笑んでいる。

「……いくら滋養を付けなきゃって言っても、こんなに食べたら、私、豚みたいになりそう」

 咀嚼を終えて、げんなりと言えばエリアスは苦笑いを溢した。

「いやいや……レイヤは細すぎるからね。少しくらい太ってくれないと僕が心配だよ。だって僕の嵌めるとおなかがぽこって少し膨れるの分かるくらいに細いでしょ……」

 心配そうにエリアスは言うが、レイヤは瞬く間に顔を赤くした。
 ……確かにそうだし、行為の最中自分もそう思ってはいたが、まさかそこを言われるとは。

「そ、それはエリアスが大きいだけだし」

「レイヤは嬉しい事言ってくれるね。多分僕のはそこまで大きい方でもないよ」

 本当に何を根拠にそう言っているか分からない。レイヤがいぶかしげに彼を見るが、またも肉団子を口元まで運ばれるのだから渋々と口に入れる。

「また食べて食休みしたら、頑張ろうね」

 それもまた腹の立つ程の綺麗な笑顔で言われるものだから、恥ずかしくなってレイヤは俯いてしまった。
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