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後編
第十夜 変動する心
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その日、彼が「白の仕事」から屋敷に戻ったのは完全に陽が落ちてからだった。
彼は帰宅するなり直ぐに部屋着に着替えて、台所に向かい調理を始めた。
居間の方まで、微妙過ぎる鼻歌が聞こえてくる。ここ数年、街の弦楽団が演奏している流行の歌だろう。幾度かライラもそれを聞いた事があるが、やはり、少し音程が外れている気がしてならない。
(歌はあんまり上手くない……)
──顔が良くて、性質も穏やかで、金持ちで。指甲花染を描くのが上手過ぎて、占いも出来て……邪視を持ち、呪術の天才で、妖霊を使役する。
最後三つに関しては欠点と言えるが、それ以外で考えてしまえば、この男はどうしようも無い程に高仕様だろうと今更のようにライラは思う。
……それで、歌まで上手かったとしたら色々と凄まじい人間だろう。と、そう思ったライラは少しばかり嫉妬して目を細めた。
次第に居間の方まで香り始めたのは、肉の焼ける香ばしい香りだった。きっと香草をまぶして焼いているのだろうか……。
居間のソファに座したライラはスンと鼻を鳴らし、夕飯をぼんやりと予想する。
だが、ライラの様子は明らかに落ち着きが無かった。その証拠に何度も足を組み替えてキョロキョロと視線を切り替えていただのだから……。
恩ある同居人と言えど、彼に対してそこまで興味も無いのだから、無駄な詮索などする気なんて端から無かった。
……それなのに、知ってしまったのだ。
あの羊皮紙を見た事を、妖霊に告げ口される可能性も無きにしも非ず。彼がそれを知った時の反応がライラは妙に怖くなってしまったのである。
しかし、彼は”世の中の穏やか”を詰め合わせたかのように物腰柔らかな男だ。
別に酷い叱責なんてしないだろう。と、直ぐに憶測が立つもので、意を固めたライラは立ち上がり、台所へ向かった。
白に黒のゼリージュ模様のタイルを敷き詰めた台所の中で、蛭は微妙な鼻歌交じりに肉を焼いていた。
なかなか分厚い鶏肉だ。既に皮がこんがりと焦げており、オリーブオイルが絡んでキラキラしている様に空腹感が刺激される。
慣れた手つきで蛭は、それに調理酒を加え蓋をした。そこで、台所にライラが来た事にようやく気付いたようで、彼は顔を向ける。
「おなか空いちゃったかな? すぐに出来るから待っててね。あとは市場の出来合の総菜類だけど」
さっぱりとした口調で蛭は告げる。
そうして、焼き上がった肉を皿に盛り付けて。彼はそれをライラに手渡した。
「それと、デザートにはサボテンの実を買ってきたからね」
蛭が傍を横切ろうとした時、すかさずライラは彼を呼び止めた。
「……あのさ、私。一つ、あんたに謝らなきゃいけない事がある」
「どうしたの? 留守中に何か壊した?」
小首を傾げて彼は問う。
──劇薬の類いは手の届かなそうな場所にしまってあるし、大したものは置いてないから別に構わないけど。と、言い添えて。彼は、ライラの前を横切って居間に食事を運ぶ。
「その……結構なものを」
見てしまった。と、言い切る前に「夕飯を食べながら聞くよ?」と彼は言葉を挟む。
ライラは彼の後を追って、居間に入った。
「あの、でも……」
「ほら冷めちゃうよ。俺、今日は帰りが遅かったし、君もおなか減ったでしょ? 美味しいうちに食べよう?」
そう言って、ソファに座した彼はヒラヒラと手を振りライラを手招きした。
少し緊張に強ばった面のまま。ライラは、彼の隣に着席した。
この国の食事は、右手のみ使う手掴み作法だ。熱々の肉は千切れる気もせず、ライラは冷たいミントティーを一口飲んで、隣に座る彼に視線をやった。
一方彼は、平気なのだろう。器用に右手のみを使い、白い湯気が立つ鶏肉を器用に千切り口の中に放り込んで食事を始めていた。
「その。謝りたい事だけど。私、あんたの本に挟まっていた手紙、見ちゃったんだ」
単刀直入にライラが事実を告げる。
咀嚼したままの彼は、隣のライラに顔を向けた。
「ナーセルの世話をしながら、草取りなんか毎日やってたし……庭が綺麗になったから凄く暇で。あんたの机の近くに散らかってた本を読んでたら、手紙が挟まってて。ただのメモだろうって思って見ちゃったんだ。その……悪かったよアシュラフ」
ライラが詫び終えるなり、彼の頬はたちまち赤みを色付いた。それに、少し小刻みに肩を震えている。その様から、きっと怒っているのだろうとライラは直ぐに分かった。
……しかし、予想外の反応である。
彼は食事を止め、無言のままだった。
少しばかり根暗で陰湿気質とは言え、彼は割と喋る方だ。あんな微妙な鼻歌を歌っている程に陽気な一面もある程で……。
怒らせたかも知れない──と、考えると血の気が引くもので、ライラは続け様にもう一度謝罪の言葉を述べようと水紅色の唇を開きかけた途端だった。
「あああぁあ…………」
蛭は、たちまち蚊の鳴くような声を上げたのである。
顔を両手で覆い、首をふるふると振るい始めた彼にライラは目を点にした。
一体何だというのか。突然の行動にライラは唇をぽっかりと開く。
「ラ、ライラ。あの、お願い……もう一回呼んで欲しいな」
やや鼻息を荒くして、彼は少しばかり恥ずかしそうに切り出した。
長い前髪の隙間から僅かに見える薄紅の瞳はやたらと艶っぽい。怒ってはいないと分かり安堵したが、一体なんだというのか……。 ライラはたちまち眉根を寄せた。
「は? 呼ぶって……何を?」
意図が汲み取れず、ライラは眉根に寄せた皺を深めた。
「……あの、さっき言った名前呼んで」
「ああ……アシュ、ラフ?」
促されるままにライラが言うと、彼は今にも爆発でもしてしまいそうな程に顔を更に赤々と染めて途端に身悶えた。
「え、何。怖いんだけど」
「いや、だって、そんなまさかだし。その、凄く驚いたというか。嬉しくて……」
……はて。何はそんなに嬉しいのか。
思考が追いつかないライラは、唇を拉げて小首を傾げる。
「……だって、まさか。本当の名前を呼ばれるなんて思わなくて。完全に不意打ちだし」
なるほど。と、ライラは納得した。
しかし、怒られると思ったのに、この反応には呆れてしまう。ライラの顔面は引き攣るばかりだった。
「それで、あんたは……」
「やだ、名前で呼んでよ」
──と、このやりとりを食後幾度繰り返したのだろうか。
未だ頬を赤らめて興奮する蛭……ことアシュラフは”あんた呼び”を拒絶し、幾度も本名で呼ぶよう促した。それはもう諄い程に。
「……それで、アシュラフ」
やや冷ためにライラは言う。
それでも、彼は嬉しそうに唇を緩めニヤニヤと笑んだ。
それはもう……彼の背後に全力満開の花畑でも見えそうな程に。
(やっぱり……阿呆でしょ)
ライラはジトリと目を細めてアシュラフに視線をやった。
きっと彼もまことの名を隠していたのだと推測は容易い。
ライラだって、彼にまことの名を呼ばれた初日の夜まで本当の名を失っていたのだ。
しかし、自分の場合は虫酸が走るばかりで、嬉しいなんて感情は無かったが……彼の場合は違うのだろう。
何せ、彼は自分を一目惚れだと言った。好いている相手に、まことの名を呼ばれたから嬉しいのだろうと分かる。
だが、勝手に手紙を読んだ事を咎めないのか……と、疑問は浮かぶもので、訊いてみれば、アシュラフは直ぐに首を横に振った。
「別にいいよ。確かに俺は「作業机には触れないで」とは言ったけど。「本を読むな」なんて言ってないからね。そこに挟まってただけでしょ?」
返答は、いつも通り低く平らな穏やかな声色ではあるが、少しばかり高揚しているのか、張りがあった。
「だけど、勝手に読んで良いものじゃないでしょうが? 名前を知られた事だって……」
「いや。そこは俺の管理不足だし別に。それに俺だって、ライラの名前を呪術で吐かせて知ったでしょ?」
「まぁ……そうだったけど。あんたの場合は、私を好きにする権限を持ってるからこそ出来る事でしょうが」
──同じく名を隠して身分故に分かる。
名が他人に割れてしまう事を危惧するべきではないかとライラは追求すると、彼は直ぐに首を横に振った。
「確かに本当の名が割れれば、命に関わる呪術をかける事だって出来るよ? だけど、俺以上の呪術師なんて、カスディールは愚か、現状この近辺の国に居ないからね。やられたとしても、呪詛の万倍返しなんて朝飯前だよ?」
自信満々に言うや否や、ヒヒ……と、いつもの独特な笑いを彼は溢す。
「それにねぇ。君は呪術なんて扱えないでしょ? だから、本名は知られて困らないよ」
きっぱり言い切ると、彼はグラスを掴んでミントティーを飲み始めた。
本人が大丈夫というのであれば大丈夫なのだろうが……ライラは、どことなく腑に落ちない様子でグラスを掴み、ミントティーを一口飲む。
しかし、読んだ内容はどこまで踏み込んで良いのかも分からない。しかし、疑問は山のようにある。
まるで読みかけの本のよう。一つ興味を持てば、更にページを捲りたくなるのと同様の理論なのだろうか。ライラは、眉根を寄せて緩やかに水紅色の唇を開いた。
「ねぇ。知ってしまったからには、この際もう包み隠さず訊くけど……」
──アシュラフ。あんたは何者なの? と、ライラは、真っ直ぐに彼を射貫いて問う。
一方、彼はあっけらかんと『呪術師だけど?』と、分かりきった答えを直ぐに出した。
「違う、そうじゃなくて! あの手紙にはあんたの名前が全て書かれていた。……アリ・カルファジル。その姓の出所は私だって知っている」
ライラは向き合い。更に続けた。
「あんたが隠蔽された王族だろうが、私は別にどうだって良いけどね。でも仮にそうだとしたら……どうして忌まれた黒の呪術師なんてしているのか気になるだけ。その上、あんたが「こんな陰湿な仕事は嫌だ」と溢してたのを聞いたから……あんたは自ら望んで「蛭」になったのかって?」
本当にここまで突っ込んで良いかも分からなかった。だが、気になってしまった事だ。ライラは堂々と告げると、彼は頤に手を当てて首を捻る。
「まぁ、君との付き合いも今後三十年と長くなるし……別にいいか。それに俺の事で君に言って困る事なんて多分無さそうだしね」
穏やかに告げた後、アシュラフはゆったりと唇を開いた。
※※※
時は、今から二十五年と昔に遡る。
前国王の愛人が身籠もり、子が生まれたそうだ。それこそが、アシュラフだった。
第二王子──その地位は、後に玉座に座する事は無いにしても、将来的に高い地位は約束されたものだった。
しかし、生後数日。目を開けた赤子に王宮内の誰もが戦慄した。
赤子は薄紅の瞳を持っていたのである。赤の瞳──即ち邪視。厄災を呼ぶ赤い瞳はこの国の誰もが恐れるものだった。
当然の如く、国王は不吉な目を持つ息子に愛情を持てなかった。
直ちに、夜の砂漠に置き去りにするか砂の中に埋めて殺す事も考えていたそうだ。
だが、それを知った愛人は頑なに赤子殺しを拒んだそうである。愛人としてみれば自分の産んだ子だ。いくら邪視を持つにしても、情けと愛はあったのだろう。
『どうか、この子を殺さないで』と、彼女は国王に幾度も頭を下げて頼み込んだそうだ。
王としてみても愛人がとびきりのお気に入りだったらしい。だからこそ、その意を汲み、国王はカスディールで最も優れた占者に相談したそうである。
招いた占者の話によれば、邪視というものは乳幼児のうちは未発達だそうだ。
即ち、突然の脅威という訳でもない。邪視が育ちそうになった頃を見計らい、自分が引き取りに来ると約束したそうだ。
そうしてアシュラフは王宮を追放される事なく、幼少期を過ごしたそうである。ただし、人目を憚る場所に幽閉されて。彼の存在は完全に隠蔽されていた。
アシュラフはいつも一人ぼっちだったそうだ。
けれど、決して孤独ではなかった。彼は夜半に現れる、コブラや蠍の姿の妖霊達とすぐに仲良くなったのである。
人では無い悪しき存在だとしても、同じ日陰者だ。妖霊達は誰よりも彼の理解者だった。
だから、寂しいだなんて思った事は無かったそうだ。
……強いていうのであれば、父に少しでも愛情を向けられたかったという程度。それ以外に彼が望むものは無かったそうである。
そうして彼が七歳の誕生日を迎えた頃、約束通り占者が彼を引き取りに来たそうだ。
……その占者こそ素性を隠し、素顔を晒した前代の「蛭」だった。
黒の呪術師は本業ではあるが裏の顔。表向きには国一番の占者。前代の蛭はしわしわの老婆だったそうだ。
だが、この老婆……年齢としわしわの見かけの割には活力に満ちあふれて元気なもので、なかなかの曲者だったそうである。
──邪視と呼ばれる赤に近しい瞳を持つ事や妖霊と仲が良い事から、老婆はアシュラフから呪術の才を見い出した。そうして、常々こっぴどい扱きを行ったそうだ。
「出来ない」「嫌だ」と言えば杖で頭を殴られ泣いた回数は数知れず……その結果、アシュラフは見事に才能を開花させたそうである。
それでも、毎日の食事は美味しい料理を拵えてくれたり、毎年訪れるアシュラフの誕生日は盛大に祝ってくれたり……と、前代の蛭は愛に満ちあふれた優しい老婆だったそうだ。
※※※
「師匠はね、本当……あと五百年くらいはくたばりそうも無い程にぶっ飛んだ婆さんだったよ。でも、俺が十八の時かな? 老衰で亡くなってね……一緒に過ごしたのは、十年くらいだけど、きっと俺は忘れないよ」
苦笑いを浮かべてアシュラフは言う。
長い前髪で表情はハッキリとしないが、優しい口調から、亡き存在を愛おしんでいる事はよく分かった。
「なるほど。……前代の蛭、その婆さんが、下らない嫌がらせ大全の著者って訳ね」
話を聞いて、ライラは納得した。
きっと、彼の過ごした十年は幸せだったのだろうと思った。何せ、「愛弟子」「愛してる」と書かれた遺書だ。それを思い返し、ライラは心の奥底が仄かに暖かく感じた。
忌まれた黒の呪術師とは言え、だからこそ彼の本質はこんなにも穏やかで優しいのだろうと。そんな風にも思えてしまった。
「そうそう。あの本さ。なかなか面白かったでしょ? 師匠が俺の十二歳の誕生日にくれたんだ」
──俺の大事な宝物。と、僅かに頬を赤らめたアシュラフは嬉しそうに語った。
「あと何だっけ……自ら望んで蛭になったのかと仕事が嫌かって話だっけ?」
小首を傾げて問われて、ライラは頷く。
「蛭の名はね。師匠の死後、俺が勝手に襲名しただけだよ。だから自ら望んで蛭になった。確かに、黒の呪術や悪しき妖霊に対峙する事は、俺だから出来る事に違いない。でも、黒の呪術に関しては、決して誇らしいとは思えないんだ。出来る事なら指甲花染の施術をしたり白の呪術を扱う占者としてだけやってきたいとは思うよ。根暗で人見知りでコミュニケーション下手な俺が言うのはおかしいけど、明るみに憧れてて……真っ当で普通の生活がしたいって思うだけで」
区切り区切りにアシュラフが恥ずかしそうに告げた言葉にライラは納得してしまった。
「でも、待って。現在の国王は腹違いのあんたの兄さんって事になるんだよね? アシュラフが望む”明るみの生活”ならば、あんたは、黒の呪術を使って国王引きずり下ろして国民の洗脳くらい出来るでしょ? そうして玉座に着くとか考えなかったの?」
賊の略奪精神そのもの。思った事をキッパリ言えば、アシュラフは「流石盗賊。考える事が物騒」だなんて、噴き出すように笑う。
「当然出来るだろうが、やる気は無いよ。言ったでしょ? 俺は、人を不幸に貶める黒の呪術があんまり好きじゃ無いって。それにね、俺が憧れるのは”極めて明るみにある平凡”だから。だから、そういう気持ちは全く無いよ。だって自由も無く、窮屈そうなのって嫌だし。政略結婚で妻を娶るのも嫌だし。俺はただ気楽に普通に生きたいだけ」
──まぁ、”極めて明るい平凡”なんて、一生無理だろうけどね。なんて、付け添えて。アシュラフは優しく笑んだ。
『嫌だ』と言う割に、彼は自分の立場や境遇、使命や生きる道を全て見通し、腰を据えているのだろうとライラは理解した。
根暗ではあるが、その芯は思ったより真っ直ぐで──彼の本質をほんの少し理解すれば、腹の底にあった嫌悪の感情はまた溶けるように薄まっていく事を自覚する。
しかし、おかしいだろう。と、ライラが悟ったのは直ぐだった。
彼に対して暖かな感情を持ち、嫌悪が薄れるなどおかしいだろう。ライラは首をふるふると横に振るう。
そう。忘れもしない……この男は、自分を辱め穢し、誇りさえへし折ったのだ。
けれど、事実上救われて……一連を思い返すと、脳裏は砂塵が舞うような混沌が渦巻いた。
その様子に見かねたのだろうか。
アシュラフは『どうしたの?』と、小首を傾げてライラに問う。だが、ライラは直ぐに首を横に振った。
「何でも無いなら良いけど。さぁ、明日も早いし湯でも浸かったら俺は寝るね。ライラもあまり夜更かしはしないように。出来たら、今度はライラの色んな話を聞かせてよ」
アシュラフはテーブルに広がった食器を手際良くまとめた後、ライラの額に口付けを一つ落として台所へと向かって行った。
あまりに不意打ちだった。
たちまち、口付けを落とされた額が無性に熱くなり……ライラは頬を赤々と染めた。
少し前なら、きっと直ぐ激昂しただろう。だが以前のような不快さなど感じられず……。
ただ思った事は、少しの違和と妙な仄暖かさだけで。
(……こんな奴、きっと嫌いでいた方が良いに決まってるのに)
唇を落とされた額に手を当てて。ライラは心の中で独りごちた。
彼は帰宅するなり直ぐに部屋着に着替えて、台所に向かい調理を始めた。
居間の方まで、微妙過ぎる鼻歌が聞こえてくる。ここ数年、街の弦楽団が演奏している流行の歌だろう。幾度かライラもそれを聞いた事があるが、やはり、少し音程が外れている気がしてならない。
(歌はあんまり上手くない……)
──顔が良くて、性質も穏やかで、金持ちで。指甲花染を描くのが上手過ぎて、占いも出来て……邪視を持ち、呪術の天才で、妖霊を使役する。
最後三つに関しては欠点と言えるが、それ以外で考えてしまえば、この男はどうしようも無い程に高仕様だろうと今更のようにライラは思う。
……それで、歌まで上手かったとしたら色々と凄まじい人間だろう。と、そう思ったライラは少しばかり嫉妬して目を細めた。
次第に居間の方まで香り始めたのは、肉の焼ける香ばしい香りだった。きっと香草をまぶして焼いているのだろうか……。
居間のソファに座したライラはスンと鼻を鳴らし、夕飯をぼんやりと予想する。
だが、ライラの様子は明らかに落ち着きが無かった。その証拠に何度も足を組み替えてキョロキョロと視線を切り替えていただのだから……。
恩ある同居人と言えど、彼に対してそこまで興味も無いのだから、無駄な詮索などする気なんて端から無かった。
……それなのに、知ってしまったのだ。
あの羊皮紙を見た事を、妖霊に告げ口される可能性も無きにしも非ず。彼がそれを知った時の反応がライラは妙に怖くなってしまったのである。
しかし、彼は”世の中の穏やか”を詰め合わせたかのように物腰柔らかな男だ。
別に酷い叱責なんてしないだろう。と、直ぐに憶測が立つもので、意を固めたライラは立ち上がり、台所へ向かった。
白に黒のゼリージュ模様のタイルを敷き詰めた台所の中で、蛭は微妙な鼻歌交じりに肉を焼いていた。
なかなか分厚い鶏肉だ。既に皮がこんがりと焦げており、オリーブオイルが絡んでキラキラしている様に空腹感が刺激される。
慣れた手つきで蛭は、それに調理酒を加え蓋をした。そこで、台所にライラが来た事にようやく気付いたようで、彼は顔を向ける。
「おなか空いちゃったかな? すぐに出来るから待っててね。あとは市場の出来合の総菜類だけど」
さっぱりとした口調で蛭は告げる。
そうして、焼き上がった肉を皿に盛り付けて。彼はそれをライラに手渡した。
「それと、デザートにはサボテンの実を買ってきたからね」
蛭が傍を横切ろうとした時、すかさずライラは彼を呼び止めた。
「……あのさ、私。一つ、あんたに謝らなきゃいけない事がある」
「どうしたの? 留守中に何か壊した?」
小首を傾げて彼は問う。
──劇薬の類いは手の届かなそうな場所にしまってあるし、大したものは置いてないから別に構わないけど。と、言い添えて。彼は、ライラの前を横切って居間に食事を運ぶ。
「その……結構なものを」
見てしまった。と、言い切る前に「夕飯を食べながら聞くよ?」と彼は言葉を挟む。
ライラは彼の後を追って、居間に入った。
「あの、でも……」
「ほら冷めちゃうよ。俺、今日は帰りが遅かったし、君もおなか減ったでしょ? 美味しいうちに食べよう?」
そう言って、ソファに座した彼はヒラヒラと手を振りライラを手招きした。
少し緊張に強ばった面のまま。ライラは、彼の隣に着席した。
この国の食事は、右手のみ使う手掴み作法だ。熱々の肉は千切れる気もせず、ライラは冷たいミントティーを一口飲んで、隣に座る彼に視線をやった。
一方彼は、平気なのだろう。器用に右手のみを使い、白い湯気が立つ鶏肉を器用に千切り口の中に放り込んで食事を始めていた。
「その。謝りたい事だけど。私、あんたの本に挟まっていた手紙、見ちゃったんだ」
単刀直入にライラが事実を告げる。
咀嚼したままの彼は、隣のライラに顔を向けた。
「ナーセルの世話をしながら、草取りなんか毎日やってたし……庭が綺麗になったから凄く暇で。あんたの机の近くに散らかってた本を読んでたら、手紙が挟まってて。ただのメモだろうって思って見ちゃったんだ。その……悪かったよアシュラフ」
ライラが詫び終えるなり、彼の頬はたちまち赤みを色付いた。それに、少し小刻みに肩を震えている。その様から、きっと怒っているのだろうとライラは直ぐに分かった。
……しかし、予想外の反応である。
彼は食事を止め、無言のままだった。
少しばかり根暗で陰湿気質とは言え、彼は割と喋る方だ。あんな微妙な鼻歌を歌っている程に陽気な一面もある程で……。
怒らせたかも知れない──と、考えると血の気が引くもので、ライラは続け様にもう一度謝罪の言葉を述べようと水紅色の唇を開きかけた途端だった。
「あああぁあ…………」
蛭は、たちまち蚊の鳴くような声を上げたのである。
顔を両手で覆い、首をふるふると振るい始めた彼にライラは目を点にした。
一体何だというのか。突然の行動にライラは唇をぽっかりと開く。
「ラ、ライラ。あの、お願い……もう一回呼んで欲しいな」
やや鼻息を荒くして、彼は少しばかり恥ずかしそうに切り出した。
長い前髪の隙間から僅かに見える薄紅の瞳はやたらと艶っぽい。怒ってはいないと分かり安堵したが、一体なんだというのか……。 ライラはたちまち眉根を寄せた。
「は? 呼ぶって……何を?」
意図が汲み取れず、ライラは眉根に寄せた皺を深めた。
「……あの、さっき言った名前呼んで」
「ああ……アシュ、ラフ?」
促されるままにライラが言うと、彼は今にも爆発でもしてしまいそうな程に顔を更に赤々と染めて途端に身悶えた。
「え、何。怖いんだけど」
「いや、だって、そんなまさかだし。その、凄く驚いたというか。嬉しくて……」
……はて。何はそんなに嬉しいのか。
思考が追いつかないライラは、唇を拉げて小首を傾げる。
「……だって、まさか。本当の名前を呼ばれるなんて思わなくて。完全に不意打ちだし」
なるほど。と、ライラは納得した。
しかし、怒られると思ったのに、この反応には呆れてしまう。ライラの顔面は引き攣るばかりだった。
「それで、あんたは……」
「やだ、名前で呼んでよ」
──と、このやりとりを食後幾度繰り返したのだろうか。
未だ頬を赤らめて興奮する蛭……ことアシュラフは”あんた呼び”を拒絶し、幾度も本名で呼ぶよう促した。それはもう諄い程に。
「……それで、アシュラフ」
やや冷ためにライラは言う。
それでも、彼は嬉しそうに唇を緩めニヤニヤと笑んだ。
それはもう……彼の背後に全力満開の花畑でも見えそうな程に。
(やっぱり……阿呆でしょ)
ライラはジトリと目を細めてアシュラフに視線をやった。
きっと彼もまことの名を隠していたのだと推測は容易い。
ライラだって、彼にまことの名を呼ばれた初日の夜まで本当の名を失っていたのだ。
しかし、自分の場合は虫酸が走るばかりで、嬉しいなんて感情は無かったが……彼の場合は違うのだろう。
何せ、彼は自分を一目惚れだと言った。好いている相手に、まことの名を呼ばれたから嬉しいのだろうと分かる。
だが、勝手に手紙を読んだ事を咎めないのか……と、疑問は浮かぶもので、訊いてみれば、アシュラフは直ぐに首を横に振った。
「別にいいよ。確かに俺は「作業机には触れないで」とは言ったけど。「本を読むな」なんて言ってないからね。そこに挟まってただけでしょ?」
返答は、いつも通り低く平らな穏やかな声色ではあるが、少しばかり高揚しているのか、張りがあった。
「だけど、勝手に読んで良いものじゃないでしょうが? 名前を知られた事だって……」
「いや。そこは俺の管理不足だし別に。それに俺だって、ライラの名前を呪術で吐かせて知ったでしょ?」
「まぁ……そうだったけど。あんたの場合は、私を好きにする権限を持ってるからこそ出来る事でしょうが」
──同じく名を隠して身分故に分かる。
名が他人に割れてしまう事を危惧するべきではないかとライラは追求すると、彼は直ぐに首を横に振った。
「確かに本当の名が割れれば、命に関わる呪術をかける事だって出来るよ? だけど、俺以上の呪術師なんて、カスディールは愚か、現状この近辺の国に居ないからね。やられたとしても、呪詛の万倍返しなんて朝飯前だよ?」
自信満々に言うや否や、ヒヒ……と、いつもの独特な笑いを彼は溢す。
「それにねぇ。君は呪術なんて扱えないでしょ? だから、本名は知られて困らないよ」
きっぱり言い切ると、彼はグラスを掴んでミントティーを飲み始めた。
本人が大丈夫というのであれば大丈夫なのだろうが……ライラは、どことなく腑に落ちない様子でグラスを掴み、ミントティーを一口飲む。
しかし、読んだ内容はどこまで踏み込んで良いのかも分からない。しかし、疑問は山のようにある。
まるで読みかけの本のよう。一つ興味を持てば、更にページを捲りたくなるのと同様の理論なのだろうか。ライラは、眉根を寄せて緩やかに水紅色の唇を開いた。
「ねぇ。知ってしまったからには、この際もう包み隠さず訊くけど……」
──アシュラフ。あんたは何者なの? と、ライラは、真っ直ぐに彼を射貫いて問う。
一方、彼はあっけらかんと『呪術師だけど?』と、分かりきった答えを直ぐに出した。
「違う、そうじゃなくて! あの手紙にはあんたの名前が全て書かれていた。……アリ・カルファジル。その姓の出所は私だって知っている」
ライラは向き合い。更に続けた。
「あんたが隠蔽された王族だろうが、私は別にどうだって良いけどね。でも仮にそうだとしたら……どうして忌まれた黒の呪術師なんてしているのか気になるだけ。その上、あんたが「こんな陰湿な仕事は嫌だ」と溢してたのを聞いたから……あんたは自ら望んで「蛭」になったのかって?」
本当にここまで突っ込んで良いかも分からなかった。だが、気になってしまった事だ。ライラは堂々と告げると、彼は頤に手を当てて首を捻る。
「まぁ、君との付き合いも今後三十年と長くなるし……別にいいか。それに俺の事で君に言って困る事なんて多分無さそうだしね」
穏やかに告げた後、アシュラフはゆったりと唇を開いた。
※※※
時は、今から二十五年と昔に遡る。
前国王の愛人が身籠もり、子が生まれたそうだ。それこそが、アシュラフだった。
第二王子──その地位は、後に玉座に座する事は無いにしても、将来的に高い地位は約束されたものだった。
しかし、生後数日。目を開けた赤子に王宮内の誰もが戦慄した。
赤子は薄紅の瞳を持っていたのである。赤の瞳──即ち邪視。厄災を呼ぶ赤い瞳はこの国の誰もが恐れるものだった。
当然の如く、国王は不吉な目を持つ息子に愛情を持てなかった。
直ちに、夜の砂漠に置き去りにするか砂の中に埋めて殺す事も考えていたそうだ。
だが、それを知った愛人は頑なに赤子殺しを拒んだそうである。愛人としてみれば自分の産んだ子だ。いくら邪視を持つにしても、情けと愛はあったのだろう。
『どうか、この子を殺さないで』と、彼女は国王に幾度も頭を下げて頼み込んだそうだ。
王としてみても愛人がとびきりのお気に入りだったらしい。だからこそ、その意を汲み、国王はカスディールで最も優れた占者に相談したそうである。
招いた占者の話によれば、邪視というものは乳幼児のうちは未発達だそうだ。
即ち、突然の脅威という訳でもない。邪視が育ちそうになった頃を見計らい、自分が引き取りに来ると約束したそうだ。
そうしてアシュラフは王宮を追放される事なく、幼少期を過ごしたそうである。ただし、人目を憚る場所に幽閉されて。彼の存在は完全に隠蔽されていた。
アシュラフはいつも一人ぼっちだったそうだ。
けれど、決して孤独ではなかった。彼は夜半に現れる、コブラや蠍の姿の妖霊達とすぐに仲良くなったのである。
人では無い悪しき存在だとしても、同じ日陰者だ。妖霊達は誰よりも彼の理解者だった。
だから、寂しいだなんて思った事は無かったそうだ。
……強いていうのであれば、父に少しでも愛情を向けられたかったという程度。それ以外に彼が望むものは無かったそうである。
そうして彼が七歳の誕生日を迎えた頃、約束通り占者が彼を引き取りに来たそうだ。
……その占者こそ素性を隠し、素顔を晒した前代の「蛭」だった。
黒の呪術師は本業ではあるが裏の顔。表向きには国一番の占者。前代の蛭はしわしわの老婆だったそうだ。
だが、この老婆……年齢としわしわの見かけの割には活力に満ちあふれて元気なもので、なかなかの曲者だったそうである。
──邪視と呼ばれる赤に近しい瞳を持つ事や妖霊と仲が良い事から、老婆はアシュラフから呪術の才を見い出した。そうして、常々こっぴどい扱きを行ったそうだ。
「出来ない」「嫌だ」と言えば杖で頭を殴られ泣いた回数は数知れず……その結果、アシュラフは見事に才能を開花させたそうである。
それでも、毎日の食事は美味しい料理を拵えてくれたり、毎年訪れるアシュラフの誕生日は盛大に祝ってくれたり……と、前代の蛭は愛に満ちあふれた優しい老婆だったそうだ。
※※※
「師匠はね、本当……あと五百年くらいはくたばりそうも無い程にぶっ飛んだ婆さんだったよ。でも、俺が十八の時かな? 老衰で亡くなってね……一緒に過ごしたのは、十年くらいだけど、きっと俺は忘れないよ」
苦笑いを浮かべてアシュラフは言う。
長い前髪で表情はハッキリとしないが、優しい口調から、亡き存在を愛おしんでいる事はよく分かった。
「なるほど。……前代の蛭、その婆さんが、下らない嫌がらせ大全の著者って訳ね」
話を聞いて、ライラは納得した。
きっと、彼の過ごした十年は幸せだったのだろうと思った。何せ、「愛弟子」「愛してる」と書かれた遺書だ。それを思い返し、ライラは心の奥底が仄かに暖かく感じた。
忌まれた黒の呪術師とは言え、だからこそ彼の本質はこんなにも穏やかで優しいのだろうと。そんな風にも思えてしまった。
「そうそう。あの本さ。なかなか面白かったでしょ? 師匠が俺の十二歳の誕生日にくれたんだ」
──俺の大事な宝物。と、僅かに頬を赤らめたアシュラフは嬉しそうに語った。
「あと何だっけ……自ら望んで蛭になったのかと仕事が嫌かって話だっけ?」
小首を傾げて問われて、ライラは頷く。
「蛭の名はね。師匠の死後、俺が勝手に襲名しただけだよ。だから自ら望んで蛭になった。確かに、黒の呪術や悪しき妖霊に対峙する事は、俺だから出来る事に違いない。でも、黒の呪術に関しては、決して誇らしいとは思えないんだ。出来る事なら指甲花染の施術をしたり白の呪術を扱う占者としてだけやってきたいとは思うよ。根暗で人見知りでコミュニケーション下手な俺が言うのはおかしいけど、明るみに憧れてて……真っ当で普通の生活がしたいって思うだけで」
区切り区切りにアシュラフが恥ずかしそうに告げた言葉にライラは納得してしまった。
「でも、待って。現在の国王は腹違いのあんたの兄さんって事になるんだよね? アシュラフが望む”明るみの生活”ならば、あんたは、黒の呪術を使って国王引きずり下ろして国民の洗脳くらい出来るでしょ? そうして玉座に着くとか考えなかったの?」
賊の略奪精神そのもの。思った事をキッパリ言えば、アシュラフは「流石盗賊。考える事が物騒」だなんて、噴き出すように笑う。
「当然出来るだろうが、やる気は無いよ。言ったでしょ? 俺は、人を不幸に貶める黒の呪術があんまり好きじゃ無いって。それにね、俺が憧れるのは”極めて明るみにある平凡”だから。だから、そういう気持ちは全く無いよ。だって自由も無く、窮屈そうなのって嫌だし。政略結婚で妻を娶るのも嫌だし。俺はただ気楽に普通に生きたいだけ」
──まぁ、”極めて明るい平凡”なんて、一生無理だろうけどね。なんて、付け添えて。アシュラフは優しく笑んだ。
『嫌だ』と言う割に、彼は自分の立場や境遇、使命や生きる道を全て見通し、腰を据えているのだろうとライラは理解した。
根暗ではあるが、その芯は思ったより真っ直ぐで──彼の本質をほんの少し理解すれば、腹の底にあった嫌悪の感情はまた溶けるように薄まっていく事を自覚する。
しかし、おかしいだろう。と、ライラが悟ったのは直ぐだった。
彼に対して暖かな感情を持ち、嫌悪が薄れるなどおかしいだろう。ライラは首をふるふると横に振るう。
そう。忘れもしない……この男は、自分を辱め穢し、誇りさえへし折ったのだ。
けれど、事実上救われて……一連を思い返すと、脳裏は砂塵が舞うような混沌が渦巻いた。
その様子に見かねたのだろうか。
アシュラフは『どうしたの?』と、小首を傾げてライラに問う。だが、ライラは直ぐに首を横に振った。
「何でも無いなら良いけど。さぁ、明日も早いし湯でも浸かったら俺は寝るね。ライラもあまり夜更かしはしないように。出来たら、今度はライラの色んな話を聞かせてよ」
アシュラフはテーブルに広がった食器を手際良くまとめた後、ライラの額に口付けを一つ落として台所へと向かって行った。
あまりに不意打ちだった。
たちまち、口付けを落とされた額が無性に熱くなり……ライラは頬を赤々と染めた。
少し前なら、きっと直ぐ激昂しただろう。だが以前のような不快さなど感じられず……。
ただ思った事は、少しの違和と妙な仄暖かさだけで。
(……こんな奴、きっと嫌いでいた方が良いに決まってるのに)
唇を落とされた額に手を当てて。ライラは心の中で独りごちた。
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