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前編
第八夜 解毒と改正
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いつの間に眠っていたのだろうか。ライラはゆっくりと瞼を持ち上げた。
確か、蜉蝣に裏切られて得体の知れない薬を飲まされて……そこを蛭に救われた事は覚えている。
そうして屋敷に連れ戻されるなり、解熱鎮静剤を飲まされたが、催淫が解けず……自分から蛭にせがんで、厭らしい事をまたしたと。
記憶が正しければ、交わり合う事はしなかったが──と、その一連を思い出した途端、 ライラの脳裏には浅ましい記憶の数々が走馬燈のように過ぎった。
次第に顔が熱くなる事を自覚して、いたたまれない程に耳まで顔を赤々と染めたライラは唇をへの字に曲げた。
だが、頭が重たくて痛い。耐えられない程の鈍痛という訳でもないが、不快な痛さだった。
蜜色の髪を掻き、僅かに呻いたライラはゆったりと体を起こした。
──確か、居間のソファで。と、思い出すが、記憶の最後と違う空間──寝室にライラは居た。
ベッドから垂れ下がる幾重にも重なった薄く透けたベールを引っ張って。ライラはひょっこりと顔を出す。
ベッドから少し離れた所に設置された椅子。
そこに腰掛けた蛭は、通常通りの黒装束の装いと髪型に戻っていた。
何やら彼は読書に没頭しているようだった。 しかし、両目を覆う程の長い前髪で字なんて読めるのだろうか……。
そんな、疑問が芽生えるものだが、ページを捲っている様を見ると、一応は読めているのだろうと思う。
それに、彼がどれだけそこに居たかは分からないが、椅子の近くに幾つも本が転がっている様から、ずっとこうして自分の傍を離れずに居たのだろうと憶測出来た。
ジッと彼の様子を見ていた事にようやく気が付いたのだろう。
読んでいた本を閉じた蛭は、ベッドに吊されたベールから顔を出すライラの方を向き、薄い唇を開く。
「大丈夫? 気分は悪くない?」
相変わらず低く平らな優しい口調だった。
ライラは訊かれた事に無言で一つ頷いた。 すると彼は、座したまま椅子を掴み引き摺って、寝台の傍まで近寄った。
「よかった。思ったより解熱鎮静剤が効いたみたいで、解毒剤が要らないかもだけど、一応大事を見てちゃんと飲んでね」
そう言って、彼は寝台の脇に設置されたナイトテーブルに本を置き、隣に置かれた小さなグラスを手に取った。
──解毒剤。それを確と視界に映せば、ライラの思考は停止する。
「はい、どうぞ」
とても柔らかな口調で渡されたが、ライラは一瞬にして顔が引き攣った。
これが、解毒剤なのだろうか……見るからにまずそうだった。否や、人が飲んで良い色合いではないだろう。何をどうすれば、こんな発色になるのかさえも分からない。
緑に黒、それから少しばかり気泡が立っている事から”明らかにヤバそう”なのは目に見えて分かる。ライラの引き攣った面は次第に青みさえも差してきた。
「なぁ。コレって人間が飲めるものなの?」
──きっと、野良犬に舐めさせればひっくり返るだろう。そんな風に思いながら、ライラは怪訝に蛭を射貫く。すると彼は、ヒヒ……と、独特な笑いを溢した。
「確かに色はヤバイけど、安心して。解毒作用のある薬草しか入ってないよ。それも上質なもの。味の保証だけは出来ないけど、俺の調剤は多分カスディールで一番効くよ」
──俺を誰だと思ってるのさ。なんて、少しばかり誇らしげに彼は言い添えた。
確かにそうだろう。黒の呪術師、蛭の調剤となれば効果は極め付きに違いない。
だが、そうだと分かっていてもライラは顔を顰めたままグラスに口は付けられなかった。
記憶の中の言葉を辿れば、彼は自分を救いたいと言っただろう。
それに、一つ一つ言われた言葉を思い返せば、誠意はあるものだと理解出来る。
だから、信じられる。
とは言え……流石にこの見た目はマズイだろう。ライラは気泡がふつふつと上がる解毒剤をジッと睨み、生唾を飲み込んだ。
「ちゃんと飲んでね。大丈夫だろうとは言え、脳味噌スカスカになって言葉発せなくなったりとかしたら大変だよ?」
追い打ちをかけるように言われた言葉にライラは一つ舌打ちを入れる。少しばかり蛭を睨んだ後──彼女は、一気に液体を煽った。
それは案の定、何とも言えない味わいだった。始めに感じたのは酸味。次に襲うように来る味覚はえぐみと苦み。それから最後のトドメと言わんばかりに、鼻腔を突き抜ける爽やかを越して冷々とした喉越しにライラの瞳には自然と涙が滲んだ。
「うぇえ……まずっ! まずいっ!」
飲み終えるなり、ライラは渋い顔をして、舌を出さずにいられなかった。
そうして悶えている様がさぞ面白かったのだろうか。蛭は肩をプルプルと振るわせて笑いを堪えていた。その様が少しばかり腹立たしく思い「殴るぞ」と、脅してみるが、彼は堪えていた笑いが押さえ入れなくなったようで、ヒヒ……と、笑いを溢す。
「ライラ、薬なんて大抵まずいものだよ?」
「それは分かるけど……」
だが、いくら何でも不味すぎだろう。未だ舌の上に残るえぐみにライラは苦悶する。
「はいはい。一応口直しだよ」
宥めるように言って。彼はベッドサイドのテーブルの引き出しを開けて、砂糖菓子を一つ摘まんで取り出すと、それをライラに手渡した。
受け取るなりライラはそれを口に放り込む。
「ああ……だいぶマシになった」
目を細めて言うライラに対して、彼は「面白い反応を久しぶりに見た」と、ヒヒ……と笑いを溢すものだから、彼女は更にジトリと目を細めた。
本当に面白かったのだろう。未だ肩を震わせている蛭は、前髪を掻き分けて薄紅の瞳に滲んだ涙を拭う。
しかし、彼の素顔を見ると、目を覆っているか出しているかで、出で立ちの差が凄いものだと改めて思えてしまった。
──緩やかに下方へ曲線を描く目の輪郭を彩る薄紅の邪視。男の癖に睫がふんわりと長く、鼻筋が通っている所為もあって目鼻立ちがはっきりと映えるその面は、陰気臭い呪術師に見合わない程に美しく端正なものだとやはり思う。
もはや気品さえ感じられる程……。
感嘆か呆れたのか。ライラは意図せず溜息を吐き出してしまった。
「ねぇ。その前髪って、鬱陶しくないの?」
別に話しかける気なんて無かったのに。ふと、出てしまった言葉に驚いたのは自分だけでは無かった。
笑い涙を拭っていた彼は、垂れた目を丸く開いてライラに視線を向けた。
「あーうん。そりゃ物凄い鬱陶しいよ? だけどこっちの方が俺は気が楽なんだ」
照れているのだろうか。少しばかり頬を赤く染めた彼は、続け様に唇を開く。
「俺の目の色は、生まれ付き赤に近いから邪視って言われるものだからね。街の裏路地で見てただろうけど……一応は、眼球の色くらい呪術で簡単に変える事は出来るけどさ。呪術って実際かなり体力が削られるからね」
──そんなの、年中なんてやってられないよ。だから髪で目を覆っているんだ。と説明して。彼は手で前髪を整えると、再びライラに向き合った。
「それじゃあ、あの時。目が赤く光ったのは……邪視の力?」
「いいや、あれも呪術の一種だよ? 変なのに絡まれた時の脅しに使えるからね」
呪術は便利だよー。なんて間延びした彼の応えに、ライラは脱力してしまった。
「で……その前髪で前は見えてるの?」
「うん、そこそこ見えてるよ? 部屋の中は大丈夫。たまに頭はぶつけるけどね」
──いや、見えてないじゃん。と、突っ込みたい。だが、それ以上におかしく思えてしまい、ライラは水紅色の唇を綻ばせ、ふふと笑い声を自然に漏らしてしまった。
すると、釣られるように蛭も薄い唇を綻ばせる。
「よかった。ライラが喋ってくれて、笑ってくれて……何より、君が無事で本当に安心したよ」
心底安堵したように言って。蛭は、骨張った腕を伸ばし、ライラの蜜色の髪を撫で始めた。それは不思議と不快と思わなかった。しかし、何とも居心地が悪いとは思った。ライラはこそばゆさに目を細め、肩を竦め一つ息を吐く。
「……しかし、あんたに借りを作っちゃったね。私、凄く情けなかった。何よりも、妖霊は何も悪くないのに……私、あんたの妖霊を傷つけたかも知れない」
──その件だけは謝りたかった。と、ライラは蛭に向き合い、素直に詫びる。
だが蛭は「はて?」と言わんばかりに小首を傾げた。
「だから、あの。あんたの使役する妖霊の事だけども……」
今一度、ライラは重々しく告げる。
日光に晒した上、塩まで撒いた。棚の下に隠れた所は見たが、この屋敷は日当たりも良い。果たして無事かと伝えると、彼は「あぁ」と言葉を切り出した。
「妖霊ってさ。不死身とは言わないけど……結構しぶといよ? 日光と塩で怯みやするけど、あれだけでくたばる程脆弱じゃないさ」
その言葉を聞いて、ライラは心底安堵した。悪しきものとは言え、無益な殺生をしたとなれば、やはり後味は悪い。それも使役下におけるものならば尚更で……。
確かに、逃走するまで蛭の事は殺したい程に恨んだ。だが、こうも真摯に向き合えば嫌悪も薄れるもので──だからこそ、それを聞いて安心してしまった。
「寧ろね? 俺の方が彼らに怒られたから。逃げられて当然だ、馬鹿が拗らせ根暗って」
そう言って、彼が一つ溜息を吐き出せば。足下にサッと影が蠢いた。
すると、たちまち蛭の肩には二匹のコブラが現れて、今にも噛みつかんばかりに牙を剥き出し彼を睨む。
「どちらかといえば、これでも彼らは君を屋敷に連れて来た時から君の方を味方してるんだよ。俺が主人である以上、言う事は聞くけど決して慕われてないの。ついでにこいつらは蛇の姿をしてるけど、実際は俺より幾分か年上のおっさん達だしねぇ。女好きで、可愛い子に目が無いんだよ」
ユラユラと揺れる二匹のコブラは蛭に噛みつこうとするが、彼は首を横に振り、遮り躱して苦笑いした。
彼らは彼らで蛭に使役される事を不名誉に思っているのだろうか……喋りもしないのだから、決して意思など汲み取る事は出来ない。だが、何となくそんな風に映ってしまった。
やがて、コブラの片割れが彼の耳をパクリと噛む真似をすれば、ようやく満足したのか、彼らは煙のように消え去ってしまった。
それから一拍置いた後。脚を組み替え座り直した蛭は再びライラの方に顔を向けた。
「それにね。君に借りを返したのは多分俺の方だから……」
ライラは眉根を寄せて首を傾げた。
借り……そんなものには、全く心当たりも無い。いったい何の事だろうか……。
「君が手に入った事が嬉しいからってあんな最低な事をやらかす前に、最初にまず君に礼を言うべきだった。本当馬鹿でごめん」
言うなり、彼は懐から一枚の布を出した。
『あの時は本当にありがとう』と、手渡された布を見て、ライラは目を丸く瞠った。
──黒々とした麻布地に黄金の幾何学紋様が走る帯状布だった。
布の端には少しほつれた糸を紡いだ飾り房。決して綺麗とは言えない程に使い込まれたそれは、明らかにライラにとって見覚えのあるもの。
何せ、元々は自分の物だったのだから。
「これ……私の、それじゃ、あんた……」
隠しきれない驚嘆に目を丸く瞠ったまま。ライラは彼の方を向いた。
「そう、君のものだよ。三年くらい昔かな? 悪事の過ぎる妖霊と対峙する羽目になって。かなり深い傷を負ってね。その帰路の最中だったね。たまたま、ライラが上から降ってきて、ぶつかった俺を助けてくれたけど覚えてるかな?」
彼の言葉に、ライラは民間人の前で顔を晒した数年前の出来事を鮮明に思い出した。
──何をどうすればこんな傷を負うのかも分からない程──むしろ、これで立てていたなと思える程の酷い怪我の男だった。
流石に放っておけず、ライラは自分の素顔を隠す帯状布を取り払い、男の止血処置をして、その場を去ったあの晩を。
「蛭があの時の……」
未だ驚嘆は隠せないまま。ライラがポツリと告げれば、彼は無言のまま頷いた。
「君から見れば月明かりの逆光だったかも知れないけど、俺はちゃんと君の顔が見えてたよ。可愛いなって思って、その時からの一目惚れ。仲間が君の名前を言ったから……君があの蟷螂だって分かったようなもんでね」
──だから、粛正権を買ったと。悔い改めて、人生をやり直せばいいと。彼は真剣そのものの口調で重みのある一言一句を告げる。
「で、でも。とは言ってもな! 私はあんたの望むような関係には……」
拒否権も無い事を承知の上で、ライラは言葉を切り出した。
好きにする権限だ。つまり人生全てを握っている。彼の言うように、結婚して子供を産めだのそうさせる権限も無論あるだろう。
確かに、助けて貰った事によって嫌悪の気持ちは幾分か薄れた。それに忌まれた黒の呪術師とは言え、心ある人の男に違いないとはよく理解した。
確かに、何を考えているかも分からない上、陰気臭く、不気味に思う事は変わらない。それでも、その本質は意外にも芯が通っているものだと分かる。
だが、そうだとしても彼の望むような関係に「今すぐなれ」と命じられても無理だろうと思う。
「ね、本当に私を娶る気なの? どうにかしてるってば、盗賊の女を娶るなんて、悪趣味にも程があるでしょうが」
「ヒヒ……悪趣味も何も俺は陰気臭い呪術師だけど? 多分物語にでもすれば、区分が違うにしたって俺達は悪党同士でしょ? 即ち、どう考えても対等って事」
「そ、そうかもしれないけど……ううん」
ライラは困却して眉間を揉んだ。
確かに彼の言う事は尤もであり、そうだとは思う。だが、だからって……。
これでは上手い事丸め込まれている気がして仕方ない。
否や、確かに丸め込む権限を彼は所有しているものだが……。
一頻り、うんうんとライラが唸っている最中だった。蛭は「まぁまぁ……」と気の抜けた口調でゆったりと切り出した。
「よっぽど君に煽られない限り、俺は引き続きライラに手を出さないって約束するけどさ。とりあえずねぇ。好きにする権限──粛正権二十万ザバブ分、君には俺の相棒として働いて貰う事にしようと思うんだ」
「働く?」
ライラは、小首を傾げ蛭の言葉を復唱する。
蛭は「そう」と頷き、話を進めた。
「ハリド君だっけ……あんなかんじの”ろくでも無いコソ泥”が屋敷に入ろうって来る事もあるからね。そういった輩を撃退して欲しいの。妖霊と最強の女盗賊。最強の自宅警備の出来上がり。これで門前払い余裕でしょ?あとは、庭の草むしりとか馬の世話。食事は三食、昼寝好きにして良い。そんな仕事の案件だけど、引き受けてくれるかな?」
言われた言葉に、ライラは気が抜けてしまった。
「……え。そんな事でいいの?」
屋敷から出る事が出来ないとは言え、条件が良すぎだろう。ライラは呆れた調子で答えたが──
「ライラってさ……二十万ザバブがどれだけ働けば貰えるか分かってる?」
蛭は、少しだけ怪訝な声色に変えてライラの方を向いた。
「だいたい五年か六年?」
働いた事など無いのだから知りもしない。ライラは思いついた「出来るだけ長い年月」を即答する。しかし、蛭は直ぐに首を横に振った。
「カスディールの一般民の月収はだいたい五五〇ザバブ。年収にすれば六六〇〇ザバブ程度。これを二十万に当てて計算します。正解は三十年くらい」
──細かい端数もあるけど、粛清権は手数料も別途必要だったし、だいたいそんくらいだね。と、彼は呆れ混じりに言う。
その答えに、たちまちライラの思考は凍り付いた。
何せ、予想をあまりにも上回り過ぎていたのだから……。
「はぁ? そんなに!」
一拍置いて、唇を開いたライラは悲鳴にも似つかわしい声を上げて眉間を揉む。
三十年。全くパッとしない数字である。何せ、自分の生きた年齢を遙かに上回るのだから。
「俺はその頃には五十五歳になるね。多分、禿げ散らかした、おっさんにでもなってるんじゃない?」
──引くこと、三十……つまり、現在二十五歳と。確かに自分よりは年上に思えるのだから、そのくらいだろうとは思っていた。
「えっと。三十年後、私四十九歳まで……」
想像出来やしない未来だった。
ライラは引き攣った顔で蛭をジッと射貫く。
「何かライラって元気が良いからか……中年になったら恰幅の良い肝っ玉おばちゃんになってそうな予感しかしない……」
ポツリと彼の言った言葉に、思わず手の方が先に出てしまった。
ライラとしては戯れ程度の軽い力で殴ったつもりではあるが、彼は腹を押さえて椅子の上で蹲った。
この細身な見てくれだ。蜉蝣同様に、物理的攻撃に弱いのだろう。ライラはジトリと目を細めて一つ溜息を吐き出した。
「いくら何でも、長すぎるでしょ……」
溜息交じりに、ライラは言う。
悶えていた蛭は、ようやく顔を上げて一つ大きな息を吐き出した。
「年間で奪える金で換算したかも知れないけど、ごく一般的な収入で考えるとそれくらいだよ。でも、処刑や一生牢獄よりは軽いでしょ? 労働内容はさっきの通り。それに備品として服も与える。この間みたいな件も心配だし、収容所の連中には君の顔が割れてるだろうからね。大事を取って、外出は俺の同行時だけ。だけど、屋敷の敷地内なら行動は自由。安定した生活は必ず保証するけど?」
サラサラと流れるように告げた彼の提案は文句は無かった。
だが、それでも長いと思ってしまうもので。ライラは眉根に皺を寄せて腕を組む。
「せいぜい悔い改めて、真っ当に生きて。俺は俺で初日の無礼は必ず挽回するから。あと、君の元仲間の姑息な恋敵がいるからねぇ」
──俺の自宅は有名だと思うから、せいぜい奪われないように頑張るよ。と、そんな言葉を付け添えて。蛭は形の良い薄い唇に弧を描いた。
確か、蜉蝣に裏切られて得体の知れない薬を飲まされて……そこを蛭に救われた事は覚えている。
そうして屋敷に連れ戻されるなり、解熱鎮静剤を飲まされたが、催淫が解けず……自分から蛭にせがんで、厭らしい事をまたしたと。
記憶が正しければ、交わり合う事はしなかったが──と、その一連を思い出した途端、 ライラの脳裏には浅ましい記憶の数々が走馬燈のように過ぎった。
次第に顔が熱くなる事を自覚して、いたたまれない程に耳まで顔を赤々と染めたライラは唇をへの字に曲げた。
だが、頭が重たくて痛い。耐えられない程の鈍痛という訳でもないが、不快な痛さだった。
蜜色の髪を掻き、僅かに呻いたライラはゆったりと体を起こした。
──確か、居間のソファで。と、思い出すが、記憶の最後と違う空間──寝室にライラは居た。
ベッドから垂れ下がる幾重にも重なった薄く透けたベールを引っ張って。ライラはひょっこりと顔を出す。
ベッドから少し離れた所に設置された椅子。
そこに腰掛けた蛭は、通常通りの黒装束の装いと髪型に戻っていた。
何やら彼は読書に没頭しているようだった。 しかし、両目を覆う程の長い前髪で字なんて読めるのだろうか……。
そんな、疑問が芽生えるものだが、ページを捲っている様を見ると、一応は読めているのだろうと思う。
それに、彼がどれだけそこに居たかは分からないが、椅子の近くに幾つも本が転がっている様から、ずっとこうして自分の傍を離れずに居たのだろうと憶測出来た。
ジッと彼の様子を見ていた事にようやく気が付いたのだろう。
読んでいた本を閉じた蛭は、ベッドに吊されたベールから顔を出すライラの方を向き、薄い唇を開く。
「大丈夫? 気分は悪くない?」
相変わらず低く平らな優しい口調だった。
ライラは訊かれた事に無言で一つ頷いた。 すると彼は、座したまま椅子を掴み引き摺って、寝台の傍まで近寄った。
「よかった。思ったより解熱鎮静剤が効いたみたいで、解毒剤が要らないかもだけど、一応大事を見てちゃんと飲んでね」
そう言って、彼は寝台の脇に設置されたナイトテーブルに本を置き、隣に置かれた小さなグラスを手に取った。
──解毒剤。それを確と視界に映せば、ライラの思考は停止する。
「はい、どうぞ」
とても柔らかな口調で渡されたが、ライラは一瞬にして顔が引き攣った。
これが、解毒剤なのだろうか……見るからにまずそうだった。否や、人が飲んで良い色合いではないだろう。何をどうすれば、こんな発色になるのかさえも分からない。
緑に黒、それから少しばかり気泡が立っている事から”明らかにヤバそう”なのは目に見えて分かる。ライラの引き攣った面は次第に青みさえも差してきた。
「なぁ。コレって人間が飲めるものなの?」
──きっと、野良犬に舐めさせればひっくり返るだろう。そんな風に思いながら、ライラは怪訝に蛭を射貫く。すると彼は、ヒヒ……と、独特な笑いを溢した。
「確かに色はヤバイけど、安心して。解毒作用のある薬草しか入ってないよ。それも上質なもの。味の保証だけは出来ないけど、俺の調剤は多分カスディールで一番効くよ」
──俺を誰だと思ってるのさ。なんて、少しばかり誇らしげに彼は言い添えた。
確かにそうだろう。黒の呪術師、蛭の調剤となれば効果は極め付きに違いない。
だが、そうだと分かっていてもライラは顔を顰めたままグラスに口は付けられなかった。
記憶の中の言葉を辿れば、彼は自分を救いたいと言っただろう。
それに、一つ一つ言われた言葉を思い返せば、誠意はあるものだと理解出来る。
だから、信じられる。
とは言え……流石にこの見た目はマズイだろう。ライラは気泡がふつふつと上がる解毒剤をジッと睨み、生唾を飲み込んだ。
「ちゃんと飲んでね。大丈夫だろうとは言え、脳味噌スカスカになって言葉発せなくなったりとかしたら大変だよ?」
追い打ちをかけるように言われた言葉にライラは一つ舌打ちを入れる。少しばかり蛭を睨んだ後──彼女は、一気に液体を煽った。
それは案の定、何とも言えない味わいだった。始めに感じたのは酸味。次に襲うように来る味覚はえぐみと苦み。それから最後のトドメと言わんばかりに、鼻腔を突き抜ける爽やかを越して冷々とした喉越しにライラの瞳には自然と涙が滲んだ。
「うぇえ……まずっ! まずいっ!」
飲み終えるなり、ライラは渋い顔をして、舌を出さずにいられなかった。
そうして悶えている様がさぞ面白かったのだろうか。蛭は肩をプルプルと振るわせて笑いを堪えていた。その様が少しばかり腹立たしく思い「殴るぞ」と、脅してみるが、彼は堪えていた笑いが押さえ入れなくなったようで、ヒヒ……と、笑いを溢す。
「ライラ、薬なんて大抵まずいものだよ?」
「それは分かるけど……」
だが、いくら何でも不味すぎだろう。未だ舌の上に残るえぐみにライラは苦悶する。
「はいはい。一応口直しだよ」
宥めるように言って。彼はベッドサイドのテーブルの引き出しを開けて、砂糖菓子を一つ摘まんで取り出すと、それをライラに手渡した。
受け取るなりライラはそれを口に放り込む。
「ああ……だいぶマシになった」
目を細めて言うライラに対して、彼は「面白い反応を久しぶりに見た」と、ヒヒ……と笑いを溢すものだから、彼女は更にジトリと目を細めた。
本当に面白かったのだろう。未だ肩を震わせている蛭は、前髪を掻き分けて薄紅の瞳に滲んだ涙を拭う。
しかし、彼の素顔を見ると、目を覆っているか出しているかで、出で立ちの差が凄いものだと改めて思えてしまった。
──緩やかに下方へ曲線を描く目の輪郭を彩る薄紅の邪視。男の癖に睫がふんわりと長く、鼻筋が通っている所為もあって目鼻立ちがはっきりと映えるその面は、陰気臭い呪術師に見合わない程に美しく端正なものだとやはり思う。
もはや気品さえ感じられる程……。
感嘆か呆れたのか。ライラは意図せず溜息を吐き出してしまった。
「ねぇ。その前髪って、鬱陶しくないの?」
別に話しかける気なんて無かったのに。ふと、出てしまった言葉に驚いたのは自分だけでは無かった。
笑い涙を拭っていた彼は、垂れた目を丸く開いてライラに視線を向けた。
「あーうん。そりゃ物凄い鬱陶しいよ? だけどこっちの方が俺は気が楽なんだ」
照れているのだろうか。少しばかり頬を赤く染めた彼は、続け様に唇を開く。
「俺の目の色は、生まれ付き赤に近いから邪視って言われるものだからね。街の裏路地で見てただろうけど……一応は、眼球の色くらい呪術で簡単に変える事は出来るけどさ。呪術って実際かなり体力が削られるからね」
──そんなの、年中なんてやってられないよ。だから髪で目を覆っているんだ。と説明して。彼は手で前髪を整えると、再びライラに向き合った。
「それじゃあ、あの時。目が赤く光ったのは……邪視の力?」
「いいや、あれも呪術の一種だよ? 変なのに絡まれた時の脅しに使えるからね」
呪術は便利だよー。なんて間延びした彼の応えに、ライラは脱力してしまった。
「で……その前髪で前は見えてるの?」
「うん、そこそこ見えてるよ? 部屋の中は大丈夫。たまに頭はぶつけるけどね」
──いや、見えてないじゃん。と、突っ込みたい。だが、それ以上におかしく思えてしまい、ライラは水紅色の唇を綻ばせ、ふふと笑い声を自然に漏らしてしまった。
すると、釣られるように蛭も薄い唇を綻ばせる。
「よかった。ライラが喋ってくれて、笑ってくれて……何より、君が無事で本当に安心したよ」
心底安堵したように言って。蛭は、骨張った腕を伸ばし、ライラの蜜色の髪を撫で始めた。それは不思議と不快と思わなかった。しかし、何とも居心地が悪いとは思った。ライラはこそばゆさに目を細め、肩を竦め一つ息を吐く。
「……しかし、あんたに借りを作っちゃったね。私、凄く情けなかった。何よりも、妖霊は何も悪くないのに……私、あんたの妖霊を傷つけたかも知れない」
──その件だけは謝りたかった。と、ライラは蛭に向き合い、素直に詫びる。
だが蛭は「はて?」と言わんばかりに小首を傾げた。
「だから、あの。あんたの使役する妖霊の事だけども……」
今一度、ライラは重々しく告げる。
日光に晒した上、塩まで撒いた。棚の下に隠れた所は見たが、この屋敷は日当たりも良い。果たして無事かと伝えると、彼は「あぁ」と言葉を切り出した。
「妖霊ってさ。不死身とは言わないけど……結構しぶといよ? 日光と塩で怯みやするけど、あれだけでくたばる程脆弱じゃないさ」
その言葉を聞いて、ライラは心底安堵した。悪しきものとは言え、無益な殺生をしたとなれば、やはり後味は悪い。それも使役下におけるものならば尚更で……。
確かに、逃走するまで蛭の事は殺したい程に恨んだ。だが、こうも真摯に向き合えば嫌悪も薄れるもので──だからこそ、それを聞いて安心してしまった。
「寧ろね? 俺の方が彼らに怒られたから。逃げられて当然だ、馬鹿が拗らせ根暗って」
そう言って、彼が一つ溜息を吐き出せば。足下にサッと影が蠢いた。
すると、たちまち蛭の肩には二匹のコブラが現れて、今にも噛みつかんばかりに牙を剥き出し彼を睨む。
「どちらかといえば、これでも彼らは君を屋敷に連れて来た時から君の方を味方してるんだよ。俺が主人である以上、言う事は聞くけど決して慕われてないの。ついでにこいつらは蛇の姿をしてるけど、実際は俺より幾分か年上のおっさん達だしねぇ。女好きで、可愛い子に目が無いんだよ」
ユラユラと揺れる二匹のコブラは蛭に噛みつこうとするが、彼は首を横に振り、遮り躱して苦笑いした。
彼らは彼らで蛭に使役される事を不名誉に思っているのだろうか……喋りもしないのだから、決して意思など汲み取る事は出来ない。だが、何となくそんな風に映ってしまった。
やがて、コブラの片割れが彼の耳をパクリと噛む真似をすれば、ようやく満足したのか、彼らは煙のように消え去ってしまった。
それから一拍置いた後。脚を組み替え座り直した蛭は再びライラの方に顔を向けた。
「それにね。君に借りを返したのは多分俺の方だから……」
ライラは眉根を寄せて首を傾げた。
借り……そんなものには、全く心当たりも無い。いったい何の事だろうか……。
「君が手に入った事が嬉しいからってあんな最低な事をやらかす前に、最初にまず君に礼を言うべきだった。本当馬鹿でごめん」
言うなり、彼は懐から一枚の布を出した。
『あの時は本当にありがとう』と、手渡された布を見て、ライラは目を丸く瞠った。
──黒々とした麻布地に黄金の幾何学紋様が走る帯状布だった。
布の端には少しほつれた糸を紡いだ飾り房。決して綺麗とは言えない程に使い込まれたそれは、明らかにライラにとって見覚えのあるもの。
何せ、元々は自分の物だったのだから。
「これ……私の、それじゃ、あんた……」
隠しきれない驚嘆に目を丸く瞠ったまま。ライラは彼の方を向いた。
「そう、君のものだよ。三年くらい昔かな? 悪事の過ぎる妖霊と対峙する羽目になって。かなり深い傷を負ってね。その帰路の最中だったね。たまたま、ライラが上から降ってきて、ぶつかった俺を助けてくれたけど覚えてるかな?」
彼の言葉に、ライラは民間人の前で顔を晒した数年前の出来事を鮮明に思い出した。
──何をどうすればこんな傷を負うのかも分からない程──むしろ、これで立てていたなと思える程の酷い怪我の男だった。
流石に放っておけず、ライラは自分の素顔を隠す帯状布を取り払い、男の止血処置をして、その場を去ったあの晩を。
「蛭があの時の……」
未だ驚嘆は隠せないまま。ライラがポツリと告げれば、彼は無言のまま頷いた。
「君から見れば月明かりの逆光だったかも知れないけど、俺はちゃんと君の顔が見えてたよ。可愛いなって思って、その時からの一目惚れ。仲間が君の名前を言ったから……君があの蟷螂だって分かったようなもんでね」
──だから、粛正権を買ったと。悔い改めて、人生をやり直せばいいと。彼は真剣そのものの口調で重みのある一言一句を告げる。
「で、でも。とは言ってもな! 私はあんたの望むような関係には……」
拒否権も無い事を承知の上で、ライラは言葉を切り出した。
好きにする権限だ。つまり人生全てを握っている。彼の言うように、結婚して子供を産めだのそうさせる権限も無論あるだろう。
確かに、助けて貰った事によって嫌悪の気持ちは幾分か薄れた。それに忌まれた黒の呪術師とは言え、心ある人の男に違いないとはよく理解した。
確かに、何を考えているかも分からない上、陰気臭く、不気味に思う事は変わらない。それでも、その本質は意外にも芯が通っているものだと分かる。
だが、そうだとしても彼の望むような関係に「今すぐなれ」と命じられても無理だろうと思う。
「ね、本当に私を娶る気なの? どうにかしてるってば、盗賊の女を娶るなんて、悪趣味にも程があるでしょうが」
「ヒヒ……悪趣味も何も俺は陰気臭い呪術師だけど? 多分物語にでもすれば、区分が違うにしたって俺達は悪党同士でしょ? 即ち、どう考えても対等って事」
「そ、そうかもしれないけど……ううん」
ライラは困却して眉間を揉んだ。
確かに彼の言う事は尤もであり、そうだとは思う。だが、だからって……。
これでは上手い事丸め込まれている気がして仕方ない。
否や、確かに丸め込む権限を彼は所有しているものだが……。
一頻り、うんうんとライラが唸っている最中だった。蛭は「まぁまぁ……」と気の抜けた口調でゆったりと切り出した。
「よっぽど君に煽られない限り、俺は引き続きライラに手を出さないって約束するけどさ。とりあえずねぇ。好きにする権限──粛正権二十万ザバブ分、君には俺の相棒として働いて貰う事にしようと思うんだ」
「働く?」
ライラは、小首を傾げ蛭の言葉を復唱する。
蛭は「そう」と頷き、話を進めた。
「ハリド君だっけ……あんなかんじの”ろくでも無いコソ泥”が屋敷に入ろうって来る事もあるからね。そういった輩を撃退して欲しいの。妖霊と最強の女盗賊。最強の自宅警備の出来上がり。これで門前払い余裕でしょ?あとは、庭の草むしりとか馬の世話。食事は三食、昼寝好きにして良い。そんな仕事の案件だけど、引き受けてくれるかな?」
言われた言葉に、ライラは気が抜けてしまった。
「……え。そんな事でいいの?」
屋敷から出る事が出来ないとは言え、条件が良すぎだろう。ライラは呆れた調子で答えたが──
「ライラってさ……二十万ザバブがどれだけ働けば貰えるか分かってる?」
蛭は、少しだけ怪訝な声色に変えてライラの方を向いた。
「だいたい五年か六年?」
働いた事など無いのだから知りもしない。ライラは思いついた「出来るだけ長い年月」を即答する。しかし、蛭は直ぐに首を横に振った。
「カスディールの一般民の月収はだいたい五五〇ザバブ。年収にすれば六六〇〇ザバブ程度。これを二十万に当てて計算します。正解は三十年くらい」
──細かい端数もあるけど、粛清権は手数料も別途必要だったし、だいたいそんくらいだね。と、彼は呆れ混じりに言う。
その答えに、たちまちライラの思考は凍り付いた。
何せ、予想をあまりにも上回り過ぎていたのだから……。
「はぁ? そんなに!」
一拍置いて、唇を開いたライラは悲鳴にも似つかわしい声を上げて眉間を揉む。
三十年。全くパッとしない数字である。何せ、自分の生きた年齢を遙かに上回るのだから。
「俺はその頃には五十五歳になるね。多分、禿げ散らかした、おっさんにでもなってるんじゃない?」
──引くこと、三十……つまり、現在二十五歳と。確かに自分よりは年上に思えるのだから、そのくらいだろうとは思っていた。
「えっと。三十年後、私四十九歳まで……」
想像出来やしない未来だった。
ライラは引き攣った顔で蛭をジッと射貫く。
「何かライラって元気が良いからか……中年になったら恰幅の良い肝っ玉おばちゃんになってそうな予感しかしない……」
ポツリと彼の言った言葉に、思わず手の方が先に出てしまった。
ライラとしては戯れ程度の軽い力で殴ったつもりではあるが、彼は腹を押さえて椅子の上で蹲った。
この細身な見てくれだ。蜉蝣同様に、物理的攻撃に弱いのだろう。ライラはジトリと目を細めて一つ溜息を吐き出した。
「いくら何でも、長すぎるでしょ……」
溜息交じりに、ライラは言う。
悶えていた蛭は、ようやく顔を上げて一つ大きな息を吐き出した。
「年間で奪える金で換算したかも知れないけど、ごく一般的な収入で考えるとそれくらいだよ。でも、処刑や一生牢獄よりは軽いでしょ? 労働内容はさっきの通り。それに備品として服も与える。この間みたいな件も心配だし、収容所の連中には君の顔が割れてるだろうからね。大事を取って、外出は俺の同行時だけ。だけど、屋敷の敷地内なら行動は自由。安定した生活は必ず保証するけど?」
サラサラと流れるように告げた彼の提案は文句は無かった。
だが、それでも長いと思ってしまうもので。ライラは眉根に皺を寄せて腕を組む。
「せいぜい悔い改めて、真っ当に生きて。俺は俺で初日の無礼は必ず挽回するから。あと、君の元仲間の姑息な恋敵がいるからねぇ」
──俺の自宅は有名だと思うから、せいぜい奪われないように頑張るよ。と、そんな言葉を付け添えて。蛭は形の良い薄い唇に弧を描いた。
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