ウラバン!~SF好色一代男~

万卜人

文字の大きさ
上 下
12 / 106
お前の尻を見せろ!

しおりを挟む
 父親の七十六代目は、大いに喜んだ。
「初代様は〝女護が島〟とやらへ女道修行の旅に出たそうな。尼孫星が別名〝女護が星〟と言われていることは、あたしも知っているよ。ああ、ご先祖と同じ旅に、お前が出てくれることになって、嬉しいよ!」
 河馬のような丸顔に満面の笑みを浮かべ、ニコニコしている。脇に控えていた省吾の肩を、思い切りどんと叩いた。
「省吾! さすが、大番頭のお前だ。あたしは、つくづく感心したよ! それで、どう手筈をするつもりなんだえ?」
 省吾は微かに頷き、説明を始めた。
「へい。尼孫星には定期便がなく、年に何度か近くを立ち寄る船に冷凍精子を積み込み、尼孫星の衛星軌道で向こうの連絡船シャトルに受け取らせる規約になっております。とはいえ、特別の学術調査の例外が御座いまして、それには尼孫星への立ち入り調査隊が入星することになっております。坊っちゃんは、その調査隊の特別隊員という名目で加わる手筈になっております」
「成る程、成る程」と父親は納得している。
 省吾はイッパチを振り返った。
「坊っちゃんのお供には、このイッパチをと、考えております。イッパチは杏萄絽偉童で御座いますから、忠実そのもので御座います。何か危険があっても、イッパチなら上手く処理してくれるのではないか、と期待しておりますが……」
 省吾の指名に、イッパチは目を丸くした。
 が、すぐ首を縦にする。
「よござんす! このイッパチ、一命を持ちまして、若旦那のために働く覚悟で御座いますぞ! 若旦那!」
 世之介に向かい合い、どんと自分の胸を叩いた。
「何があろうと、このイッパチを頼りにしておくんなせえ! さあ、若旦那! 若旦那の女道修行の門出だ。ここは目出度く、一本締めで……」
「およしよ」と世之介は首を振った。
「そんなに浮かれていちゃ、また省吾に叱られるよ」
 イッパチは恐る恐る省吾を見上げる。省吾は苦く笑っている。
「良いでしょう。若旦那の門出に、一本締めでも何でも致しましょう!」
 イッパチは愁眉を開いた。
 さっと両手を伸ばし、叫ぶ。
「それでは、若旦那の門出を祝して、一本締めを執り行います!」
 父親と省吾は、笑いながら構えた。
 イッパチは気合を入れる。
「よーい……お手を拝借!」
 しゃんっ、と一同の一本締め。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

裏切りダメ、絶対。

胸の轟
SF
幼なじみの描く未来に、私は存在しなかった… ※望まない行為を強いられる描写があります

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。

きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕! 突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。 そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?) 異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...