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結論
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ミリィの側で控えていたケイはびっくりした。
「あたし?」
「そうじゃ、お前がミリィの旅についていくがよい!」
「お館さま!」
ひとりのエルフがたまりかねて前へ進み出た。
「納得いきません。なぜ、ケイなのでしょう? 彼女はわれらのなかでもっとも若く、経験もありませぬ」
ラングはうなずいた。
「そうだ。ケイは若い。生まれてからまだ二十年もたっていない。われらの基準からすれば、子供と同じだろう。だが、それが彼女をミリィとともに旅立たせる理由なのだ。この世界はわれらが眠りについて千年の年月がたっている。
その間、世界は変わってしまった。われらがこの森で暮らしていたころの常識はもはや通用しない。そんな世界であらたな知識を学ぶには、若いケイが適任と思う。
ケイの若い目が、変化した世界を見て学べば、われらもまたあらたな知識を手に入れることになる。そうではないかな?」
前へ進み出たエルフは、その説明に頭をさげた。
「なるほど……そういうお考えでしたか。判りました。仰せの通り、ケイが適任でしょうな」
エルフは引き下がった。
あっけにとられ、口をぽかんと開けているケイに、ラングはほほ笑んだ。
「どうしたケイ?」
ラングに話しかけられ、ケイははっと我に返った。
「あ、ご免なさい。つい思いがけないことなので……」
ラングはミリィに顔を向けた。
「ミリィよ。このケイがお前の旅の道連れとなる。なにか異存はあるかな?」
ミリィは立ち上がった。
「いいえ、お館さま。あたしも、ケイさんと一緒に旅をできれば嬉しいです!」
じつはひそかに、ミリィはケイが旅の道連れにならないかなあ、と思っていたので喜んでいた。やっぱり一緒に旅をするなら、話しが合いそうなケイのほうがよかった。
「あたし?」
「そうじゃ、お前がミリィの旅についていくがよい!」
「お館さま!」
ひとりのエルフがたまりかねて前へ進み出た。
「納得いきません。なぜ、ケイなのでしょう? 彼女はわれらのなかでもっとも若く、経験もありませぬ」
ラングはうなずいた。
「そうだ。ケイは若い。生まれてからまだ二十年もたっていない。われらの基準からすれば、子供と同じだろう。だが、それが彼女をミリィとともに旅立たせる理由なのだ。この世界はわれらが眠りについて千年の年月がたっている。
その間、世界は変わってしまった。われらがこの森で暮らしていたころの常識はもはや通用しない。そんな世界であらたな知識を学ぶには、若いケイが適任と思う。
ケイの若い目が、変化した世界を見て学べば、われらもまたあらたな知識を手に入れることになる。そうではないかな?」
前へ進み出たエルフは、その説明に頭をさげた。
「なるほど……そういうお考えでしたか。判りました。仰せの通り、ケイが適任でしょうな」
エルフは引き下がった。
あっけにとられ、口をぽかんと開けているケイに、ラングはほほ笑んだ。
「どうしたケイ?」
ラングに話しかけられ、ケイははっと我に返った。
「あ、ご免なさい。つい思いがけないことなので……」
ラングはミリィに顔を向けた。
「ミリィよ。このケイがお前の旅の道連れとなる。なにか異存はあるかな?」
ミリィは立ち上がった。
「いいえ、お館さま。あたしも、ケイさんと一緒に旅をできれば嬉しいです!」
じつはひそかに、ミリィはケイが旅の道連れにならないかなあ、と思っていたので喜んでいた。やっぱり一緒に旅をするなら、話しが合いそうなケイのほうがよかった。
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