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ケイ
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客室で一晩ぐっすり眠ると、すっかり疲れはとれていた。
足音にドアを見つめると、ノックの音がする。どうぞ、と答えるとケイがドアの隙間から顔をのぞかせた。
「お早う! どうやらよく眠れたみたいね」
ミリィはうなずいた。
「顔、洗いなさいよ」
うながされ、ミリィは風呂場に付属している洗面所で顔を洗った。そして客間でケイが用意してくれた朝食をとる。今朝のメニューはたっぷりとバターを塗ったパンに、とろりとしたメープル・シロップをかけたものだった。つけあわせにぱりっとした野菜がつき、食後にはヨーグルトをかけたフルーツがついた。
「これからどうするの?」
ミリィが問いかけると、ケイはぐいっと頭をゆすって広間のほうを見た。
「みんな広間に集まっているわ。あの、ヘロヘロという魔物の素性をさぐるんだって」
広間にはエルフの一族が全員集まり、厳粛な表情でミリィを待っていた。
ラングがにこやかな表情でミリィを出迎えた。
「お早う、ミリィよ。よく眠れたかな?」
「はい、とても」
ミリィが答えると、ラングはうなずいた。
「昨夜よく考えたのだが、あのヘロヘロと言う者を改心させるには、まずあの者を良く知らなくてはならない。あやつはいったいどこからやってきたのか? そしてどうして魔王などになったのか? そういったことは謎だった。だが、あやつがほとんど無力の今、それを知るよい機会だと思う」
こちらへ……と、ラングはミリィを招いた。
一歩前へ出たミリィは、ふと上を見上げあっと驚いた。
足音にドアを見つめると、ノックの音がする。どうぞ、と答えるとケイがドアの隙間から顔をのぞかせた。
「お早う! どうやらよく眠れたみたいね」
ミリィはうなずいた。
「顔、洗いなさいよ」
うながされ、ミリィは風呂場に付属している洗面所で顔を洗った。そして客間でケイが用意してくれた朝食をとる。今朝のメニューはたっぷりとバターを塗ったパンに、とろりとしたメープル・シロップをかけたものだった。つけあわせにぱりっとした野菜がつき、食後にはヨーグルトをかけたフルーツがついた。
「これからどうするの?」
ミリィが問いかけると、ケイはぐいっと頭をゆすって広間のほうを見た。
「みんな広間に集まっているわ。あの、ヘロヘロという魔物の素性をさぐるんだって」
広間にはエルフの一族が全員集まり、厳粛な表情でミリィを待っていた。
ラングがにこやかな表情でミリィを出迎えた。
「お早う、ミリィよ。よく眠れたかな?」
「はい、とても」
ミリィが答えると、ラングはうなずいた。
「昨夜よく考えたのだが、あのヘロヘロと言う者を改心させるには、まずあの者を良く知らなくてはならない。あやつはいったいどこからやってきたのか? そしてどうして魔王などになったのか? そういったことは謎だった。だが、あやつがほとんど無力の今、それを知るよい機会だと思う」
こちらへ……と、ラングはミリィを招いた。
一歩前へ出たミリィは、ふと上を見上げあっと驚いた。
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