蒸汽帝国~真鍮の乙女~

万卜人

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ロロ村

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 後に残ったのは、パックの父親のホルンとミリィ、それにメイサの三人だった。
「まあまあ……ひどい有様ねえ。掃除が大変……」
 メイサはつぶやきながら、ニコラ博士にお構いなしに、家の中に入っていった。
 ミリィはパックのそばに近寄った。
「ねえ、いったいどんな実験をしてたの?」
 好奇心むきだしで、ミリィは目を輝かせた。
 パックとは兄妹同然に育ってきて、こんな場合でも、ずけずけとものを言うのだ。
 パックはどう説明しようかと肩をすくめた。博士の研究を手伝っているのだが、理解していないことでは村人たちと同じである。
 パックは実験室で、さまざまな機械を操作することが面白くて手伝っているのだった。
「ね、地下室見せてくれない?」
 ミリィにささやかれ、パックはぎょっとなった。
「そんなこと……博士が許さないよ」
「なにを許さないというんだ?」
 ホルンの太い声に、パックは身をすくませた。父親のホルンは太い腕をくみ、眉をよせてパックを見つめている。
「おれは博士の研究とやらを見てみたいな。今日のようなことがあると」
 ホルンの言葉に、ニコラとパックは顔を見合わせた。
 二コラ博士は、じいーっとホルンに見つめられ、しかたがないというように手をあげる。
「まあ、あんたがそんなに見たいと言うなら地下室へきなさい。ただし足もとは保証しないがね」
 博士の言葉に、ホルンはうなずいた。
 じろりとパックを睨む。
 肩をすくめ、パックはホルンのあとに続いて家の中へはいっていった。
「ひでえ……」
 パックはため息をついた。
 家の中は台風が吹き荒れた後のようだった。あちこちに水溜りができ、壁には一面にしみができている。家具はほとんど倒れ、天井からはぽたぽたと水がしずくとなって垂れてきている。
 地下室には梯子でおりる。
 ぎしぎしときしむ梯子を、一同は降りていった。
「なんだこれは……」
 ホルンはうなった。
 地下室はさらにひどい有様となっていた。 天井にはしるパイプが床にななめに垂れ下がり、床は大量の水でプールのようになっている。あたりに焦げ臭い匂いがただよい、灰が一面にうすく積もっている。
 ばしゃばしゃと水を掻き分け、老人はがっくりと肩を落としてあたりを見回した。
「思ったよりひどい……これでは研究を再開するまでかなり時間がかかるな」
「あんた、まだそんなこと言っているのか!」
 ホルンはあきれて大声をあげた。
「いったいどんな研究か知らないが、もうすこしで火事になるところだったんじゃないのかね? そんな危険をおかしてまでする研究とはどんなものなんだ?」
 ニコラ博士とパックは、研究室の真ん中に置かれた台を見やった。
 あの金属製の人形が横たわっている。
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