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ロボット

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 時間はすこしもどる。
 パックを無理やりスクーターの後席に乗せ、ミリィは祖父の家へ急いでいた。日差しは暖かく、風はさわやかでツーリングには絶好の日よりである。後席に乗り、ミリィの腰を掴んでいるパックはのんびりと声をかけた。
「連れて来い、って言われたわけじゃないんだろう? あとで寄るから、いまから大佐の家へいくことないんじゃないのかなあ」
「あとで、あとでっていつだってすっぽかすんだから。お祖父ちゃん、意外とそういうことにはうるさいのよ。あんたがすっぽかしたままだと、あたしが叱られるの!」
 ふうん、とパックはぼんやりと空を見上げた。青空に、まっしろな雲がゆったりと浮かんでいる。飛行機械を試作してもいいかなあ、とパックは思っていた。
 と、ミリィがブレーキをかけ、スクーターを停車させた。
 どうしたんだ、と言いかけたパックはミリィが見ているものに気がついた。
 遠くにちらちらと瞬く光。
 警察のパトライトだ。
「警察じゃないか……どうしたんだろう?」
 さあ……、とミリィは首をひねった。パトカーは一台だけでなく、何台も走っている。なにか、おおごとの予感だ。
 パトカーの進路を見てパックは叫んだ。
「納屋に向かっているぞ!」
 その通りだった。
 町外れの納屋に向かって、パトカーはライトを旋回させ、急行している。サイレンは鳴らしていない。ということは、犯人が近くにいて、逃走する前に到着させるつもりなのだ。
 犯人?
 なんの犯人なんだ?
 納屋を取り囲むようにしてパトカーは到着すると、そこではじめてサイレンを一斉に鳴らした。
 わあああん……!
 耳をつんざくようなサイレンの悲鳴があたりに満ちた。
 じっと見ていると、パトカーのドアが開き、警察官がドアを盾にしてさっとあたりに散開する。おのおの銃を手に、ものものしい雰囲気だ。
「納屋にだれかいるのかしら?」
 ミリィはつぶやいた。
「だれかって、だれだよっ!」
 パックは大声をあげた。
 納屋にだれかいる、ということは中のロボットは──。
 パックは胸騒ぎを感じていた。
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