15 / 52
ロボット
2
しおりを挟む
時間はすこしもどる。
パックを無理やりスクーターの後席に乗せ、ミリィは祖父の家へ急いでいた。日差しは暖かく、風はさわやかでツーリングには絶好の日よりである。後席に乗り、ミリィの腰を掴んでいるパックはのんびりと声をかけた。
「連れて来い、って言われたわけじゃないんだろう? あとで寄るから、いまから大佐の家へいくことないんじゃないのかなあ」
「あとで、あとでっていつだってすっぽかすんだから。お祖父ちゃん、意外とそういうことにはうるさいのよ。あんたがすっぽかしたままだと、あたしが叱られるの!」
ふうん、とパックはぼんやりと空を見上げた。青空に、まっしろな雲がゆったりと浮かんでいる。飛行機械を試作してもいいかなあ、とパックは思っていた。
と、ミリィがブレーキをかけ、スクーターを停車させた。
どうしたんだ、と言いかけたパックはミリィが見ているものに気がついた。
遠くにちらちらと瞬く光。
警察のパトライトだ。
「警察じゃないか……どうしたんだろう?」
さあ……、とミリィは首をひねった。パトカーは一台だけでなく、何台も走っている。なにか、おおごとの予感だ。
パトカーの進路を見てパックは叫んだ。
「納屋に向かっているぞ!」
その通りだった。
町外れの納屋に向かって、パトカーはライトを旋回させ、急行している。サイレンは鳴らしていない。ということは、犯人が近くにいて、逃走する前に到着させるつもりなのだ。
犯人?
なんの犯人なんだ?
納屋を取り囲むようにしてパトカーは到着すると、そこではじめてサイレンを一斉に鳴らした。
わあああん……!
耳をつんざくようなサイレンの悲鳴があたりに満ちた。
じっと見ていると、パトカーのドアが開き、警察官がドアを盾にしてさっとあたりに散開する。おのおの銃を手に、ものものしい雰囲気だ。
「納屋にだれかいるのかしら?」
ミリィはつぶやいた。
「だれかって、だれだよっ!」
パックは大声をあげた。
納屋にだれかいる、ということは中のロボットは──。
パックは胸騒ぎを感じていた。
パックを無理やりスクーターの後席に乗せ、ミリィは祖父の家へ急いでいた。日差しは暖かく、風はさわやかでツーリングには絶好の日よりである。後席に乗り、ミリィの腰を掴んでいるパックはのんびりと声をかけた。
「連れて来い、って言われたわけじゃないんだろう? あとで寄るから、いまから大佐の家へいくことないんじゃないのかなあ」
「あとで、あとでっていつだってすっぽかすんだから。お祖父ちゃん、意外とそういうことにはうるさいのよ。あんたがすっぽかしたままだと、あたしが叱られるの!」
ふうん、とパックはぼんやりと空を見上げた。青空に、まっしろな雲がゆったりと浮かんでいる。飛行機械を試作してもいいかなあ、とパックは思っていた。
と、ミリィがブレーキをかけ、スクーターを停車させた。
どうしたんだ、と言いかけたパックはミリィが見ているものに気がついた。
遠くにちらちらと瞬く光。
警察のパトライトだ。
「警察じゃないか……どうしたんだろう?」
さあ……、とミリィは首をひねった。パトカーは一台だけでなく、何台も走っている。なにか、おおごとの予感だ。
パトカーの進路を見てパックは叫んだ。
「納屋に向かっているぞ!」
その通りだった。
町外れの納屋に向かって、パトカーはライトを旋回させ、急行している。サイレンは鳴らしていない。ということは、犯人が近くにいて、逃走する前に到着させるつもりなのだ。
犯人?
なんの犯人なんだ?
納屋を取り囲むようにしてパトカーは到着すると、そこではじめてサイレンを一斉に鳴らした。
わあああん……!
耳をつんざくようなサイレンの悲鳴があたりに満ちた。
じっと見ていると、パトカーのドアが開き、警察官がドアを盾にしてさっとあたりに散開する。おのおの銃を手に、ものものしい雰囲気だ。
「納屋にだれかいるのかしら?」
ミリィはつぶやいた。
「だれかって、だれだよっ!」
パックは大声をあげた。
納屋にだれかいる、ということは中のロボットは──。
パックは胸騒ぎを感じていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
がらくた屋 ふしぎ堂のヒミツ
三柴 ヲト
児童書・童話
『がらくた屋ふしぎ堂』
――それは、ちょっと変わった不思議なお店。
おもちゃ、駄菓子、古本、文房具、骨董品……。子どもが気になるものはなんでもそろっていて、店主であるミチばあちゃんが不在の時は、太った変な招き猫〝にゃすけ〟が代わりに商品を案内してくれる。
ミチばあちゃんの孫である小学6年生の風間吏斗(かざまりと)は、わくわく探しのため毎日のように『ふしぎ堂』へ通う。
お店に並んだ商品の中には、普通のがらくたに混じって『神商品(アイテム)』と呼ばれるレアなお宝もたくさん隠されていて、悪戯好きのリトはクラスメイトの男友達・ルカを巻き込んで、神商品を使ってはおかしな事件を起こしたり、逆にみんなの困りごとを解決したり、毎日を刺激的に楽しく過ごす。
そんなある日のこと、リトとルカのクラスメイトであるお金持ちのお嬢様アンが行方不明になるという騒ぎが起こる。
彼女の足取りを追うリトは、やがてふしぎ堂の裏庭にある『蔵』に隠された〝ヒミツの扉〟に辿り着くのだが、扉の向こう側には『異世界』や過去未来の『時空を超えた世界』が広がっていて――⁉︎
いたずら好きのリト、心優しい少年ルカ、いじっぱりなお嬢様アンの三人組が織りなす、事件、ふしぎ、夢、冒険、恋、わくわく、どきどきが全部詰まった、少年少女向けの現代和風ファンタジー。
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
化け猫ミッケと黒い天使
ひろみ透夏
児童書・童話
運命の人と出会える逢生橋――。
そんな言い伝えのある橋の上で、化け猫《ミッケ》が出会ったのは、幽霊やお化けが見える小学五年生の少女《黒崎美玲》。
彼女の家に居候したミッケは、やがて美玲の親友《七海萌》や、内気な級友《蜂谷優斗》、怪奇クラブ部長《綾小路薫》らに巻き込まれて、様々な怪奇現象を体験する。
次々と怪奇現象を解決する《美玲》。しかし《七海萌》の暴走により、取り返しのつかない深刻な事態に……。
そこに現れたのは、妖しい能力を持った青年《四聖進》。彼に出会った事で、物語は急展開していく。
スコウキャッタ・ターミナル
nono
児童書・童話
「みんなと違う」妹がチームの優勝杯に吐いた日、ついにそのテディベアをエレンは捨てる。すると妹は猫に変身し、謎の二人組に追われることにーー 空飛ぶトラムで不思議な世界にやってきたエレンは、弱虫王子とワガママ王女を仲間に加え、妹を人間に戻そうとするが・・・
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
佐藤さんの四重奏
makoto(木城まこと)
児童書・童話
佐藤千里は小学5年生の女の子。昔から好きになるものは大抵男子が好きになるもので、女子らしくないといじめられたことを機に、本当の自分をさらけ出せなくなってしまう。そんな中、男子と偽って出会った佐藤陽がとなりのクラスに転校してきて、千里の本当の性別がバレてしまい――?
弦楽器を通じて自分らしさを見つける、小学生たちの物語。
第2回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる