宇宙狂時代~SF宝島~

万卜人

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胸一杯の真空

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 艦橋にぼろぼろの着衣の破片を飛び散らかせ、シルバーが怒りの形相物凄く、大股に入ってくる。モービルの爆発でシルバーの着衣には、まだちりちりと煙が上がっている。それに気付いた部下たちが駆け寄り、手に手に消火器を持って白い消火液を噴出させた。
 頭からどっぷりと消火液を浴びたシルバーは、白い泡の中から咆哮とともに飛び出してきた。
「あいつらの現在位置を教えろっ!」
 額から泡を垂らし、衣服の残骸を毟り取ってシルバーは艦長席に座り込む。
 慌てた様子で部下たちはモニターに艦内の通路図を表示させた。
 簡略化した地図に、キャシーのスクーターの位置が輝点となって表示された。
 その表示を見てとったシルバーは、にやりと笑いを浮かべた。
「格納庫に向かっているな……。ふむ、《呑竜》に乗り込もうというのか! それなら、まだ打つ手はある!」
 ぐい、と部下に顔を向け、怒鳴る。
「格納庫を真空にしろっ! それと、格納庫に繋がるエア・ロックへ部下を向かわせろ。真空になっては、あいつらも格納庫へ入れまい。立ち往生している所を掴まえてやる!」
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