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掘り出された宇宙船
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「こいつはいったい、何年ぐらい埋まっていたんだ?」
上機嫌にジムはヘロヘロに訊ねた。ヘロヘロはちょっと考え込む。
「百年……は、優に経っているかな? 憶えていないや」
「その間、お前はずっと、あそこで原型の人間がやってくるのを待っていたって訳か?」
ヘロヘロは頷いた。ジムは呆れた。いくらロボットとはいえ、一世紀も待ち続けるとは、尋常ではない。その間、こいつはここで何をしていたのやら……。
そのことを尋ねると、ヘロヘロは恥ずかしそうな表情を浮かべる。
「うーん……まあ、いろいろとね……」
ヘロヘロは言い淀んだ。
ジムは肩を竦めて見せた。ロボットが何をしようと興味は無い。
とにかく、今は宇宙船のことで頭が一杯になっている。
宇宙船《呑竜》は洛陽シティ上空へと上昇していく。ジムは操縦桿を傾け、水平飛行にさせる。
通信装置が金切り声を上げた。許可を受けていない宇宙船の上昇に、シティの交通局の自動監視装置が反応したのだろう。
ジムは監視装置の喚き声を無視して、接続を一方的に切ってしまった。
ヘロヘロが不安そうに尋ねる。
「いいのかい? 無視して」
ジムは笑って見せた。
「知らんぷりするに限るさ!」
どうせこれから宇宙へ向かうのである。洛陽シティの交通局なんか知るものか!
ヘロヘロはジムに顔を向け、口を開く。
「ねえ、どこへ行くつもりなんだ? 宇宙へ向かうんじゃないのか?」
「もちろん、そのつもりだ。でも、その前に行くところがある」
ジムは《呑竜》の針路を洛陽シティの高級住宅街へと向けた。
上機嫌にジムはヘロヘロに訊ねた。ヘロヘロはちょっと考え込む。
「百年……は、優に経っているかな? 憶えていないや」
「その間、お前はずっと、あそこで原型の人間がやってくるのを待っていたって訳か?」
ヘロヘロは頷いた。ジムは呆れた。いくらロボットとはいえ、一世紀も待ち続けるとは、尋常ではない。その間、こいつはここで何をしていたのやら……。
そのことを尋ねると、ヘロヘロは恥ずかしそうな表情を浮かべる。
「うーん……まあ、いろいろとね……」
ヘロヘロは言い淀んだ。
ジムは肩を竦めて見せた。ロボットが何をしようと興味は無い。
とにかく、今は宇宙船のことで頭が一杯になっている。
宇宙船《呑竜》は洛陽シティ上空へと上昇していく。ジムは操縦桿を傾け、水平飛行にさせる。
通信装置が金切り声を上げた。許可を受けていない宇宙船の上昇に、シティの交通局の自動監視装置が反応したのだろう。
ジムは監視装置の喚き声を無視して、接続を一方的に切ってしまった。
ヘロヘロが不安そうに尋ねる。
「いいのかい? 無視して」
ジムは笑って見せた。
「知らんぷりするに限るさ!」
どうせこれから宇宙へ向かうのである。洛陽シティの交通局なんか知るものか!
ヘロヘロはジムに顔を向け、口を開く。
「ねえ、どこへ行くつもりなんだ? 宇宙へ向かうんじゃないのか?」
「もちろん、そのつもりだ。でも、その前に行くところがある」
ジムは《呑竜》の針路を洛陽シティの高級住宅街へと向けた。
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