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第十六章 悪役令嬢の誕生!?
74本目
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わたしの学習院初授業は問題なく終了した。
「アーリャさん編入してきたばかりなのに凄かったですわ」
「本当です、学院に来る前からお勉強なさっていたのですね」
「いえいえ、それほどでもありません」
授業内容は数学……ではなく、あれは算数だった。実際わたし達は年齢こそ十歳だけど、この世界での学校はここからスタート。前世で言う小学一年生レベルの内容だったので、さすがにこれが出来なければ前世の女子高生的に大問題だよ。
その後、貴族史の授業も2年分くらい先までしっかりと予習していたのでこれなら問題なく学院生活を送れそうで安心。
「それにしてもこの『ノート』という本は素晴らしい物ですね。授業の内容を書き留めるための本なんて知りませんでした」
「均等に並んだ横線のお陰で綺麗に文字を書けますし素晴らしい発明です。そんな貴重な物を頂いて宜しかったのですか?」
「お近づきの印です。それに学院の購買で扱うようわたしが手配してありますから今後もぜひご利用ください」
わたしは入学前学院に寄付をしたんだけど、それとは別に学生の勉強効率を向上させるためという名目で、ノート……いわゆるキャンパスノート……を購買で扱えるように相談した。最初に先生方に見せた時には大いに驚かれたよ。
はっ、そんな事より問題なのは……まーくんと教室が一緒になれなかった事だ。
基本的に授業は学部共通の授業以外は教室よりも大きい講堂でおこなわれるんだけど、それでも全ての生徒が入れるわけではないので、事前に複数の講堂に振り分けられていた。
わたしは早めに講堂へ向かい生徒の入出をチェックしていたのだけど、二つの授業でもまーくんを見つける事が出来なかった。これは困ったよ……今後は何か手を打っておかないと、まーくんとのラブラブ学院生活が台無しだよ。
「ベスさん、ヘレナさん、この学院には第二王子様が通われていると言うお話しですけどご存じですか?」
「第二王子のマクシス様ですね。もちろんですよ! 貴族学部以外の学院生にも噂になっておりますよ」
「いつもは優しい笑顔をされているのに、騎士学部の授業ではとても凜々しいお顔をされて素敵な殿方ですわ」
「そうなんですね。お会い出来るのが楽しみです」
事前に聞いていたけれど、ちゃんとこの学院には通っているんだね。それなら授業が一緒じゃ無かったのは単に運が悪かっただけか~。ううん、この程度でめげるもんですか!
「あら、噂をすれば……あそこにいらっしゃるのはマクシス様ではございませんか?」
「まぁ、本当ですね」
「え? どこですか?」
わたしは二人の視線の先を見ると校舎の渡り通路から少し外れた中庭に誰かがいた。
「え?」
綺麗な金髪に優しそうな笑顔。見間違うはずも無くまーくんだった……しかし問題は向かい合うように一人の女の子が立っていた。
「まぁ、どなたでしょう? 装いから貴族学部の方には見えませんね」
「そうですね、いつもは貴族のご令嬢の方々が何人も一緒にいるんですが……え? アーリャさん?」
「……」
だれ? わたしのまーくんに何をしているの?
「アーリャさん? 何かご気分が優れないのですか? お顔が……険しくなられています」
はっ!? もしかして人にはお見せ出来ない顔になっていた!? いけないいけない。
「ごめんなさい、遠くをよく見ようとつい目力がつよくなってしまっていたかもしれません」
何を過剰反応しているのわたしは? ただ生徒と話しているだけに違いないよ。意中の男の子が他の異性と話しているだけで闇落ちするほど病んでいないよ。
「まぁ、手を握りましたわ!!」
「マクシス様からお手を取ったように見えました」
「!?」
……どうしよう、わたし闇落ちしちゃうかも知れないよ。
「アーリャさん編入してきたばかりなのに凄かったですわ」
「本当です、学院に来る前からお勉強なさっていたのですね」
「いえいえ、それほどでもありません」
授業内容は数学……ではなく、あれは算数だった。実際わたし達は年齢こそ十歳だけど、この世界での学校はここからスタート。前世で言う小学一年生レベルの内容だったので、さすがにこれが出来なければ前世の女子高生的に大問題だよ。
その後、貴族史の授業も2年分くらい先までしっかりと予習していたのでこれなら問題なく学院生活を送れそうで安心。
「それにしてもこの『ノート』という本は素晴らしい物ですね。授業の内容を書き留めるための本なんて知りませんでした」
「均等に並んだ横線のお陰で綺麗に文字を書けますし素晴らしい発明です。そんな貴重な物を頂いて宜しかったのですか?」
「お近づきの印です。それに学院の購買で扱うようわたしが手配してありますから今後もぜひご利用ください」
わたしは入学前学院に寄付をしたんだけど、それとは別に学生の勉強効率を向上させるためという名目で、ノート……いわゆるキャンパスノート……を購買で扱えるように相談した。最初に先生方に見せた時には大いに驚かれたよ。
はっ、そんな事より問題なのは……まーくんと教室が一緒になれなかった事だ。
基本的に授業は学部共通の授業以外は教室よりも大きい講堂でおこなわれるんだけど、それでも全ての生徒が入れるわけではないので、事前に複数の講堂に振り分けられていた。
わたしは早めに講堂へ向かい生徒の入出をチェックしていたのだけど、二つの授業でもまーくんを見つける事が出来なかった。これは困ったよ……今後は何か手を打っておかないと、まーくんとのラブラブ学院生活が台無しだよ。
「ベスさん、ヘレナさん、この学院には第二王子様が通われていると言うお話しですけどご存じですか?」
「第二王子のマクシス様ですね。もちろんですよ! 貴族学部以外の学院生にも噂になっておりますよ」
「いつもは優しい笑顔をされているのに、騎士学部の授業ではとても凜々しいお顔をされて素敵な殿方ですわ」
「そうなんですね。お会い出来るのが楽しみです」
事前に聞いていたけれど、ちゃんとこの学院には通っているんだね。それなら授業が一緒じゃ無かったのは単に運が悪かっただけか~。ううん、この程度でめげるもんですか!
「あら、噂をすれば……あそこにいらっしゃるのはマクシス様ではございませんか?」
「まぁ、本当ですね」
「え? どこですか?」
わたしは二人の視線の先を見ると校舎の渡り通路から少し外れた中庭に誰かがいた。
「え?」
綺麗な金髪に優しそうな笑顔。見間違うはずも無くまーくんだった……しかし問題は向かい合うように一人の女の子が立っていた。
「まぁ、どなたでしょう? 装いから貴族学部の方には見えませんね」
「そうですね、いつもは貴族のご令嬢の方々が何人も一緒にいるんですが……え? アーリャさん?」
「……」
だれ? わたしのまーくんに何をしているの?
「アーリャさん? 何かご気分が優れないのですか? お顔が……険しくなられています」
はっ!? もしかして人にはお見せ出来ない顔になっていた!? いけないいけない。
「ごめんなさい、遠くをよく見ようとつい目力がつよくなってしまっていたかもしれません」
何を過剰反応しているのわたしは? ただ生徒と話しているだけに違いないよ。意中の男の子が他の異性と話しているだけで闇落ちするほど病んでいないよ。
「まぁ、手を握りましたわ!!」
「マクシス様からお手を取ったように見えました」
「!?」
……どうしよう、わたし闇落ちしちゃうかも知れないよ。
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