45 / 78
30
しおりを挟む
『会います。全てを上手く話せるかは分からないけれど、会わせてください。』
俺はその日の内に兄さんにそう返信を書いてリオンを抱えて急いで郵便局まで行くと、速達で届けてもらうよう手配した。
速達費はちょっと高かったけど、幸いなことに多少の余裕はあるので悩むこともなく払うことができた。
無事に届きますように。
「おてがみ?」
「そう。兄さんにね。今度のお祭りの時、お家に泊まってくれるって。」
「ほんとう!?」
嬉しそうに笑うリオンに、先程までの恐怖が不思議と和らぐ。
もしもディクセル様がリオンを拒絶するなら、それでも良いのかもしれない。
リオンにもディクセル様にも恨まれるかもしれないけど、ディクセル様がリオンのことを要らないと言うのならば受け入れよう。
ただ、もしそうならばリオンは全力で護る。
俺の命に代えてでも。
「フィニスおじさんは?」
「フィニス様もお泊りしてくれるよ。使ってなかった客室を二人に使ってもらうから、お掃除しなきゃ。」
俺の言葉に、リオンはきゃーっと高い声をあげて喜んだ。
掃除の最中は是非とも大人しくしていて欲しいんだが、最近は遊んでる最中に俺を呼ぶ頻度が増えたから難しいかなぁ………。
出来ればもう一部屋も片付けたいんだよな。
ディクセル様の、滞在場所にする為に。
「後ね、もしかしたらもう一人お客様が来るかもしれない。」
「だあれ?」
きょとんと首を傾げるリオンに、さて、何と言うべきかと悩む。
現状リオンのことをディクセル様がどう思うかが分からないので、パパが来るんだよとは言えない。
もしもリオンが傷を負うというのならば、なるべく軽くしてあげたいから。
「えっと、兄さんとフィニス様とソラリス様のお友達、だね。」
フィニス様にとっては後輩なんだけど、まぁ、その辺の事情まで今のリオンに話す必要は無いだろう。
大きくなって、その時にまだリオンが気になってたら話すけど。
「せんせーも?」
「ん?」
「せんせーもオルフェおじさんとおともだちなの?」
俺の大好きなエメラルドグリーンの目をまんまるにしながら、リオンが唐突にそう言った。
あ、そこから?
もう一人のお客様への興味は薄れたというか、衝撃で無くなってしまったようなのでちょっと一安心。
「そうだよー。」
「オルフェおじさんすごい!せんせーとおともだち、すごい!」
「そうだねー?すごいねー?」
何が凄いのかは全然分からないけれど、取り敢えず同意しとく。
ソラリス様がディスられてるような気もするので、ここは同意の上スルーが得策だろう。
え?もしかしてソラリス様ってリオンに思ったより嫌われてる?
「じゃあちゅーしゃもへいきなのかな?」
「う、うーん………どうだろう?」
キラキラした目で見られて聞かれたけど、流石にそれは分からない。
因みに俺はあんまり得意じゃない。
針の痛みというよりも、注射される時の薬液を注入される感覚とか血を抜かれる感覚とかが苦手なんだよなー。
「オルフェおじさんすごいなー!」
否定も肯定もしなかったら、リオンの中で確定になってしまった………。
兄さん、もしも注射があまり得意じゃないとかだったらごめん。
俺はその日の内に兄さんにそう返信を書いてリオンを抱えて急いで郵便局まで行くと、速達で届けてもらうよう手配した。
速達費はちょっと高かったけど、幸いなことに多少の余裕はあるので悩むこともなく払うことができた。
無事に届きますように。
「おてがみ?」
「そう。兄さんにね。今度のお祭りの時、お家に泊まってくれるって。」
「ほんとう!?」
嬉しそうに笑うリオンに、先程までの恐怖が不思議と和らぐ。
もしもディクセル様がリオンを拒絶するなら、それでも良いのかもしれない。
リオンにもディクセル様にも恨まれるかもしれないけど、ディクセル様がリオンのことを要らないと言うのならば受け入れよう。
ただ、もしそうならばリオンは全力で護る。
俺の命に代えてでも。
「フィニスおじさんは?」
「フィニス様もお泊りしてくれるよ。使ってなかった客室を二人に使ってもらうから、お掃除しなきゃ。」
俺の言葉に、リオンはきゃーっと高い声をあげて喜んだ。
掃除の最中は是非とも大人しくしていて欲しいんだが、最近は遊んでる最中に俺を呼ぶ頻度が増えたから難しいかなぁ………。
出来ればもう一部屋も片付けたいんだよな。
ディクセル様の、滞在場所にする為に。
「後ね、もしかしたらもう一人お客様が来るかもしれない。」
「だあれ?」
きょとんと首を傾げるリオンに、さて、何と言うべきかと悩む。
現状リオンのことをディクセル様がどう思うかが分からないので、パパが来るんだよとは言えない。
もしもリオンが傷を負うというのならば、なるべく軽くしてあげたいから。
「えっと、兄さんとフィニス様とソラリス様のお友達、だね。」
フィニス様にとっては後輩なんだけど、まぁ、その辺の事情まで今のリオンに話す必要は無いだろう。
大きくなって、その時にまだリオンが気になってたら話すけど。
「せんせーも?」
「ん?」
「せんせーもオルフェおじさんとおともだちなの?」
俺の大好きなエメラルドグリーンの目をまんまるにしながら、リオンが唐突にそう言った。
あ、そこから?
もう一人のお客様への興味は薄れたというか、衝撃で無くなってしまったようなのでちょっと一安心。
「そうだよー。」
「オルフェおじさんすごい!せんせーとおともだち、すごい!」
「そうだねー?すごいねー?」
何が凄いのかは全然分からないけれど、取り敢えず同意しとく。
ソラリス様がディスられてるような気もするので、ここは同意の上スルーが得策だろう。
え?もしかしてソラリス様ってリオンに思ったより嫌われてる?
「じゃあちゅーしゃもへいきなのかな?」
「う、うーん………どうだろう?」
キラキラした目で見られて聞かれたけど、流石にそれは分からない。
因みに俺はあんまり得意じゃない。
針の痛みというよりも、注射される時の薬液を注入される感覚とか血を抜かれる感覚とかが苦手なんだよなー。
「オルフェおじさんすごいなー!」
否定も肯定もしなかったら、リオンの中で確定になってしまった………。
兄さん、もしも注射があまり得意じゃないとかだったらごめん。
85
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました
ヒンメル
BL
フロナディア王国デルヴィーニュ公爵家嫡男ライオネル・デルヴィーニュ。
愛しの恋人(♀)と婚約するため、親に決められた婚約を破棄しようとしたら、荒くれ者の集まる北の砦へ一年間行かされることに……。そこで人生を変える出会いが訪れる。
*****************
「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく(https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/703283996)」の番外編です。ライオネルと北の砦の隊長の後日談ですが、BL色が強くなる予定のため独立させてます。単体でも分かるように書いたつもりですが、本編を読んでいただいた方がわかりやすいと思います。
※「国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく」の他の番外編よりBL色が強い話になりました(特に第八話)ので、苦手な方は回避してください。
※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。
評価やブックマーク登録をして頂けて嬉しいです。
※小説家になろう様でも公開中です。
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
天涯孤独になった少年は、元兵士の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元兵士の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。
騎士は魔石に跪く
叶崎みお
BL
森の中の小さな家でひとりぼっちで暮らしていたセオドアは、ある日全身傷だらけの男を拾う。ヒューゴと名乗った男は、魔女一族の村の唯一の男であり落ちこぼれの自分に優しく寄り添ってくれるようになった。ヒューゴを大事な存在だと思う気持ちを強くしていくセオドアだが、様々な理由から恋をするのに躊躇いがあり──一方ヒューゴもセオドアに言えない事情を抱えていた。
魔力にまつわる特殊体質騎士と力を失った青年が互いに存在を支えに前を向いていくお話です。
ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる