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とある天才錬金術師の回想④
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ある日、彼の護衛騎士ですごく好みのタイプの人が居るのを見付けた。
知らなかったー!
早速アプローチしてみたけど、婚約者が居るから、婚約者を愛してるからとすげなく断られた。
何それ、ムカつく。
婚約者がどんな人か知らないけど、僕の方が可愛いに決まってるのに。
『面白いモノを思い付いたんだ。作ってみない?同じモノばかりだとマンネリだろう?』
そんな時、パパの一人がニヤニヤと笑いながらそう言った。
他の子と遊ぶ時に使いたいらしい。
好きな人の幻覚が見える、媚薬。
声もその人の声に聞こえるけど、名前は呼べない。
そんな御伽噺みたいな媚薬。
なんて面白い!
是非ともこの間の騎士に使いたい!
だって面白くない?
婚約者を愛してるとか言いながら、その婚約者を裏切るんだよ?
僕は早速作ってみることにした。
飴ばっかり作ってて僕も飽きちゃってたから、クッキーにしてみた。
美味しそうだなと自分でも思いながら、出来上がった試作品を試験も兼ねてこの間の騎士に無理矢理食べさせる。
本当はあの人に食べてもらおうと思ったんだけど、目の前で捨てられたんだ。
だから仕方なく、護衛騎士に食べさせることにした。
するとちゃんと幻覚作用は反応したらしく、僕じゃなくて【他の誰か】が見えたからかひどく焦りだした。
誰かの名前を呼ぼうとしているけど、声が出なくてなってるからそこも成功したらしい。
『何だ!本当に婚約者とやらを愛してるの?ウケるんだけど!!』
ケラケラと護衛騎士を笑い飛ばしながら、モヤモヤとした気持ちが僕の胸を過ぎった。
それは、直視してはいけない現実なようにも思えた。
でもあまりにもハッキリとしたカタチの違和感に思わず怯んでいると、その隙に護衛騎士は僕を突き飛ばしてその場から逃げて行った。
騎士のクセに、敵前逃亡なの?格好悪い。
悪態を吐けば少しだけ気分が落ち着いたけど、胸焼けみたいなモヤモヤは消えない。
いつもの僕の傍に居る騎士達と飴を使って遊んでも、晴れるどころか寧ろ大きくなっていく。
落ち着こうと呼吸をすればする程、落ち着かない。
快感に溺れようとすればする程、あの人からクッキーを捨てられた時の言葉を思い出す。
『………お前にそっくりだな、このクッキー。見た目だけを取り繕って、中身はクソ。一時的には求められるけど、飽きたら終わりだ。』
突き返す訳じゃなく、あの人はそう言ってクッキーをゴミ捨て場に見せ付けるように捨てるとニヒルに笑った。
いつだってそうだ。
あの人はあのドブネズミ以外には、冷酷で暴力的だ。
いつだったか。
僕があのドブネズミを使って皆で遊ぼうとした時だって………!
『誰がお前を心の底から求める?誰が死ぬ瞬間までお前を求める?例え依存させたとしても、代わりは幾らでも出来る。お前が新しくクッキーを作ったように、お前自身の代わりだって、幾らでも。』
ぐわんっと、頭の中で音がする。
ひょっこりと顔を出そうとするソレを認めたくなくて、僕は飴を思っいきり噛み砕いた。
知らなかったー!
早速アプローチしてみたけど、婚約者が居るから、婚約者を愛してるからとすげなく断られた。
何それ、ムカつく。
婚約者がどんな人か知らないけど、僕の方が可愛いに決まってるのに。
『面白いモノを思い付いたんだ。作ってみない?同じモノばかりだとマンネリだろう?』
そんな時、パパの一人がニヤニヤと笑いながらそう言った。
他の子と遊ぶ時に使いたいらしい。
好きな人の幻覚が見える、媚薬。
声もその人の声に聞こえるけど、名前は呼べない。
そんな御伽噺みたいな媚薬。
なんて面白い!
是非ともこの間の騎士に使いたい!
だって面白くない?
婚約者を愛してるとか言いながら、その婚約者を裏切るんだよ?
僕は早速作ってみることにした。
飴ばっかり作ってて僕も飽きちゃってたから、クッキーにしてみた。
美味しそうだなと自分でも思いながら、出来上がった試作品を試験も兼ねてこの間の騎士に無理矢理食べさせる。
本当はあの人に食べてもらおうと思ったんだけど、目の前で捨てられたんだ。
だから仕方なく、護衛騎士に食べさせることにした。
するとちゃんと幻覚作用は反応したらしく、僕じゃなくて【他の誰か】が見えたからかひどく焦りだした。
誰かの名前を呼ぼうとしているけど、声が出なくてなってるからそこも成功したらしい。
『何だ!本当に婚約者とやらを愛してるの?ウケるんだけど!!』
ケラケラと護衛騎士を笑い飛ばしながら、モヤモヤとした気持ちが僕の胸を過ぎった。
それは、直視してはいけない現実なようにも思えた。
でもあまりにもハッキリとしたカタチの違和感に思わず怯んでいると、その隙に護衛騎士は僕を突き飛ばしてその場から逃げて行った。
騎士のクセに、敵前逃亡なの?格好悪い。
悪態を吐けば少しだけ気分が落ち着いたけど、胸焼けみたいなモヤモヤは消えない。
いつもの僕の傍に居る騎士達と飴を使って遊んでも、晴れるどころか寧ろ大きくなっていく。
落ち着こうと呼吸をすればする程、落ち着かない。
快感に溺れようとすればする程、あの人からクッキーを捨てられた時の言葉を思い出す。
『………お前にそっくりだな、このクッキー。見た目だけを取り繕って、中身はクソ。一時的には求められるけど、飽きたら終わりだ。』
突き返す訳じゃなく、あの人はそう言ってクッキーをゴミ捨て場に見せ付けるように捨てるとニヒルに笑った。
いつだってそうだ。
あの人はあのドブネズミ以外には、冷酷で暴力的だ。
いつだったか。
僕があのドブネズミを使って皆で遊ぼうとした時だって………!
『誰がお前を心の底から求める?誰が死ぬ瞬間までお前を求める?例え依存させたとしても、代わりは幾らでも出来る。お前が新しくクッキーを作ったように、お前自身の代わりだって、幾らでも。』
ぐわんっと、頭の中で音がする。
ひょっこりと顔を出そうとするソレを認めたくなくて、僕は飴を思っいきり噛み砕いた。
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