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隣の芝生はなんとやら
………王子様なんて居ないのかもしれない
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一週間の研修期間はあっという間に終わった。
その期間、何とか接点を持とうと思ったけど、引くくらい隙が無かった。
昼休みはいつも6人で食べてるし諫山も居るから入り難いし、帰りは私はパートだから勤務時間が違うせいで近寄る暇がない。
挨拶したら返してはくれるけど、さっさと目的を済ませて席へ戻ったり外回り行ったりで業務中のコミニュケーションが出来ない。
………まぁ、仮に私が正社員で蘭さんと帰る時間が一緒だとしても、多分接触は出来ないと思う。
諌山と一緒に住んでいるから、いつも諌山の業務終了を待ってから一緒に帰ってるらしいから。
いつもいつも、二人は一緒。
銀山さんと地味男もそんな感じらしいから、同棲してる職場恋愛ってそんなもんなのかな?
思えば私はあの日からずっと宗太郎と一緒だから、そういう意味じゃ相場みたいなのが分からない。
いくらなんでも二人共一緒に居過ぎじゃない?
蘭さんっていつもあんな感じなの?
それとなく営業事務の人達や営業の人達に聞いても、みんないつも同じ返事。
―――今までの恋人にあんな態度取ったことないし、長続きしかしていない。
驚いたことに、諌山の前に付き合ってた人はあのいつも一緒にお昼を食べている樋口さんらしい。
私は可愛い系だけど、樋口さんはキツめの美人って感じだしスタイルもモデルさんかって位に抜群だ。
しかも仕事も出来る人で、そんな人じゃなくいかにも仕事が出来なさそうな諌山を選ぶなんて信じられない。
「樋口さんは見た目だけじゃなくて、性格も口も蘭くん並みにキツいから水と油なのよ。寧ろよく試しに付き合おうなんて思った位。」
思わずどうしてと呟けば、好意的に話しを捉えてくれた社員さんがケラケラと笑いながら教えてくれた。
なんでも冗談じゃなく口を開けば喧嘩三昧だったらしい。
それは確かに、よく付き合おうと思えたなレベルの関係だ。
「蘭さん、優しそうなのに。」
「見た目だけよ。藤代くんみたいにおっとりさんの猛獣使いじゃないと難しいかも。」
おっとりさんの猛獣使いって何だ?
でもここまで聞いて思ったのは、それなら尚更、私が間に入ることは出来ないだろうということだ。
正直、宗太郎の時は私達は単純に幼かった。
宗太郎も、私も、多分諌山も。
身体だけじゃなくて精神も幼くて、常識だってなくて。
「でもあの二人、喧嘩もせずに長く居るよねー。」
「藤代くんが怒ったり蘭くんが拗ねたりするのは時々見るけど、あれは喧嘩っていうよりもただのイチャイチャよね。」
「犬も食わないってやつね。」
仕事をする手は止めず、皆でやいのやいのと盛り上がっていく。
私も資料をまとめたり作ったりと手を動かしながらも、胸の中に残るもやもやとしたモノで吐き気がしそうだった。
高校の頃、私には宗太郎が相応しいと思ってた。
そして宗太郎にも、私が相応しいのだと思ってた。
だって私達は
私を幸せにできるのは宗太郎で、宗太郎を幸せにできるのは私だと、本気でそう信じていた。
「でもさ、二人共ほんと幸せそうだからほっこりするよね。」
でも実際は幸せになんてならなかった。
幸せだったように感じていたのは、諌山を二人で嘲笑ってたその期間だけだった。
宗太郎と諌山が別れたその瞬間まで。
それ以降は、どうしても諌山の涙が頭の中に過って辛かった。
諌山のせいで、ちっとも幸せになれないんだって思ってた。
でもそんな現実逃避も、社員さん達の言った何気ない一言で崩れ去る。
こんなことして、意味があるのだろうか?
その期間、何とか接点を持とうと思ったけど、引くくらい隙が無かった。
昼休みはいつも6人で食べてるし諫山も居るから入り難いし、帰りは私はパートだから勤務時間が違うせいで近寄る暇がない。
挨拶したら返してはくれるけど、さっさと目的を済ませて席へ戻ったり外回り行ったりで業務中のコミニュケーションが出来ない。
………まぁ、仮に私が正社員で蘭さんと帰る時間が一緒だとしても、多分接触は出来ないと思う。
諌山と一緒に住んでいるから、いつも諌山の業務終了を待ってから一緒に帰ってるらしいから。
いつもいつも、二人は一緒。
銀山さんと地味男もそんな感じらしいから、同棲してる職場恋愛ってそんなもんなのかな?
思えば私はあの日からずっと宗太郎と一緒だから、そういう意味じゃ相場みたいなのが分からない。
いくらなんでも二人共一緒に居過ぎじゃない?
蘭さんっていつもあんな感じなの?
それとなく営業事務の人達や営業の人達に聞いても、みんないつも同じ返事。
―――今までの恋人にあんな態度取ったことないし、長続きしかしていない。
驚いたことに、諌山の前に付き合ってた人はあのいつも一緒にお昼を食べている樋口さんらしい。
私は可愛い系だけど、樋口さんはキツめの美人って感じだしスタイルもモデルさんかって位に抜群だ。
しかも仕事も出来る人で、そんな人じゃなくいかにも仕事が出来なさそうな諌山を選ぶなんて信じられない。
「樋口さんは見た目だけじゃなくて、性格も口も蘭くん並みにキツいから水と油なのよ。寧ろよく試しに付き合おうなんて思った位。」
思わずどうしてと呟けば、好意的に話しを捉えてくれた社員さんがケラケラと笑いながら教えてくれた。
なんでも冗談じゃなく口を開けば喧嘩三昧だったらしい。
それは確かに、よく付き合おうと思えたなレベルの関係だ。
「蘭さん、優しそうなのに。」
「見た目だけよ。藤代くんみたいにおっとりさんの猛獣使いじゃないと難しいかも。」
おっとりさんの猛獣使いって何だ?
でもここまで聞いて思ったのは、それなら尚更、私が間に入ることは出来ないだろうということだ。
正直、宗太郎の時は私達は単純に幼かった。
宗太郎も、私も、多分諌山も。
身体だけじゃなくて精神も幼くて、常識だってなくて。
「でもあの二人、喧嘩もせずに長く居るよねー。」
「藤代くんが怒ったり蘭くんが拗ねたりするのは時々見るけど、あれは喧嘩っていうよりもただのイチャイチャよね。」
「犬も食わないってやつね。」
仕事をする手は止めず、皆でやいのやいのと盛り上がっていく。
私も資料をまとめたり作ったりと手を動かしながらも、胸の中に残るもやもやとしたモノで吐き気がしそうだった。
高校の頃、私には宗太郎が相応しいと思ってた。
そして宗太郎にも、私が相応しいのだと思ってた。
だって私達は
私を幸せにできるのは宗太郎で、宗太郎を幸せにできるのは私だと、本気でそう信じていた。
「でもさ、二人共ほんと幸せそうだからほっこりするよね。」
でも実際は幸せになんてならなかった。
幸せだったように感じていたのは、諌山を二人で嘲笑ってたその期間だけだった。
宗太郎と諌山が別れたその瞬間まで。
それ以降は、どうしても諌山の涙が頭の中に過って辛かった。
諌山のせいで、ちっとも幸せになれないんだって思ってた。
でもそんな現実逃避も、社員さん達の言った何気ない一言で崩れ去る。
こんなことして、意味があるのだろうか?
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