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告白
ざまぁみろって笑ってろ
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手を繋ぐ繋がないの押し問答の果てに、とうとうアイツは駐車場までならと折れてヤケクソのように俺と手を繋いだ。
最初からそうすりゃいいんだよ。
「お前、車?」
「いや、電車………ですけど。」
「じゃあ乗ってけ。家バレすんの嫌なら近くまで送ってやるから。」
いくら嫌がらせのために作った恋人だからとて、しかもそれが男だからとて、そこそこ遅いこの時間に恋人を一人で帰す程甲斐性なしではない。
流石に荷物を持ってやるなんてはしないけどな。
「ボク、女の子じゃないんだけど。」
「知ってるっつーか見たら分かる。」
何を当たり前なことを言ってるんだと呆れながら言えば、クソでかい溜息を吐かれた。
なんでだよ。
思わず眉根を寄せて不快感をわざとらしく見せれば、それでも特に慌てた風もなく、何故か寧ろ少しだけ楽しそうに笑った。
………なんだ、意外と見れる笑い方するんじゃねえか。
もっと気持ち悪い笑い方するかと思ってた。
「じゃあ歩きながらでもいいからさ、自己紹介の時間くれない?ボク、君のこと知らない。」
「あー、まあ同期だけど部署違うしな。」
俺がそう言えば、何故かコイツはそんなに大きくもない目をこれでもかと開いて驚いてみせた。
さてはコイツ、同期を把握してないな?
とはいえ俺も、アイツがコイツに興味示してなかったら名前すら知らなかったんだけどな。
「藤代康介、だろ?俺は蘭耀司だ。一応お前と同期。」
名前くらいしか調べられなかったがそれでも自信満々に答えてやれば、俺の言葉に少しだけ信憑性が生まれたのか心做しか繋がれた手の力が緩んだ。
チョロい奴だなと思いつつ、不自然にならないように言葉を重ねなければいけない。
流石に自分の事を何も知らない別部署の奴から告られたとなると、流石に気取られて振られてしまう。
それは避けなければいけないので、取り敢えずまず真っ先に気になっていたことを聞くことにした。
「康介さぁ………」
「なに?」
「男同士とか気になんねぇの?」
そう。
確かに俺がゴリ押ししたとはいえ、康介は最後まで男同士で付き合うということに対して疑問を抱いてなかった。
普通だったら男同士だという理由を逃げ道にするだろう。
それなのに、コイツが断った理由は『好きな人が居るから』というだけ。
だからこそゴリ押しできたというのもあるんだが………
「今更?………ボク、ゲイなんですよ。ネコ………受け身側の。」
「ふーん。モテんの?」
通りで、この状況にさほど疑問を抱かない訳だ。
抱かれる側なら仮にノンケから告られようが揉めることも少ないだろうしな。
ついでとばかりに聞いた質問は、可愛くもなんともないジト目で睨まれた。
なんでだよ。
「嫌味ですか?モテる訳ないでしょ。」
「恋人出来たことねぇの?はい、助手席乗れ。」
「ありがとうございます。居た………けど………」
助手席の扉を開けてやれば、戸惑いながらもそろそろと乗り込んだ。
ガッチガチに体を強ばらせながらもシートベルトをきちんとしている康介に、助手席に乗り慣れてねぇのか?と新たな疑問が湧く。
「居たけど、何だよ。」
「………浮気されて、別れた。」
なるほど。
どっちかといえばコイツが浮気相手なんだろうなとは思いつつ、流石にそれは口にはしない。
多分、コイツにとって今のを正直に話したことも勇気が必要だったことだろうから。
「………わっ!な、なに!?」
なんとも言えない衝動が胸を突いてきたので、運転席に乗り込むと同時にその衝動を逃がすように康介の頭を乱暴に撫でる。
驚愕やら警戒やら、色んな色を含んだ瞳が疎ましそうに俺を見たけれど、思ったよりも胸がすっとしたし、悪くないとも思った。
そっと手を放せば、思ったよりもさらさらとした髪の毛が俺の指先を撫でた。
案外しっかりと、手入れしてるんだな。
「浮気するような男なんざ、その程度の恋愛しか出来ねえよ。ざまあみろって笑ってろ。」
正直な話浮気される方の気持ちなんざ分からんが、浮気する方の気持ちも分からん。
もしかしたらモテる自慢なのかもしれないが、結局は恋人が途切れた時に次にいける保証がないからキープとして扱える存在が欲しいだけなんだろう?とも思うし、そもそも他人に不誠実に生きてるような人間は最終的に誰にも誠実になってもらえないものだ。
まあ、コイツに対して不誠実極まりないことをしている俺が言えた義理じゃないんだがな。
「………君だって、浮気する側の人間なんじゃないの?」
「失礼だな。浮気する前に別れ話持ち出す側の人間だよ。」
最低だと小さな非難が聞こえたが、浮気する元カレ共よりはマシだろと笑い飛ばしてやる。
そんな俺に緊張がほぐれたのかなんなのか。
ほんの少しだけ楽しそうに康介は笑った。
最初からそうすりゃいいんだよ。
「お前、車?」
「いや、電車………ですけど。」
「じゃあ乗ってけ。家バレすんの嫌なら近くまで送ってやるから。」
いくら嫌がらせのために作った恋人だからとて、しかもそれが男だからとて、そこそこ遅いこの時間に恋人を一人で帰す程甲斐性なしではない。
流石に荷物を持ってやるなんてはしないけどな。
「ボク、女の子じゃないんだけど。」
「知ってるっつーか見たら分かる。」
何を当たり前なことを言ってるんだと呆れながら言えば、クソでかい溜息を吐かれた。
なんでだよ。
思わず眉根を寄せて不快感をわざとらしく見せれば、それでも特に慌てた風もなく、何故か寧ろ少しだけ楽しそうに笑った。
………なんだ、意外と見れる笑い方するんじゃねえか。
もっと気持ち悪い笑い方するかと思ってた。
「じゃあ歩きながらでもいいからさ、自己紹介の時間くれない?ボク、君のこと知らない。」
「あー、まあ同期だけど部署違うしな。」
俺がそう言えば、何故かコイツはそんなに大きくもない目をこれでもかと開いて驚いてみせた。
さてはコイツ、同期を把握してないな?
とはいえ俺も、アイツがコイツに興味示してなかったら名前すら知らなかったんだけどな。
「藤代康介、だろ?俺は蘭耀司だ。一応お前と同期。」
名前くらいしか調べられなかったがそれでも自信満々に答えてやれば、俺の言葉に少しだけ信憑性が生まれたのか心做しか繋がれた手の力が緩んだ。
チョロい奴だなと思いつつ、不自然にならないように言葉を重ねなければいけない。
流石に自分の事を何も知らない別部署の奴から告られたとなると、流石に気取られて振られてしまう。
それは避けなければいけないので、取り敢えずまず真っ先に気になっていたことを聞くことにした。
「康介さぁ………」
「なに?」
「男同士とか気になんねぇの?」
そう。
確かに俺がゴリ押ししたとはいえ、康介は最後まで男同士で付き合うということに対して疑問を抱いてなかった。
普通だったら男同士だという理由を逃げ道にするだろう。
それなのに、コイツが断った理由は『好きな人が居るから』というだけ。
だからこそゴリ押しできたというのもあるんだが………
「今更?………ボク、ゲイなんですよ。ネコ………受け身側の。」
「ふーん。モテんの?」
通りで、この状況にさほど疑問を抱かない訳だ。
抱かれる側なら仮にノンケから告られようが揉めることも少ないだろうしな。
ついでとばかりに聞いた質問は、可愛くもなんともないジト目で睨まれた。
なんでだよ。
「嫌味ですか?モテる訳ないでしょ。」
「恋人出来たことねぇの?はい、助手席乗れ。」
「ありがとうございます。居た………けど………」
助手席の扉を開けてやれば、戸惑いながらもそろそろと乗り込んだ。
ガッチガチに体を強ばらせながらもシートベルトをきちんとしている康介に、助手席に乗り慣れてねぇのか?と新たな疑問が湧く。
「居たけど、何だよ。」
「………浮気されて、別れた。」
なるほど。
どっちかといえばコイツが浮気相手なんだろうなとは思いつつ、流石にそれは口にはしない。
多分、コイツにとって今のを正直に話したことも勇気が必要だったことだろうから。
「………わっ!な、なに!?」
なんとも言えない衝動が胸を突いてきたので、運転席に乗り込むと同時にその衝動を逃がすように康介の頭を乱暴に撫でる。
驚愕やら警戒やら、色んな色を含んだ瞳が疎ましそうに俺を見たけれど、思ったよりも胸がすっとしたし、悪くないとも思った。
そっと手を放せば、思ったよりもさらさらとした髪の毛が俺の指先を撫でた。
案外しっかりと、手入れしてるんだな。
「浮気するような男なんざ、その程度の恋愛しか出来ねえよ。ざまあみろって笑ってろ。」
正直な話浮気される方の気持ちなんざ分からんが、浮気する方の気持ちも分からん。
もしかしたらモテる自慢なのかもしれないが、結局は恋人が途切れた時に次にいける保証がないからキープとして扱える存在が欲しいだけなんだろう?とも思うし、そもそも他人に不誠実に生きてるような人間は最終的に誰にも誠実になってもらえないものだ。
まあ、コイツに対して不誠実極まりないことをしている俺が言えた義理じゃないんだがな。
「………君だって、浮気する側の人間なんじゃないの?」
「失礼だな。浮気する前に別れ話持ち出す側の人間だよ。」
最低だと小さな非難が聞こえたが、浮気する元カレ共よりはマシだろと笑い飛ばしてやる。
そんな俺に緊張がほぐれたのかなんなのか。
ほんの少しだけ楽しそうに康介は笑った。
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