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一話目
①
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突然だが、平凡顔の頭悪い陰キャな俺にも中学校の頃まで親友と呼んでも過言ではない程に親しい友人が居た。
しかもすっげぇイケメンで頭も良い奴。
釣り合ってねぇだろ?
知ってる。
でも小学生まではさ、なーんにも気にしないで傍に居て一緒に遊んでってしてたんだよ。
でも中学校入学して少しした位からかな?
現実ってモンが一気に襲いかかってきたんだ。
釣り合わない、似合わない、付き纏うな、彼も迷惑してる………
もー、耳にタコよ。
殴る蹴るの暴行に加えてそんな罵倒。
その時俺は思ったんだよ。
あ、【身の程知らず】ってこういう事かってね。
平凡顔ってか若干ブサイク寄りな俺がさ、イケメンなアイツと一緒に居るって確かに烏滸がましい話なんだよ。
卑屈とかじゃねぇよ?
事実よ事実。
だってお前も思ったろ?
釣り合わないねぇコンビだなぁって。
だから俺は離れようとしたんだけど上手くいかなくて、そうこうしている内にイジメはエスカレートするし………
考えようにも相談できる奴なんて誰も居ないし、どうしたらいいのか分からなくて、気が付けば三年生になってた。
俺の身体もだいぶカラフルになっておもしれぇなあって思う余裕もでてきてさ、そんな時にふと思い付いたんだ。
アイツな、一緒の高校行こうなとか言ってたのよ。
俺が行けるところなんて底辺で、アイツとは違うんだぜ?何言ってんだこいつって話だろ?
でもそれを利用しようと思ったんだ。
鏡の前のカラフルにクソ汚ぇ俺が、これ以上汚くならねぇように。
だから俺はアイツにはアイツに似合う高校の名前を告げた。
頑張ってそこに行くんだって、大嘘吐いた。
先公にも土下座して、俺は表向きそこに行くって話を合わせて欲しいって言った。
実際は全然レベル違うのにな。
そうしたら担任が話を合わせるのは簡単だけどお前も勉強しないと気付かれるから、これを機に志望校のレベル上げてみないか?って言われたんだ。
俺はそれもそうだと納得したし、放課後ならいくらでも勉強に付き合うって言ってくれたからそれに甘えた。
放課後にアイツと帰ってると、次の日の暴行が激しくなるんだ。
だから俺は勉強を言い訳に、一緒に帰るのを止めた。
アイツは渋ったけど、受験勉強の為ならって飲み込んでくれた。
今更勉強したところでレベル合わせられる訳がないって、ちょっと考えれば分かる事なのにな。
それに気付いた瞬間、俺は悲しくなった。
多分だけど、アイツは俺が思ってる以上に俺の事なんてどうでもいいんだって。
だってそうだろ?
そもそも俺がイジメられてる事なんて気付ける位には近くに居たんだよ。
いくら無視とか机に落書きとか、そういう表立ったことはされてないとはいえ、ちょいちょい暴行されてんだぞ?
無関心な教師達が気付いてくれないのは分かる。
でもアイツが気付いてくれなかったのに、納得なんてできなかった。
アイツのせいなのにって、逆恨みした。
そんな自分が汚くて悲しくて、仕方なかった。
アイツが受験する予定の高校と同じに日に、俺も受験だった。
受験会場には当然俺は居ないのに、アイツは気付く様子もなかった。
俺が受けてないって気付いたのは、合格発表の日だった。
馬鹿だよな、俺。
なんでこんな俺を見てくれない奴と、一生懸命友達で居ようなんて思ったんだろうって思った。
だから言ったんだ。
『なんで俺がそこ受けると思ったんだ?俺の成績じゃ無理だって簡単に分かるだろ?俺がお前と一緒に居るために努力するとでも思ったのか?そういうの、すげぇ傲慢だよな。』
スルスルと言葉が出てきた。
俺は思った以上に、アイツのことが嫌いになっていたらしい。
溢れた言葉は紛れもない本音で、アイツは悲しそうな顔して殴ってきた。
直ぐに謝ってきたけど、暴力に頼るような奴の傍に居たくないって拒絶した。
それもまた本音だった。
俺は顔を腫らしたまま担任に礼を言いに行った。
あの人のおかげで、最終的に上の偏差値の高校に受かったから。
担任は顔の腫れには何も言わなかったけど、高校に受かれたのはお前が努力したからだと褒めてくれた。
最低な人間だと思うが、俺にはそれが丁度良かった。
俺はその日から二度と、アイツと目も合わせなかったし会話もしなかった。
漸く身の程を知ったかと他の連中は訳知り顔でゲラゲラ笑ったけど、俺はもう何とも思わなかった。
始まった高校生活は、思った以上に息がしやすいっていうのが正直な感想だ。
話の合う友人が何人かできたし、中学校の頃を知ってる奴には近寄らければそれで良いし。
それだけですげぇ息ができるんだよ。
もう蹲って暴力が終わるのを待たなくていいんだ。
カラフルだった俺の身体は、どんどん元に戻っていくのも感動モノ。
ただ、顔が良い奴とは意地でも友人関係にはならなかった。
当たり障りのない会話はするけど、そこまでだ。
あんな思い、二度と味わいたくない。
今この幸せを、失いたくない。
俺は俺の身の程を知っている。
だから俺は何度言われようとも、何を言われようとも顔の良い奴とだけは絶対に親しくしたくなかった。
失礼極まりない話だけどな。
「その点お前っていいよな、雰囲気イケメンだもん」
「うるせぇよ。雰囲気イケメンもイケメンの枠入れてー」
「そしたら俺、お前と友達辞めなきゃ………!」
「やめてー!」
ふざけ合って友達と笑う。
それが当たり前じゃないことを知っている俺は、それにしがみつきそうで怖かった。
しかもすっげぇイケメンで頭も良い奴。
釣り合ってねぇだろ?
知ってる。
でも小学生まではさ、なーんにも気にしないで傍に居て一緒に遊んでってしてたんだよ。
でも中学校入学して少しした位からかな?
現実ってモンが一気に襲いかかってきたんだ。
釣り合わない、似合わない、付き纏うな、彼も迷惑してる………
もー、耳にタコよ。
殴る蹴るの暴行に加えてそんな罵倒。
その時俺は思ったんだよ。
あ、【身の程知らず】ってこういう事かってね。
平凡顔ってか若干ブサイク寄りな俺がさ、イケメンなアイツと一緒に居るって確かに烏滸がましい話なんだよ。
卑屈とかじゃねぇよ?
事実よ事実。
だってお前も思ったろ?
釣り合わないねぇコンビだなぁって。
だから俺は離れようとしたんだけど上手くいかなくて、そうこうしている内にイジメはエスカレートするし………
考えようにも相談できる奴なんて誰も居ないし、どうしたらいいのか分からなくて、気が付けば三年生になってた。
俺の身体もだいぶカラフルになっておもしれぇなあって思う余裕もでてきてさ、そんな時にふと思い付いたんだ。
アイツな、一緒の高校行こうなとか言ってたのよ。
俺が行けるところなんて底辺で、アイツとは違うんだぜ?何言ってんだこいつって話だろ?
でもそれを利用しようと思ったんだ。
鏡の前のカラフルにクソ汚ぇ俺が、これ以上汚くならねぇように。
だから俺はアイツにはアイツに似合う高校の名前を告げた。
頑張ってそこに行くんだって、大嘘吐いた。
先公にも土下座して、俺は表向きそこに行くって話を合わせて欲しいって言った。
実際は全然レベル違うのにな。
そうしたら担任が話を合わせるのは簡単だけどお前も勉強しないと気付かれるから、これを機に志望校のレベル上げてみないか?って言われたんだ。
俺はそれもそうだと納得したし、放課後ならいくらでも勉強に付き合うって言ってくれたからそれに甘えた。
放課後にアイツと帰ってると、次の日の暴行が激しくなるんだ。
だから俺は勉強を言い訳に、一緒に帰るのを止めた。
アイツは渋ったけど、受験勉強の為ならって飲み込んでくれた。
今更勉強したところでレベル合わせられる訳がないって、ちょっと考えれば分かる事なのにな。
それに気付いた瞬間、俺は悲しくなった。
多分だけど、アイツは俺が思ってる以上に俺の事なんてどうでもいいんだって。
だってそうだろ?
そもそも俺がイジメられてる事なんて気付ける位には近くに居たんだよ。
いくら無視とか机に落書きとか、そういう表立ったことはされてないとはいえ、ちょいちょい暴行されてんだぞ?
無関心な教師達が気付いてくれないのは分かる。
でもアイツが気付いてくれなかったのに、納得なんてできなかった。
アイツのせいなのにって、逆恨みした。
そんな自分が汚くて悲しくて、仕方なかった。
アイツが受験する予定の高校と同じに日に、俺も受験だった。
受験会場には当然俺は居ないのに、アイツは気付く様子もなかった。
俺が受けてないって気付いたのは、合格発表の日だった。
馬鹿だよな、俺。
なんでこんな俺を見てくれない奴と、一生懸命友達で居ようなんて思ったんだろうって思った。
だから言ったんだ。
『なんで俺がそこ受けると思ったんだ?俺の成績じゃ無理だって簡単に分かるだろ?俺がお前と一緒に居るために努力するとでも思ったのか?そういうの、すげぇ傲慢だよな。』
スルスルと言葉が出てきた。
俺は思った以上に、アイツのことが嫌いになっていたらしい。
溢れた言葉は紛れもない本音で、アイツは悲しそうな顔して殴ってきた。
直ぐに謝ってきたけど、暴力に頼るような奴の傍に居たくないって拒絶した。
それもまた本音だった。
俺は顔を腫らしたまま担任に礼を言いに行った。
あの人のおかげで、最終的に上の偏差値の高校に受かったから。
担任は顔の腫れには何も言わなかったけど、高校に受かれたのはお前が努力したからだと褒めてくれた。
最低な人間だと思うが、俺にはそれが丁度良かった。
俺はその日から二度と、アイツと目も合わせなかったし会話もしなかった。
漸く身の程を知ったかと他の連中は訳知り顔でゲラゲラ笑ったけど、俺はもう何とも思わなかった。
始まった高校生活は、思った以上に息がしやすいっていうのが正直な感想だ。
話の合う友人が何人かできたし、中学校の頃を知ってる奴には近寄らければそれで良いし。
それだけですげぇ息ができるんだよ。
もう蹲って暴力が終わるのを待たなくていいんだ。
カラフルだった俺の身体は、どんどん元に戻っていくのも感動モノ。
ただ、顔が良い奴とは意地でも友人関係にはならなかった。
当たり障りのない会話はするけど、そこまでだ。
あんな思い、二度と味わいたくない。
今この幸せを、失いたくない。
俺は俺の身の程を知っている。
だから俺は何度言われようとも、何を言われようとも顔の良い奴とだけは絶対に親しくしたくなかった。
失礼極まりない話だけどな。
「その点お前っていいよな、雰囲気イケメンだもん」
「うるせぇよ。雰囲気イケメンもイケメンの枠入れてー」
「そしたら俺、お前と友達辞めなきゃ………!」
「やめてー!」
ふざけ合って友達と笑う。
それが当たり前じゃないことを知っている俺は、それにしがみつきそうで怖かった。
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