22 / 27
無敵の人
15
しおりを挟む
「ただいまー!ただいまー!もう疲れた!家の中から一歩も出ない!」
「おかえりなさい、お兄さん!」
お兄さんは、思ったよりも早く帰って来てくれた。
会社勤めをしていた時よりは元気に見えるけど、それでも明らかに疲れている顔だったのでしっかりギュッとしてお出迎えをする。
………やっと顔色良くなってきたのに。
「お風呂、先に入ってきて。ご飯の準備するね。」
お風呂っていうかシャワーだけど。
ご飯も今日お兄さんが持ち帰ってくれたホットサンドと冷凍のパスタを温めるだけだけど。
それでも少しでもお兄さんの疲れを癒せたら。
「うーん………俺さ、すっごく疲れててェ。」
「うん、そうだよね。本当にありがとう、お疲れ様。」
お兄さん、すっごく頑張ってくれたんだよね。
靴を脱ごうとしているお兄さんからジャケットを受け取りながら、お礼を言う。
俺の為に、こんなにいっぱい頑張ってくれた。
本当に優しくて、素敵な俺のお兄さん。
「でね、俺さ、お腹も空いてるんだけどさ。」
「うん。そうだよね。」
「どっちも欲しいんだ。」
………?
どっちも欲しいって、どういう事なんだろう。
お風呂入りながらご飯を食べるのは出来ないよ?
まぁ、湯舟があれば出来ないこともないかもしれないけど、うちにある湯舟はシャワーブースみたいなもんだ。
そう思って首を傾げると、そっとお腹を撫でられた。
この撫で方、えっちなことする時の―――
「ね?サツキ、一緒にお風呂に入ろ?」
「ぁっ、んっ」
ギュッと抱き締められて、べろっと厚い舌で舐め上げられる。
ゾクゾクとした感覚が背中を駆け抜けて、口から出て来たみたいに甲高い声が出る。
そっと、お兄さんを見上げる。
熱の籠った目で、俺を、俺だけを見てる。
「………うん、良いよ。」
この瞬間が、すごく好き。
動画で時々流れるアイドルや人気の配信者よりも端正で美しい顔をしたお兄さんが、俺みたいな何の取り柄もないどこにでも居るような男に欲情しているこの瞬間が。
すっごく好き。
「俺を食べて?」
頭からバリバリと。
合わせた唇から伝わる熱が、しっかりと身体の中で混ざり合うように。
「おかえりなさい、お兄さん!」
お兄さんは、思ったよりも早く帰って来てくれた。
会社勤めをしていた時よりは元気に見えるけど、それでも明らかに疲れている顔だったのでしっかりギュッとしてお出迎えをする。
………やっと顔色良くなってきたのに。
「お風呂、先に入ってきて。ご飯の準備するね。」
お風呂っていうかシャワーだけど。
ご飯も今日お兄さんが持ち帰ってくれたホットサンドと冷凍のパスタを温めるだけだけど。
それでも少しでもお兄さんの疲れを癒せたら。
「うーん………俺さ、すっごく疲れててェ。」
「うん、そうだよね。本当にありがとう、お疲れ様。」
お兄さん、すっごく頑張ってくれたんだよね。
靴を脱ごうとしているお兄さんからジャケットを受け取りながら、お礼を言う。
俺の為に、こんなにいっぱい頑張ってくれた。
本当に優しくて、素敵な俺のお兄さん。
「でね、俺さ、お腹も空いてるんだけどさ。」
「うん。そうだよね。」
「どっちも欲しいんだ。」
………?
どっちも欲しいって、どういう事なんだろう。
お風呂入りながらご飯を食べるのは出来ないよ?
まぁ、湯舟があれば出来ないこともないかもしれないけど、うちにある湯舟はシャワーブースみたいなもんだ。
そう思って首を傾げると、そっとお腹を撫でられた。
この撫で方、えっちなことする時の―――
「ね?サツキ、一緒にお風呂に入ろ?」
「ぁっ、んっ」
ギュッと抱き締められて、べろっと厚い舌で舐め上げられる。
ゾクゾクとした感覚が背中を駆け抜けて、口から出て来たみたいに甲高い声が出る。
そっと、お兄さんを見上げる。
熱の籠った目で、俺を、俺だけを見てる。
「………うん、良いよ。」
この瞬間が、すごく好き。
動画で時々流れるアイドルや人気の配信者よりも端正で美しい顔をしたお兄さんが、俺みたいな何の取り柄もないどこにでも居るような男に欲情しているこの瞬間が。
すっごく好き。
「俺を食べて?」
頭からバリバリと。
合わせた唇から伝わる熱が、しっかりと身体の中で混ざり合うように。
23
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
トップアイドルα様は平凡βを運命にする
新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。
ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。
翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。
運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

それ以上近づかないでください。
ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」
地味で冴えない小鳥遊凪は、ある日、憧れの人である蓮見馨に不意に告白をしてしまい、2人は付き合うことになった。
まるで夢のような時間――しかし、その恋はある出来事をきっかけに儚くも終わりを迎える。
転校を機に、馨のことを全てを忘れようと決意した凪。もう二度と彼と会うことはないはずだった。
ところが、あることがきっかけで馨と再会することになる。
「本当に可愛い。」
「凪、俺以外のやつと話していいんだっけ?」
かつてとはまるで別人のような馨の様子に戸惑う凪。
「お願いだから、僕にもう近づかないで」
【完結・ルート分岐あり】オメガ皇后の死に戻り〜二度と思い通りにはなりません〜
ivy
BL
魔術師の家門に生まれながら能力の発現が遅く家族から虐げられて暮らしていたオメガのアリス。
そんな彼を国王陛下であるルドルフが妻にと望み生活は一変する。
幸せになれると思っていたのに生まれた子供共々ルドルフに殺されたアリスは目が覚めると子供の頃に戻っていた。
もう二度と同じ轍は踏まない。
そう決心したアリスの戦いが始まる。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる