僕よりも可哀想な人はいっぱい居る

かかし

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無敵の人

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見付けても関りを持とうと来るかもしれない。
でも死んだとなれば、例え似た存在が現れても良く似た奴で済むだろう。
………と、いうのが百瀬さんの言い分だった。

「わざわざ捜しておいて、そんなもんなんですか?」

死んだくらいで諦めるなら、いっそ放っておいて欲しいものだ。
久しぶりにしっかりとプレスの効いたスーツに袖を通しながら、あらかじめ聞いていたとは言えやはり気になる疑問を口にする。
このスーツはさっき寄った百瀬さんの家で、百瀬さんの弟さんからお借りしたものだ。
何でもオーダーメイドではあるのだが、その後鍛え過ぎて入らなくなったから何なら貰って良いとは言われたけど………金持ち怖い。こんなの貰えるかよ。

、そんなもんだよー。まぁ、あの二人の様子だと家庭崩壊はしそうだけどー。あ、サイズ丁度良いねー。」
「お兄さんかっこいい!」

顔を真っ赤にしながら、でも恥ずかしそうに目を逸らしつつチラチラ見て来るのがたまらない可愛い。
抱き締めたい。
流石に百瀬さんの前だとしないけど、めっちゃキスしたい。

「ほんとに?サツキ、好き?」
「好き!どんなお兄さんも好きだけど、スーツのお兄さんも好き!」

なにそれ百点満点可愛い小悪魔では?????
そんなん言われたら俺もオーダメイドスーツ欲しくなっちゃう!
サツキに格好良いっていっぱい言ってもらいたいから、いっぱいいっぱいオシャレしたくなっちゃう!
ついでにサツキにもいっぱいお洋服買ってあげたくなるけど、ぶっっかぶかの俺のスウェット着てるサツキも可愛いから他人の目に触れさせたくない!

「今回のおつかい、やり遂げたらもっと格好良いって言ってもらえるかもねー。」
「そういえば、そのおつかいって何ですか?」

戸籍を用意してもらう立場だから言われるがままに従っていたけど、から危ないことには極力巻き込まないで欲しいし、どうせ巻き込むなら
そんな気持ちを込めながら聞けば、不思議そうに首を傾げられた。

「言ってなかったっけー?」
「聞いてないですね。後、サツキに触んないでください。」
「そっかそっかー、言ってなくてごめんねー。」

しれっとサツキを抱えて膝の上に乗せた上に、触るなというこっちのセリフは総スルーだ。
挙句の果てにはサツキの、俺が毎日丹精込めて手入れしてサラサラになった美しい烏の濡れ羽色の髪を撫でくりまわしやがった。
思わず睨み付けるも、気にした素振りすら見せない。

「サツキくんのの所に行って、サツキくんを殺すよう頼むんだよー。からー。」

もう一度叩き落としてやろうかとした手を止める。
なるほど、って訳だな。
理解した。
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