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無敵の人
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「頼む!俺達友達だろう!?」
「あ、すいませーん。これとこれとこれ、会計時テイクアウトでお願いしまーす!」
やっぱり日頃の行いが良いと、良いことが起きるんだなと俺は嬉しくなった。
このカルボナーラ美味しい。
メニューの写真のホットサンドとケーキ美味しそう。
急にお留守番してもらうことになったサツキに買って帰ろう。
「なぁ、聞いてるか!?」
「うんうん、聞いてるよ。俺、君と友達だった覚えないけど。」
にこにこと、とびっきりの営業スマイルでそう事実を告げてやれば、目の前の男は口元を引き攣らせた。
滅多と鳴らないスマホが鳴ったから何事かと思えば、思い出せない名前を名乗った自称高校の頃の同級生とやらが会いたいとか言ってきた。
有名な一般論だけど、卒業後連絡を全く取ってない同級生を名乗る存在から連絡が来たら宗教か借金のお誘いだから乗るべきではない。
ましてや俺は高校の頃はいじめられっ子でマジで友達居なかったし、実際、コイツが開口一番に出した話題は金貸してくれだった。
そんな奴に電話掛けて金の無心してくるとか相当切羽詰ってる訳だろ?
闇金とか?
ますます危険。
でもじゃあ何で俺がこうしてその男と会ってるかというと、もし本当に闇金関連なら聞きたいことがあるからだ。
勿論、コイツにじゃない。
コイツに金を貸したであろう、ヤクザにだ。
「………あのさ。」
俺が口答えしてくると思ってなかったらしい男が不快そうに眉根を寄せて口を開き罵声を浴びせようとした。
………のは分かりきった話だったので、片手で制してやる。
今までの俺だったら、怯えていたかもしれない。
そうして顔だけの馬鹿はチョロいと、嘲笑われていたかもしれない。
「立場、間違えんなよ。俺がお前に恵んでやるかどうかは、俺が決めるんだ。お前は尻尾振って媚び売る立場だぞ?分かってる?」
営業スマイルは崩すことなく、俺は声を作ることなく普通にそう言った。
怯えてやられるばかりだったのは、一年半前までの話だ。
今の俺にはサツキが居る。
サツキに相応しい存在になってサツキを護る為には、人の顔色ばかり見て怯えている弱い俺のままではいけない。
そもそも俺は、誘拐犯だ。
「利用価値があるなら、金位いくらでも貸してやるよ。」
「は………えっ、お前、どうしたんだよ………高校の頃と全然違う………あっ、イキってんのか?」
ヘラヘラと、目の前の男が笑う。
頭悪いな、コイツ。
まぁ借金苦になる位だから、相当頭悪い生き方したんだろうな。
サツキに会う前の俺も頭悪い生き方してたが、貯金は人並みにあるぞ。
………使う余裕も時間も無かったから、貯まったともいうけど。
「どうとでも。で?どうすんの?金、欲しいの欲しくないの?」
「そりゃ、欲しいに決まって………!」
「じゃあそれ相応の態度ってモンがあるよな?」
嫌味な言い方は、もう十分過ぎる程ラーニングした。
どうしたら威圧的に見えるのか、その仕草も。
散々された言動を、今度は俺がする。
顔だけの人間だと言われる位、俺は顔が良い。
それならばそれすらも利用してやる。
「何も跪け、なんて言わない。ただ、俺の欲しい情報持ってるならくれてやるよ。」
「情報って………」
「誰が喋って良いって言った。今俺が喋ってるのが分からないのか?」
ガラリと変わった俺の態度に、男は今度は怯えたように口元を引き攣らせる。
よく上司だった男がやっていた詰め方だが、あの男は何が楽しくってやっていたのだろう。
打って変わって媚びを売り出した自称友人を見ながら、確かに効果はあるのだろうけど、全然楽しくない。
「わ、悪い………」
「言葉遣い。申し訳ございませんでした、だろ。立場を弁えろって、何度も言わせるな。」
えっと………足を組んで偉そうに、ふんぞり返る。
正直いつも俯いていたから、あの上司がどういう態度をしていたのか覚えてないんだよな。
見てないから。
「面白いことしてるねー。」
そもそも俺は尋問とかされるばかりで、したことがない。
どういう風に質問していくのが適切なのかを内心必死に考えていると、聞いたこともないわざとらしい間延びした声が聞こえた。
あまりに自然に聞こえた為に、俺達に対して言われたものだと最初は思えなかった。
しかし、声の主と思われる男が楽しそうに自称友人の横に座ったので、そこで漸く俺達に向けられた言葉だったと気付いた。
てかこの人、誰?
「い………石重さん!」
「何度言ったら分かるのー?俺、百瀬だって言ってんじゃん。」
自称友人が男を見た途端、身体を硬直させた。
この人、誰だろ。
俺と同じ位の身長だし一見するとすごく細く見えるけど、多分細マッチョってやつだ。
二の腕の辺りが、服の上から分かる程にしっかりとしている。
俺も何かあった時にサツキを抱えたり、護ったり出来るようにしっかり鍛えよう。
「………何してるのー?」
「貴方見て筋肉付けようって決心してました。お腹ぷにぷに。」
太ってはないけどね。
でも多分、この人のお腹はしっかりと筋肉で引き締まってるんだろうな。
興味ないけど。
そう思っていたら男はさっきまでの胡散臭い笑顔から一転、心底楽しそうに大口を開けて笑った。
「この状況でそれするー?」
「いや、どうも用があるのはソイツみたいですし、お話終わるまで暇だなーって思いまして。」
なんとなくだけど、この人は年上な気がする。
中性的で所謂【美人】さんだから年齢不詳な感じだけど、なんとなくそんな感じする。
てかウルフカットってやつ、初めて見たけど恰好良いな。
この人の為に誂えたような髪型だと思える程に似合ってると思う。
あんまり他人の美醜に興味無いけど。
「あー、おもしろー。気に入っちゃったー。ねぇー、君お名前はー?コイツとお友達なのー?」
「いや、違いますけど。金の無心されてました。」
「おっ、おい!」
「へぇ………」
自称友人が焦りだしたが、俺は事実を言っただけなのでなんでそんな反応してるか分かんなーい。
さっきまでは俺が放置されてたけど、今度は自称友人が放置される番。
放置したかった訳じゃないけど、モモセさん?の言葉が巧み過ぎて口が挟めない感じ。
「それはごめんねー。ちゃんと言っておくから、何も貸さなくて良いよー。」
「もしかして、借金って貴方から?」
「そー。個人的に、ねー。あ、俺は百瀬 忠恒って言うのー。」
個人的に………。
つまり百瀬さんはヤクザではないのか………。
残念。
「なんだか不服そー。ふふっ、貸すつもりだった?」
「いや、貸すつもりは無かったんですけど、ヤクザから借りたとかだったら会わせてもらおうかと。」
「ヤクザに?なんでー?」
スッと、百瀬さんの目が冷たくなる。
笑ったままなのに、目が笑ってない。
なるほど。
整った顔立ちの人がやると、それだけで背筋が凍る程怖くなるんだな。
「ナイショ話なんですけど。」
「うん。」
「戸籍が欲しくて。」
「「は?」」
百瀬さんと自称友人が、声をハモらせ怪訝な表情を浮かべた。
仲良しなのかな?
「えーっと、それこそなんでー?」
「俺、一年半前に男の子誘拐したんですけど、その子に戸籍をプレゼントしたくて。」
一応センシティブな話題だから、他の人に聞こえないようにこっそりと百瀬さんに理由を告げる。
まるでクリスマスプレゼントにあげる玩具を探していると言わんばかりの気軽さで告げた内容に、百瀬さんは当然驚いたように目を見開いたけれど、やがてにんまりと、まるで悪戯を企む子供かのように口元に笑みを浮かべた。
「それ、本当の話ー?」
「ええ。今度引っ越ししようかと思うんですけど、その記念に。ほら、戸籍が無いと万が一の時困るでしょ?」
そう。
俺がコイツのクソみたいな話に乗った理由は、それだ。
正直な話、俺にとってサツキはサツキでしかないし、サツキ自身戸籍なんてどうだって良いと思っているだろう。
でも、万が一サツキが病気になったら?
とんでもない大怪我をしてしまったら?
別に金が幾らかかろうが関係無いが、戸籍の無い人間を連れて病院に行けば怪しまれる。
そして高確率で俺とサツキは引き離されてしまう。
それだけは避けないといけない。
でもだからといって、苦しむサツキを病院に連れて行かないという選択肢はない。
「でも戸籍の買い方なんて分からなくて………ヤクザとか半グレなら分かるかなーって。」
「なるほどねー。うーん………」
ジッと、百瀬さんが俺の目を見詰める。
俺は昔から人と目を合わせるのが得意じゃない………というか嫌いなんだけど、ここで目を逸らしちゃいけないような気がしたから俺もジッと見詰め返してみる。
それが、多分正解だったのだろう。
「………いいよー!俺が幾つか見繕ってあげる!その子何歳?誕生日は?」
身を乗り出した百瀬さんからそう聞かれて、ふと気付く。
サツキって、何歳なんだろう?
「あ、すいませーん。これとこれとこれ、会計時テイクアウトでお願いしまーす!」
やっぱり日頃の行いが良いと、良いことが起きるんだなと俺は嬉しくなった。
このカルボナーラ美味しい。
メニューの写真のホットサンドとケーキ美味しそう。
急にお留守番してもらうことになったサツキに買って帰ろう。
「なぁ、聞いてるか!?」
「うんうん、聞いてるよ。俺、君と友達だった覚えないけど。」
にこにこと、とびっきりの営業スマイルでそう事実を告げてやれば、目の前の男は口元を引き攣らせた。
滅多と鳴らないスマホが鳴ったから何事かと思えば、思い出せない名前を名乗った自称高校の頃の同級生とやらが会いたいとか言ってきた。
有名な一般論だけど、卒業後連絡を全く取ってない同級生を名乗る存在から連絡が来たら宗教か借金のお誘いだから乗るべきではない。
ましてや俺は高校の頃はいじめられっ子でマジで友達居なかったし、実際、コイツが開口一番に出した話題は金貸してくれだった。
そんな奴に電話掛けて金の無心してくるとか相当切羽詰ってる訳だろ?
闇金とか?
ますます危険。
でもじゃあ何で俺がこうしてその男と会ってるかというと、もし本当に闇金関連なら聞きたいことがあるからだ。
勿論、コイツにじゃない。
コイツに金を貸したであろう、ヤクザにだ。
「………あのさ。」
俺が口答えしてくると思ってなかったらしい男が不快そうに眉根を寄せて口を開き罵声を浴びせようとした。
………のは分かりきった話だったので、片手で制してやる。
今までの俺だったら、怯えていたかもしれない。
そうして顔だけの馬鹿はチョロいと、嘲笑われていたかもしれない。
「立場、間違えんなよ。俺がお前に恵んでやるかどうかは、俺が決めるんだ。お前は尻尾振って媚び売る立場だぞ?分かってる?」
営業スマイルは崩すことなく、俺は声を作ることなく普通にそう言った。
怯えてやられるばかりだったのは、一年半前までの話だ。
今の俺にはサツキが居る。
サツキに相応しい存在になってサツキを護る為には、人の顔色ばかり見て怯えている弱い俺のままではいけない。
そもそも俺は、誘拐犯だ。
「利用価値があるなら、金位いくらでも貸してやるよ。」
「は………えっ、お前、どうしたんだよ………高校の頃と全然違う………あっ、イキってんのか?」
ヘラヘラと、目の前の男が笑う。
頭悪いな、コイツ。
まぁ借金苦になる位だから、相当頭悪い生き方したんだろうな。
サツキに会う前の俺も頭悪い生き方してたが、貯金は人並みにあるぞ。
………使う余裕も時間も無かったから、貯まったともいうけど。
「どうとでも。で?どうすんの?金、欲しいの欲しくないの?」
「そりゃ、欲しいに決まって………!」
「じゃあそれ相応の態度ってモンがあるよな?」
嫌味な言い方は、もう十分過ぎる程ラーニングした。
どうしたら威圧的に見えるのか、その仕草も。
散々された言動を、今度は俺がする。
顔だけの人間だと言われる位、俺は顔が良い。
それならばそれすらも利用してやる。
「何も跪け、なんて言わない。ただ、俺の欲しい情報持ってるならくれてやるよ。」
「情報って………」
「誰が喋って良いって言った。今俺が喋ってるのが分からないのか?」
ガラリと変わった俺の態度に、男は今度は怯えたように口元を引き攣らせる。
よく上司だった男がやっていた詰め方だが、あの男は何が楽しくってやっていたのだろう。
打って変わって媚びを売り出した自称友人を見ながら、確かに効果はあるのだろうけど、全然楽しくない。
「わ、悪い………」
「言葉遣い。申し訳ございませんでした、だろ。立場を弁えろって、何度も言わせるな。」
えっと………足を組んで偉そうに、ふんぞり返る。
正直いつも俯いていたから、あの上司がどういう態度をしていたのか覚えてないんだよな。
見てないから。
「面白いことしてるねー。」
そもそも俺は尋問とかされるばかりで、したことがない。
どういう風に質問していくのが適切なのかを内心必死に考えていると、聞いたこともないわざとらしい間延びした声が聞こえた。
あまりに自然に聞こえた為に、俺達に対して言われたものだと最初は思えなかった。
しかし、声の主と思われる男が楽しそうに自称友人の横に座ったので、そこで漸く俺達に向けられた言葉だったと気付いた。
てかこの人、誰?
「い………石重さん!」
「何度言ったら分かるのー?俺、百瀬だって言ってんじゃん。」
自称友人が男を見た途端、身体を硬直させた。
この人、誰だろ。
俺と同じ位の身長だし一見するとすごく細く見えるけど、多分細マッチョってやつだ。
二の腕の辺りが、服の上から分かる程にしっかりとしている。
俺も何かあった時にサツキを抱えたり、護ったり出来るようにしっかり鍛えよう。
「………何してるのー?」
「貴方見て筋肉付けようって決心してました。お腹ぷにぷに。」
太ってはないけどね。
でも多分、この人のお腹はしっかりと筋肉で引き締まってるんだろうな。
興味ないけど。
そう思っていたら男はさっきまでの胡散臭い笑顔から一転、心底楽しそうに大口を開けて笑った。
「この状況でそれするー?」
「いや、どうも用があるのはソイツみたいですし、お話終わるまで暇だなーって思いまして。」
なんとなくだけど、この人は年上な気がする。
中性的で所謂【美人】さんだから年齢不詳な感じだけど、なんとなくそんな感じする。
てかウルフカットってやつ、初めて見たけど恰好良いな。
この人の為に誂えたような髪型だと思える程に似合ってると思う。
あんまり他人の美醜に興味無いけど。
「あー、おもしろー。気に入っちゃったー。ねぇー、君お名前はー?コイツとお友達なのー?」
「いや、違いますけど。金の無心されてました。」
「おっ、おい!」
「へぇ………」
自称友人が焦りだしたが、俺は事実を言っただけなのでなんでそんな反応してるか分かんなーい。
さっきまでは俺が放置されてたけど、今度は自称友人が放置される番。
放置したかった訳じゃないけど、モモセさん?の言葉が巧み過ぎて口が挟めない感じ。
「それはごめんねー。ちゃんと言っておくから、何も貸さなくて良いよー。」
「もしかして、借金って貴方から?」
「そー。個人的に、ねー。あ、俺は百瀬 忠恒って言うのー。」
個人的に………。
つまり百瀬さんはヤクザではないのか………。
残念。
「なんだか不服そー。ふふっ、貸すつもりだった?」
「いや、貸すつもりは無かったんですけど、ヤクザから借りたとかだったら会わせてもらおうかと。」
「ヤクザに?なんでー?」
スッと、百瀬さんの目が冷たくなる。
笑ったままなのに、目が笑ってない。
なるほど。
整った顔立ちの人がやると、それだけで背筋が凍る程怖くなるんだな。
「ナイショ話なんですけど。」
「うん。」
「戸籍が欲しくて。」
「「は?」」
百瀬さんと自称友人が、声をハモらせ怪訝な表情を浮かべた。
仲良しなのかな?
「えーっと、それこそなんでー?」
「俺、一年半前に男の子誘拐したんですけど、その子に戸籍をプレゼントしたくて。」
一応センシティブな話題だから、他の人に聞こえないようにこっそりと百瀬さんに理由を告げる。
まるでクリスマスプレゼントにあげる玩具を探していると言わんばかりの気軽さで告げた内容に、百瀬さんは当然驚いたように目を見開いたけれど、やがてにんまりと、まるで悪戯を企む子供かのように口元に笑みを浮かべた。
「それ、本当の話ー?」
「ええ。今度引っ越ししようかと思うんですけど、その記念に。ほら、戸籍が無いと万が一の時困るでしょ?」
そう。
俺がコイツのクソみたいな話に乗った理由は、それだ。
正直な話、俺にとってサツキはサツキでしかないし、サツキ自身戸籍なんてどうだって良いと思っているだろう。
でも、万が一サツキが病気になったら?
とんでもない大怪我をしてしまったら?
別に金が幾らかかろうが関係無いが、戸籍の無い人間を連れて病院に行けば怪しまれる。
そして高確率で俺とサツキは引き離されてしまう。
それだけは避けないといけない。
でもだからといって、苦しむサツキを病院に連れて行かないという選択肢はない。
「でも戸籍の買い方なんて分からなくて………ヤクザとか半グレなら分かるかなーって。」
「なるほどねー。うーん………」
ジッと、百瀬さんが俺の目を見詰める。
俺は昔から人と目を合わせるのが得意じゃない………というか嫌いなんだけど、ここで目を逸らしちゃいけないような気がしたから俺もジッと見詰め返してみる。
それが、多分正解だったのだろう。
「………いいよー!俺が幾つか見繕ってあげる!その子何歳?誕生日は?」
身を乗り出した百瀬さんからそう聞かれて、ふと気付く。
サツキって、何歳なんだろう?
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