僕よりも可哀想な人はいっぱい居る

かかし

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無敵の人

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―――何が正解で、どこからが間違っていたのか。
否、きっとどれもが正解ではなく、最初から間違えていたのだろう。

愛していた訳ではないけれど、疎んじていた訳ではなかった。
愛していた訳ではないけれど、情は確かにあった。
少なくとも、行方不明になった際に捜索しようと思う位には情が合った。

それでも、それは言い訳だと鼻で笑われるだろう。
実際、私はあの子が行方不明になって今まで、警察に届け出を出していないのだ。
自分保身の為に。

それでも、という事実は私にとって確かな真実だったのだ。
あの子にも、かつて妻だった女性にも。

今日も愛しい子供達には休日出勤だと偽って、あの子を捜す。
半年以上続けていることではあるが、見付けることは出来ないだろうなと理解していた。
所詮は世間体だけだと、罵られても仕方ないとも思っている。

何故ならば私は思い出せないのだ。
いつも私が抑圧していたせいで俯いてばかりだった、あの子の顔を。
同じ理由で、あの子とよく似ているかつて妻だった女性の顔も。




声も何一つ、思い出せないのだ。
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