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中編
てがみ
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ルイ・アルシェント様
名乗りもせずこうして手紙を送る無礼をお許しください。
本当は手紙を送るつもりもなく、ただ貴方を遠くから眺めるだけで充分だったのです。
ですが貴方が他の方に笑いかける度に、名前を呼ぶ度に。
私は愚かにも欲を積もらせてしまいました。
私にも笑って欲しい
私の名前を呼んで欲しい
私とも、話して欲しいと
そう思ってしまうのです。
勿論、それが許されることだとは思ってません。
けれど、私は貴方の声を知っています。
私は貴方の名前を知っています。
貴方はきっと覚えてないでしょうが、私と貴方は話したことがあるのです。
貴方と目線を合わせて立っていたことが、あるのです。
一度だけ、貴方から名前を呼ばれたことがあるのです。
そのことを覚えてしまっているから、どうしても欲が止まらずにこのような暴挙に出てしまいました。
どうか許してください。
言い訳にならないのは百も承知なのですが、私は、貴方が好きなのです。
貴方がいつか婚約者を募る際には、名乗りを上げたいと夢想する程に。
勿論、それが叶うことはないと存じております。
ただ、それでも。
どうしても夢を見たかったのです。
どうしても、想いが溢れて止まらなかったのです。
このような手紙を送ったところで、貴方を困らせてしまうだけだと重々承知しております。
どれ程愚かなことなのかも。
この手紙は捨ててしまって構いません。
この手紙は燃やしてしまっても構いません。
許されぬ愛を抱いた、愚かな雄の戯言以下の懺悔なのですから。
名乗りもせずこうして手紙を送る無礼をお許しください。
本当は手紙を送るつもりもなく、ただ貴方を遠くから眺めるだけで充分だったのです。
ですが貴方が他の方に笑いかける度に、名前を呼ぶ度に。
私は愚かにも欲を積もらせてしまいました。
私にも笑って欲しい
私の名前を呼んで欲しい
私とも、話して欲しいと
そう思ってしまうのです。
勿論、それが許されることだとは思ってません。
けれど、私は貴方の声を知っています。
私は貴方の名前を知っています。
貴方はきっと覚えてないでしょうが、私と貴方は話したことがあるのです。
貴方と目線を合わせて立っていたことが、あるのです。
一度だけ、貴方から名前を呼ばれたことがあるのです。
そのことを覚えてしまっているから、どうしても欲が止まらずにこのような暴挙に出てしまいました。
どうか許してください。
言い訳にならないのは百も承知なのですが、私は、貴方が好きなのです。
貴方がいつか婚約者を募る際には、名乗りを上げたいと夢想する程に。
勿論、それが叶うことはないと存じております。
ただ、それでも。
どうしても夢を見たかったのです。
どうしても、想いが溢れて止まらなかったのです。
このような手紙を送ったところで、貴方を困らせてしまうだけだと重々承知しております。
どれ程愚かなことなのかも。
この手紙は捨ててしまって構いません。
この手紙は燃やしてしまっても構いません。
許されぬ愛を抱いた、愚かな雄の戯言以下の懺悔なのですから。
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